ここは都内の某赤提灯。
楓の記者会見から二週間ほどたったとある晩。
「それでは、八幡君と楓ちゃんの交際公認を祝しまして、乾杯!!」
「「「「乾杯!!」」」」
何これ…。俺は楓と二人で静かに飲むつもりだったのに…。
「いいじゃないですか、賑やかなのも」
「苦手なんだよ…」
楓がご機嫌でビールを飲んでいる。
「そうよ八幡君、私達は二人の幸せをわけてもらう権利があるわ」
「まぁ、川島さんには世話になりましたし…」
「いや~ん、瑞樹って呼んで」
川島さん、もう出来上がってますか?
「そうよ八幡君。私達、心配してたんだから」
「ご心配おかけしました、片桐さん。セクシーギルティと可惜夜月には感謝してます」
「私は楓ちゃんからノロケ話聞いてたから、助けてあげたくなったのよ」
あははと笑う、片桐早苗さん。
「楓ちゃん泣かせたら、お姉さんタダじゃおかないからね」
「うっす」
「よしっ!!」
バンと背中を叩かれた。痛いって、加減してね。
「本当に、楓さんの言うとおりの素敵な方ですね」
「三船さんも、ありがとうございました。また美味しい店、教えてくださいね」
「はい」
三船美優さん、もう赤くなってる。なんだか、色っぽい…。
「八幡さん?」
「ひゃい!」
「ダメです、ほかの女性を見ては」
いや、無理でしょ。アナタの友人はみんなアイドルなんだから。
「八幡、ぼくはここにいていいのかな?」
「大丈夫だ戸塚。滅多にない機会だから、楽しんでくれ」
「それと、材木座君が過呼吸で倒れてるけど、大丈夫かな?」
おう、小上がりでピクピクしてる巨体。
「まぁ、無理もないな。死にはしないからほっとけ」
「ほら、男二人、飲んどけ☆」
酒を注ぎにきたのは…。
「うわぁ、本物のはあとちゃんだ」
佐藤心。
「佐藤さんも、楓のケアありがとうございました」
「大したことないぞ☆てか、はあとって呼べよ☆」
うぜぇ!
「ねぇねぇ、ヒッキー。私、浮いてない?」
「あ?大丈夫だろ。由比ヶ浜も負けてねぇだろ。なぁ、戸塚」
「うん!結衣ちゃんも負けてないよ」
「ヒッキー、彩ちゃん、ありがとう」
「イテテテッ!」
楓に何故かツネられた。
「…天然ジゴロ」
え?なんで?
「わかるわ」
「わかるわ」
川島さんと由比ヶ浜がシンクロした!!
「楓と雪ノ下も声ソックリで驚いたけど、川島さんと由比ヶ浜もソックリだな」
「本当に似てるわね。私と高垣さんもそうなのかしら」
「ん?そうだな」
雪ノ下さん?なんで隣に座るの?しかも近くないですか?
「そ、それはそうと、家とか大丈夫なのか?」
「不思議なことにないわ。私は少し事情聴取あるけれど」
「うふふっ」
何笑ってるの、楓さん。
「楓、何かしたか?」
「えぇ、そのあたりに顔が効きそうなご両親が居る方に…」
「ちなみに、誰?」
「桃華ちゃんと、琴歌ちゃんと、雪乃ちゃんです」
「雪乃ちゃん?」
「ごめんなさい、同じように名前でしたね」
「高垣さん。その方達のフルネームを伺ってもいいかしら?」
「櫻井桃華ちゃん、西園寺琴歌ちゃん、相原雪乃ちゃんです」
雪ノ下がアワアワしてる。
「どうした、雪ノ下」
「な、名だたる家名ばかり…」
「そうなのか?」
「その3つの家からしたら、雪ノ下なんて下の下よ」
え?そんなに凄いの?
「三人とも、喜んで協力してくれました。あっ、あと巴ちゃんも話を聞いて、実家に電話してくれてました」
巴ちゃん?
「あのスカジャン着てる村上巴か?」
「えぇ」
「む、村上…」
さらに雪ノ下が慌てる。
「お父さんが『村上家から電話があって、心配ない』と言われたと…」
「そんなに、すげぇのか?」
「村上と言ったら、建設業界に太いパイプを持つ企業よ。政界と繋がってるとも言われているわ」
うへぇ、346のアイドルの実家すげぇ。
…ん?
「最初っからそっちに頼めば揉み消せたんじゃねぇのか?」
「あらぁ、気がつきませんでした」
おいっ!
「でも、私と八幡さんの絆は強くなりました」
「そうだな」