腐り目とオッドアイ   作:おたふみ

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『恋人』というもの

次は食器やら歯ブラシやら日用品を買い揃える。

…と、思ったらデパート?

 

「そういうモノは荷物になりますから、最後にしましょう」

 

まぁ正論だな。

 

「せっかくだから、デートっぽいことをしませんか?」

 

「は?」

 

「今は恋人同士なんですから」

 

「そうだったな」

 

そんな笑顔で言われたら断れる訳がない。何回、笑顔にやられてるんだよ。この休みの中はこの先もやられるんだろうな。

 

デパートの中を一通り冷やかしてまわる。楓がマッサージチェアから動かない時はどうしようかと思った…。

 

しばらくデパートの中を見たあとに100均へ。

 

箸や茶碗、マグカップなどをカゴの中へ。…それはいいんだが、何故か色違いをペアで。

 

「こういうの、やってみたかったんです」

 

きっと、今までこういう普通の恋人達がやるようなことをやったことがないんだろう。…俺もないんだけどね。

俺が叶えてやるのもいいのかもしれないな。

 

「八幡さ~ん、このハート型なんてどうですか?」

 

ガフッ!

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「な、なんでもない。いいと思うぞ」

 

この天然25歳児め!可愛いじゃねぇか!

 

買い物を終えて部屋に戻ると、楓がご機嫌で買ってきたものを整理している。鼻唄も聞こえてくる。

 

「なんで鼻唄が『S(mile)ING!』なんですかね?」

 

「え?いいじゃないですか。卯月ちゃん、とっても可愛いんですよ」

 

「そりゃ、認めますけど…」

 

「コホン。高垣楓、がんばります!」

 

ガフッ!

 

「だ、大丈夫ですか!」

 

「大丈夫じゃない…。可愛い過ぎる…」

 

ダメだ。このままでは俺がキュン死してしまう。

 

「風呂の支度してきます」

 

「お願いしま~す♪」

 

風呂を掃除してお湯をはり、リビングに戻るとすでに夕食の準備が出来ていた。…早い。

 

「出かけていたので、簡単なモノですが」

 

「充分だ。それにうまそうだしな」

 

「では、いただきましょうか」

 

「いただきます」

「いただきます」

 

ひとり暮らしで家庭的な味に飢えていたのだろうか。楓の料理はすごく美味しかった。

 

「八幡さんは、どこに住んでいるんですか?」

 

「ウサミン星の近く」

 

「私、ウサミン星行ったことあるんですよ、はーとちゃんと」

 

「濃いメンバーだなぁ」

 

「三人で朝まで飲みました」

 

「ウサミンは永遠の17歳だから飲んだらダメだろ」

 

「ウサミン星は治外法権なので大丈夫で~す」

 

「なるほど、そういう理屈なのね」

 

食事後に酒を飲みながら、そんな話をして風呂に入り寝ようとと思うと。

 

「八幡さん、今夜も…いいですか?」

 

俺は、その申し出を断る選択肢は昨日のあの時から失っている。

 

お互いの心の隙間を埋めるように身体を重ねた後、眠りについた。

 

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