目を覚ます。少し満たされた気持ちと、欺瞞であると、偽物だとわかっているのに、楓と共に夜を過ごしている罪悪感…。
今朝も楓はご機嫌でキッチンでコーヒーを淹れている。
って、なんて格好してるのあの人は!
「あ、おはようございます」
「おはようございます。…じゃなくて!」
お、お、お尻が丸見え!
「やってみたかったんです、『裸エプロン』」
楓のやってみたかったシリーズ…。うん、可愛い。
「きゃっ!どうしたんですか?」
気がついたら、後ろから抱き締めていた。
「朝から、こんな格好をして、俺をどうするつもりだ?」
「どうもしません。アナタの好きなようにしてください。私はアナタの『楓』なんですから」
理性の糸が切れた音がした。楓をお姫様抱っこしてベッドに運ぶ。
「これもやってもらいたかったんです」
「俺も初めてやったよ。楓は軽いな」
もう一度二人でベッドへ潜りこんだ。
………
……
…
腹減ったな。
もう昼じゃねぇか。楓はまだ微睡んでるし、シャワー浴びて昼飯作るか。
サラダを盛りつけ、パスタを茹でていると、楓が目を覚ました。
「おはようさん。起きて大丈夫か?」
「はい。ごめんなさい、ご飯の支度を…」
「気にするな。これでも、元は専業主夫希望だったからな」
「ふふっ、いいですね。私の専業主夫になりますか?」
「それは魅力的な提案だ。もうすぐ出来上がるから、シャワー浴びてきな」
「は~い」
昼飯を食べ終り、洗い物をしている。今日は何をしようかと考えていると、後ろから楓が抱きついてきた。
「どうした?」
「朝のお返しで~す♪」
「そっか。あと少して洗い物終わるから」
「は~い♪」
…あれ?
「あの…離れてくれないの?」
「離れませ~ん♪」
いや、可愛いんだけど…。
「洗い物しにくいんですけど…」
「頑張ってくたさ~い♪」
そ、それに…。
「あ、あの…、当たってるんですけど…」
「当ててま~す♪」
確信犯かよ…。
「酔ってます?」
「酔ってませ~ん♪」
おい、あのワイングラスはなんだ?アンタはイタリア人か?
「~♪」
俺にすりすりしてご機嫌だよ。こんなのが続いて俺の理性がもつワケないだろ。誰だよ、俺のこと『理性の化け物』って言ったヤツ。ここに連れてこい。やっぱり、やめてください、連れてこないでください。死んでしまいます。
「今日は一日、こうしていませんか?」
「そういう怠惰な一日、大歓迎だ」
「今日は一日中くっついてますね」
「そんなことされたら、何回理性が飛ぶか…」
「アナタが私をもとめてくれる。私もアナタをもとめている。理性なんて必要ありません」
「そう…だな」
今まで、こんなに人にもとめられたことがあっただろうか?必要とされたことがあっただろうか?欺瞞でも偽物でも、もうどうでもいい。後のことは未来の俺に任せよう。
ベッドに居たりテレビを見たりと怠惰な生活をして二日目は終わっていった。