昼飯はファーストフードでハンバーガー。『I LIKE ハンバーガー♪』…。違う事務所ですね。
小さい口でほおばるとか…。何をしても本当に可愛いなこの人は。
「どうかしましたか?」
「いいや。なんでもねぇよ」
「?」
「午後は水族館でいいんだよな?」
「はい。お仕事では行ったことはあるんですけど、ゆっくり見れなかったので」
「そっか」
「それに、八幡さんと行けるのが楽しみで」
なにモジモジしながら言ってるの。この娘は俺をキュン死させる気ですか?絶対そうですよね?
ハンバーガーを食べ終り、水族館へ。川島さんと話をした後から、楓と腕をくんで歩いている。どうやら、気に入ったようだ。
…水族館か。あの時を思い出す。あの頃は本当にガキだった。でも、ガキなりにやってきたつもりだ。そのまま、社会人になり由比ヶ浜の結婚。そして、雪ノ下…。楓との出会い。やっと大人になれた気がする。やっと『高校生』の恋愛から脱却出来たんだろう。楓と出会い一緒に行動した少ない時間だけど、そう思わせてくれているのは間違いなく楓だ。本当に感謝しかないな。
…楓さん、何を言ってるんですか?『あれは煮付け、こっちは刺身で日本酒ね』とか、やめて。物思いにふけっているのが台無しです。
展示も終り、そろそろ出口か。楽しいな水族館って。
「少し心配しました」
「え?」
「ここに入ってすぐに暗い顔になったので」
「す、すまん、昔のことを思い出して」
「でも、今はいいお顔で安心しました」
「それは、楓が居てくれるからだよ。楓が隣に居てくれるから、昔の俺から脱却できたんだよ。ありがとな」
「そ、そんな、私は何も…」
「いや、楓のお陰だよ」
楓の頭を撫でる。髪サラサラ…。
「はい、八幡さんのお役にたてたのなら、嬉しいです」
水族館を出て今日は帰宅かと思ったのだが…。
「少しだけ寄り道いいですか?」
「かまわねぇよ」
「この前のデパートへ行ってもいいですか?お化粧品が買いたくて」
「了解」
で、デパートの化粧品売り場に居るんだが…。
「楓、すまんが外に行ってるわ」
「どうしました?」
「香りに酔った…」
「男性は苦手かもしれませんね」
「入り口で待ってる」
「すぐに行きますね」
デパートを出て、深呼吸。ふぅ、生き返る。途中で315プロのプロデューサーにアイドルにならないかって名刺渡されたんだけど、丁重にお断りしました。なんで俺に声をかけたんですかね。男のアイドルって人材不足なの?
そんなことを考えていると…。
「比企谷…君?」
「お、早かったな、かえ…で…」
振り向いた先に立っていたのは…。
「雪ノ下…」