ゼロの使い魔 〜使い魔は冒険者〜   作:まほうつかい

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第七話 入手(おしゃべり)

「トリスタニアに行くわよ」

 

 虚無の曜日、週に一回訪れる休日の朝。

 朝食を終えるなりそう提案してきたルイズにトモは面食らう。

 

「トリスタニア、ですか?」

「そう、ここトリステイン王国の首都にして姫様のお膝元。あそこならきっとあるわ」

「ああ、成程」

 

 ルイズの言いたい事を察して納得するトモ。

 だがトモは眉根を寄せて苦しい懐事情を暴露する。

 

「ですが、お金がありませんよ?」

「それくらい私が立て替えるわ! ……神器って結構不便よね」

「……言わないで下さい」

 

 一通り嘆息すると、彼女達は頭を切り替える。

 

「それで、いつ行くんです?」

「勿論、今からよ。厩舎には連絡してあるから、準備もそろそろ終わってるでしょう」

 

 用意周到なことですね、と呟いた後、トモは首を傾げた。

 

「……厩舎? 準備?」

 

 

 

***

 

 

 

 決闘の直後、学院長室に呼び出されたルイズ達は厳しい追及を受け、それぞれに厳罰が下された。ギーシュは禁止された決闘に応じた罰として、ルイズはそれを止めなかった罰としてそれぞれ謹慎三日。ヴィリエは決闘を挑み、学院の財産である使用人を傷付けようとした事を鑑みて謹慎十日を言い渡された。

 

 問題になったのはシエスタである。

 

 何せ平民が貴族に決闘を申し入れ、しかも勝利するなど前代未聞の出来事。馘首にすることも検討されたが、そもそもの発端であるギーシュ自身の弁護もあってそれは免れたものの、流石にお咎め無しでは体裁が悪い。

 しかも彼女は冒険者だ。異端であることがバレれば学園にとっても拙い。

 そこである提案がなされた。

 

「とりあえず体裁上は馘首と言うことにして、名目上はラ・ヴァリエール預かりとする」

 

 要するに立場だけ変えて実際は現状維持を貫こうと言う先送りの提案であった。

 大まかな筋書きは以下の通り。

 

『不埒な行いをしたギーシュをシエスタが諌めた。本来なら厳罰ものであるが、その命を賭した献身に感動したルイズがその身を引き受ける事になった。しかし未だ卒業すらしていないルイズではその資格が無いため、彼女が卒業するまでは学院で面倒を見ることにする。』

 

 詭弁だが筋は通っているので問題は無い。異端云々もルイズにとっては今更であった。

 だからその異端を持ち込んだトモをどう扱うのか、それが皆の頭を悩ませていた。

 

 その原因たる彼への尋問はルイズとオスマン、コルベールとロングビルと言う事情を知るものだけで行われた。普段のおちゃらけた雰囲気は何処へやら、大魔法使いに相応しい威厳を纏うオスマンにも臆すること無く、トモはいつも通りの態度で応じる。

 

「最初に確認しておきたいのですが、シエスタさんの立場は保障して頂けますか?」

「……難しいがな。冒険者とは言え、彼女はブリミル教徒じゃ。ブリミル教の教えに従っているうちは異端指定も有り得まい。シエスタ君が自ら異端に走らない限り、儂らも彼女を神官共に告発したりはせんと杖に誓おう。これでよいかの?」

「それで結構です。ありがとうございます」

 

 オスマンの言葉に礼を述べ、トモは居住まいを正して本題に入る。

 

「さて、『冒険者の洗礼』は資格のあるものにしか行えません。方法も今の所シエスタさん以外に教えるつもりはないのでご安心を」

「も、もしやそれを受ければ誰でも冒険者になれるのですか!?」

「落ち着きたまえミスタ・コルベール。……で、どうなのかねミスタ・ヤナギダ? 儂らも洗礼を受ければ冒険者になれるのかの?」

 

 好奇心剥き出しで質問を飛ばすコルベールを諌めるオスマンだが、彼もまた溢れ出す好奇心を隠し切れない。あの壮大な神話に語られた冒険者、伝説のイーヴァルディの勇者の如きそれが手に届くかもしれないのだ。とっくに枯れた冒険心が疼くのは仕方が無い。

 けれどトモは少年の目をした教師二人に残酷な事実を告げた。

 

「無理ですね」

「「「「えっ?」」」」

 

 目を丸くする一同に、トモは洗礼について語った。

 

 『冒険者の洗礼』、それは運命の神に祈りを捧げ、冒険者に相応しいかどうかを審判してもらうと言うもの。運命神が認めれば証たる聖印を賜り、資格を持たないものには何も与えられない。

 その判断は運命神が下すため、洗礼を受ける側はただ委ねるだけ。

 一応『諦めずに努力するもの』が認められると言われているが、死ぬ程努力したものでさえ認められない事例も少なくない。シエスタは一発で認められたがこれは希有な例で、普通はトモのように何度も何度も繰り返してようやく認められるものだと言う。

 

「洗礼自体は簡単です。ただ運命神様に祈りを捧げるだけですから。でも、認められるかどうかは運命神様次第ですので、確実なことは何も言えません」

「な、なら……」

「肝心なのは『神に挑む』ためにあがき続けること。失礼ながら、お二方はそのようなあやふやな目的の為に人生を賭けられますか?」

「「むぅ……」」

 

 超人とも言うべき冒険者の力。それはあくまでも神に挑む為の布石に過ぎない。

 人生の全てをそんな漠然とした目標に賭け、何時果てるとも知れぬ闘いに身を投じるのが冒険者なのだ。ましてオスマンもコルベールも教師として、あるいは貴族としての責任と立場がある。それを捨ててまで憧れに挑む真似は出来ない。

 

「……しかしみだりに『冒険者の洗礼』を広めてもらっては困るのぅ」

「私も軽々しく洗礼を行うつもりはありません。冒険者の力を悪用されても困りますし」

「ちょっと待って! 冒険者の力を悪用って、アンタ達の神様はそれを許してるの!?」

 

 残念そうに自重を促すオスマン。

 それに答えたトモの台詞に含まれていた見逃せない言葉に、ルイズが反応する。

 

「はい、冒険者に認められるものには善悪の区別はありません。求められるのは『神を倒す』と言う目標ただ一つ。だからそれさえ諦めなければ、どんな悪党であろうとも冒険者になる資格があるんです」

 

 それを聞かされた一同に何とも言えない沈黙が下りる。

 善悪の区別なく与えられる絶大な力、もしそれが悪人の手に渡りでもしたら?

 ────結果は火を見るよりも明らかだ。

 

「……その力、ますます広めるわけにはいかないようじゃ。既に冒険者になってしまったシエスタ君は仕方無いが、これ以上冒険者を目覚めさせてはならぬ。これは厳命じゃ!」

「判りました。この場に居る方々以外にこの話はしないと誓いましょう」

 

 そして話は彼らの処遇に変わっていく。シエスタの扱いは先に述べた通りであるが、トモはそうはいかない。何せ彼は何処にも所属していないのだ。学院はおろかトリステイン王国とも無関係、あえて言うならヴァリエール家であろうが、それだって『使い魔』という扱いである。

 だが彼はその異様に回る口をもって、あっと言う間に己の無罪を勝ち取ってしまった。

 

「そもそも事の発端はギーシュ君にありますし、ミスタ・ロレーヌの件では私が被害者です。何より私を処罰するのであれば、彼の暴言が世間に晒されるのは必至。そうなれば彼の家にも累は及びますし、ひいてはこの学院の教育方針にも影響は出るのは確実。ここは一つ、何も無かったと口裏を合わせるのが得策かと」

 

 詭弁を振るい、丸め込まれた教師達から言質を取り、追求を煙に巻いて。

 気が付けば彼は決闘の関係者の中で唯一、お咎め無しとなっていた。

 

「……アンタやっぱり詐欺師じゃないの?」

 

 妙に疲れたルイズの残した一言が全てを表していた。

 

 

 

***

 

 

 

 ルイズ主従の朝はトモが持ち込んだ目覚まし時計の爆音から始まる。

 だがトモは夜が明ける前に起き出し、手作りの木刀(二代目)で鍛錬に励んでいる。なので正確にはルイズ『だけ』がその恩恵を受ける羽目になっているのだが。

 鍛錬を終えたトモの帰りを、騒音に満ちた部屋で顔を顰めたルイズが出迎える。

 

「おはようございますご主人様。今朝も良いお目覚めのようで?」

「ええ、気持ちの良い朝ね。さっさとこの騒音を止めてもらえるかしら?」

 

 神器を使えるのは冒険者のみ。故にがなり立てる目覚まし時計を止められるのは冒険者であるトモだけ。従って彼が戻って来るまでの間、ルイズは爆音の中で過ごす事になる。

 

「……毎朝毎朝こう五月蝿いんじゃ、おちおち寝てられないわよ」

「その代わり寝坊はしなくて済んでるんですから良いでしょう?」

 

 突っかかって来るルイズを宥めながら部屋を出る。

 するとタイミングを合わせたかのように隣人も顔を見せた。

 

「……毎朝毎朝こう五月蝿いんじゃ、おちおち寝ていられないんだけど?」

「本当は貴女方、仲が良いんじゃありませんか? 同じ台詞を先程聞いた気がしますが」

「「五月蝿い(わね)!!」」

 

 目覚まし時計の恩恵は、半ば強制的にキュルケの生活にも及んでいた。分厚い壁で遮られているとは言えど仮にも神器、惰眠を貪る彼女を叩き起こす程度の威力は備えている。かくしてキュルケの生活サイクルはルイズのそれとほぼ一致するようになっていた。

 

 不満たらたらで朝食へ向かうルイズ達を見送ってから、トモは厨房へ向かう。

 

「お邪魔します。マルトーさんはいらっしゃいますか?」

「おう、来たか『我らの棒切れ』!」

 

 厨房に顔を見せるや否や、料理長のマルトーが満面の笑みを浮かべて駆け寄って来た。

 しかし呼び掛けられた本人は少しだけ眉根を寄せて反論する。

 

「マルトーさん、何度も言いますがあれは棒切れじゃなくて木刀でして……」

「朝飯は一日の活力を蓄えるのに必要だからな! すぐ用意してやるから待ってろ!」

 

 トモの抗議を聞き流し、マルトーは彼の朝食を作り始める。憮然としながらもそれ以上突っ込まず、おとなしく待つトモに厨房のあちこちから苦笑と励ましが掛けられた。

 

「よう『我らの棒切れ』、朝から大変だな!」

「……そう思うんだったら、その呼び名を止めて下さい」

「あはは、無理無理! おやっさん、ああ見えて結構思い込み激しいから」

「まあ良いです。……それより、手元がお留守ですよ?」

「ん? げっ、焦げる、焦げる!」

 

 決闘の一件以来、トモとシエスタは学院の使用人達から英雄のように扱われていた。

 粗末な木刀を振り回し、貴族から勝利をもぎ取った彼をマルトーは『我らの棒切れ』と呼ぶ。ちなみにシエスタは『我らのモップ』だ。本人は割と気に入っているらしい。

 

 忙しく働く料理人達を眺めていたトモの前に、ふわりと湯気を立てる皿が置かれる。

 温野菜と鶏の笹身の炒め物をメインにしたプレート料理、添えられた米がボリューム感たっぷりの逸品であった。

 

「おお、これまた美味しそうなメニューですね!」

「おうよ、お前さんが言っていた『チャーハン』は米が足りなくて無理だったが、こうすればそこそこ喰えるだろう?」

 

 ハルケギニアにも米はある。

 ただし主食としてではなく、珍しい野菜の一種とされていた。

 数はそれ程出回っていないのだが、トモから米を使った料理の話を聞かされたマルトーが時々取り寄せてはアレンジしつつ賄いに出すようになったのだ。

 

「本当は『カツドン』にも挑戦したかったんだがな、材料が揃わなかったんだ」

「いえいえ、私の我侭を聞いて下さったんですから、それだけで充分ですとも」

「いやいや、そいつはお互い様ってモンだ。お前さんから教わった『医食同源』って奴には本当に驚かされたからな」

 

 決闘の後、マルトー達はトモの功績を讃えてご馳走攻めにした。その余りに豪勢な食生活に辟易したトモが、彼に栄養学の触りを教えたのだ。せいぜい『三大栄養素とビタミン等の効能』や『カロリーと塩の過摂取の弊害』程度だったが、マルトー達料理人にとってはまさに革命。

 ボロボロと目から鱗を垂れ流し、感謝とお礼を迫るマルトーにトモは代わりに自分用のメニューを作ってほしいと申し入れて、今に至る。

 

「タンパク質を多めに摂れるよう鶏の笹身を使ってみたんだ。どうやら正解みたいだな」

「まあ、故郷では武術の達人とかが主食にしてたりするくらいですし」

「そして温野菜にして身体を冷やさず、栄養を素早く吸収すると。……こんな簡単な事、どうして今まで気付かれなかったんだろうな?」

「貴族様は基本、食道楽っぽいですからね。その割には味音痴が多いみたいですが」

「その通り! この間も素材を活かした味付けにしたら、味が薄いって怒鳴り込まれてなぁ……」

 

 世間話だか愚痴だかを交わしつつ食事を終えたトモは部屋に戻り、同じく朝食を終えたルイズに付き従って授業に向かう。

 しかし二人が教室に足を踏み入れた途端、ざわめいていた教室が水を打った様に静まり返る。誰も近寄ろうとせずに遠巻きにルイズ達を囲む生徒達の姿に、二人とも嘆息した。

 

「いい加減ほとぼりも冷める頃だと思うんですが」

「私もそう思うけどね。こうなったのも貴方の所為なのよ?」

 

 何故こんな状況になったのか、原因はあの決闘でトモが使った脅しにあった。

 

『ヴァリエールの公女に暴言を叩くことは、即ちヴァリエールを敵に回す事と同義』

 

 余りにも当たり前な事なのだが、ルイズの級友達はそのことをすっかり忘れていたらしい。

 ヴィリエのような報復を怖れるあまり、彼らは彼女達を避けるようになった。誰であれ、好んで王国有数の大貴族を敵に回す輩は居ない。今のルイズに近付くのは同じ立場に立つものか、好んで敵に回る変わり者しか居ないだろう。

 

「やあルイズ。相変わらず君の周りは静かだね」

「ハーイ、ルイズ!ひとりぼっちで寂しそうだから来てあげたわよ」

 

 そう、同じく脅しに使われたギーシュと、元より敵対関係にあったキュルケのように。

 ヴィリエは未だ謹慎中だ。と言うより引きこもっているらしく、寮室の片隅でガタガタ震えながらひたすら「ごめんなさい」と繰り返していると専らの噂だ。

 

「別に悪口くらいで実家を頼る気はないわ。……そんなことしたら母様に殺されるもの」

「ご主人のご家族については深く突っ込まない方が良さそうですね」

「それは僕も同じだよ。っていうか、あの決闘の原因は僕にあるからね。女性に罪を擦り付けようとしただなんて知られたら、父様と兄様に半殺しにされるのは確実だよ」

「貴族様って皆こんな感じなんですか?」

「家はそうでもないわよ? まあ自分のツケは自分で払うのがツェルプストーの教育方針だから、そうなっても助けてはくれないでしょうけれど」

「……平民で良かったと思うのはこう言うときかも知れませんね」

 

 ルイズ曰く、ツェルプストーとは代々殺し殺され、奪い奪われの間柄だと言う。だがトモから見る限りではキュルケは気の良い姉貴分にしか見えない。最近はルイズがツンケンしなくなったり、キュルケも度を過ぎるからかいをやめたとかで落ち着いているとか。

 彼に対して色目を使う事もあるが、ルイズをからかう為のフェイクらしい。

 そんな現状を詳しく説明してくれたのは、大きな杖を持った青髪の女生徒だった。

 

「こんにちはタバサ。ご機嫌良さそうで何より」

「…………」

 

 無言のまま頷く生徒の名はタバサ。

 滅多なことでは口を開かない彼女が、トモに色々教えてくれた理由はちゃんとある。

 そしてそれは、この場に現れたもう一人の女生徒も同じであった。

 

「……随分おもてになるのね、ギーシュ?」

「げぇっ、モンモランシー!? 違うんだ、これは浮気じゃない!」

「……ミス・モンモランシー、流血沙汰は勘弁して下さいね?」

 

 トモが教えた東方の謝罪「DOGEZA」を繰り出すギーシュの頭を踏み付けているのは、あの決闘でギーシュに三行半を叩き付けたモンモランシーである。なりふり構わぬ謝罪に憐れみを覚えてよりを戻したは良いが、嫉妬深く疑り深い彼女はギーシュに四六時中張り付き、浮気していないかどうか監視しているそうだ。微妙にルイズとは距離を置いているが、他の生徒達のように村八分にしないだけの分別はある。

 

「まあいいわ。それよりミスタ、そろそろあの秘薬について教えて下さるつもりはないかしら?」

「……私も、興味ある」

「ですから、あれは東方の特別な製法で作られた秘薬でして、私にしか効果はないんですよ」

 

 この二人がトモに絡む理由、それは決闘の際に使った秘薬である。

 モンモランシ家は代々優秀な水メイジの家系で、水の専門分野である秘薬については一家言を持つと言う。タバサの方は身内に重病人が居るらしく、効果の高い秘薬は喉から手が出る程欲しいとのこと。だが彼が使った秘薬は冒険者のみが使える神器、成分製法は彼も知らないし、冒険者ではない彼女達には使えない。

 

 二人の追求を躱しつつ、ギーシュの泣き言を聞き流し、ルイズとキュルケを仲裁する。

 日中のトモは概ねこれの繰り返しであった。

 

 

 

***

 

 

 

「お見事。もう木刀では相手になりませんか」

「い、いえ偶然です、まぐれです! 私なんてまだまだですし!」

 

 夕食の後、トモとシエスタは模擬戦を行っていた。

 唸りを上げるモップを受けて砕け散った手作りの木刀(二代目)を手に、トモは惜しみなく賞賛する。それに謙遜しながらも、シエスタはふと浮かんだ疑問を口にした。

 

「確か、神器は壊れないんですよね? どうして折れちゃったんでしょう?」

「いえ、これは神器じゃなくて私の手作りです。それに刀って結構高いんですよ」

 

 刀は神器でも高額の部類に入る。一番安い『数打ちの刀』でも中々手に届かない。

 ほぼ素寒貧状態のトモでは入手不可能。しかも借りた金では本人のものと見なされないので、神器を得ようにも得られないのだ。

 

「これは早めに金策を立てないといけませんね。とは言え、どうしたものやら」

「げ、元気出して下さい!」

 

 シエスタに励まされつつ、模擬戦を終えた彼が向かうのは使用人用の蒸し風呂である。

 

「……これはこれでいいんですけれど、やっぱり湯船が恋しいですね」

 

 湯船を調達する手段をあれこれ模索しつつ、ルイズの部屋に戻る。

 けれど彼の一日はまだ終わっていない。

 

「あら、お帰りなさい。待ってたわよ?」

「……お邪魔している」

「毎晩毎晩いい加減にしなさいよアンタ達、特にキュルケ!!」

 

 手に持ったワイングラスを掲げてみせたのはキュルケ、その後ろにちょこんと座り込んでいたのはタバサ。家主の非難も何のその、毎晩押し掛けてくる二人を交えて東方にある(と言うことになっている)故郷の話をするのが、トモの日課になりつつあった。

 

「……魔法の代わりに技術が発展した国、ねぇ」

「貴族政治が廃止された国……興味深い」

 

 技術重視のゲルマニア出身であるキュルケは、魔法に取って代わった科学技術に興味を引かれると言う。一方、タバサは未知の社会制度である民主主義に興味津々のようだ。

 専門外だから、とぼかして伝えられたそれらについて語り合う二人をいなしつつ、トモはルイズに武器の調達を陳情する。

 

「……え? 貴方に今更普通の武器が必要なの?」

「……お金がないんですよ。『あれ』を手に入れるには手元不如意でしてね」

 

 現在無職のトモには収入の当てが無い。身分的には『使い魔』なので衣食住は保障されているものの、仕事として成立している訳じゃないので給金など存在しないのだ。

 

「シエスタさんみたいに手に職がある訳じゃありませんし、かと言って長期間ご主人の元を離れるのも問題ですし、どうにかなりませんかね?」

「あら、ケチ臭いわね。剣くらいポーンと買ってあげれば良いじゃないの」

「五月蝿いわねツェルプストー! 使い魔の教育方針にケチ付けるんじゃないわよ!」

 

 キュルケの茶々に噛み付くルイズ。

 それを傍観するタバサに、どうにかして収めようと奮闘するトモ。

 ドタバタ主従の一日はこうして過ぎていった。

 

 

 

***

 

 

 

 トリステイン魔法学院から首都トリスタニアまでは馬で約三時間程掛かる。

 故にトリスタニアに向かう為には馬が必須であるのだが……

 

「馬に乗れない?」

「ええ、まあ」

 

 乗馬技術を持たない人間にとっては不自由極まりない立地条件と言えるだろう。

 学院から貸し出された二頭の馬の前で、ルイズは呆れ返っていた。

 

「貴方ねぇ、そう言うことはもっと早く言いなさいよ。準備が無駄になったじゃない」

「いやぁ、よもや馬での移動が一般的とは思いませんでしたから。日本じゃ、乗馬は趣味人の道楽扱いだったもので」

 

 厩舎から連れ出された馬に跨がってさあ出発、と言う所で暴露されたトモの弱点。

 しばし首を捻り、相乗りと言う手段を思い付いたルイズに大きな影が差す。

 

「ハーイ、ルイズ! トリスタニアに行くなら乗ってかない?」

「……馬よりは早いし、乗馬出来なくても問題ない」

 

 見上げれば、小憎らしい笑顔を浮かべたキュルケといつも通り無表情なタバサを背に乗せた、立派な風竜がそこに居た。

 

 

 

 渋るルイズを説得し、一行は極短い空の旅へと臨むことになった。

 

「個人で空輸手段を持てるとは、故郷でもこんな経験はありませんでしたね」

 

 少女三人と男一人を背中に乗せた幼竜は力強い羽ばたきで大空を舞う。

 竜の名はシルフィード。

 『春の使い魔召喚』の儀式で呼び出された、タバサの使い魔である。

 

「あら、貴方の故郷に竜は居なかったのかしら?」

「東方では既に絶滅してますね。竜から取れる素材はお宝扱いだったもので」

『きゅいいいいっ!?』

 

 キュルケが振った話題に酷い答えを返すトモ。

 それを聞いたシルフィードが驚愕と怯えの混ざった悲鳴を上げる。

 

「……竜を狩り尽くすって、物凄い所ねロバ・アル・カリイエって」

「そう言えばベアードも乱獲し過ぎて絶滅寸前って言ってたわね……」

「興味深い」

 

 呆れるルイズとキュルケとは対照的に、瞳を爛々と輝かせるタバサ。

 秘薬のことを抜きにしても、トモの話はタバサの知的好奇心を刺激する様だ。

 

「具体的な話を聞きたい。竜のどの部分をどのように加工する?」

「確か……倒した竜から剥ぎ取った素材と、特殊な鉱石を掛け合わせて作っていた筈です。素材になった竜の性質や特徴によって様々な能力を発揮したそうで、それを使ってまた竜を狩っていたんだとか」

「竜の性質?」

「ええ。尤も実物にお目に掛かったことは一度もありませんが」

 

 そんな殺伐とした話題をほのぼのと語り合う一行。

 そうこうしている内に、一行が目指すトリスタニアの市街は目前に迫っていた。

 

 

 

***

 

 

 

 ブルドンネ街、トリスタニアで一番の大通りである。幅五メイル程の道の両脇に露店が建ち並び、大勢の人々が行き交う中、ルイズ達一行は人込みをかき分けつつ目的の店に向かう。

 

「結構狭いんですね。これでは掏摸だって横行するでしょうに」

「実際横行してるわよ。メイジが魔法で掏摸を働くこともあるし、注意はしとくべきね」

「っていうか、これで狭いって……貴方の故郷ってどんな所なのよ一体」

「…………」

 

 美少女三人について歩く冴えない男。従者にしては態度が横柄だし、友人にしては身分が釣り合わない。アンバランスな一行は人々の注目を集めながら路地裏に消えていく。

 

「ピエモンの秘薬屋の近くだから……、あ、あれだわ!」

「ようやく見つけたの? ……やれやれ、これでようやく小汚い所から出られるわ」

「ふむ、衛生面がしっかりしてませんね。いつ疫病が発生してもおかしくないでしょうに」

「この辺りは平民の中でも特に貧しい階層が集まる場所。衛生観念までは手が回らない」

「五月蝿いわね! ほら、早く行くわよ!」

 

 不衛生な環境にぶつくさ言う三人を一喝し、ルイズは武器屋の戸を押し開ける。

 様々な武器がびっしりと立ち並ぶ薄暗い店内の奥で、暇そうにパイプを吹かしていた店主が慌てて身を起こすのが見えた。

 

「お嬢様方、うちは全うな商売をしてまさぁ。

 お上に目をつけられることなんざありませんぜ?」

「客よ。私の従者に使わせる武器を探しに来たの」

 

 使い魔と言う身分を吹聴するのは拙かろう、と事前に口裏を合わせた設定を口にしながら、ルイズはトモを押し出した。

 

「へえ、剣をお使いになるのはこの方で?」

「そうなりますね。とりあえず手頃な得物を一通り見せて頂けますか?」

 

 トモの外見は一言で言えば『貧弱』だ。上背だけはあるが、それが一層彼をひ弱に見せており、とても武器に精通しているようには見えない。

 そんな彼を、店主は格好の鴨だと見た。

 

(精々高く売りつけるとしようかね!)

 

 ほくそ笑みながら持ち出して来たのは見事な細工を施された大剣。

 1.5メイル程の両刃の刀身は鏡のように輝き、鋭い刃には刃毀れ一つ無い。

 

「この店で一番の業物ですぜ! かの高名なゲルマニアのシュペー卿の作で、魔法も掛かっているから鉄だって一刀両断! 貴族のお供をさせるならこれ位は……」

「ああ、これじゃ駄目です」

 

 満面の笑みで売り込んでくる店主。だがトモは一目見るなり駄目出しを放った。

 

「何言ってるんでさぁ!? これ以上の得物はそうそうありませんぜ!?」

「私が欲しいのはバスタードソードくらいの大きさで片刃の曲刀です。カタナって言うんですが、ご存知ありませんか?」

「……知らねぇな。曲刀なら幾つかある。少し待ってろ」

 

 店主の態度がいきなり横柄になった。折角の売れ筋が潰された腹いせだ。

 しかしトモの言う『カタナ』には心当たりは無い。仮にも武器屋を営む以上、この道にはそれなりに精通している店主でさえも初めて聞く武器の名に、プロ意識がくすぐられた彼は在庫から何本かの剣を引っ張り出して来た。

 

「この店にあるサーベルとシミターはこれだけだ。人気のないシロモンなんでな」

「ううむ………」

 

 ハルケギニアで曲刀と言えばサーベルかシミターが定番だ。

 勿論、『カタナ』とは似ているようで全然違う。

 カタナ───所謂『日本刀』は適度な厚みと重さで押し斬る剣である。独特の製法による粘りを持ち、基本は両手で扱うものだ。一方、サーベルやシミターは騎兵や盾持ちが使うことを前提としており、基本的に片手で扱う代物だ。

 どちらも叩き切るのではなく切り裂く剣ではあるが、扱い方は全く異なる。

 早い話がサムライの剣技をサーベルで再現するのは不可能だということだ。

 

「駄目ですね。刀とは違い過ぎます。これじゃ私の技は使えません」

「あら、剣ならホラ、さっきのシュペー卿のが……」

「ちゃんと聞いてたキュルケ? あの剣は使えないって言ってたでしょう」

「……両手で使う片刃の長剣なんて、ハルケギニアには無い……」

『はんっ、そんな生白い腕でいっちょまえに得物を選ぶたぁな! 諦めな、お前さんには棒切れがお似合いさ!!』

 

 諦め切れずに曲刀の山を囲み、あれやこれやと試しているトモ達に割り込む謎の声。

 全員の目が声の方に向く。店主だけが「あちゃあ……」と頭を抱えた。

 

「……誰も居ない、わよね?」

「見た限りでは、剣が積んであるだけのように見えますが……」

「え? どうしたのタバサ、いきなり抱きついてきて?」

 

 怪訝な顔の三人と青い顔の一人が首を傾げる中、声は再び語り掛けて来た。

 

『手前ぇらの目は節穴か! 俺様はさっきからここに居るぜ!!』

「「「「え?」」」」

 

 そう言われても、そこには人影らしきものは無く、人が隠れる隙間も無い。

 ただ乱雑に積み上げられた剣の山があるだけだ。

 更に首を捻る一行。その脇をすり抜け、店主は一本の剣を掴み取って怒鳴りつける。

 

「やい、デル公! それ以上客に喧嘩売ってみろ、こちらの貴族様に溶かしてもらうぞ!」

『面白ぇ、どうせこの世にゃ飽き飽きしていたんだ! その方が清々するぜ!!』

「インテリジェンスソード!?」

 

 店主が鷲掴みにしたのは片刃の長剣だった。

 先程の大剣と長さは変わらないが緩く湾曲した刀身には錆が浮いており、お世辞にも見栄えが良いとは言い難い。その鍔元に付いた金具がカタカタ動く度に『やれるもんならやってみな!』だの『やるんだったら早くしろ!』だのという罵声が漏れる。

 

「……喋る剣? 何の利点があってそんな加工を?」

「インテリジェンスソードには特殊な魔法を掛けるから通常より頑丈になったり攻撃力を上げたり話し相手になったりオバケのフリをしたりといろいろ有利な点があるし平民でも扱える数少ないマジックアイテムでもあるから需要は多い」

「あら、いつになく饒舌ねタバサ?」

 

 首を捻るトモにメリットを語るタバサ。いつも通り鉄面皮な表情に、ほんの少しだけ焦燥と安堵が浮かんでいるように見えるのは目の錯覚だろうか。

 そんな一行を余所に店主と剣の口喧嘩は段々ヒートアップしてくる。

 そしてとうとう「そんなに言うならやってやらあ!」と飛び出しかけた店主を引き止め、トモは取引を持ち掛けた。

 

「ご主人、その剣を処分するくらいなら譲ってはくれませんかね?」

「まあ、出すもん出してくれるなら良いけどよ。いいのかい? こいつは口は悪いわ喧嘩っ早いわで、碌なもんじゃ無いぜ?」

 

 折角纏まりかけた取引は、しかし当の剣本人が否定した。

 

『やい若造、まともに剣も振れなさそうな手前が俺を買うだと? ふざけんじゃねぇ!』

「なら、私が君を使えることを証明すれば異論は無いんですね?」

『ハッ!出来るもんならな!!』

 

 剣が切った啖呵を聞いたトモは店主から剣を受け取り、正眼に構える。

 店主を含む一同が見守る中、トモは気合いと共に剣を振り上げた。

 

「イェアアアアアアッ!!」

 

 大上段から振り下ろされた剣はそのまま左に流れ、横薙ぎの軌道に変化する。

 振り抜かれた剣が即座に袈裟斬りとなって引き戻されたかと思えば、いつの間にか正面への刺突に変わっていた。流れるような一連の剣技、一息のうちにそれを為したトモはゆっくりと右の半身を突き出し、剣を左の腰だめに据える。

 見慣れぬ構えに皆が息を呑み、引き絞られた弓が如き緊張が場を満たす。

 それが最高潮に達した瞬間、彼の呼吸が爆発した。

 

「チェストォオオオオオッ!!」

 

 奇妙な掛け声と共に振るわれる神速の斬撃。

 振り抜かれた剣を正眼に戻し、トモは溜めていた息を吐く。すると一気に空気が弛緩し、観客達も一斉に息を吐いた。

 

「やれやれ、打刀に比べれば取り回しに難がありますが、まあ野太刀のようなものと思えば良いでしょう。で、どうですか? 満足して頂けましたか?」

『…………おでれーた。俺様の目もどうやら錆び付いていたみてぇだな。旦那を見くびっていたのは謝る。これから宜しく頼むぜ!」

 

 どうやら剣の方も納得したようだ。先程の喧嘩腰とは打って変わって敬意すら含んだ会話を交わす剣と使い魔の姿に、空気に呑まれて惚けていたルイズが我に返る。

 

「……あれはおいくらかしら、ご主人?」

「へえ、厄介払いも兼ねてますんで、百エキューで結構です」

 

 告げられた金額は決して安いものではないのだが、ルイズは気にせず支払おうとする。

 だが、その手はトモの言葉に止められた。

 

「冗談言っちゃいけません。鞘と砥石を付けて三十が妥当でしょう?」

「それこそ冗談じゃありませんや。大負けに負けて九十ってのが限度ですぜ?」

 

 店主とトモの間に火花が散る。口火を切ったのはトモであった。

 

「鞘と砥石、手入れ用の小物を付けて四十」

「馬鹿言うない、小物だけでも十は取るぜ? 鞘と小物込みで八十」

「十は取り過ぎでしょう。精々1エキューもしない筈です。四十五」

「剣士の相方を手入れするんだぜ? 命を値切るようなものじゃねぇか。七十五」

「売れ残りを引き取るんですよ? もう少し勉強しても罰は当たりません。五十」

「元手って知ってるか? そんな額じゃ食っていけないぜ! 七十」

「強欲は身を滅ぼしますよ? 五十一」

「……いきなり細かくなったな。強欲とは人聞きが悪い、良心的な値段だぜ? 六十九」

「あんな鈍らを店一番の業物と言い張る貴方がそれを言いますか? 五十二」

「あれはシュペー卿の手による一点物だぜ、言い掛りは止してくれ! 六十八」

「ではご主人、ちょっと先程の剣にどんな魔法が掛かってるか調べてもらえますか?」

 

 突如始まった熾烈な値引き合戦に完全に置いていかれたルイズ達に、これまた唐突に話を振ったトモ。財布を取り出したまま固まっていたルイズが目を白黒させているのを尻目に、タバサがシュペー卿の大剣に向かって杖を振った。

 

「……簡単な固定化が掛かっているだけ。それ以外に魔法の反応はない」

「馬鹿言っちゃいけませんぜ!? そいつはシュペー卿の紹介状を持った代理人が直接売りに来た代物ですよ! 偽物の訳が……」

「シュペー卿の紹介状? ……ああ、貴方騙されたんだわ。シュペー卿がそんなもの付けたって話はゲルマニアでも聞かないもの」

「……『ディティクトマジック』は魔法を探知する魔法。嘘は吐けない」

 

 タバサの探知結果に、ゲルマニア人のキュルケの駄目押し。

 それでも尚諦め切れない店主の耳に、ルイズとトモの会話が飛び込んで来る。

 

「何でその剣が偽物だって思ったの?」

「奇麗すぎるんですよ。剣ってのは消耗品ですから何かを斬れば刃毀れしますし、脂が付けば刀身は曇ります。刀身に曇り一つ無く刃毀れも無しって時点で何も斬ったことの無いというのが丸分かり、恐らく装飾用の儀杖だったんでしょう。それに固定化の魔法を掛けてペテンに掛けたと言うのが真相じゃないですかね」

 

 理路整然と判断理由を挙げていくトモに膝を屈する店主。

 

「そ……そんなぁ……俺の、俺の剣が……」

「え、ええと……元気出しなさい! 大丈夫、何とかなるわよ! ……多分」

 

 落ち込む店主を慰めるルイズ、しかしトモは容赦なく追い打ちを掛けた。

 

「騙されたのは御愁傷様ですが、貴族にまがい物を売りつけようとした事実は消えません。打ち首で済めば良いほうじゃないでしょうかね?」

「そんな、後生です旦那方! 助けて下さい!!」

「ならば鞘と小物一式付けて三十。呑んでくれますね?」

「はいいっ!!」

 

 容赦ない追い打ちに絶句するルイズから財布を受け取り、金貨を一掴み取り出す。それを慎重に数えた店主が、鞘と手入れ用の小物を一揃えてトモに渡した。

 

「……どうしても煩いと思ったら、鞘に納めれば大人しくなりますんで」

『……親父、元気出せよ。いつかきっと良いことあるぜ?』

 

 遂には剣にさえ気遣われる程落ち込んだ店主に、トモは囁いた。

 

「装飾剣としては極上ですし、どこかの物好きなら二千は出すでしょう。実剣として出さなければ詐欺じゃありませんよ」

「!、そうか、売れなくなった訳じゃ無ぇ! まだ元手は取れる、ありがとうよ!」

 

 元気を取り戻した店主に別れを告げ、店から逃げるように出て行く一行。

 大通りに辿り着いた瞬間、ルイズは大きな溜め息を吐いた。

 

「……やり過ぎよ。あの店主、泣きそうだったわよ」

「……あれは流石に可哀想だったわ」

「……哀れ」

 

 女性陣からの抗議に、トモはたじろぎもせずに反論する。

 

「あのまま剣を売りに出し続けていたら、いつか本当に命を落としかねません。忠告する機会としては妥当だと思いますよ」

『まあ、あの親父にはいい薬だったんじゃねえか? ……やり過ぎだとは思うけどよ』

「ふむ、君もそう思いますか、デル公君?」

『デルフリンガーだ、そう呼びな。……で、旦那は何者だ? 体格に力と技量が合ってねえ、『使い手』でも無いくせにこんな奴は初めてだぜ』

「自己紹介は後ほど。さてご主人様、買い物の続きと参りましょうか?」

 

 喋る剣改めデルフリンガーを鞘に納め、ルイズ達を促す。

 妙に疲れた顔の彼女達が一転、明るい色に染まった。

 古今東西、若い女性の買い物好きは変わらないらしい。

 鞘に納められておとなしくなったデルフリンガーを背負い、トモはきゃぴきゃぴとはしゃぐ彼女達の後ろを着いていった。

 

 

 

 

 

 

※ヤナギダ・トモ(柳田智)

 

HP:11/11 MP:9/10(※1) SP:10/10 ※数値は現在値/最大値

 

EXP:2 所持金:110円

 

 

取得アイテム

 

・デルフリンガー:錆の浮いた古びた大刀。レンジ密着〜近距離、物理ダメージに1d6+5、クリティカル値にー2。神器ではないので判定にファンブルすると破損する。重量:2

 




(※1)シナリオ内にて時間経過した事による自然回復後の値である。

※HP、MP、SPの自然回復
・HP:ゲーム内時間で6時間の休憩を取るごとに1点回復する。
・MP:ゲーム内時間で1時間の休憩を取るごとに1点回復する。
・SP:ゲーム内時間で一日の休憩を取るごとに1点回復する。
ここで言う休憩とは一切判定を行わない未行動状態を指し、一回の休憩で回復出来るのはいずれか一種のみである。
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