フォーゼの言うことを聞きなさい!   作:1202155@

12 / 16
久しぶりの投稿です!
お楽しみ下さい。


旅人と進歩と降ってきた堕天使

 弦太朗がマッシグラーを走らせて向かった先は、宇宙京都大学の研究室。研究室の前にマッシグラーを停車させると、弦太朗は研究室のドアを開ける。

 

「よう。賢吾。待たせたな」

「いや。時間通りだ。問題ない。俺の方こそ、朝早く呼び出してすまないな。空ちゃんが心配してただろ?」

「まぁな。けど、俺にも予定がある。そこら辺はわかって貰わねぇと」

「納得してくれるといいがな……」

 

 苦笑いを浮かべながらそう言った。なぜなら、文句を言いながら、弦太朗を心配そうに見つめる空の姿が容易に思い出されたからだ。

 彼はメンテナンスボックスから、一つのスイッチを取り出した。扉のようなスイッチカバーに、足のようなボタンがついたスイッチ。それは、以前のタランドスとの戦いで弦太朗の星の運命で生み出した、スイッチだ。

 使用後、ハルによって意識を失った弦太朗からフォーゼドライバーごと回収されたのだ。幸い、フォーゼドライバーは何ら問題が無かった為、次の日には弦太朗の手に戻されたが、この新しく生み出されたスイッチは、別だった。その理由は、どんな危険があるかわからない。絶対に安心といえる運用方法を

どんなに時間がかかっても解析しなければ、ならないと考えたからだ。

 

「一応、そのスイッチはフォーゼのスイッチとシステム自体は同じだ。ただし、ある一点だけ、フォーゼのシステムとは全く違う部分がある」

「確かに、使ったときになんつーか、悪寒みたいなのはしたけど、すぐに消えたな……」

「さすが感覚で生きている人間だな。これは、ゾディアーツスイッチの肉体の超進化とフォーゼシステムの扱いやすさという、二つの利点を掛け持って生まれたスイッチで……お前しか使えない、本当の意味で、弦太朗専用のスイッチだ」

「肉体の超進化……賢吾、それってどういう意味だ?」

 

 その問いに賢吾は短く頷き、弦太朗にわかるように簡単に説明する。

 

「ゾディアーツスイッチを多用や乱用した場合、多くのスイッチャーのように精神的に病んだり、理事長や立神のように肉体を失うことはわかるな?」

「あぁ。何度も見てきたからな……ってぇ!?俺もああなっちまうのか!?」

 

 慌てた様子で自分を指差す弦太朗。あたふたとする様子を見て、賢吾が苦笑いを浮かべて、おちつけ、と言うと、安心しろ、と優しい笑みを浮かべて言葉を紡いだ。

 

「フォーゼドライバーにはある程度、ゾディアーツスイッチの毒素を取り除くようになってる」

「なんだ……それなら早く言えよ」

「君が答を急ぐからだ。もっと落ち着け。話を続けるぞ?だが、そのフィルターでも完全に毒素を取り除けない。腐ってもゾディアーツスイッチというわけだ」

 

 険しい表情を浮かべ、そう語る賢吾。弦太朗は頭を掻きながら、なんだ、ちょっとならいいや、と先程とは打って変わって、能天気な表情を浮かべている。

 すると、突然、研究室の扉が開いた。

 

「ほんの少しか……それでも、危ういな……どうにもならないのか?賢吾」

 

 爽やかながら強い声色と鋭い眼光を飛ばしながら現れたのは、流星だった。弦太朗は驚きながらも、嬉しそうに笑みを浮かべ歓迎する。賢吾も表情こそ変わらないが、嬉しそうにしていた。

 

「よぉ、流星!おはようさん!」

「弦太朗おはよう。賢吾も」

「ついでか、俺は!……まぁいい、朔田が居てくれた方が助かる。このバカを相手に噛み砕いて説明するのも大変なんだ」

「ははは。そう言いながら嬉しそうにしてるじゃないか。賢吾。ま、いい。話は粗方、昨日ハルから聞いてる。弦太朗の体が心配なんだな?そのスイッチを使うとで」

「ああ。そこでだ。フォーゼ用のランフォン自体を改修して対応することを考えたんだ」

 

 そう言って、白いランフォンをテーブルに置いた賢吾。それを弦太朗が手に取ると、起動画面に移行した。最初にライダー部のクレストが浮かび上がる。その後に画面にライダー部の集合写真が写り、その上に様々なアイコンが表示されている。弦太朗はそれをみて、おお、と叫び声を上げる。

 

「すげぇっ!みんなの写真が写ってる!綺麗だなぁ〜」

「……そうか、お前がスマートフォンを使うのは初めてか……使い方は追々、覚えて貰うとして……大まかな変更点だけいうぞ?」

「おう!」

「まず、フィルターの効果とフォーゼドライバー及び君への肉体の負担を考え、変身時間は3分間。それを超えると、強制的にベースステイツに戻るよう設定した」

「へー。カップラーメンと同じ時間か」

「ウルトラマンとも同じ活動時間だな」

 

 弦太朗と流星が惚けたことを言うと、賢吾は呆れて「あぁ、そうだ」と語気を荒げて言った。

 

「同時に、エレキ以外はファイヤーにも対応するように調整しておいた。ただし、試運転をするまでファイヤーの方はやるなよ」

「おう!もう、無茶はやらかさねぇよ!」

 

 しっかりと返事をすると、弦太朗はランフォンをスマートフォンモードにして、ポケットに入れた。

 

「んじゃ、ちょっと早いけど、そろそろ行くけど、賢吾は?」

「あぁ。俺は今日は休講だ。だから、もう少しこのシステムについて解析を進めてゆく」

「わかった。流星は?」

「そうだなぁ……。暫くしたら、今日は戻る。報告書を書かないといけないしな」

 

 流星は報告書に辟易したような態度でそう言うと、肩をすくめた。

 

「そっか。どこもレポート見たいなの纏めんのは大変なんだな。んじゃ、行ってくる!」

 

 そう言うと弦太朗は走って研究室を出ていった。

 

 

「ふう……」

 

 弦太朗が去ってから暫くして、賢吾は息を付いた。それを見た流星がいつの間に準備していたのか、コーヒーをカップに入れて渡してきた。賢吾はそれを、少し驚いた様子で受け取ると、口に含んだ。そして、飲み込んだ後で彼は、少し驚いた様子で言った。賢吾がワケを訪ねると、流星は苦笑しながら言った。

 

「……上手いな。得意なのか?」

「元々はそんなんでもなかったさ。ただ、仕事柄、夜通しの任務が多いのと、上司がコーヒーオタクと言ってもいいほど、凝り性だからな。インスタントでも美味しく入れられる」

 

 賢吾は返事をするように、コーヒーを飲む。すると、流星がふと、何かを思い出したのか、そうだ、と一枚の写真を取り出した。

 

「こいつを知っているか?」

 

 写っていたのは、ケーブルに繋がれた少女。賢吾は一目見て検討が付いたのか、あぁ、と頷いた。

 

「確か三原一郎博士が開発した、人型汎用コンピューターだったな」

「あぁ。そうだ。よく知ってるな」

「三原博士とは、色々と親しくさせて貰ってるからな。フォーゼシステムやコズミックエナジーについても、父さんと江本博士を除けば、着目してたのは彼だけだろうし」

「そうか。ところで、彼はどんな研究をしているんだ?」

「ん?そうか、知らないか。待ってろ」

 

 賢吾立ち上がると、研究書棚から一冊の本を取り出し、それを流星へ見せた。

 

「三原博士はコズミックエナジーが人の想いに反応するという点に着目して、人間のパートナー機器の研究開発をしている。俺の研究と根本的な物は同じでも、向いてる方向は違う」

「なるほど……実はな、数日前からこの博士が行方不明になってるんだ」

 

 賢吾はその事実に驚き、その経緯を説明するよう流星に促す。流星は、あぁ、と頷いた後で、手帳を広げてそれについて説明しはじめた……。

 

 

 

 

 

 

断章

「堕天使と旅人と欲望のメダル」

 

 見渡す限り、砂ばかりの大地。季節柄、生暖かい暑さであるものの、まだ朝のおかげなのと、砂自体が白いのも手伝って、そこまで辛くない。ぁあ、この鳥取砂丘〜と言う歌詞があったなー、と思い出しながら、砂漠を歩くのは、火野映司という青年。彼は木の棒にパンツをくくりつけ、各地を転々としながら、古代の遺跡や珍しい発掘物などを研究している。そんな彼がこの砂漠に訪れたのも、他ではない研究のためというのは為前で、実は雇い主からの依頼でもあったからだ。

 

数日前、彼がタンザニアで旅をしていた際、日本の鳥取砂丘に隕石が落ちた、とニュースで報道されていた。大規模な隕石落下は3年前に起きたこともあり、気になった彼は、滞在を切り上げ、急遽、日本へ戻ることを決めたのだ。すると、それを見計らったかのように、彼のタブレットに連絡が入った。

 

「久しぶりだね!火野くん!君の送ってくる研究内容は活用させて貰ってるよ!」

「あはは。それなら良かったです。で、鴻上さん今度はどこに行くんですか?」

「ほーう。君は気づいているんじゃあないかな?今、日本に落ちたあるもの、と言えば」

「……隕石ですね?」

 

 映司がそう聞くと鴻上は満足げに笑って、そうだよ!と大声で言った。

 

「あの隕石の欠片を一つ拾ってくるだけでいい。恐らく、宇宙線やらなんやらで覆われているだろうからね」

「なるほど……それで俺に頼んだわけですか」

 

 納得したと同時にふと、疑問に思った。宇宙と言えば、もっと適任者がいるはずだ、と。しかしそれは口にしない。彼には彼の生活があると、わかっていたこらだ。

 

「では、頼んだよ」

 

そう言うと鴻上は通話を切った。

 

 

閑話休題

 

 映司が暫く歩くと、そこには一面をKeep outの囲いで覆われた隕石の姿があった。その囲いの中ではどこかの研究所の職員が防護服を着て、いそいそとその隕石のデーターを収集していた。映司は囲いの外に設けられた簡易テントの中に入ってゆく。すると、若い女性研究員が入って来たことに気づき、挨拶をしてきた。

 

「あぁ。火野さんですね?鴻上社長から話は聞いてます。さぁ、どうぞ」

 

 テント内は思った以上に広く、奥のスペースに設けられた会議室のような場所に案内される。映司は促されるまま、そこに入ると椅子に座る。対面に女性研究員が座ると彼女は自己紹介をしてきた。

 

「私は宇宙京都大学・千葉キャンパスで助教授してます風鳥幸乃と申します。よろしく」

「火野映司です。よろしくお願いします」

「早速ですけど、この隕石について説明します」

 

 そう言うと風鳥はモニターに隕石の詳細なデーターを映した。映司はそれを見ても全くわからないので、何も言わず、風鳥の説明を聞く。

 

「これは、世にも珍しいS.O.L.Uが多く生存している隕石何です」

「S.O.L.U?」

 

 映司が意味が分からず首を傾げると、風鳥は嫌がる素振りもなく、むしろ、自然に説明をする。さすが教授と言ったところか。

 

「Seeds Of Life from the Universe……宇宙から来た生命の種ですね。液体金属と同じ細胞組織を持った、変幻自在な生命体です。鴻上さんから聞いた話だと、以前、それに出会ったとのことですが……?」

 

 『以前』

 その言葉に映司は記憶を探ってみる。すると、直接的ではないが、出会ったことがあることを思い出した。

 

「……弦太朗君の彼女さんかな?」

 

 以前共闘した後、彼からその話しを聞いていた。その際、左翔太郎が先輩ぽく振る舞い、それをフィリップが突っ込み、半熟さが見てとれたり、弦太朗が彼女との別れを受け入れて、成長した姿を思い出し、ふふ、と笑った。

 それを見た風鳥が不思議そうに首を傾げたあと、何故か納得したような表情を浮かべ、説明を続ける。

 

「ただ、良い物ばかりでは無いんです。この隕石」

「?どういうことですか?」

「ええ。何かを待っているかのように、隕石内部で胎動してるんですよ」

 

 モニターを切り替えると、隕石の温度を計測するためのサーモグラフィー画面に切り替わる。そこには、中心になるにつれて、温度の高くなる隕石が映されていた。 

 それをみた映司は、渡された資料を手に取り、ペラペラと捲る。その中に目当ての一文を見つけると、ソレを読んだ。

 

「『S.O.L.Uは人間の心理によって大きく変化する』……ねぇ、風鳥さん。もし、S.O.L.Uが人の悪意とか欲望を取り込んだら、どうなりますか?」

 

 映司は真剣な眼差しで、風鳥を見つめる。風鳥は呆気にとられたような表情を浮かべたが、すぐにそうですね、と呟いて、明確な答えを出した。

 

「確実に人類を脅かす脅威になります。……ゾディアーツと同じで」

「……?そうですか」

 

 最後の方が聞こえなかったが、映司は悲しげに頷いた。

 風鳥は暫くモニターを見ていたが、やがてそれをやめると、書棚から一冊のファイルと薬品棚から銀色の液体が入った小瓶を取り出すと、それを映司に渡した。

 

「これがSOLUのサンプルと各種データーです。一通り目を通したら、そこの防護服を着て、外に着て下さい」

「わかりました。ありがとうございます」

 

 そう言って、ものを受け取ろうとしたその時、テントの外で爆発が起こった。いったい何事かと、思い、二人は外へ飛び出した。そこにひろがっていたのは、無数のダスタードとその下で地面に倒れる研究員達。その上から黒い羽根が舞い落ちる。そして、隕石の上には片膝を付くように座る一人の少年がいた。その少年は映司達が外に来たのを見ると、ゆっくりと立ち上がった。

 

「あそこで消滅しかけたが……なんとか戻って来れた……。まずは、ここの人間のマイナスエネルギーを吸って完全体に戻るとしようかな」

 

 少年の腰にはメテオドライバーとフォーゼドライバーを足して二で割ったようなドライバーが巻かれていた。そして、それにスイッチを装填すると、それをオンにした。その瞬間、コズミックエナジーが吹き出し、少年は姿を変えた。赤と黒の堕天使を思わせる仮面ライダーに。

 

「奴らを襲え!絶望に叩き込め!ダスタード!」

 

 その言葉に反応し、再び動き出すダスタード。映司は風鳥を庇うように立つ。そして、懐からオーズドライバーを取り出した。それを腰に装着すると、小銭入れの中から三枚のメダルを取り出した。それを、見た風鳥は慌てて映司に抗議する。

 

「火野さん!地獄の沙汰も金次第とはいいますけど、今お金を用意しなくても……!?」

「大丈夫ですよ。見てて下さい。なんとかなりますって。コレさえあれば」

 

 赤、黄、緑のメダルを風鳥に見せると、それをドライバーに装填。傾けると、スキャンして叫んだ。

 

「変身ッ!」

《タカッ!トラッ!バッタ!》

《タトバ!タトバ!タットッバ!》

 

 身体の周りを無数のメダルのエフェクトが包み込み、やがて三枚のメダルが一つになり、胸に一つのサークルを形成する。黒いスーツに、頭部が赤、胴体が黄、下半身が緑のアーマー。この姿こそ、800年前の王が生み出した欲望の王。無限大を超えた存在。鷹と虎と飛蝗の異なる動物を使ったコンボ。仮面ライダーオーズ・タトバコンボだ。

 

「はぁッ!」

 

 雄々しい虎が獲物に飛びかかるような構えを取ると、オーズは並み居るダスタードを展開した両腕のトラクローで引き裂いてゆく。その一撃でコズミックエナジーとなって、雲散霧消してゆくダスタード。それに構うことなく、次々と掻き倒してゆく。しかし、流石に数が数。いつまでも爪を振るうだけで倒せるほど、楽ではない。ダスタードもトラクローに注意を払い、手裏剣を遠距離から投げてくる。それを受けて、よろめくオーズだったが、すぐに体勢を立て直し、バッタレッグにドライバーからエネルギーを介して、空中に飛び上がる。

 

「遠距離相手には!」

 

 メダルを入れ替えると、オーズはその姿を変えた。

 

《クワガタ!ウナギ!コンドル!》

 

 負担の少ない亜種形態の一つ、ガタウドルに変身すると両腕のボルタームウィップを展開。ダスタードめがけ、それを振り回し、倒してゆく。同時にクワガタヘッドから電撃を放ち、足止め、コンドルレッグで蹴りを放つ。電撃とコンドルレッグから放たれる真空波とウナギウィップで仕留めてゆく。遠中近の多彩な攻撃に翻弄され、撃破されてゆくダスタード。痺れを切らした仮面ライダーが翼をはためかせ、オーズめがけて襲いかかる。

 

「っち!役立たずが!」

 

 吐き捨てるようにそう言うと、オーズに殴りかかる仮面ライダー。オーズは殴り飛ばされ、地面を転がる。仮面ライダーはどこからかスタンロッドを抜き払うと、オーズに殴りかかる。オーズはそれをウナギウィップで打ち払い、避けようとするが、直後に撃たれた火炎弾で吹っ飛んでしまう。

 

「ははは!同じ仮面ライダーなのに弱いねぇ!」

 

 倒れたオーズに向かって撃ち続けられる火炎弾。狙いはしっかりしていないため、当たらないものの、牽制には十分。体勢を崩したままのオーズに、火炎弾を、うちながら近寄る仮面ライダー。距離が近ければ当たってしまう物で、オーズは何発もそれを食らってしまい、遂に膝を突いてしまう。

 

「どうにか……しないと!」

 

 焦りながらも、オーズは打開策を思案する。ここでヘマをすれば、SOULはマイナスエネルギーを吸ってより強力になって、人間の敵となる。

 

(そんなことはさせない……絶対に!)

 

 火炎弾のダメージが残る体に鞭打って、無理矢理立つと、オーズは次に来る攻撃を避けるため、腰だめに構える。

 

 

(今の攻撃を除けたら、メダルを変える!)

 

 

 オーズの思考とは裏腹に、仮面ライダーは何を勘違いしたのか、諦めたと思い、銃にエネルギーをチャージする。

 

「はははは!フォーゼの方がまだ手応えがあったよ!死ね!」

「今だ!」

 

 オーズはその隙をついて、メダルをチェンジする。

 

《シャチ!ゴリラ!コンドル!》

 

 その変身音の後でオーズの姿が変化し、シャゴリドルへ変わる。だが、直後に素っ頓狂な声を上げる。

 

「あれ!?コンボじゃない!まぁ、いいか!」

 

 オーズはメダルのエフェクトが最大火力の火炎弾を防ぎ、生まれた隙をついて、ゴリラアームからゴリバゴーンを打ち出し、相手を怯ませる。

 

「どうして、人の負の感情なんかを糧にしてるんだ!人は……人間はもっと素晴らしいものがあるのに!」

「知る価値はないよ!僕は……あの女と違って、人間というちっぽけな存在のマイナスエネルギーというものに興味があるからねぇっ!」

 

 ゴリラアームとロッドがぶつかり合い、火花を散らす。火炎弾ごと銃を殴りつけ、破壊する。空いた胴体に前蹴りを喰らい、踏鞴を踏む。ロッドの一撃を受け止め、コンドルレッグによる回し蹴りを数度叩き込む。オーズの悲痛な叫びと仮面ライダーの悪意がぶつかり合った。数十秒の交錯のうち、オーズはシャチヘッドから水を撃ち出し、無理矢理吹っ飛ばすと、メダルを二枚、取り出した。

 

「砂の海でも、こいつなら!」

 

 メダルを手慣れた手つきで、ドライバーへ装填。体勢を立て直した仮面ライダーがこちらへ向かってくるのを確認すると、距離を詰めながら、メダルをスキャンする。

 

《シャチ!ウナギ!タコ!》

《シャッシャッシャウタ〜!シャッシャッシャウタ〜》

 

 変身音と共にオーズの姿が変化する。水を司るシャチ、ウナギ、タコの水棲生物のコンボ。シャウタコンボに変身した。同時に、向かってきた仮面ライダーの攻撃を身体を液状化させ回避する。

 

「なに!?」

 

 あまりの攻撃回避方法に驚くと同時に、体勢を崩してしまう仮面ライダー。そこへすかさず、シャチヘッドから水を撃ち出し、目くらまし。再度、液状化したたま、今度は砂の中へ潜る。

 シャウタは海や水辺での活動に優れたコンボだ。故に水を放ったり、液状化して、攻撃を回避するなんてことは、朝飯前だ。だが、液状化という能力はなにも攻撃を回避するだけにとどまらない。都会のコンクリートばかりの場所では、その能力を十全に生かせない。しかし、この砂漠……砂の海と形容される場所ではどうか?一見すると、水場がなくて不利なように思える。

 液体というものは、蒸発しない限りは多くの物質に浸透していく。コンクリートは浸透率が低い故に水が浸透するのには時間がかかる。しかし、砂の場合、その浸透率は凄まじく高い。つまり、どういうことか?

 

「な!?いない!?」

「ここだよ!おりゃりゃりゃりゃりゃ!」

「ガハッ!」

 

 海よりは劣るが、液状化して砂の中を自由自在に泳ぐことが出来るということだ。

 

 砂の中から飛び出たオーズはタコレッグを展開。そのまま、八本の脚を巧みに使い、連続蹴りを浴びせてゆく。そして、ダメージを与えると、何事も無かったかのように二本の足へ戻し、軽やかにダイビングするかのように、再び砂の海へ潜る。

 予想以上のダメージにフラフラの仮面ライダー。その表情は仮面に隠れてわからないが、怒気を含んだ声を上げた。

 

「このぉおおお…… ナメやがッてぇえええ!」

 

 

 怒りと共に荒れ狂う風。穏やかな人を癒すものだった風は彼の怒声と共に人を傷つける凶器へと変貌する。それらは手当たり次第にオーズが泳ぐ砂の海をえぐってゆく。

 

(このままじゃまずい!)

 

 そう思ったオーズは砂の中から飛び出すと、必殺の一撃を決めるために、メダルを再度、スキャンする。

 

《スキャニングチャージ!》

 

 その音声と共にオーズはウナギウィップを展開。そのまま、仮面ライダーを拘束すると、タコレッグを展開し、束ね、ドリルのように高速回転させる必殺技、

 

「セイヤァアアアアアーッ!」

 

ーオクトバニッシュー

 

 それを受け、苦しげな声を上げる仮面ライダー。すると、逆冥土の土産というのか、オーズに向かって何かを呟いた。それにオーズが驚いたような声を上げると、仮面ライダーは爆散した。

 

 

 

 

 

 

 映司は貰ったSOULの標本と資料をバックに入れると、パンツを吊した木の棒を持って、立ち上がった。

 

「火野さん、もう行かれるんですか?」

 

 風鳥がそう訪ねると、映司は迷うことなく頷いた。

 

「うん。急いで戻らないと行けない理由が出来ましたし」

 

 映司は地平線を見つめる。その目は決意に満ちあふれていた。

 

 

 

 彼は世界を脅かす事件に踏み込もうとしていた。既に踏み込んでいる彼を救うために……

 

 

 

「それじゃ、また」

「はい。また会いましょう!」

 

 風鳥と握手を交わすと映司は歩き出した。その手には割れたメダルが握られている。そのメダルに映司は語りかける。

 

「アンク……俺は自分のしたいことをやりに夢見町に戻るよ」

「勝手にしろ……。お前がやりたいならな」

 

 

 浮かび上がったかつての相棒の幻影はそう言うと、満足げに笑った。映司もそれを見て、満足げに笑うと、夢見町を目指す。

 

 




【人物紹介】
風鳥幸乃
 宇宙京大・千葉キャンパスで宇宙物理学と宇宙生物学を教えている助教授。童顔の30代。ロリババア。純真無垢な性格。
 コズミックエナジーに興味を持っており、その研究の一環としてレプリカのゾディアーツスイッチを持っている。オフューカスやSOULの存在が気掛かり。

火野映司
 前作『仮面ライダーオーズ』の主人公。26歳。現在は世界を旅しながら、鴻上コーポレーションの客員研究員として、世界の様々な遺跡や科学技術などを見て回っている。
 今回は日本に落ちた隕石の謎を調べに鳥取砂丘に来ていた。
 性格は良い意味でも悪い意味でもお人好し。だが、長年世界を旅していたこともあり、そのお人好しの意味が弦太朗とは違った意味合いがある。
 本作では、歪んだSOULを倒したことがきっかけでかつて1年ほど滞在していた夢見町に戻ることになる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。