フォーゼの言うことを聞きなさい!   作:1202155@

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今回は前編後編の二本立てとなってます。お楽しみあれ!


如月弦太朗、父親になってやるぜ!
父・親・宣・言 前編!


ライダー部と小鳥遊家一同が揃って宴会をしてから、一日後。ついにその日がやってきた。

   その日とは、祐理と慎吾が外国へ旅立つ日だ。

   本来であれば、宴会をした次の日にでも出るはずであったのだが、先方の都合と、二人とも二日酔いになってしまったというのが、運良く重なり、一日ずれての出立となった。

 

「それじゃ言ってくるわ。三人とも弦太朗の言うことしっかり聞くのよ?」

「「「はぁーい!」」」

 

   空、美愛、ひなが元気良く返事をする。

 

「弦太朗くん。それじゃあ、娘達を頼む」

「うっす!慎吾さんも、姉ちゃんと楽しんで来て下さい!」

 

   慎吾が感謝を込めた言葉を述べると、弦太朗は嬉しそうに笑顔を浮かべた。

   やがて二人は車に乗り込んだ。そして、去って行った。排気ガスの匂いを残して。

 

「行っちゃったね……」

「うん。行っちゃった」

 

   美愛と空が名残惜しそうに、だが、楽しんで欲しいと言わんばかりに、そう呟いた。

   弦太朗はひなを抱き抱えながら、曲がり角に消える車を眺めていた。やがて、さて、と呟くと空と美愛に家の中に入るように促した。

 

「さてと、お兄ちゃん!」

 

   家の中に入ってすぐに、三姉妹が弦太朗の前に仁王立ちして出迎えた。

 

「これから一週間、一緒に生活をしていって貰うんだから、」

「住み分けというか、なんというか、そう言うの必要ですよね!」

「よね!」

 

   そう言ってビシッと指を指す三人。弦太朗は若干気圧されながらも、話を聞いた。

 

「じゃあ、私たちに」

「着いてきて下さい!」

「さい!」

 

   三人に着いて行くと、案内されたのは広めの脱衣所。そこには洗濯機が設置されており、その前には赤と青、二つのカゴが置かれていた。脱衣した衣類を入れておくためのカゴだ。

 

「お兄ちゃんの洗濯ものは、この赤と青、二つのカゴに分けて入れてもらいます!」

「赤いカゴは、ズボンとシャツを。青いカゴには下着を入れて下さいね!」

「ね!」

「つぎー!」

 

   そう言って続いて案内されたのは、一階の廊下にあるトイレ。小鳥遊家は一階と二階にそれぞれ一つずつトイレがある。これは、思春期の女の子のことを考えた結果の作りで、一階は男子、二階は女子となっている。当然、弦太朗もこのことは祐理から、説明されていた為、三人が説明するまえに問いかけた。

 

「なぁ、俺は一階のトイレ使えばいいんだよな?んでー……」

「そう!二階には基本的に立ち入り禁止!」

「なんでだ?」

 

   弦太朗がそう訊ねると、はぁ〜、と空が溜息を付き、美愛が苦笑いを浮かべた。ちなみにひなは、空の真似をして、溜息をついた。

 

「お兄ちゃんはバカなの?」

「おじさん、デリカシーと配慮に欠けますよ?」

「バカなの?」

「……すんません」

 

   そう言われて、弦太朗は目を瞬かせた。その後ですぐに小さな声で謝った。

 

「まぁ、おじさんのデリカシーと配慮の無さは今に始まったことではないですけど……次!」

 

   そう言って案内されたのは、畳8畳程のテレビのある和室だった。畳まれた布団とその隣には卓袱台が置かれていた。

 

「お兄ちゃんの部屋はここ!」

「おじさんは一階と、この部屋なら、基本的に自由に出入り可能です!」

「でしゅ!」

「うし。わかった!」

 

   快活に返事をする弦太朗。二人は満足そうに頷いた。

 

「以上で、住み分けは終了です!……それじゃあ」

 

「おじさん!」

 

   猫撫で声を出す二人。弦太朗は若干嫌な予感がしたが、その先を聞くために訊ねた。

 

「な、なんだ?」

「勉強、教えて下さい!」

「ゲームやろ?ゲーム!」

「ちょっ、掃除が先よー!」

 

   三人が別々のお願いをして来た。弦太朗は笑いながらも、うーし!全部手伝ってやるぜ!と叫び、ペキペキと腕を鳴らして、リビングに向かって行った。

 

この時誰が予想できたろうか?

三姉妹に降りかか不幸を・・・・・・

弦太朗が乗り越える困難を・・・・・・

その歯車は、十日後に狂い始める。

 

 

 

断章【恋人たちの再開】

日本   成田空港

   一人の少年が到着ロビーから出てきた。端正に整った顔だちは、少し日に焼けており、勇ましさも感じられた。少年は鞄を肩に担いで、出口を目指していた。

   少年の名前は朔田流星。インターポールの捜査官見習いとして働く、元仮面ライダー部の部員である。彼が日本に戻ってきたのは、色々と理由があるのだが、それは後程説明するとしよう。

 

「ん……あれは……」

 

   旅行用のトランクに人工衛星のマスコットキャラクターを引っさげた、黒髪を後ろで束ねた少女が不安げな面持ちで辺りを見渡していた。恐らく、道に迷っているのだろう。

 

(相変わらずみたいだな)

 

   流星はそう思うと、その少女の元に向かって行った。

 

「ユウキくん!久しぶり」

 

   声をかけると、ユウキと呼ばれた少女はビックリした表情で振り向いた。

 

「流星くん!?どうしたの!?」

「あぁ。任務のついでに里帰りだよ。ユウキくんは大学の休みかい?」

 

   城島ユウキは天ノ川学園高校の卒業生で、仮面ライダー部のOBだ。現在は小さい頃からの夢である宇宙飛行士になるために、アメリカの大学に通っている。

 

「そうなんだよー。向こうでのカリキュラムが予想よりも早く終わったんだ。本当は向こうでレポートとか纏めないといけないんだけど、ラボの教授が『8月終わりに出してくれればいいから、里帰りしなさい』って言ってくれたから、帰ってきたの」

「そうなんだ」

 

   アメリカに行って、化粧を覚えたのだろうか。高校を卒業した時に会った時と違い、幼さは無く、どこと無く色っぽかった。

 

(賢吾が見たら、卒倒するだろうな)

 

   友人の慌てふためく様を想像し、ふふっ、と笑う流星。それを見たユウキが、なによー、と言って、唇を尖らせる。

 

「高校の頃と何も変わってないって思ってるでしょ!」

「ははは。いや、変わったと思うよ。多分、賢吾は喜ぶんじゃないかな」

「?どうして賢吾くんが喜ぶの?」

 

   そう聞かれ、流星は肩を竦めるだけだった。恐らく、何も自覚していないのだろう。ユウキがめちゃくちゃ美人さんになっていることに。

 

「ユウキくん、悪いけど俺の口からは言えないよ。賢吾に言ってもらうといいよ」

「えー!なになにー?気になるなー!」

 

   流星の思わせぶりな台詞にユウキがぷくーっと膨らませる。流星はその仕草を見て、懐かしく思いながらも、話題を逸らした。

 

「ははは。そんなことよりも、空港の出口を探してるんだろ?賢吾と何番ゲートで待ち合わせしてるんだい?」

 

そう訊ねるとユウキは気恥ずかしそうにしながら言った。

 

「いやぁ、五番ゲートだって言ってたんだけど・・・・・・どこかわからなくて。てへへ」

 

そう言って、ぺろりと舌を出すユウキ。流星は笑いながら、指をその方向へ向け、提案する。

 

「俺も友子ちゃんとそこで待ち合わせしてるんだ。良かったら一緒に行かないかい?」

「え~っ?それは友子ちゃんに悪いよ~!でもな~・・・・・・」

 

そう言って断ろうとするユウキだが、迷っているのも事実だった。流星は、大丈夫だよ、と言うとニコっと微笑んだ。普通の女子ならイチコロだろう。

 

「友子ちゃんもユウキくんに会うの楽しみにしているだろうし、それに、早く合わせてあげたいしね」

 

迷いなくそう言う流星に、ユウキは少しだけ、自分の彼氏も見習って欲しいな、と考えながら、流星の後についていくのだった。。

 

 

 

赤いスポーツカーが空港の五番ゲート前で待っていた。そこには3人の男女が乗っていた。

その内の一人である賢吾が先日起きたフェリスゾディアーツとの戦いでスイッチの統制不良により、大量のコズミックエナジーを浴びた弦太朗の検査結果を見ながら待っていた。その目は時折、ゲート入口を見つめいるが、大半は検査結果に注がれていた。

 

(検査結果によれば、弦太朗の体に以上は見当たらない・・・・・・か。何もないのなら、それに越したことはないが・・・・・・)

 

コズミックエナジーは宇宙放射線のうちの一つだ。故に、大量に浴びれば放射能と同じで汚染されしまう。フォーゼドライバーやゾディアーツスイッチも適度なコズミックエナジーを取り入れられるように

フィルタリング機能が施されている。とは言っても、ゾディアーツスイッチは『人間を宇宙空間に適用させるように進化させる』といった趣旨も込めて製造されているため、徐々にその機能が失われていくのだが・・・・・・

閑話休題

賢吾はもう片方の資料に目を通した。それは、徹夜で考え出された、フォーゼの様々な強化プラン及び、ランフォンの複製に関する記述だった。

 

(フォーゼ自体にランフォンを使うのは問題ないが、それではステイツチェンジしたほうが、全体的な能力はアップする。だが、新しいステイツに変化するスイッチなんて、今の研究設備では作る余裕も資金源もない・・・・・・)

「・・・・・・さん?賢吾さん!」

 

思案していると、声をかけられた。同乗していた友子が心配そうな表情で賢吾を見ていた。

彼女は心配そうな声色で訊ねてきた。

 

「大丈夫ですか?具合でも・・・・・・」

「いや。考え過ぎただけさ。体調が悪いと言う訳じゃない」

 

そう言って賢吾は資料を隠すようにカバンの中にしまった。

同時に、友子に隠し事は無用だと思い、正直なことを話した。

 

「コズミックがない今、忘却星座とギリギリ戦えるかもわからないんだ。正直いえば、蘭花もダスタードならともかく、忘却星座相手にまともに戦えないだろうな・・・・・・」

「強化プランは、賢吾さんとハルが一週間以内に考えるって言ってましたね。その様子だと・・・・・・」

 

語尾が恐る恐ると言うふうになる友子。賢吾はキッパリと、無理だ、と言い切った。

 

「そこまでのスイッチをモジュールを造るまでの資金がない。設備だってな。どうしたものか・・・・・・」

 

賢吾の言葉に何も返せずにいると、トイレから帰ってきたジェイクが二人の肩に腕を回しながら、軽口を言ってきた。

 

「なぁに、お葬式みたいな表情してんスか!お二人とも

これから大好きな人と久しぶりに会うんスから、スマイル、スマイル!」

 

ジェイクの言葉に二人は吹き出してしまった。

 

「まだ、無理とか言うには早いッスよ?美羽先輩や大文字先輩が親類縁者にいらなくなった東京近郊の別荘探して貰ってるんッスから」

「そうだな・・・・・・考え過ぎていたようだ。それに」

 

そう言いかけて五番ゲートを眺める。ちょうど出てきたのか、流星とユウキが一緒に現れ、あたりを見回していた。

 

「今日だけはあの子を心配させるのは、やめた方がいいしな」

 

賢吾は車を降りた。そして、ユウキに勢い良く手を振った。それに気づいたユウキが走ってきた。そして、勢い良く賢吾に抱きついてきた。

 

「ただいま!賢吾くん!」

「あぁ。おかえり。ユウキ」

 

しっかりと愛しの彼女をその腕に抱きしめながら、賢吾はどこぞの神様に祈った。

-神様、この幸せがずっと続きますように・・・・・・と。

 

 

 

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