フォーゼの言うことを聞きなさい!   作:1202155@

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流・星・拳・士

仮面ライダーメテオ!お前の運命は、俺が決める!」

「盟主より先に試してやろう……実力を!」

 

そう言い放つと、メテオは腰を深く落とし、手を大きく広げた独得の構えを取る。この構えこそ、彼が最も得意とするジークンドー。流派『星心大輪拳』の構えだ。

 

「弦太朗!お前はトナカイ野郎をなんとかしておけ!俺は、忘却星座の実力を確かめる!」

「おう、メテオ。任せたぞ!」

 

フォーゼは快く返事をする。それに対し、満足げに息を吐くと、構えた状態で走り出す。

フェリスも周囲のコズミックエナジーを吸収し、炭化した部分や破壊された爪を回復させると、メテオを迎撃する。

 

「ホワッチャァアアアッ!」

「ふん!」

 

小手調べと言わんばかりに、メテオからパンチのラッシュが放たれる。フェリスはそれを右腕でガードしつつ、左手の爪を振り下ろした。それをメテオは右腕で掴み、捻り挙げた。直後、身体は慣性の法則に従って、反転する。

 

「!?」

 

思わぬ反撃に驚いていると、落下するよりも早く、腹部めがけて、メテオの左腕から正拳突きを叩き込まれる。フェリスは軽く吹っ飛ぶが、向上した身体能力を生かし、ギリギリのところで反転。四つん這いに、踏ん張り、堪えた。

 

貴様……なぜあの小娘と同じ技を……」

 

フェリスの脳裏にダスタードや自分が蘭花に合気道の技を喰らった記憶が蘇る。今、メテオが放ったのは、技、違いこそすれ、合気道の基本技の回転投げだ。疑問に思うフェリスにメテオは足でトントンとリズムを刻みながら言った、

 

「前にここに居た時は拳の技術でどうにかなった。だが、いつまでも拳一つで戦っていけるほど、世界は狭くない」

 

その言葉の端々には、苦労が滲み出ていた。その苦労した経験が、この戦いのあの一瞬に生かされた。

 

「お前の攻撃はそのスピードと爪による払いか、突きのどちらかだ。だったら、俺が拳を振るうよりも、お前の得意分野を俺の攻撃に変えればいい」

 

本の僅かな交戦で、ここまで見破られたことにフェリスは不敵な笑いを零した。

「……盟主の分析は間違いか……貴様が拳や足による拳足打撃を得意としていると、聞いて……フォーゼよりもやりやすいと思ったが……認識を改めよう……」

 

そう言うとフェリスは腕を前に突き出し、回転させる。

 

「超進化……ハッ!」

 

そう叫ぶと、コズミックエナジーがフェリスの身体に吸収され、フェリスエボリューションに変化する。

 

「貴様もフォーゼと同様、我の宿敵となった。嬉しいぞ。メテオォオオッ!」

 

歓喜に震え、叫ぶフェリス。メテオはその叫びに恐ることなく、豪語する。

 

「あぁ。こうでなくちゃぁ、やりがいがない」

 

そう言うと、メテオは身構える。フェリスエボリューションもその爪を前に突き出す。

次の瞬間、二人は高速の世界へ突入した……。

 

 

「ウォオオリャァアアアッ!」

「ふぅううううんっ!」

 

地上すれすれで、二つの陰がぶつかっては離れ、ぶつかっては離れ、を繰り返す。シザースマニューバと航空用語で言われるそれを行うのは、フォーゼとタランドスゾディアーツだ。

フォーゼの装備するのは、右腕に直線加速と急加減速に優れた、ロケットモジュール。それに加え、打撃に特化したハンマーモジュールだ。

ロケットによる加速を勢いに乗せ、ハンマーモジュールを振るう。通常のゾディアーツであれば、これだけで恐らくリミットブレイク無しでも、倒せるだろう。いや、下手をすれば変身している人間をも殺してしまうかもしれない。だが、タランドスゾディアーツはその攻撃でさえも耐える耐久性があった。しかも、こちらがハンマーを振り下ろすのに合わせて、巨大な角を突いてくる。最初はどうにかダメージを与えられていたが、今は完全にタイミングを合わせられている。

 

「ちくしょー!どうすりゃいいんだ!」

「フォーゼェエエエエッ!人の恋路を邪魔する奴ワァアアアアアッ!」

「やっべっ!ーッ!」

 

タランドスのツノがフォーゼの身体を突き刺そうとする。ギリギリでロケットモジュールを横に向け、急速回避するが、強烈な横Gがかかり、仮面の下で、吐血する。同時に、地味な痛みが、肋骨に走る。恐らく、急激なGがかかったことで、肋骨にヒビが入ったのだろう。だが、等のフォーゼ本人はそんなことは知らない。軽く痛めたんだろうな、程度に認識していた。

 

「こうなりゃ、当たって砕けるしかねぇ!」

《ドリル、オン!》

そう言って、ドリルスイッチを起動させるフォーゼ。左足が光り、黄色いドリルモジュールが再び姿を表す。そして、そのまま、エンターレバーを押し倒す。

 

《ロケット!ドリル!リミットブレイク!》

「ライダーロケットドリルキーック!」

 

ブースターの出力が上がり、推力の増したロケットモジュールで加速し、回転数の上がったドリルモジュールで相手を削り貫く必殺技。ライダーロケットドリルキック。それがタランドスゾディアーツとぶつかる。

 

「グッ!」

「馬に蹴られて……死んでしまえぇええええっ!」

「ーッ!」

 

突進力と貫通力。角とドリル。拮抗する二つの力がぶつかり合い、火花を散らす。だが、その決着は数秒後に着いた。フォーゼが肋骨の痛みで、顔を顰める。すると、ドリルモジュールの位置がズレ、角によって弾かれる。バランスを崩し、頭から地面に落下するフォーゼ。その背中めがけて、タランドスゾディアーツの突進してくる。

 

「グァアアアアアッ!」

 

力の拮抗で、幾分か減速していたとはいたとは、凄まじい衝突音と共に、フォーゼが軽々と吹っ飛んでいった。

 

「だぁああああっ!」

 

コンクリート塀が一瞬で瓦礫となる勢いでぶつかる。崩れ、積み上げられた瓦礫の山の中からフォーゼは首だけを出した。

 

「ふーっ!死ぬかと思ったぜ……」

 

そう言って、瓦礫の中から起き上がろうとすると、肋骨に鋭い痛みが走る。

 

(こいつは……長引かせると不味いな……)

 

そう考えたフォーゼは、NSマグフォンを取り出した。現状のフォーゼの戦力で最も火力・防御力が高いのは、このステイツしかなかったからだ。

 

「割ってー

「そこまでだよ。タランドス。潮時だ」

 

声と共に、風が吹いた。そこに現れたのは忘却星座のリーダーだった。

リーダーはタランドスを杖で制すと、フォーゼの前に立った。

 

「フォーゼ。すまないね。うちのが勝手に暴れてしまって……お詫びと言っては何だが……」

 

そう言って、杖をフォーゼに向けると、円を描くように回す。すると、フォーゼの身体が光る。

 

「?なんだぁ?」

「傷を癒したんだよ。左手肋骨に罅と骨折になっているんだ。その怪我では、まともに動くこともできないだろう?」

「……確かに、さっきまで痛かったの治ってんな……サンキュー。でも、なんでこんなことを……」

 

軽く飛んで、痛みが消えたことを確認し、礼を言うフォーゼ。リーダーはふふ、と笑う。

 

「気まぐれですよフォーゼ……それではまたいつか……」

 

そう言ってタランドスと共に消え去る。残されたフォーゼは、それを追いかけようと手を伸ばすが、その手は空を掴む。

 

「逃がしたか……しゃぁねぇ」

 

残されたフォーゼは、メテオとフェリスの闘いに加勢しに向かった。

 

 

 

 

 

 

打ち出される拳と、突き出される爪。振り抜く脚と、振り下ろされる爪。

それらがぶつかり合い、衝突音を奏でる。

直後に一つの影が二つに別れた。

メテオとフェリスが向き合う形で着地したのだ。

一進一退の攻防を繰り広げており、互いに体力的にも精神的にも限界が来ていた。

 

「この速度についてくるとは……流石だな」

「目で追うことは誰でも出来る。だから、目を頼らないで戦えるように訓練したからな」

 

高速で移動する自分に的確に対応するメテオに驚くフェリスエボリューション。メテオは当たり前だと言う風な口調でそう話すと、メテオスイッチをドライバーから抜き取り、メテオギャラクシーに装填する。

 

《リミットブレイク!OK!》

 

指紋認証し、リミットブレイクを発動する。そのままフェリス目掛けて拳による連打を放つ。一つ一つが正確にフェリスエボリューションの身体を打ってゆく。

コズミックエナジーが纏われた拳は、さながら宇宙をかける無数の星の光のようにも見える。その様子から名付けられた名は、スターライトシャワー。

 

「ぐぅっ!」

「はぁあああ……ホッワチャァアアアアッ!」

 

最後の一撃を力強く叩き込み、フェリスエボリューションは大きく吹っ飛んでゆく。踏ん張ろうとしているのか、足を地面にひきづり、アスファルトを削りながら、下がっていった。

 

「さすがは忘却星座。一度では倒せないか……なら!」

 

そう言ってメテオスイッチをドライバーへ戻し、再度リミットブレイクを試みるメテオ。フェリスエボリューションは悔しそうにうめき声を上げると、勢い良く屋根の上に飛び乗った。

 

「相手をしてやりたいが……コズミックエナジーがなくなりそうなのでな。今日はこれで失礼しよう!」

「まて!ーッ!」

 

追いかけるために、飛ぼうとしたメテオだったが、放たれた風圧に阻まれてしまう。その隙にフェリスエボリューションは逃げてしまう。

 

「逃がしたか……まぁいい。あいつらの実力もはっきりわかった……」

 

そう呟くとメテオは変身を解除する。解除音が鳴ると、現れたのはスーツ姿の少年。朔田流星だ。

すると遅れて、フォーゼが駆けつける。

 

「流星、無事か?」

「あぁ。逃がしてしまったがな……そっちはどうだったんだ?弦太朗」

 

ごく自然な口調で問いかける流星に、フォーゼは変身解除しながら答える。

 

「こっちも逃がしちまったぜ」

「そうか……それより、あのゾディアーツが何で現れたのか原因はわかるか?」

 

流星がそう訊ねると、弦太朗は親指で電信柱の影を指差した。そこには、三人の人がこっそりとこちらの様子を伺っていた。

 

「あの中にいる、仁村ってのが女にちょっかい出してな……それでー

「なるほど……こう言うことか……」

 

流星は、ありきたりな理由だな、と思い溜息をついた。

 

「まぁいい。一度賢吾達の所に戻って、報告しよう」

 

そう言って歩き出す流星だったが、その腕を弦太朗が掴み、引き止める。

 

「あー!流星待ってくれ!」

「ど、どうしたんだ弦太朗?」

 

心配そうに訊ねる流星に弦太朗は茶封筒を突きつけるように出して見せた。

 

「これから、大学に課題を提出しに行かなきゃなんねぇんだ。悪いが、先に行っててくんねぇか?」

 

弦太朗の言葉に流星は、ふふっ、と笑うと頷いた。

 

「……わかった。早く提出してこい。皆、お前に会いたくて待ってるだろうからな」

「わかってるよ。んじゃ、また後で」

 

流星は反対方向に去って行った。弦太朗はその背が消えるまで見つめると、電信柱の影に隠れる三人を呼んだ。

 

「おーい、三人とも、大学に行くから、またなー!」

 

弦太朗はそう言い残し、走って行ってしまう。

 

「弦太朗のあの力……気になる!」

 

萊華はそう呟くと、勢い良く追いかける。胸の二つのメロンかスイカかわからない物を揺らしながら。

 

「ちょっ!織田君!?まだ、あぶなーっへぶ!

「ごめんなさ〜い、佐古先輩!俺も課題を提出しないとまずいし〜」

 

佐古を踏みつけながら、仁村もそのあとを続く。少し遅れて起き上がった会長は何度か転けながら、追いかけた。

 

 

 

「あーあ、弦太朗さん大丈夫かなぁ」

 

冷房の良く効いた、冷えた部屋の窓際で、蘭は頬杖をついて、窓越しの青空を眺めていた。飛行機雲は一直線に伸びており、さながらその姿は、彼女の想い人を思い起こさせる。

彼女の想い人は現在闘いを終え、用事を済ませ次第こちらに向かってくると、先程流星から連絡があった。本来であれば、自分が向かうはずの戦闘だったが、丁度月物の日と重なってしまい、女性の先輩二人と流星

「子供産めなくなったらどうするの?」

「コズミックエナジーも放射能の一つだから、危ないんだよ!」

「俺が行くから、黒木くんは休んでなよ」

 

と言われ、渋々戦闘に向かえなくなった。

 

「そんなブス〜っとした顔してると、弦太朗さんに頬摘ままれるよー?蘭ちゃ〜ん」

「弦太朗さんは顔は気にしないと思いますよ〜だ!海蔵!」

「あっ!その名前で呼ぶなよ!コラッ!」

 

ジェイクと蘭がいつものやり取りをしていると、ユウキが話しかけて来た。

 

「蘭ちゃん!ジェイク!これ見て!これ!」

 

そう言って出して来たのは、変な果物の形をしたクッキー。はたからみると、紫芋クッキーにも見えなくもない。

 

「ユウキさん、これって……」

「そう!こないだ、チャック見たいな入り口がある森に行った時にね、拾った果実で作ったの。食べる?」

「ストーップ!ユウキさん、それって明らかにヤバいヤツです。あかんヤツです!」

「えー?でもー……美味しそうだったんだよ?ホラっ!」

 

取り出したのは、極彩色の皮を持った実。

 

「中身がライチみたいだったから、食べられるかとー

「ユウキ、地球上にそんな形の果物存在しない。捨ててこい」

「えー。はーい」

 

賢吾にそう言われ、渋々、捨てに行くユウキ。賢吾は友子の座るソファの方を向く。

 

「アレでいいんだな。野座間」

「うん。大丈夫です」

 

そう頷いた友子のタブレットには、先程ユウキの持っていた果実についての記事が乗っていた。危うく、部員が怪物になる危機を回避し、安堵する友子。

ちょうどその時、扉を開く音が聞こえてきた。皆がそこに目を向ける。立っていたのは弦太朗だった。

 

「よっ!遅れて悪かったな」

 

そう言って部屋に入る弦太朗。そこにユウキが駆け寄る。

 

「久しぶり!弦ちゃん!城島ユウキ!アメリカから帰国しました!」

「おう!ユウキ!なんか、べっぴんさんになったなぁ。アメリカで何かあったのか?」

「うん!メイク方法を教わったんだー!どう?似合うでしょー」

「おう!すっげー、似合うぜ!賢吾も鼻高々だな。なぁ、賢吾!」

 

そう言っていきなり賢吾に話をふる弦太朗。賢吾は顔を真っ赤にして、ま、まぁな、と答える。その答えに満足したのか、満面の笑みを浮かべるユウキ。この三人の安定したやり取りを見て、周りは笑い声を上げる。賢吾はそのあとに、笑うな!、と声を上げる。いつものやり取りだった。

一頻り笑った後で、友子がパンパンと手を叩く。

 

「取り敢えず、ライダー部作戦会議を始めましょう」

 

友子の言葉に誰もが頷いた。

現役のメンバーはスクリーンの前の用意された椅子に座り、OBメンバーである弦太朗、流星、賢吾、ユウキはそれぞれ、同じ部屋の別々の場所に座る。

 

「さて、ユウキさんと流星さんは前回の闘いの際にいなかったので、少し前回の話を補足しながら、作戦を練りたいと思います」

 

現役メンバーに多くの知識と経験を積ませるために、OB達と友子が考えついたのは、OB達の経験と知識を土台ににそこから、現役部員達が作戦の内容を決めると言う物だ。これならば、いくら発言しても、友子から疎まれる心配はない、とは賢吾談。

 

「まず、流星さんが戦っていたのは、フェリスゾディアーツ。忘却星座の一人でいちばん最初の敵です」

 

スクリーンに映し出されたのは、前回の戦闘の時の映像。それを見てユウキは、ネコのゾディアーツ?と首を傾げ、流星は成る程、と頷く。

 

「次に今回現れたのは、トナカイ座のゾディアーツです。賢吾さんによれば、これも忘却星座の一つとのこと。弦太朗さん、このゾディアーツはどうして現れたんですか?」

 

自分に話が振られるとは思っていなかったのか、家計簿をつけることに勤しんでいた弦太朗は慌てた様子で立ち上がった。

 

「うぇ!?あ、ああ。俺の通ってるもう一つの大学の友達に仁村ってのが居てよ。そいつが、女にちょっかい……もとい、ナンパして、遊んだら、付きまとわれることになったらしくて……それでなぁ…それで」

「最低!」

「馬に蹴られて死ねばいいのに」

「女の敵!」

 

女性陣からの辛辣な言葉が放たれる。それはドアの外にいる人物に精神的なダメージを与えてゆく。

 

「まぁ、そう言うなって。アレでいい奴なんだから。おーい、仁村、入って来いよ!」

 

その言葉の後に一人の男が入って来た。渦中の仁村本人である。

 

「いやー……どうも……仁村浩一です」

 

苦笑いながら、爽やかなスマイルに見えるのは流石と言ったところか。

 

「弦太朗さん、彼が問題の子ですか?」

 

友子の問いに弦太朗は、おう、と返事をする。

賢吾は仁村を見つめる女性の目の大半が冷たいことに気づき、肩を竦ませたが、すぐに冷静に自分の考えた作戦を述べる。

 

「相手は絶対に彼をを狙ってくるはずだ。だったら、彼を護衛しつつ、囮にして、タランドスをおびき寄せ、そこをフォーゼとメテオで仕留める。この作戦はどうだ?」

 

異論は無いと言う風に皆が頷いた。これ以上に現状で最も効果的な作戦は他に無いからだった。

それを見て仁村が、うげっ、と言った表情を浮かべたが、弦太朗に「そんな顔すんな。お前が女に散々手を掛けたのが悪い」と突っ込まれていた。

 

「部長……異論はあるか?」

 

賢吾が恐る恐る訊ねると、友子はふるふると首を振った。

 

「いえ。賢吾さんの作戦で行きましょう。ハル、蘭花のスイッチを弦太朗さんが使えるようには出来る?」

「ええ。互換性はありますし、問題ありません」

 

それを聞いて友子は満足そうに頷いた。そして、賢吾の方を見る。

 

「賢吾さん、フォーゼの強化システムの件は?」

 

賢吾は、悔しそうに首を振ってから答えた。

 

「いや、まだだ。資源も研究室も無いからな……作れても、システムがフォーゼに絶えられるかどうか……プログラミングも時間がかかる。ハッキリ言うと、ムリだ」

 

その言葉に誰もが表情を暗くした。この中で最もコズミックエナジー、そして、フォーゼシステムやアストロスイッチに詳しい彼が無理と言ったのだ。それは、確実に不可能と言うことだ。

そんな賢吾を励ますように、弦太朗は明るく言った。

 

「気にすんな賢吾。どうにかなるって!それに、流星もやって来たんだ。どうにかなるって」

 

弦太朗はそう言って微笑む。だが、賢吾の表情は晴れない。

 

「まぁ、実際にその時が来て見ないとわからないだろう。それまでは今ある力で全力で相手と闘えばいい」

 

対ゾディアーツベテラン戦闘員である二人の言葉に賢吾は笑ってしまう。

 

「まったく、君たちがそう言うと、どうにかなりそうな気がしてくるよ」

賢吾は飽きれたような、嬉しそうな、そんな笑みを零した。

やり取りが終わったことを確認した友子が、パンパンと手を叩く。

 

「それじゃあ、ジェイクとハルは仁村さんの護衛。他は各々で有事に備えて各個人で待機!」

「うぃっす!」

「了解しました!」

 

名前を呼ばれた二人が返事をして、作戦会議は終了した。

 

 

 

 

 

 

「悪いね。弦太朗ちゃん」

 

仁村が弦太朗の元にやって来て謝る。弦太朗は、気にすんな、と言って仁村の肩を軽く殴った。

 

「喧嘩(タイマン)は昔っから慣れてるしよ。それに、ゾディアーツを止めるのが、俺たち宇宙・仮面ライダー部の仕事だ」

 

胸を叩き、人差し指を真っ直ぐ突きつける弦太朗。仁村は首を傾げて訊ねる。

 

「ところで宇宙・仮面ライダー部ってなんなんだ?」

「天ノ川学園高校と街と人と地球と、宇宙の平和を守る……手広くいえば、自警団みたいなものだ」

 

仁村の問いに答えたのは、賢吾だった。

 

「君が仁村君か。弦太朗から話は聞いてるよ」

「あ、どーも。えーっと……」

「歌星賢吾だ。よろしく」

 

二人が挨拶を交わした。

 

「早速ですまないが、君が女の子に声をかけた状況を教えてくれ」

「え?あの、怪物化した女の子に声をかけたとき?」

「あぁ。少し気になることがあってな」

 

そう言われ、仁村はその時のことを大まかに話した。

 

要約するとこうである。

街で服を買いに行く途中、酔っ払いに絡まれている美女がいたから、颯爽と助けた。すると、その美女に惚れられてしまい、食事などにいく間柄に。家に呼ぶことになったのだが、そこで、不思議なスイッチのような物を触らされ、それを触ると光った。彼女曰く『これが光る人は相性がいいんだって』と言っていた。夜が明け、彼女を帰らせようとしたのだが、彼女はどうしても残ると言い出し、挙句に包丁を持ち出して、メンヘラ発言をして来たため、スクーターに乗って逃走。そこから、弦太朗の家に向かった。

とのこと。

閑話休題

賢吾はその発言を聞いて、疑問に思う点が幾つかあった。それを確認するために、手にしたアストロスイッチカバンを操作し、何かを検索する。暫くして、目当てのデータがあったことを確認し、弦太朗に見せた。

 

「こいつを見ろ。忘却星座のスイッチは握った瞬間に、どの星の運命を持つか分かるようになっている。君が握ったのは、これじゃないか?仁村」

 

ディスプレイに表示されるのは、白地に黒のラインが入り、上には黒いドーム上のパーツと青いスイッチがついていた。通常のゾディアーツスイッチを反転させたカラーをしていた。

それを見た仁村が、それそれ!と頷いた。賢吾はやっぱり、と納得した表情を浮かべた。

 

「最初から仕組まれていたんだよ。彼は」

「それってどういう……」

「彼の女の子に声をかける、という性質を利用して、彼にゾディアーツスイッチを握らせようとしたんだろうさ」

 

それを聞いて弦太朗が怒りを露わにした。

 

「許せねぇ!無関係の奴をゴタゴタに巻き込みやがって。こんど会ったらとっちめてやる」

「落ち着け。単純な力押しで勝てる相手じゃない。幾分かフェリスよりはやり易いと思うが……きっちりとした対策を練らないといけない。それはこっちで考えておくから、お前は早く帰れ」

 

賢吾が気遣うようにそういった。弦太朗は賢吾の優しさに驚きながらも、笑みを浮かべ、礼を言う。

 

「サンキューな。賢吾」

「気にするな。早く帰ってご飯作ってやれ。心配して待ってるだろうからな」

 

そこ言葉に頷くと弦太朗は皆に別れを告げ、去って行った。

 

 

「さて……弦太朗も帰ったことだし、俺達も帰るか……なぁ、ユウキ……ユウキ?」

 

さりげなさを装って声をかけた賢吾だったが、ユウキは弦太朗が去って行った方をジーっと眺めていた。そして、くるっとこちらを向く。そして、不思議そうな顔をして尋ねた。

 

「ねぇ、賢吾くん。弦ちゃん、なんか凄く嬉しそうな顔してたけどどうかしたの?」

 

理由を聞くユウキ。賢吾はあぁ、とおかしそうに笑って答えた。

 

「弦太朗はな、今、子育てしてるんだ。娘が三人もいるんだよ。年頃の子が二人と、幼子がひとりー

 

「「「「「弦太朗さん(如月くん)が、子育てぇえええええええっ!?」」」」」

 

賢吾がその言葉を述べた瞬間、ライダー部部員+路研メンバー一人の絶叫が部屋に響き渡った。

賢吾はそれを聞いて頭を抱えた。弦太朗本人が皆に話してると思い、失念していたのだ。まさか、彼がはなしていないとは、思いもしない。

 

(やれやれ……どこから話すべきか……まぁいい)

 

賢吾は、暫くは帰れなさそうだなぁ、と思いながらも、親友の手助けになりそうな気もした為、自分の口からその理由を話しはじめた……。

 




一気にやりすぎたかなぁ、と思った今回の話。
戦闘と会議を分けるかどうするか迷いましたが、そのままでいきました。

弦太朗がライダー部に三人のことを話しているんじゃぁ、と思った人もいるとおもいますが、本編の弦太朗を見てるとどうもそう思えなくて……。弦太朗は他人のことに関しては首を突っ込んで行きますけど、自分のことに関しては、皆に迷惑をかけたくないからか、関わらせようとしない感じがします。まぁ、ここに関しては本編でもあまり描写されて無かった部分ですんで、判断は個々の自由になるんですかね?

さて、次回は仁村編の解決まで一気に進めます!基本三話構成なので、次終わったら、少し時間軸がとんでも大丈夫かなぁ?とか思ってます。
それじゃ!暫しお暇を!
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