これからは、最初の頃と同じペースで更新できるかと思います。
それでは、最新話ご覧ください。
夕暮れの如月邸では、二人の少女が困ったように台所に立っていた。言わずもがな、空と美愛である。二人の目の前には先ほどスーパーで買った食材が並んでいた。
「チキン」
「あるよー」
「玉子!」
「大丈夫だってー」
空は事前に買った食材に買い漏らしが無いかを確認し、美愛はそれを適当に返事して、食材を上げて行くが、やがてめんどくさく思い始めたのか文句を言う。
「お姉ちゃん大丈夫だよ〜。かごいれるときも、袋入れる時も一個一個確認したんだから。あんまり細かいと、叔父さんに嫌われるよ!」
「ウッ!それはそうかもだけど……」
言葉に詰まる空。確かに、弦太朗は大らかで細かい所にはあまりこだわらなそうだ。美愛の言うことも一理あるのかもしれない。自分は細かいのかもしれないな、と思っていると、美愛が肉を取り出した。
「ま、悩むよりは、やった方がいいよね?お姉ちゃん」
ニコッと天使のような笑みを浮かべる美愛。空はその笑顔に少し苛立ちを覚えながら、調理をはじめた。
「えー……っと、鳥肉を一口サイズに刻む……鳥肉か……むー」
生まれてこのかた、料理と名のつく行為を行ったことがない。そんな空にとって、鳥肉の生を触った心地はどうも好きに慣れないと言った風だ。そんな表情を浮かべながら、空は手にした包丁を構える。そして、勢いよく振りかぶり、振り下ろした。
ズダンッ!グニュッ!ズゴッ!バガンッ!
肉は当然ながら弾力がある。それを考慮せず、勢いよく振り下ろした包丁はその弾力に流され、行き先を反らされた刃は真っ直ぐ勢いよく、タイル張りされた壁に当たった。プラスチック製の包丁であるためか、タイルの硬さには負け、やすやすと折られてしまう。ちなみに折れた包丁の破片はクルクルと、宙を回った後で、空と美愛の間の床に突き刺さる。
「」
「」
二人して言葉を失い、その視線を床にやる。
折れた破片は存在を主張するかのように、調理台のオレンジ色の蛍光灯の光を浴びて、鈍く暖かく光る。
「お姉ちゃん、鳥肉はハサミで切った方が……いいんじゃないかな?」
「……そ、そうだね」
美愛の意見に空は機械的頷くと同時に、呟くように返事をした。
「なるほど。それで弦太朗が子供を育てていると……言うわけか」
「あぁ。そう言うことになる」
弦太朗を除いたライダー部と路上観察研究会にことのあらましを説明した賢吾は、心の中で弦太朗に謝りながら、流星の言葉に頷く。
「いやー、でもあの様子からするとー、弦太朗さんも結構忙しそうッスよねー」
「ジェイク、それは当たり前。殆ど自分と同年代と一緒に暮らしてるんだから」
ジェイクの言葉に友子が何を今更、と言った風に返す。だが、ジェイクの言葉には何か裏がありそうだった。それに気付いたのはハルと賢吾のみだったのか、二人は顔を見合わせるとゆっくり頷き、ハルがジェイクにその言葉の意味を問いかけた。
「ジェイク先輩、なんというか、先輩の言葉の裏には何か意味があるんですか?」
「俺もそう思うぞ。ジェイク。お前はこのタイミングで身内のことについてそんな他人行儀なことを言うようには思えないんだがな」
二人の言葉を受けて、ジェイクは肩を竦める。それは、二人には敵わないや、と降参したようにも見える。
「まぁ、弦太朗さんは理由はどうあれ、父親になったわけッスよね?」
「あぁ。まぁ。確かにな」
「それで、大学生でもある」
「え?あー、そうですね」
「そんな一家の大黒柱で、唯一の支えでもある、弦太朗さんを危険な目に合わせていいんッスかね?」
その言葉に誰もが息を呑んだ。確かにそうだ。賢吾の話では、三人の娘は完全に弦太朗に懐いているといえる。もし、この先の闘いで以前のように、毒に侵されたり、それこそ心臓が止まり死んでしまうことになれば、三人の娘達はバラバラになってしまう。さらに、その子たちの心に大きな傷をつけることになるかもしれない。
予想として『私達が家族になったら、皆死んでしまうんじゃないか』という、思い込みを。
ジェイクの言葉でそれに気付かされたライダー部の面々。ジェイクは、まぁ、と言葉を紡ぐ。
「決めるのは弦太朗さん本人ッスからね。あの人の性格からして、一度やり始めたことを途中で放り投げるような人じゃないから……弦太朗さんが無茶しないようにしっかり手綱ってやらないとなぁ、って、偉そうな感じですけど、思ったんですよ」
その言葉に皆が一斉に頷いた。誰もが弦太朗に無茶をさせないと、決意した瞬間でもあった。
「……これなんだ?」
帰宅した弦太朗が見たのは凄まじい光景だった。まるで、ゾディアーツが襲ってきたのか、はたまた、別の怪物でも現れたのかと思うほど、キッチンは荒れていた。
その理由を理解するのに弦太朗は数分の時を要したが、わかった瞬間の行動は早かった。
「空ぁっ!美愛!これなん……だ」
そう叫びながら、居間の扉を開けると、そこには部屋の角に体育座りで座り、ひび割れている空と、その姉を必死で慰める美愛と、その姉を無視し、一人マリオカート64をプレイしている、ひながいた。
「……一体なにが起きたんだよ……」
「あ、おじさん、おかえりなさい!……キッチンみました?」
「あぁ。見た。何だありゃ」
弦太朗が訊ねると、美愛は明後日の方向を向きながら、遠い目で語る。
「ええーっと……はい。スライム(肉)とホイミスライム(タマネギ)と闘ってたら、鋼の剣(包丁)が弾かれて、ゴーレム(タイル)に当たって砕けました」
いつもの美愛と違い、何故かマニアックな口調で語る。弦太朗は首を傾げたが、まぁいいや、と言って体育座りで落ち込む空に話しかける。
「空、料理作ってくれようとしたんだろ?悪いな。遅くなって」
「お兄ちゃんは……悪くない。あんなに散らかしてごめんなさい……うっ、……うう…」
「あーあー、泣くな泣くな!可愛い顔が台無しだぞ。それに、お前も謝る必要ないさ。誰だって失敗は付き物なんだからさ」
そう言って、慰めるようにポンポンと頭を撫でる弦太朗。空は涙声で、うん、と頷いた。
「ま、いいや。とにかく急いで片付けて、飯にするぞ。ひな、暫く一人でゲームしてられるか?」
「うん。おいたん!これたのしーお!」
「うっし。じゃあ、とっとと片付けて、飯にするぞ」
「はーい!」
弦太朗の言葉に美愛と空が返事をした。弦太朗気合を入れるように背を伸ばすと、台所へ向かった。
ようやく掃除を終えた三人は少し遅めの夕食を迎えていた。カップラーメンという、簡素だが便利なインスタント麺を夕食に。
「それにしても叔父さん。今日は遅かったですねー」
「まぁ、色々ゴタゴタしてたからな」
そう言って弦太朗はどかっと、胡座を掻いた。その彼に空が首を傾げて問いかける。
「お兄ちゃん、お洋服ボロボロだけど、何かあったの?」
「!?いや……な、なんも、ね、ねーぞ」
「あー!その反応、何かありますねー?」
「ほ、本当に何もねーって!」
そう言って頭を掻く弦太朗。言わずもがな、彼は誤魔化すのがとても苦手だ。すぐに表情に出てしまう。美愛は隠し事をしていることに気づき、弦太朗に耳打ちする。
「叔父さん?お姉ちゃんには黙っておくんで、後でこっそり、教えて下さいね?」
「うぇ!?あ……」
空を見る弦太朗。空は可愛らしく首を傾げて弦太朗を見つめる弦太朗は、少し溜息をつくと、小さく頷いた。
それを見た空は可愛らしい眉を顰め、ムッとした表情を浮かべる。
「美愛、お兄ちゃんに何かお願いしたでしょ?」
「ふふーん?どうだろうねー?」
「もうッ!お兄ちゃんも、美愛に言い寄られたからって、鼻の下伸ばしてッ!このロリコン!」
「へ?いや、ちょっ!……?」
拗ねてしまった空に弁明しようとしたが、ここで、マグフォンに電話がかかってくる。弦太朗はそれに気づいて、電話に出た。
「はい、如月です」
《やぁ!カンナギ事件以来だねぇ。元気にしていたかい?如月弦太朗》
電話をかけてきたのは、意外な人物だった。
JKと共に家路へと向かう仁村。彼は隣にいるジェイクに聞きたかったことを聞いた。
「なぁ、ジェイクくん」
「何スか?仁村さん」
「弦太朗は、ずっと、あんな感じで闘ってるのか?いつから……」
その問いにJKは、あぁ、と紙パックのジュースを口から離して懐かしむように語った。
「弦太朗さんは、高校の頃からずっとフォーゼとして闘ってるッスよ」
JKが思い浮かべたのは、弦太朗と初めて会った時の自分のことだった。
それまでの彼の人の付き合い方は、打算的に利用価値のあるものと交尾み、使えなくなったら、切り捨て、長い物に巻かれて過ごす。
『友情なんてものは、クソくらえ』
そう考えていた。だが、そんな折、彼はゾディアーツに襲われる。奇しくも、自分が行ってきた人との付き合い方よって、傷ついた、新田文博が変身したユニコーンゾディアーツに。それを救ったのは、弦太朗で、彼のお陰で今では友情の大切さ、そして、仲間の意味を知ることが出来た。
(思えば、仁村さんも、俺と同じ感じなんッスよね……)
大まかな差異はあれど、仁村は女の子を口説きまくってたことが仇となり、そのせいで、今回の事件に巻き込まれたのだ。人付き合いの仕方が、問題と言う点では、JKと仁村の事件の大元は一緒なのだ。
「高校の頃からずっと……そりゃ、強いわけだ」
「強いッスよ。弦太朗さんは。誰よりも。まぁ、バカなのが傷ですけど」
「違いないねぇ。あっははは」
妙に話の弾む二人。それもそうだ。二人とも基本はチャラ男なのだ。精神的にわかりあうことは容易なのだろう。恐るべしチャラ男と言ったところだ。
「あ、仁村くん……み〜つけた❤︎」
二人の前に現れるオーバーコートを着た眼鏡の女性。その手に握られてるのは、青く逆巻く銀河を模した、ゾディアーツスイッチ。
「なぁ、小藪さん」
「なに?仁村くん」
それが手にあるのを知っていながら、仁村は地面に膝をつくと、頭を下げる。所謂、土下座だ。それを見て、目を丸くするJKと小藪。仁村は頭を下げながら、謝罪する。
「軽い気持ちで君に声をかけたせいで、君をその気にさせてごめんッ!許してくれとは言わない!けど、そのスイッチだけは、手放してくれ!」
精一杯の誠心誠意を込めた謝罪と注意。大抵の女子や真面な思考をしていれば、この謝罪で十分だろう。だが、彼女は躊躇うことなく、そのスイッチを押した。
「だ〜め❤︎例え、そうだったとしても、仁村くんは、私のも・の!」
タランドス・ゾディアーツに変化した小藪はそう言うと、仁村を抱きしめようとその手を伸ばす。だが、その手はすんでのところで撃ち出された光弾によって弾かれた。
「誰!?」
「悪いッスけど、この人には、指一本触れさせないッスよ!」
光弾を撃ち込んだのは、小型のショックガンを手にしたJKだった……。
電話の主に呼び出され、近くの喫茶店に足を伸ばした弦太朗。そこで待っていたのは、ロングTシャツにロングパーカーを羽織った、髪を跳ねた髪をクリップで留めた特徴的な髪型をした少年。その少年に弦太朗パーカー見覚えがあるのか、驚きと喜びの入り混じった表情を浮かべ、叫んだ。
「ぁああああーっ!フィリップ先輩!?久しぶりッス!」
「やぁ、如月弦太朗。相変わらず、君はリーゼントヘアのようだね」
革張りのハードカバーの本をパタンと閉じ、フィリップと呼ばれた少年は弦太朗を見て、可笑しそうに笑った。弦太朗はウッス!と返事をすると、席に座る。
「今日、呼び出したのは他でもない。実は、翔太郎からこれを渡すように頼まれていてね」
そう言って取り出したのは、ゾディアーツスイッチ。それを見た弦太朗が、驚いて飛び上がる中、フィリップは冷静にこのゾディアーツスイッチを入手した経緯を話した。
「このゾディアーツスイッチは、先日ととある事件を追っているときに、翔太郎が拾ったんだ。『星の本棚』でこのスイッチを調べたら、未使用だということの他に面白い事がわかってね」
「面白い……?」
「如月弦太朗。フォーゼドライバーはあるかい?」
「え?あぁ、ありますけど……」
「悪いが装着してみてくれ」
言われるがまま、フォーゼドライバーを装着する弦太朗。フィリップはそれを確認するとゾディアーツスイッチを渡した。
「このスイッチは、フォーゼドライバーを付けたものがゾディアーツスイッチを押すと、その装着者の『星ノ運命』に見合ったアストロスイッチへと変化するらしい」
「ヘェ〜。初めて知ったぜ」
「それはそうさ。我望光明が頑なにそのことだけは隠していたからね」
そう言うとフィリップは、人差し指を伸ばし、説明し始める。
「ゾディアーツスイッチはプレゼンターに会うため、人間を進化させるためのスイッチだ。言わば、『一人の力で宇宙を掴むためのスイッチ』そう言っても過言ではない。その為に我望光明は、友である歌星禄郎と袂を分かつと同時に、殺した」
「フィリップさん……なんで、そのこと……」
仮面ライダー部と我望、江本しか知らない事実をすんなり説明したことに驚く弦太朗。そんな彼にフィリップはクスリと笑いを零すと、トントンと自分の頭を突いた。
「僕は調べるのが得意なんだ。色々なツテもあるし、何より、これから話すことは君が新たな力を得るための切り札でもある」
「新たな……力……?」
「そう。君が我望光明と交わした握手は死んでも無駄にならなかったという事さ」
その言葉に弦太朗は驚くと同時に、どこか諦めたような表情を浮かべると同時に思った。
ーこの人は本当にゾディアーツのことやら、なにやら全て調べてるんだろうなー
と。
「さて、話を戻そう。我望光明は、一人で宇宙に向かうための力を手に入れようとしていた。これは彼のことを調べても出てこなかったから、推測だけど、心のどこかで、そんな自分を止めて欲しい。そんな感情も抱いていたんでは、無いかな?」
フィリップの推察に弦太朗は頷いた。そう言われて頷けることがあったからだ。
彼の扮するサジタリアスゾディアーツを撃破し、握手を交わした際、彼はどこか悲しそうで、嬉しそうな表情をしていた。それは、当初は宇宙に行けない悲しみと後進がその夢を叶えてくれることから来た表情だと思ったが、今思えばその表情は、フィリップの言う通りでは無いかと思えたのだ。
「その通りかもしんねぇよ。フィリップさん。あんときの理事長は、悲しそうで、嬉しそうな表情をしてたからな」
「そうか……なら、それを聞いたら、ゾディアーツスイッチがアストロスイッチへと変わる理由もわかる筈さ」
それを聞いて弦太朗の頭の中で、言葉のピースがパチパチと嵌って行く。弦太朗はその言葉をフィリップに告げる。
「もしかして……誰かに自分を止めて欲しかったから、ゾディアーツスイッチが変わる仕掛けを……」
「その通りさ。寂しい彼の思いがそうさせたのかもしれないね」
フィリップは語るのを止め、手元のメロンソーダーを飲んだ。弦太朗は何も語らず、ゾディアーツスイッチを見つめた。それを強く握りしめ、フィリップに頭を下げた。
「フィリップ先輩!貴重なお話、ありがとうございます!」
「あぁ。気にしないでくれたまえ。ライダーは助け合い……だろう?」
意味深に片眉をクイッと上げ、不敵笑うフィリップ。弦太朗はそれに驚くが、すぐにウッス!と返事をする。
「この礼は必ず……ってアレ?」
マグフォンが突然鳴り響く。よく電話が鳴る鳴る、と思いながら、電話に出ると、その声の主は仁村だった。
「よぉ、仁村。どうかしたか?」
《げ、弦太朗ちゃん!は、早く来てくれ!じゃないと、JKさんが!》
「何があったんだ!?今行く!場所は!……あぁ、分かった!」
仁村から場所を教えて貰い、弦太朗は急いで外に出ようとする。その際、フィリップへのお礼も忘れずに伝える。
「フィリップ先輩!ありがとうございます!んじゃ、野暮用が出来たんで、行ってきます!」
「あぁ。如月弦太朗。手を」
「手?」
「ああ」
弦太朗は首を傾げながら手を出す。すると、フィリップは握手をし、拳を3回打ち付けて来た。その動作に驚く弦太朗。無理もない。自分からやったことはあるが、相手からやって来たのは初めてだからだ。
「これで、君と僕は友達だろう“弦太朗”」
「!!ウッス!フィリップ先輩!」
「時間を取らせてすまない。さぁ、野暮用とやらに行ってきたまえ」
頷いた弦太朗は赤いトランススイッチを弾き、エンターレバーを握り、カウントダウンの後でレバーを押す。
「変身ッ!」
その掛け声とともに弦太朗は白いスーツを纏い、フォーゼへと変身する。テラス席の為、人目はある。だが、それを気にせず、彼はロケットモジュールを起動させ、それを使用し、一気に目的地を目指した。
「よっ!ほっ!おりゃ!」
「このッ!ちょこまかちょこまかと!」
JKはタランドスゾディアーツ相手に善戦していた。それもその筈。彼は瞬発的な動作やトリッキーな動きに加え、ダンス仕込みのトリッキーな動きを得意としている。猪突猛進というか、攻撃手段を突進しか持たないタランドスとは良い意味で相性が良かった。
隙を見ては相手に蹴りを叩き込み、突っ込んでくれば、アクロバティックな動きで回避。同時に足払いし、手にしたショックガンを撃ち込む。誰が見ても優勢。それは側から見ていた仁村にもそう見えていた。
ーそう、タランドスの姿がこれだけならの話だ。
「鬱陶しい!その身体を捻り潰してあげるわ!超!進化!……ッハァーッ!」
その声と共にタランドスの体は大きく変わる。頭から生えていたツノは外れ、二本の大槍に変わり、下半身は四脚へ変わり、上半身には、女性らしい体型を意識した銀の鎧が纏われる。その名はタランドス・エボリューション。タランドス・エボリューションは手にした大槍を構え、JKに近づく。
「本当は逃げたいんッスけど、仮面ライダー部の副部長として、この人を護衛しなきゃいけないんッスよね……仁村さん、取り敢えず逃げといて下さい。俺が時間稼ぐんで」
「でもッ!」
「仁村さん。俺にもカッコつけさせて下さいよ。いいから、早く」
逃げるように促され、仁村は悔しげな表情を浮かべながら、走り出す。
残されたJKは仁村が逃げたことを確認すると、ショックガンを撃ちながら、仁村とは逆方向へ走り出す」
「ヘイ!可愛子ちゃん!こっちだよ!ノロマ!」
「巫山戯るなーッ!」
槍を交差させると、その先端に電気が溜まる。JKはそれを見て、一瞬で、ヤバイと思ったのか、ショックガンをそこ目掛けて投げつける。投げられたそれは弧を描いて、交差する槍にあたり、小さな爆発を起こす。しかし、その程度でどうにかなるわけではないので、爆発で目くらましをしているうちに彼は逃げようとしたのだ。だが、それを逃がすほど、相手は甘くない。タランドス・エボリューションは交差させて槍から、電撃を見舞った。
「楽には殺さないわよ!」
「ガギャァアアアッ!」
人間の上げる悲鳴には到底聞こえないほど、大きく奇妙な悲鳴を上げたJK。それもその筈。気を失うギリギリの電圧で、雷撃を受けたのだから。仰向けに倒れこむJK。その彼の足元にタランドス・エボリューションが歩み寄る。
「散々人をコケにしたんだから……手足を突き刺してから殺してあげるわ……」
そう言うと、槍を大きく振り上げ、それを勢いよく奇声と共に振り下ろすタランドス・エボリューション。
横たわるJKは歯を食いしばりながら、それから逃れようと、身体を引き摺る。しかし、痺れているため、身体は上手く動けない。槍がその身体に突き刺さろうとせまる。
(あー……短い人生の中だったッスね……すいません…お先に……失礼しまー
「ライダー!ロケット・ドリルキーック!」
死にかけたJKを突如現れた戦士がタランドス・エボリューションを蹴り飛ばし、救う。その戦士はーー
「弦……太朗……さんっ……!」
「よぉ、JK。俺のダチが世話になったな。それに、一人で良く頑張ったぜ。大丈夫か?」
「ははは……無理ッスね。ぜん……ぜん、身体うごかないや……」
「運んでやるから、隅で休んどけよ。選手交代だ」
そう言って駆けつけたフォーゼはJKを電柱の陰に横たえると、起き上がったタランドス・エボリューションに拳を突きつける。
「仮面ライダーフォーゼ!タイマン張らせて貰うぜっ!」
次回
「電気には電気で!」
「まったく……その拳を砕くッ!」
「しゃぁねぇ……ぶっつけ本番で、やってやるか……ッ!」
「ゾディアーツスイッチ!?」
《アドバンス!》
「悪いな!今だけ、悪魔と相乗りさせてもらうぜ!」
《電・撃・悪・魔》