やはり先輩の青春ラブコメはまちがっている   作:チキチキ

15 / 26
答えはすぐ側に

 勉強会の翌日、部室には五人の影があった。雪乃、結衣、八幡、俺……そして材木座義輝である。

 先程から此方をチラ見しながら意味深な独り言を繰り返す材木座くんに、奉仕部一同ガン無視を決め込んでいた。

 

 余程ウザかったのか八幡が要件を問いただすと、職場見学で出版社に行けることになったらしく、デビューは近いと浮かれてるようだ。マジでウザいな。

 

「出版社に行くことは分かったが……編集者に見せる原稿は出来てるのか?」

 

「ガボンガボン! ……出来ておらぬ」

 いや、よくそれであんだけ自信満々だったのか不思議でならんな。

 

「まぁ中二はどうでも良いや、そかーもう職場見学か〜ごー先輩はどこに行ったの?」

 結衣にバッサリ切り捨てられた材木座くんが呻き声をあげてるが、まぁ大丈夫だろ。

 しかし、職場見学……か

 

「ん? あぁ俺はアパレル系の会社に行ったな」

 余程以外だったのか、八幡や雪乃までもが本を読むのを止めて此方を見てくる。

 

「意外ね。蒲生先輩の趣味ではないと思うのだけど」

 

「……余り物には発言権などありはしないからな」

 あの時はめぐりが入れてくれたんだっけな……

 

「俺も昔からそうなんだよな〜お情けで入れられてる手前、下手なこと言えないし」

 

「なーるほ……あ、いやーなんかごめんね……」

 なんということでしょう。あっという間に部室の空気が最悪になりました。これぞ匠の技。

 

「んん! それで、由比ヶ浜さんは何処にするか決めたの?」

 事態を重く見たのか雪乃が話題をつくる。あの雪乃が気を使うなんて……成長したな! うん。

 

「う〜ん? 一番近いとこ?」

 

「発想が自宅の比企谷くんと同レベルね」

 

「ナチュラルにディスるんじゃねぇよ。そういうお前はどうなんだ? 警察、裁判所、監獄のどれだ?」

 その選択肢は無いだろ……

 

「ふふっハズレ……貴方が私をどう見ているのかよく分かったわ」

 雪乃? 笑顔が怖いよ? 目が笑って無いよ? 結衣震えちゃってるんですけど。

 

「私は……どこかシンクタンクか、研究開発職かしら」

 ほう? まぁ雪乃には向いてるかもな。

 ん? どした結衣、袖なんか引っ張って。危うく惚れちゃうだろ。

 

「ねぇごー先輩、しんくたんくって何?」

 ……どうやら、惚れた腫れたは気の迷いだったようだ。

 

「政府系か民間かによるが、幅広い分野にわたる課題や事象を対象とした調査・研究を行い、結果を発表したり解決策を提示したりする研究機関だな」

 

「ほへー」

 これは全然分かってないね。雪乃も呆れ顔だ。

 まぁ詳しい話しは雪乃が説明してくれるだろう。

 

 さて、そろそろ下校時刻だな。今日も依頼はなし…か

 

 トントン

 

 ん? こんな時間に一体誰だ? 

「どうぞ」

 

「お邪魔します」

 そう言って入って来たのは、確か葉山だったか? 八幡、結衣が同じクラスだったような? 

 

「とりあえず座ってくれ、要件を聞こう」

 

「すみません、こんな時間に。平塚先生から悩み相談するならここだって聞きまして」

 なんだこの爽やかくんは! 明らかにこの空間にいていい人間では無い!! 

 いつの間にかいなくなっていた材木座くんは、まぁ置いといて依頼を聞くとしよう。

 

「実は最近、クラスで変なメールが流行っていて」

 メールを確認すると三人の男子生徒に対する悪評が書かれていた。これは、チェーンメールか……まだこんな事をする奴がいたんだな。

 

「このメールが流行ってからクラスの空気も悪くなってしまって、どうにか出来ませんか?」

 葉山くんの表情はどこかうんざりとした様子だった。

 今やネットの誹謗中傷が問題になるご時世だ。人はバレないと思えばどこまでも残酷になる、こういった顔の無い悪意は解決するのが難しく、やられた方も誰かにあたれば簡単に負のスパイラルが完成される。

 

「あっでも犯人探しがしたいんじゃないんだ。丸く収める方法が知りたいんです」

 

「事態の収束を図りたいなら、犯人を探すしかないわね」

 

「えっ? なんでそうなるんだ?」

 まぁ自分のお願い完全にスルーされたらびっくりするわな。だが、今回は雪乃が正しい。

 

「正直、こういった問題は根元から絶たねば解決しないぞ。もう既に傷ついてる人がいるんだ、これ以上事態を悪化させたくないなら犯人、又はキッカケを潰すしかない」

 

「キッカケ?」

 

「そうだ、何故チェーンメールが始まったのか。原因はなんだったのか。それが分からない事には何も始まらない。何か心当たりはないか?」

 葉山くんと結衣が相談を始めるもなかなか見つからない。どうやら先週からチェーンメールが広がったようだが……

 

「そういえば昨日、職場見学のグループ分けをするって話しがあったな」

 八幡の呟きに結衣がハッと何かに気づいた。

 

「うわぁーそれだ。グループ分けが原因だよ。隼人くん達四人グループじゃん? 班分けは三人だから一人ハブれちゃうんだよ……」

 

「なるほどな、その一人になりたくなくて二人を蹴落とそうとしているわけか」

 なんだ、やけに単純な理由じゃないか。

 

「……そうね。犯人は三人の中にいるとみて間違いないわね」

 

「ちょっと待ってくれ! 俺はアイツらの中に犯人がいるだなんて信じられない! それに、三人共被害者なんだぜ? アイツらは違うんじゃないかな!?」

 雪乃と俺の結論が納得いかなかったのか葉山くんが声を荒らげ否定する。

 

「残念だが、それは彼等の容疑を晴らす証拠にならない。自分だけ悪評が無かったら直ぐに疑いがかかってしまうからな。誤魔化す為に自作自演くらい平気でやるだろう」

 どうやら納得してしまったのか、葉山くんは悔しそうに歯噛みする。

 

「まぁ俺ならわざと一人だけ外して、そいつに罪を擦り付けるがな」

 

「ヒッキーすこぶる最低だ……」

 

「では、どうしましょうか? 三人共潰す?」

 いや怖いわ。雪乃の場合、疑わしきは罰せよだな。

 

「そもそも、グループは三人って決まってるんだしどうしようもないんじゃ……」

 結衣の言葉に顔を暗くする四人。

 

「ん? なんでそんな悩んでいるんだ? 俺達の代は別に場所の人数制限は無かったんだが変わったのか?」

 なんかみんなキョトンとしてるな。まさか気づけなかったのか? 

 

「はぁ……盲点だったわね。複数の班で同じ場所へ行けば人数の問題は消えるわ。チェーンメールも自ずと無くなるでしょうね」

 解決方法が見つかった葉山くんは笑顔で帰って行った。雪乃は「こんな、簡単な事だったなんて……」と気づけなかった事にかなりショックを受け、結衣に慰められていた。うん、ドンマイ! 

 

 




狩る雄様、誤字報告ありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。