やはり先輩の青春ラブコメはまちがっている   作:チキチキ

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魔王からは逃げられないのは常識である

 皆さんは日曜日の朝はどうお過ごしでしょうか? 

 朝早くに起きる人、昼まで寝る人、もしかしたら夕方までダラダラベッドに寝っ転がっている人もいるかも知れません。

 そう! 休日の過ごし方は人それぞれ。みんな違ってみんないいんだ! つまり、このまま二度寝しても問題はないという事だ! 

 

 あれからなんとか結衣を励まし、就寝出来たのは深夜1時過ぎだったし、ぶっちゃけまだ眠い。

 では、おやすみなさい。

 

 pipipi、pipipi

 

 誰だ? えっと……<魔王>ブツっ! ツーツーツー

 俺は何も見ていない。よし! 寝よう。

 

 ピンポーン♪ 

 

 ハーイ、アラハルノチャンジャナイ。

 オハヨウゴザイマス。ケンムカエニキマシタ。

 アラソウナノ? イツモワルイワネ〜ニカイニイルトオモウカラ、ツレテッチャッテイイワヨ。

 アリガトウゴザイマス。オジャマシマス。

 

 な、なんだと!? 早すぎるだろ! クソっどうすれば……

 

 トントン

 

「ケン? 入るわよ〜」

 魔王の襲来を察知した俺は人間の限界値とも言えよう反応速度でドアノブをおさえる事に成功した。

 

 ガチャガチャ

 

「ちょっとケンっ! 開けなさいよ!」

 なんて恐ろしい奴だ。ドア越しに伝わる圧がどんどん大きくなってきやがる! 

 

「開けるわけねぇだろうが! とっとと帰れ!」

 

「はぁ!? 私が来てあげたのよ開けなさい! というか、さっき電話切ったでしょ! ちゃんと出なさいよ!」

 なんて自意識過剰なんだ! 貴様からの電話なんざ不吉の象徴でしかないわ! 

 

「着信拒否してないだけありがたく思え! っつか、呼び鈴前で電話するじゃねぇよ! メリーさんかてめぇ!」

 

「………………あけろ」

「あ、はい」

 ハッ! しまった!? 

 

カチャ

 

「ふふっおはよーケン♪ お姉さん会えて嬉しいぞ♪」

 なんてこった……すげー綺麗な顔なのに目が笑ってねぇ。まるで暗殺者のそれだ……

 

 こいつは雪ノ下陽乃。総武高校OGであり雪ノ下雪乃の姉、俺が一年の時に、当時三年だったこいつに目をつけられ、それ以来こうしてかまってくるようになった。クソみたいに高いスーツを押し付けてきた道楽者の金持ちとはこいつのことだ。

 

「……何の用だ」

 

「もう、せっかちだな〜久しぶりに会えたんだから喜びなさいよ。今ならハグまでオッケーだゾ♪」

 ウインクすんな! はっ倒すぞ。

 

「○ね」

 

「あっはは。ほんとケンは面白いなぁ私にそんな態度とる子ふつーいないよ?」

 見てくれだけは良いからなこいつ。強化外骨格みてぇな外面で中身は一切見せないから、女神だなんざ言って騙される童貞共を見ているといっそ哀れに思うな。しかも、タチが悪いのがドブ川みてぇな性格が露見してもカリスマだと誤認させ、更に信者を増やすところだ。

 

「今日暇でしょ? 買い物行くから付き合って」

 

「信者でも連れていけば良いだろ。どうせ大学でも手駒を増やしてんだろうが」

 

「人聞き悪いなぁあれは勝手に寄ってきてるだけよ。それに、いざって時に守ってくれないとね」

 魔女みてぇにケラケラ笑うんじゃねぇよ怖いわ。

 はぁ……乗り込まれた以上どうせ断れないし覚悟決めるか。グッバイマイベット。

 

 

 あれからショップモールを連れ回され、やっとカフェで一息つく事が出来た。きっと今の俺は八幡に負けず劣らず腐った目をしていることだろう。なんで女ってあんな買い物長いの……

 

「ねぇちょっと聞いてるのケン?」

 

「聞いてねぇよ」

 

「そこで素直に答えちゃうから駄目なんだよねぇ。全く女心を分かってないんだから」

 うるせぇ、この態度はお前限定だわ。

 

「試着しても可愛いしか言わないしさ〜そんなんじゃ彼女になってあげないゾ♪」

 お前みたいな彼女はこっちから願い下げだわ。両手に荷物持たされ何件もハシゴされ挙句の果てには周囲に気をつけなくてはいけない、いやこれSPじゃん! 

 

「お前なんざいらん。俺は陽乃お嬢様の護衛じゃないんでね、気の利いた事を言われたいなら家来と買い物に行くんだな」

 

「ん? アハッ♪ やっと陽乃って言ってくれた」

 こいつ耳腐ってんのか!? 都合のいいこと以外聞き流しやがって。

 チラッと時計を見ると11時半過ぎ、そろそろ飯時か。

 

「昼飯食べに行くか。陽乃は何食いたい?」

 

「ん〜ぶらぶら歩きながら決めよっかな♪」

 ちょっ! 腕組むんじゃねぇよ!? クソったれやっぱ美人だなコイツ、なんかいい匂いするし頭クラクラして来た。やべぇ……平常心だ平常心。間違っても手を出すんじゃねぇぞ俺! 出したら最後、その後の人生奴隷確定だ! 

 

 なんとか鋼の理性で耐え続けていると不意に陽乃が俺から離れた。た、助かった……

 

「あれ? 雪乃ちゃん? やっぱ雪乃ちゃんだ〜♪」

 陽乃が小走りで若い二人組に近づいていく。あれ? 八幡と雪乃か? 雪乃めっちゃ嫌な顔しとるなぁ、どんだけ陽乃嫌いなんだよ。まぁ分かるけど……

 

「もしかして雪乃ちゃんもデート? デートだな〜このこの〜」

 

「そんなんじゃないわ。暑いから離れてくれるかしら」

 

「ちぇ〜つれないなぁ」

 陽乃が怒濤の勢いで二人を弄り倒してる。ああなったら気がすむまで止まらないから諦めるこった。

 おぉやっと俺に気付いたか、やっはろー! 

 

「……なぜ姉さんと蒲生先輩が一緒にいるのかしら」

 すっごく冷たい目で俺を見てくる。そんな雪乃を見た陽乃の目が怪しく光った。うわぁもうおしまいだ……

 

「え〜さっき言ったじゃない。雪乃ちゃんもデートなの? って♪」

 ニヤニヤしながらまた陽乃が腕を組んできた。もう止めて! 雪乃からのプレッシャーがどんどん強くなってるから!? 

 

「可笑しいわね、今日は大切な用事があるからと私の誘いを断った筈よね? どういうことか説明して貰えるかしら蒲生剛健先輩?」

 何でフルネームなんですかねぇ心の距離が一気に遠くなったんじゃない? かなしみ……

 しっかしマズったな〜確かに昨日雪乃からメールが来て、めんどくさいから適当に返信したんだった。

 

「もうケンったら、そんなに私とのデートが大切だったの? ようやくデレたかこのこの〜♪」

 余計なこと言うな貴様ぁ! コレはお前が押し掛けて来たからだろうが! 

 雪乃がゴミを見るかのように冷たい目になってるし、八幡なんてごく自然にフェードアウトしてったぞ。陽乃の目を掻い潜るなんてやるじゃないかステルズヒッキー! 

 

「……あれは雪乃達がちゃんとプレゼントを選べるように気を回しただけだ。センスはどうあれ自分の為に選んでくれただけでも嬉しいものだからな」

 

「別に一緒に来てくれても良かったじゃない……」

 そんなせつなそうに見ないでくれ……

 

「駄目だよ雪乃ちゃん。それは甘えだよ」

 唐突に陽乃の声が冷たくなる。この思わず背筋がゾッとしてしまう暴力的なオーラ。これこそが雪ノ下陽乃の本性なのだろう。

 

「……陽乃、そろそろ行こう」

 俺が声をかけると、先程までのオーラは無かった事のように満面の笑みを見せてくれた。

 

「そうだね、じゃあ行こっか♪ またね〜雪乃ちゃん」

 

 はぁまたフォローしないとな……

 朝っぱらから陽乃に拉致され買い物に付き合わされ修羅場に遭遇する……もう本当に、なんて日だ!

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