やはり先輩の青春ラブコメはまちがっている   作:チキチキ

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人はそれをなんと呼ぶか

 HRも終わり、俺はルンルン気分で部室へ向かっていた。今日はまさにスーパーめぐりんデー朝から調子は絶好調! こんな素晴らしい日はないとすら思っていた。

 

 そう、俺は忘れていたのだ。部室に向かっている事の意味を……

 

 ガラガラ

 

「こんにちは蒲生先輩、待ってましたよ」

 ……しまったー!? そうじゃん部室の鍵は雪ノ下が取りに行くんじゃん! つまり、俺が着く頃にはいるって事ではないかー!! 

 

「蒲生先輩、正座」

「あ、はい」

 ダレカタスケテ-

 

 

 比企谷八幡side

 

 俺は平塚先生に連行されあの謎の部に向かっていた。肘関節を極められ、高二病扱いまでされ、あの女帝の下に運ばれる訳だ。気分はドナドナ今度こそ学校生活に絶望してしまいそうだぜ。

 

「全く君はひねくれ者だな。そんな君から見て、雪ノ下雪乃はどう映る?」

「嫌な奴」

 即答した。昨夜、俺の絶対許さないリストに刻まれた女だ好きなわけがない。

 

「そうか」

 平塚先生は苦笑した。

 

「あの子は非常に優秀な生徒ではあるんだが……。まぁ、持つ者は持つ者でそれなりの苦悩があるのだよ。けれど、とても優しい子だ」

 どこがだよ。心の中で舌打ちした。

 

「きっと彼女もやはりどこか病気なんだろうな。優しくて往々にして正しい。だが世の中が優しくなくて正しくないからな。さぞ生きづらかろう」

 まぁあいつの事はどうでもいいが、世の中に関してはおおむね同意できるな。

 

「では、蒲生剛健はどう見る?」

 

 

「まぁパッと見ゴツいっすね」

 ぶっちゃけそれしか思いつかん。あまり喋るタイプではないのか口数は少なく、こちらが見上げるくらい背が高く筋肉質なのか制服はピッチピチだ。それ故にかなり威圧感を感じる。

 雪ノ下が氷の女帝なら、彼は戦乱の覇王であろう。べ、別にビビってねーし! 

 

「ふっ彼も非常に優秀な生徒なんだがな〜あの見た目故に周りからは敬遠されている」

 まぁ下手したら女子は泣き出しそうだしな

 

「ああ見えて頭の回転は早く、面倒見のいい男なんだがな。ふっ君とは話しが合うかもしれんな」

 

 

「だと良いですけどね」

 

 

「っと、ここまで来れば君も逃げんだろう。私は仕事に戻る、励めよ」

 

 

「ッス」

 特別棟まで来たからか平塚先生は帰って行った。

 はぁしょうがないから行きますか。

 

 

 ガラガラ

 

「……うす」

 扉を開けると、とんでもない場面に出くわしてしまった……正座している蒲生先輩に雪ノ下が罵声をあびせているのだ。どうやら覇王より女帝の方が上のようだ。

 

 

 比企谷八幡sideout

 

 

「いや、なにしてんの? てか、この距離でシカトかよ」

 おぉやっと比企谷くんが来てくれたか。

 

「あら、随分なご挨拶ね。どこの部族の言葉かしら?」

 

「コンニチハ」

 

「えぇこんにちは。まさか来るとは思わなかったわ。もしかして貴方もマゾヒスト?」

 

「いや、雪ノ下別に俺はマゾでは「蒲生先輩、貴方に発言の許可を出した覚えは無いのだけれど」……はい、すみません」

 

「俺もマゾじゃねぇよ! とんでもない性癖捏造しないでくれるかな!?」

 比企谷くん達の夫婦漫才が始まった。これはチャンスだ、頭脳をフル回転させ雪ノ下から許しを得る方法を探し当てるのだ! 

 

 

「そもそも貴方は……」

 ヾ(・ε・)チョイチョイ

「何ですか蒲生先ぱ……い……?」

( ─ ・ω・)─スッ

 にゃんこピクチャー ~路地裏のアイドル~

 

 雪ノ下は静かに写真を胸ポケットに仕舞うと

 

「……今回の件は不問とします」

 決まった!! もしもの為にポケットに忍ばせておいて良かったぜ。

 

「今、ものすごく自然に賄賂を贈っていなかったか?」

 比企谷くんがなんか言っているが聞かなかった事にしよう。

 

「はぁしかし先輩にまでこの態度って、雪ノ下お前友達いんの?」

 まぁこんな上から目線ナチュラル見下し女が真っ当な人間関係など構築できるわけないしな。

 

「……そうね、1人ならいるわ」

 

「えっマジかよ」

 

「おあいにくさま貴方とは違って友人がいるのよ」

 やけに勝ち誇った言い方するなぁこいつ

 

「けっ1人じゃねぇか、誤差だ誤差。四捨五入も知らねぇのかよ」

 考え方がひねくれ過ぎだろ

 

「あら? 負け犬の遠吠えにしか聞こえないわね」

 

「っつーか、お前みたいな人気者が1人しか友達いないとかどうなってるの?」

 

「……貴方にはわからないわよ」

 機嫌が悪くなったのかそっぽを向く雪ノ下、地雷か? 

 

「ねぇ比企谷くん、貴方の周りに常に女性に人気のある人がいたらどう思う?」

「こ○す」

 いや、即答って。雪ノ下も満足気に頷いてるし

 

「ほら、排除しようとするじゃない? そういった行為でしか自身の存在意義を確かめられない哀れな人達だったのでしょうけれど」

 雪ノ下はハッと鼻で笑った。

 女子に嫌われる女性は確かに見たことがある。雪ノ下の場合、その類稀な美貌故に起こったのであろう。

 

「小学生の頃、60回程上履きを隠されたことがあるのだけれど、うち50回は同級生の女子にやられたわ」

 

「女性の闇は深いな」

 

「そうッスね先輩、あと10回が気になるな」

 

「男子が隠したのが3回。教師が買い取ったのが2回。犬に隠されたのが5回よ」

 

「犬率たけぇよ」

 

「教師変態すぎるだろう」

 

「おかげで私は毎日上履きを持って帰ったし、リコーダーも持って帰るはめになったわ」

 うんざりした顔で語る雪ノ下に、同情してしまった。

 

「でも、それも仕方がない事だわ。人はみな完璧ではないから。弱くて、醜くて、すぐに嫉妬し、時に蹴落とし、時に引きずりおろそうとする。不思議なことに優れた人間程生きづらいのよ。この世界は。そんなのおかしいじゃない。だから変えるのよ、人ごと、この世界を」

 きっと、雪ノ下は本気なのだろう。他人と協調し合えば楽だと分かっていながらもそれをしない。

 人はそれを頑固だと、融通が効かないと非難するであろう。

 されど、雪ノ下は己が意思貫き通すのであろう。それがなんともいじらしく可愛らしく、そしてかっこいいと思ってしまった……

 

 比企谷くんも何やら考え深そうにしているなぁ

「なぁ、雪ノ下。なら、俺が友「ごめんなさい。貴方は無理」

「えーまだ最後まで言ってないのに〜」

 比企谷くんが秒で切り捨てられていた。まぁしょうがないよ雪ノ下だもん。

 それより俺は? 比企谷くん? まだ俺、言われて無いですけど〜!

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