やはり先輩の青春ラブコメはまちがっている   作:チキチキ

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彼女は何も分からない

 今日も今日とて奉仕部へ、最近では比企谷くんも本を持ち込むようになり、3人仲良く並んで読書タイム。あれ? ここって文芸部でしたっけ? 

 

 

 コンコン

 

 ん? 依頼人かな? 

「どうぞ」

 雪ノ下はページを繰る手を止め、栞を挟み込むと扉に向かって声をかけた。

 

「し、失礼しまーす」

 からりと戸が引かれ、周囲をうかがうようにして彼女は入ってきた。肩までの茶髪に緩くウェーブを当てて、歩くたびにそれが揺れる。ん? 茶髪? ピンクじゃね? 

 そんなパッと見、お団子が特徴的な今どきJKな彼女は俺と目が合うと、ひゃっと小さく悲鳴をあげ涙目になった。……お兄さんの方が泣きそうだよ

 

「な、なんで蒲生先輩とヒッキーがここにいんのよ!?」

 ヒッキー? あぁ比企谷くんか。って事は知り合いか? 

 

「……いや、俺ここの部員だし」

 

 

「まぁとにかく座って?」

 まぁそうだな。俺はさりげなく椅子を引き、彼女に席を勧める。ふっこれこそ紳士の嗜み、だから俺が近づいただけで悲鳴あげないで? 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

「由比ヶ浜結衣さんね」

 

 

「あ、あたしの事知ってるんだ」

 彼女はパッと表情を明るくする。まぁ名前知っていて貰えるって嬉しいもんね

 

「よく知ってるなお前、もしかして全校生徒覚えてるんじゃね?」

 

 

「人心掌握の一環なんだろう」

 

「えぇ……怖すぎだろお前、まさかとは思うが俺も「それはないから安心しなさい。貴方の心なんて掌握したくないもの。げんに貴方の名前なんて知らなかったでしょう?」

 

「……さいですか……」

 

「なんか楽しそうな部活だね!」

 めっちゃ目をキラキラさせているけど、この子の頭ん中どうなってるの? お花畑かしら? 

 

「別に愉快ではないけれど……」

 雪ノ下が不機嫌になったのを感じ取ったのか由比ヶ浜はあわあわしながら両手をぶんぶん振る

 

「あ、いやーなんていうか生き生きとしてるっていうか。ほら、そのー、ヒッキーもクラスにいる時と全然違うし」

 

 

「そういえばそうだったわ。由比ヶ浜さんもF組だったわね」

「えっそうなん?」

 

「……まさかとは思うけれど、知らなかったの?」

 えぇ……比企谷くんそれは無いわ〜

 

「し、知ってるよ」

 

「……なんで目逸らしたし」

 由比ヶ浜さんがめっちゃジト目になってる。

 

「そんなんだから、ヒッキー、クラスに友達いないんじゃないの? キョドり方、キモいし」

 辛辣〜! これは後からじわじわくるタイプですね。

 

 

「……このビッチめ!」

「はぁ? ビッチって何よっ! あたしはまだ処ーう、うわわわ! なんでもないっ!」

 これは、ただのアホの子なのでは? 

 

「比企谷くん、セクシャルハラスメントで訴えられたく無かったら3時間程黙っていなさい」

 

「はぁ流石に言い過ぎだ比企谷、由比ヶ浜さんも少し落ち着きなさい」

 俺はそう言って紅茶とお茶請けを並べた。

 

「紙コップで申し訳ないが紅茶は嫌いではないかね?」

 

「あ、ありがとうございます。ふわっ凄く良い香り♪」

 どうやらお気に召したようだな。雪ノ下と比企谷くんの分も用意すれば依頼を聞く準備は整った。

 

 

「ふぅ。あのさ、平塚先生から聞いたんだけど、ここって生徒のお願いを叶えてくれるんだよね?」

 ひと息ついたのか、由比ヶ浜さんはそう切り出した。

 

「少し違うかしら。奉仕部はあくまで手助けをするだけ、願いが叶うかはあなた次第」

 

「どう違うの?」

 怪訝な表情で由比ヶ浜さんが問う。

 もっと分かりやすく説明した方が良さそうだな

 

「飢えた人に魚を与えるか、魚のとり方を教えるかの違いだな。結果を与えるだけだと、次に問題が起こった時に自分で解決出来なくなってしまうからな」

 

「な、なんかすごいね!」

 ほへーとしながらも、由比ヶ浜さんは目をキラキラさせながらそう答える。

 この子、本当に理解出来てるのかな? ちょっと不安。

 

「必ずしも由比ヶ浜さんの願いが叶う訳では無いが、出来る限りの手伝いはするよ」

 

「あ、ありがとうございます。え、えとクッキーを作りたくて……」

 

「それは、贈り物かな?」

 

「は、はい。手作りが良いなって……でもちょっと自信なくて……」

 ちょっと伏し目がちにそう答える。

 

「お前友達いるじゃねぇか。そいつらに頼めよ」

 

「う……そ、それはその……あんまり知られたくないし、こういうことしてるの知られたらたぶん馬鹿にされるし……こういうマジっぽい雰囲気、友達とは合わない、から」

 

「まぁ良いじゃないか。雪ノ下の調理技術はなかなかのものだ。教えを乞うには最適な人材だろう、俺達はそのサポートをすればいい」

 

「まぁ部長がそういうなら……」

 

「それでは決まりだな。俺は家庭科室の鍵を取りに行くから先に行っといてくれ」

 

「わかりました。それでは由比ヶ浜さん、比企谷くん行きましょうか」

 そういうと立ち上がり3人で家庭科室へ向かって行った。

 さてと、新生奉仕部の初依頼だ、いっちょ気合いいれていきますか! 

 

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