先日の一件で連絡先を知らないと不自由だということになり、結衣とLINEを交換した。
結衣は余程嬉しかったのか、早速奉仕部のLIN○グループを作り雪ノ下と俺を誘ってくれた。あれ? ヒッキーは?
そして放課後、久しぶりに生徒会の手伝いをしていたから少し遅れてしまったな。
途中で比企谷くんと合流し部室に着くと、雪ノ下と結衣がドアの前で何やらコソコソしていた。
「何してんの?」
「ひゃうっ!」
余程驚いたのかびくびくぅっ! と2人の身体が跳ねる。
えっ何それ超可愛いんですけど。
「比企谷くん……び、びっくりした」
「あっ良かった〜ごー先輩来てくれた!」
「何かあったのか?」
「部室に不審者がいるの。おそらくお手洗いに行った隙に入り込んだみたいで……」
えっそれヤバくね? マジのやつじゃね?
「その……蒲生先輩、中に入って様子を見て来てくれるかしら。貴方だけが頼りなの」
雪ノ下が不安気にこちらを見てくる。身長差もあって絶妙に上目遣いになっていて思わずときめいてしまった!
「任せろ」
俺はそのまま勢い任せに扉を開いて中に入る。
そこに居たのは季節外れのコートを身にまとい、必要性皆無の指ぬきグローブをはめた男の姿。
やっぱガチのヤツじゃねぇか!?
「おい! 貴様そこで何をしている!」
声を荒げながら近づくと男は驚愕の眼差しを向け、ぶるぶる震えだした。
「ヒィっ! あの……その……ワレハ……」
「あぁ? 何ごちゃごちゃ言ってんだ?」
「ブヒィッ!?」
なんなんだこいつは? 白目剥き始めたぞ。
すると、不意に俺の背後に目をやり、何かを見つけたのか顔に生気が戻って来た。
「は、はちまーん! 助けてはちまーん!!!」
なんだ? 比企谷くんの友達か?
そこから比企谷くんにバトンタッチし話しを聞く事になったのだが、少し手間取っている。
彼は材木座義輝というそうだが、まぁなんだ所謂中二病患者であった。そして典型的な内弁慶タイプであり女性恐怖症の感じもする。雪ノ下や俺が話しかけても比企谷くんに返事をするため話しが進まないのだ。
「あなたいい加減にしなさい。人が話しているときはその人のほうを向きなさい」
痺れを切らした雪ノ下が材木座くんの襟首を掴んで無理矢理顔を正面に向けさせた。まぁ君、礼儀作法にうるさいしね。
「……モ、モハハハハ。これはしたり」
「その喋り方もやめて」
「あ、はい……」
あれ完全に素だな。
「はぁ蒲生先輩、どうしましょうか?」
うーむ、そうだな〜
「が、かもう? まさか、あの蒲生氏郷か!」
なんだ? 急にテンションあがったぞ?
「あ、あぁ。一応俺の先祖だな」
「なんと!? これはまさに運命! フハハハハ!!」
何こいつマジキモイんだけど
「ねーヒッキー、がもーうじさとって誰?」
「ん? あぁ蒲生氏郷ってのは、かの織田信長公がその才に惚れ込み次女を嫁に送ったエピソードが有名だな。元々蒲生家は六角家に仕えていて六角義治と将軍足利義輝の妹の婚儀を進めていた事もあったらしい。
まぁつもり材木座の設定のベースになった人と深い関わりがあった人の子孫が蒲生先輩って訳だな」
「へーなんかよく分かんないけど、蒲生先輩が凄いってことは分かった!」
「いや、違うがぁ」
「驚いた、詳しいのね。流石同類ってところかしら」
「おい、やめろ。あんなのと一緒にするな! 詳しいのは俺が日本史選択だからだよ? 信長の野望やってたからだよ?」
なんか、あっちは賑わってるなーこっちは全然材木座くんの話しが終わんないんだけど。
ふと足元に何か落ちているのが見えた。
「これって……」
「うむ、流石は蒲生氏。言わずとも通じるとはまさに幕臣の鏡である」
うん、ホントやめてそれ
「実はとある新人賞に応募しようと思っているのだが、友達がいないので感想が聞けぬ。読んでくれ」
「何か今とても悲しいことをさらりと言われた気がするわ……」
確かに、あんなウザかった材木座くんがちょっと可哀想に思えてきたし。
「投稿サイトとかで晒せよ、なろうとかハーメルンとかあんだろ」
「それは無理だ。彼奴等は容赦がないからな。ボロくそ叩かれたら多分死ぬぞ、我」
……心弱ぇ〜まぁ気持ちは分かるけど。
「材木座くんの依頼は承った。職員室でコピーを取ってくるから少し待っていてくれ。その後、各自持ち帰り明日感想を伝えるってところでいいだろうか?」
「うむ、それでは任せたぞ蒲生氏。フハハハハ!」
材木座くんは帰って行った。はぁ疲れた……