時系列は戻り 冬 雄英高校
「単刀直入に言わせていただきます この俺が雄英で教鞭を取る条件は一つ 来年度の入学生として俺の提示した生徒を一人 合格させること それだけです」
国立雄英高等学校の校長を務める根津校長はこのイタリアから来たヒーロー シーザー・A・ツェペリの提案を受け入れるかどうか苦慮していた 彼の提案 すなわち不正入学 裏口入学をまさかこの雄英がしていたことが世間に露呈でもすればスクープどころの話ではない 常識的にはあり得ない提案だった 普通であれば間違いなく断る案件であろう。
しかしこの彼の個性...いや技術は雄英としては喉から手が出るほど欲しいものであった。
彼の持つ技術 波紋呼吸法 世間一般にはまず知られていないこの技術はどうやら彼が編み出した技術であるそうだ 攻撃の手段としてはもちろん極めれば老化を遅らせたり身体能力の一時的な向上...さらには人体に対する治癒効果もあるというのだ。
そんな技術を持っている男を しかも生徒の中に素質がある者にはこの技術を教えてもいいと言っているこの男をこのまま手放すという選択肢はあり得ない
実際回復系の個性は貴重だ 雄英ですらリカバリーガール一人に頼り切っていることを考えれば波紋法の技術は絶対に手に入れたいところである。
「君の話は分かった ...で君が提示するその生徒ってどんな人なのさ?」
「・・・よかったんですか校長 あまり合理的な判断とは思えませんが」
相澤消太...ヒーロー名 イレイザー・ヘッドがそう問いかけてきた
「しょうがないさ あの彼の持っている技術はどうしても欲しいものなのさ だからと言って雄英が裏口入学という不正に手を染めるわけにもいかない これは折衷案なのさ」
結局のところあの提案 裏口入学に対してはYesと返事することは出来なかった その代わり提示された人物 ジョディ・ジョンストーンを特待生枠として受験させることで彼に納得してもらった形になった。
無論これ自体問題ではあるのだが裏口入学よりは数倍マシな選択であろう 金銭受け取りなどは発生していないため収賄罪に当てはまるかどうかは微妙なところだがまず間違いなく背任罪には当てはまる事案
厳密にいえば今回の件ももしかしたら当てはまるかもしれない だが彼の言うことを信じるなら彼女、ジョディ・ジョンストーンも波紋の技術を持っているらしい
そうであるならば有資格者もしくは特殊な技術を持っているものを特待生枠として扱うのは何とか可能である もちろん波紋呼吸法などと言う国家資格は現状無いのだから彼女を特待生枠として扱うのに全く問題がないわけではない。しかし裏口よりは遥かにマシな選択肢 これが折衷案
最もこのグレーゾーンのせいで1人 来年度の受験で本来合格になっていた人物が落ちてしまうことも意味していた
来年度は例外的に1-Aか1-Bのクラス人員を21名にする必要があるかもしれない 例外的な特待生合格者の拡大 あるいは留学生枠の拡大
しかしシーザー・A・ツェペリとジョディ・ジョンストーン...彼等には、いや厳密にはジョディの方にはまだ会っていないのだが...とにかく彼等には何か別の目的があるのではないか そんな考えが根津校長の頭に過っていた。