雄英高校 職員室
※オールマイト視点
1-Aの担任は相澤君か...こりゃいきなりどでかい受難...
彼は去年の1年生1クラス全員除籍処分にしている...見込みゼロと判断すれば迷わず切り捨てる...緑谷少年にいきなり乗り越えなくてはならない試練が襲い掛かるかもしれない。...確か直ぐにでも個性把握テストが行われるはず...この後時間が空いているので見に行った方がいいかもしれない。
そんなことを考えていると職員室の扉が開く音が聞こえていた、入ってきた人物...それはイタリアから来たヒーロー シーザー・A・ツェペリ先生その人であった。
彼と実際に会うのは今日が初めてである...新学期が始まる前は彼は何やら忙しかったらしく学校で顔を合わせる機会には恵まれなかったのだ。何やら彼はいきなり生徒の授業を受け持つわけではないようだ...人から聞いた話ではリカバリーガールと何かよく話をしていたらしい。
そこのところも含めて一度彼から話を聞かなければならないと思っていた...そしてもちろんあの留学生として雄英に来たジョディ・ジョンストーンにも...
まさか彼女までここに来るとは思ってもいなかった...間違いなくあの2人には何か関係があるのだろう...もしかしたら私と緑谷少年のような何かが...
「君がイタリアから来たシーザー・A・ツェペリ先生...で間違いないかな?」
「ええ、そういう貴方は日本のトップヒーローであるSignoreオールマイト、挨拶が遅れて申し訳ない、以後お見知りおきを。」
「ああ、こちらこそよろしく...でいきなりなんだがいくつか君に聞きたいことがあるんだが...今時間の方大丈夫かい?」
「少しだけなら大丈夫ですよ...でこの俺に何が聞きたいんですか?」
「もしかしたら君はあまり話したくは無いのかもしれないが...例のジョディ少女と君の関係についてなんだが...」
「...ただの弟子ですよ。波紋呼吸法についてはご存じで?」
「ああ、話だけなら。なんでも人体の治癒や攻撃に使用できるとてつもなく便利な呼吸法だとか...」
波紋呼吸法...まだ自分の目で確かめたわけではないがそんな技術が身につけられたらかなり戦闘の幅が広がることは間違いない...特に自らの体を回復させることが出来るのならばワン・フォー・オールとの相性は抜群...もし緑谷少年がその呼吸法を習得できれば私よりもワン・フォー・オールを上手く使いこなすことが出来るかもしれない。
「ええ、そうです。彼女には才能が有ったのでこの俺が波紋の技術を教えました...それだけです。」
「ではDIOという名前については何か知っているのではないか?」
「ッッ!!」
DIOと言う名前を出した瞬間明らかに彼の雰囲気が変わるのを私は感じ取った...やはり彼等とDIOには事件の被害者と加害者以上の何かがあると私は確信した。
「...失礼ですがその名前をどこで?」
「数か月前に私はそのDIOと戦ったのですよ...最も向こうは小手調べのつもりだったのか直ぐに立ち去ってしまいましたがね...」
実際DIOはあの時気になることを言っていた...傷の回復具合がどうとかまだこの私に存在してもらったほうが都合がいいだとか...傷の方は分からないが最後の言葉は負け惜しみの言葉とは思えない...まだまだDIOは余力を残しているように私は感じている。それに彼の個性に関しても断片的にしか分かっておらず殆ど不明なのだ。
しかしこの私にまだ存在してもらっていた方が都合がいいという言葉が本心だとしたら一体どういうつもりなのだろうか?自画自賛になってしまうがこの私は今まで平和の象徴として君臨してきた...その私に存在してもらったほうが都合の良いヴィランとは一体...
他のヴィラン達が今活動しにくい時期にDIOが裏の世界で勢力を拡大でもする腹積もりなのか...
実際そうなのかもしれない...奴が倒れて以降、裏世界の主は不在...DIOはもしかしたらそんな裏世界を掌握するつもりで今も行動しているのだろうか?
だがそれ以上に嫌な予感もする...本当にDIOが手に入れようとしているものは裏社会だけなのだろうか?
「なら言わせてもらいますが...もうこれ以上DIOに関わるのは止めた方がいいと一応警告しておきます。平和の象徴に余計なお節介なのかもしれませんが...」
「残念ながらそれは出来ない...君もヒーローなら分かるだろう?それにこのまま奴を放置しておけば嫌でも関わることになる。DIOは恐らく既に大規模な組織を保有している可能性が高い...何を企んでいるかはまだ憶測の段階だが...シーザー先生はもうDIOが何を考えているか見当がついているんじゃないですか?」
「...ええ。しかしそれを今話すことは出来ません。失礼かもしれませんが私たちは誰も信用できない状態にあるのです...警察も他のヒーローも含めて信用できないのです。」
彼の意志は固かった...どうやらこれ以上今は話を聞き出すことは出来ないようだった。だが何も収穫が無かったわけではない...まず彼らが自分たち以外の人間をかなり警戒しているという点だ...これは以前塚内君からも聞いてはいたがなぜそこまで警戒するのだろうか?考えられるとすれば既に警察やヒーローの中にDIOの協力者や仲間が存在しているという可能性だ。実際かつて存在したとある大物ヴィランの思想に感化されたヒーローや警察関係者が存在しているとの噂は聞いたことがある...内部にDIOの協力者がいないとは断言できない。だがDIOはその大物ヴィランとは違いまだ一般には知られていない存在なのだ、DIOの思想も現在は不明...これでは感化しようが無い...
それなのに彼らは警察や他のヒーローを警戒している...もちろん慎重になっているだけなのかもしれないがそれ以上の理由、まるで内部に協力者が存在しているのが当たり前だと彼らが考えているとしたら?
もしやDIOは何か人を操る術を持っているのではないのだろうか?それが彼の個性か...あるいは先ほど話題に出た波紋呼吸法のような技術なのかは分からない。だがそうだとしたら...
あり得ない話ではない、現に洗脳と言う個性を持った生徒が1人普通科に入学していると聞く...
少なくとも個性で人を限定的ながら操ることは可能なのだ。DIOの個性はもしかしたらそのようなものなのか...いやそれではあの時の戦いは説明できなくなってしまう。
謎は深まるばかりであった...まさかDIOは個性の複数使用が出来る存在なのであろうか?奴と同じように...