雄英高校 保健室
個性把握テスト...最下位の者は除籍処分にするという相澤先生の合理的嘘に僕はまんまと騙されてしまった。でも嘘でよかった...もし本当なら僕は今頃除籍になってしまっていた。
指先にのみワン・フォー・オールを発動させ何とか最後の種目だけでも好記録を出すことが出来た...それがたぶんあの場での最善だったと思う。個性の調整が出来ない状態で行動不能にもならず記録も出さなくてはいけないという状況の中での最善策...早く調整が出来るようにならないと...
そう、行動不能になってはいないというだけで指は怪我してしまっているのだ...個性を発動するたびにこのざまではこの先お話にならない。僕は今この怪我を治すために保健室を訪れていた...雄英高校を陰から支える存在であるリカバリーガールの元へ僕は訪れていた。
保健室に入るとそこにはリカバリーガールともう一人外国人らしき人物が存在した...特徴的なバンダナをつけたブロンドの男性...生徒には見えなかったので恐らくこの人も先生か?少なくとも僕の記憶にはこんなヒーローはいなかったような...もっとも相澤先生ことイレイザー・ヘッドのこともついさっきまで忘れていたので単純に僕が忘れているか知らないだけなのかもしれないが。
「おや、怪我人みたいだねぇ。さあ早速働いてもらおうかね。あんたが来てくれておかげで私はこれから楽が出来そうだね」
「えっ!?って言うとこの先生も...」
「シーザー・A・ツェペリだ」
「シーザー先生...先生も回復系の個性なんですか?」
「いや違うな、まあいいからとにかく怪我を見せてみろ...このまま治してもいいが君に才能があるかどうか試してみるか...」
そういうと彼は僕の横隔膜付近に手を突き刺してきたのだ!
「えっ!?ウアッッ...」
いきなり何をしてくるんだこの先生は!!苦しい...息が出来ない...
僕はリカバリーガールの方を見て助けを求めるが彼女の反応は珍しいものを見物するような態度でありとても助けてくれそうにはなかった。
声も出せない...何が起こっているのか僕は理解できなかった、しかし数秒後...肺の中の空気をあらかた出してしまった頃合いにそれは起こった。
「なにこれ...指が治っている!?」
ほとんどそれ自体に痛みは無かった...先ほど怪我をした指がなぜ回復したのか...それは今この先生が僕にしたことに関係があるのだろうけど...
「ほう、見込みはありのようだな。まあ校長との約束もあるしな...よし、もし君にやる気があるのなら波紋の技術を教えてもいいが...やってみるか?」
今日は結局あの個性把握テストのみで授業は終了した、初日だからあの程度であろう。
まああの合理的虚偽には少し驚いたけどもとより最下位を取るつもりもなかった。私の個性もそうだが波紋法によって身体能力を向上させることが可能...一つ一つの種目ではトップを取れなくてもトータルでは私の成績は上位に位置していたのだ。まあそれでもさすがは日本最高峰の学校...クラスメイトの何人かの個性はとても強力なように見受けられた。
特にあの轟という生徒の個性は群を抜いて強力に見受けられた...あの生徒だけは戦っても勝てる自信は今の私にはない。...あとそれとは対照的だけれど最後の生徒...自分の体が耐えられないようなパワーの個性を出す緑谷...とかいう名前の生徒も印象には残った。今はともかく使いこなせればかなり強力な個性になりそうではある。
まあでも結局人は人で私は私...他人の個性など関係ない。別に私はトップヒーローを目指しているわけではないのだ...誰かと競うためにここにいるわけでもない。
私の新たな力、なぜいきなりあの時から個性が成長したのか分からないがこの紫の茨...私はハーミット・パープルと名付けたこの個性と波紋で必ずDIOを倒す...最も個性だけに頼り切るつもりはない。
波紋はその性質上様々な伝導させることが可能なため他に武器を使用してもいいかもしれない...例えば今日担任の相澤という先生が使用していたマフラーのような布...ああいうものを個性と同時使用しても強力になるかもしれない。検討してみる価値はある。
私はそんなことを考えながら家路についていた、手に持ったペットボトルのスポーツドリンクを飲みながら歩いているとなんだか虫の羽音のようなものが聞こえてきたのだ。
上空を見上げると私の周りに数匹の大きな蜂が存在していた...その存在を私は以前ネットで見たことがある!!
それはオオスズメバチ 日本や東南アジアに広く分布するという大型のスズメバチである。その黄色と黒のストライプ模様は人間に警戒感や威圧感を与えるに十分...その外見は見掛け倒しではなく非常に高い狂暴性や強力な毒針により多くの人々に恐れられている...日本では年間数十人の人間がこの毒針に掛かり命を落とすという凶悪な蜂なのだ。しかし今は春...確かに冬眠から覚めてはいるだろがまだ繁殖はしていないはず...それなのにこの数は一体...
「やあ!ジョディさん!その蜂たちは僕が温室で去年から繁殖させたんだ!」
後ろからの声で私は振り返る...後ろに広がっていた光景に私は戦慄が走った。
なんと声の主を守るように周囲におびただしい数のオオスズメバチが滞空していたのだ!そしてその声の主に私は見覚えがあった...それはさっきまだ会ったばかりのクラスメイトの中の1人...
「貴方は...確か口田君...だよね?これは一体...」
「そう!覚えていてくれたんだ!嬉しいよ!...でも残念だけどジョディさんにはここで死んでもらわないといけないんだ。」
「えっ!?」
「本当はね...僕は虫が苦手なんだ。だけれどDIO様のおかげで僕は虫たちが好きになることが出来たんだ!友達になったんだよ!フフフッ...みんな可愛い僕の友達...この素晴らしい友達をくれたDIO様が君を殺せば褒めてくれるのさ!」
今こいつはDIOの名前を出した!間違いない...あの変態以降刺客を送り込んでこなかったけど再び奴は動き出した!しかしまさか雄英高校の内部にまでDIOの手下が潜り込んでいるとは...
「フフッ今の僕は口田甲司でありこの個性...生き物ボイスはDIO様に