M市S町〇丁目×番地
鈴木 速人くん(3)
〇×幼稚園
身長 99.6cm
体重 14.96kg
お心当たりの方は下記警察署までご連絡ください
〇×警察署
0xx-xxx-xxx
ある夏の日 昼下がりの公園
※緑谷出久視点
「ひどいよかっちゃん…! 泣いてるだろ…!? これ以上は僕が許さゃなへぞ!」
怯えながら強がって 啖呵を切ってみる これでかっこよくいけばいいのだけれど現実はそうじゃない。
人は生まれながらに平等じゃない ズタボロになりながら公園の地面に倒れこんで空を見上げる 嫌になるくらいきれいな青空が広がって太陽がやけに強くまぶしく感じた。
そう、世の中は平等ではない これがよわい4歳にして知った社会の現実
そんなことを考えていると公園の隅の風化した張り紙が目に飛び込んできた。
それは今から一年前くらいだったか 忽然と消えた同じ幼稚園の速人という男の子の行方不明者の情報提供を呼び掛ける張り紙だった。
当時けっこう大きいニュースになってテレビでも報道されていたくらいだった。
当時世間ではやれ親が犯人で山に埋めたんじゃないかとか某外国の国に拉致されたんじゃないかとかヴィランが関わっているなどの憶測が飛んでいたが一年もたてば皆の興味も消え失せてしまったようだ。あの張り紙のように事件そのものが風化して忘れ去られてしまうのだろうか...
結局今でもあの子は見つかっておらずどこで何をしているのか そもそも生きているのか不明なままである。
幼稚園の皆も彼のことなど忘れ去ってしまったようだ かっちゃんは彼のことを覚えているのだろうか?
いつも遊ぶグループが一緒じゃなかったから たぶんかっちゃんは彼のことなど忘れてしまっているのかもしれない。
僕も彼のことを忘れてしまうのだろうか?かっちゃんや他の幼稚園の子や世間の人々と同じように...
悲しすぎる現実だ
あの子とは仲が良かったわけじゃないけれど悪かったわけでもない
確かちょっと前にあの子とヒーローについて一緒に話し合ったことがあった
もちろんお互いに将来の夢はヒーローで、好きなヒーローについて話したり将来どんなヒーローになりたいかとか自分たちにどんな個性が発現するかとか、はたまたどんな個性が欲しいだとか...
もし彼が生きていればどんな個性が発現しただろうか?
彼に比べれば僕はまだ恵まれているのかもしれない いやそんな考えは良くないか...
僕はたとえ無個性でも夢をあきらめる気にはならなかった そうさ、周りの言う事なんて気にして自分に嘘をつくのは嫌だ そして彼のことも...
たとえ皆が忘れても 僕だけは彼のことを覚えていよう
再び空を見上げる 先ほどと同じように太陽が強く照り付け 雲は淡々と流れていく