魔法少女のマスコットみたいなのが異世界転移して悪の邪賢者に協力を求めたがダメ人間であった   作:バード鳥鳥

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僕の名前は魔法少女見つけて平和を取り戻すくん! 略してマヘク! そんな僕が何の因果か異世界転移したから助けてよ!

 急にサブタイトルで話し始めた謎の兎みたいな狐みたいな犬みたいなキメラに俺はドン引きしてしまったので、掴んで窓の外から投げ捨てた。

 

「ふう、居てはいけないものを見てしまったが続きだ」

 

 そうして俺は晴れやかな空を見ながら、スカイブルーの水着をつけた金髪美女が胸を強調して俺を挑発して来るピンクの魔本を見直し始めた。

 だが、俺は知っているのだ。これはまだ中級魔本。上級ともなればこの水着の下が全て露わになる。それでも中級のものを俺ほどの男が見てしまう理由は1つ、あえてレベルの低い本を見ることにより上級をもしのぐカタルシスを覚えることを知っているからだ。

 

 と思ったがやはり駄目だ。上級に慣れてしまった今、中級程度を見ていると逆にこの先が見れないことに苛立ちを覚える! くそっ、この中級魔本に出ている子が上級魔本に出てくれれば何も解決するというのに……! あーくそっ! やっぱこの世界はクソだ!

 

「クソが! そもそもこの娘が本から具現化して俺の元に現れないのがよりクソだ! ふざけやがってー! 魔物は出来て美女が出来ないってのはどういう事なんだよぬががががぁー!

 何が魔法は邪法、聖法問わずピンク色の効果を使うものは自動的に純愛系以外中級以下のシーンまでしか行われず、使ったものは死ぬかもしれないだよ! ふざけやがってー!

 死ぬレベルの攻撃はアリでなんでピンク級のは禁止だ! おまけに純愛だけ許してるのがクソ確定だクソぁー!」

 

 怒りで俺は中級の魔本を地面に叩き――つけると変なシワ出来るかもしれんのでベッドの上に置いて、歴代魔王カタログ集とかいうオッサンしかいない本を叩きつけた。

 

「クソ、せめて美少女魔王だったらぁー!」

「うわあ、引くよ……初っ端からこの人クソクソ言ってる……」

「あぁぁぁんっ⁉」

 

 俺は怒りを覚えながら声のした方を見ると、そこにはさっき投げ捨てたキメラがいた。声も女性声優じゃない可愛い感じじゃないのでもうふざけてる。

 

「おい、なんだ貴様は。ここが魔王軍第34基地に存在する邪賢者の搭、その最上階と知ってのことか」

「ここ2階なのに最上階なんだ……塔というのはちょっとアレじゃあ……これ見た目だけ塔で入り組んだダンジョンとか無さそうだったし」

「伊里君なら1階にいるぞ」

「いや、知らないよ……伊里君のことは聞いてないよ……」

 

 ちなみに伊里君は今昼飯を食っているはずだ。

 

「で、二度に渡り俺の部屋に来るとは何奴だ。また投げ捨てるぞ魔法少女見つけて平和を取り戻すくん」

「やめてよ、戻ってくるの大変だったんだから……って言うかフルネーム止めよう、マヘクでいいよ」

「何故だ魔法少女見つけて平和を取り戻すくん」

「嫌だからだよ! こんな目的じみた名前! 第一呼びにくいでしょ!」

「いや、俺もっと長い呪文唱えるから苦にもならんぞ魔法少女見つけて平和を取り戻すくん」

「いいんだよ! マヘクって呼んでよ全く! サブタイトルで叫んだのは初対面だから話しただけで一生使わないでくれ! マヘマヘ!」

 

 怒った顔をして顔をそむけるキメラ。なんて注文の多いキメラだ……。無数の闇の刃で切り刻んでやろうかと思ったが、これ使うのは巨乳僧侶へと制約かけているからな……。

 ていうかマヘマヘってなんだ、キャラ付けっぽくて腹立つ。

 

「まあいいや、僕が君のような人類最底辺のゴミの前に来たのは理由があるんだよ」

「わかったぞ、この俺にケンカを売りに来たんだな?」

「ええー? そんな訳ないだろ? 怖いなあ」

 

 やれやれと言った顔をするクソキメラ。あんなこと言っといて違う……? なんだコイツ……。

 

「僕が来た理由は1つ。元の世界に戻してほしいのさ」

「……元の世界? よし、冥界へ屠ってやる」

 

 俺は両手に邪炎エネルギーを溜めていく。黒炎は格好いいのでガンガン使っていきたいのが俺である。

 

「違うよ⁉ どう見ても僕のような愛らしい存在が冥界出身の訳ないだろう!」

「いや、間違いなく幼稚園児が耳を掴んでボコりたくなるような風貌だよ貴様は」

「全然違うよ! 全く、可哀想なおっさんは発想まで可哀想すぎるよ……」

 

 よし、このキメラはこのまま燃やし尽くそう。黒炎での灼熱獄炎魔法をこんなキメラに使う羽目になるとは思わなかったがもう使ってやろう。

 

「僕の元の世界というのはね、現代さ。剣と魔法のファンタジーじゃなくて、ビルと科学と穢れた大人と腐った大人とゾンビみたいな大人と狂った大人と純真な子供たちが存在する現代」

「知らん。なんだそのヤバい世界は」

「違うよ、やばくなるのはこれからなんだ」

「もっとヤバくなるのか……」

 

 そろそろ手に溜めた黒炎が邪魔に感じて来たので俺は黒炎を消す。そんな混沌とした世界が元の世界とはこいつ、やっぱ冥府の存在では。

 

「そう、今元の世界では悪意が世界を包もうとしているんだ……それを倒すことが出来るのは、魔法少女だけなんだ。そして僕はその魔法少女を見つけて、ともに世界を平和にしないといけないんだ」

「つまり幼女に近づいて平和のためとそそのかし、合法的に一緒に風呂入ろうと考えているわけかこのロリキメラ」

「言い方最悪だねこの下種! そんないやらしい考えするわけないだろう!」

「嘘つけ、お前はそういう顔をしている」

「顔で判断しないでよ! 全く……!

 まあ、そういう訳だから早く僕を元の世界に戻してくれ。早く戻らないと現代に危機が陥るし間に合わなくなるんだ!」

 

 なんかキメラが熱量込めて俺にそう言ってくるが、

 

「いや、普通に嫌だが……」

 

 そう、心に全然響かなかった。そして何故か顎らしきものをしゃくれさせるアゴキメラ。

 

「俺は人間の敵側、魔王側の人間だぞ。なんで知らん世界とはいえ人間の味方になりそうなことしなければいけないんだよ」

「大丈夫! 送ってくれれるだけでいいんだ! 何も考えず元に戻して! ほら早く!」

 

 ヘイヘイ! とバスケットボールのパスを待つチームメンバーみたいな感じで煽ってくるキメラ。調子が良すぎるぞコイツ……!

 

「第一、なぜ俺だ。他にもいるだろ、魔導士は」

「いるけど、君ほどの魔力量を持っている人は少ないからね。僕の持つ魔法少女適正センサーはどうやら魔力量が高い人も分かるみたいでね、それで探したところ君が引っかかったんだ」

「成程。この俺を評価したのはキメラ畜生風情が生意気とも思えるが、俺の気分云々をともかく、大分難しいだろうな」

「ええっ、なんでだよ役立たず。じゃあ生きてても君しょうがないじゃないか……」

「邪剣、カオスイビル創現。食らい殺せ」

「ぎ、ぎゃああああ!!! 急にダメなおっさんが出した赤黒い剣からなんか目がついた触手みたいなのがいっぱい出てきて僕の皮膚を噛ん――喰らってるー!」

 

 こうして、キメラ畜生は死んだ。この俺の機嫌を損ねに損ねすぎたからだ。魔王軍の邪賢者の名は伊達ではない、俺は残虐な男なのだ。

 

 そして数分後。

 

「やめてよ! 死ぬかと思ったよ! 気持ちよかったけど死ぬかと思ったよ!」

 

 普通に蘇った……おまけに気持ちいいとか言ってやがる……。やっぱり冥府の怪物だコイツは……。

 

「急に気持ちよくするなんて全く……いいから難しい理由を話してよ」

「いや、それよりも逆に聞く。元の世界と言っていたが、お前はどうやってこの世界に来たんだ。それの逆をすれば戻れるだろ魔法少女見つけて平和を取り戻すくん」

「マヘク! それが僕にも分からなくてね、魔法少女のいる場所に飛ばされたと思ったらここに飛ばされたから多分送り先を創造主様がミスったんだろうね。あっ、創造主様ってだれだか分からないから聞いても無駄だよ」

「そうか。お前の創造主は雑な奴だな……ちなみに性別は美少女か? 美女か?」

「それ性別? まあ、それすらも分からないから聞いても無駄だってば」

「性癖はなんだ? BHWは? 恥ずかしいことはなんだ? セクシーポーズする時内心恥ずかしがってくれるか?」

「だから知らないってば! すごく聞いてくるねおっさん!」

「オッサンじゃあない、俺の名は邪賢者だ」

「それ職業じゃ」

「良いんだよ、こう名乗った方が正体不明の強キャラ感あるだろ」

「いや、妄想に怒りを馳せるオッサンを強キャラなんて嫌だよ……スケベおっさんでいいかな?」

「良い訳あるかこのロリキメラの魔法少女見つけて平和を取り戻すくんめが……!」

「マヘク! 最悪の混ぜ方したね妄想スケベおっさん! やめてよ!」

「じゃあお前も止めろや!」

 

 わかったよとしぶしぶ言うキメラ。流石冥府の怪物、自分の我を通すことに関しては他種族をも凌駕している気がする。

 

「ほら、早く難しい理由教えてよ邪賢者おっさん」

「簡単だ。次元跳躍術式なんて、世界最強クラスの大賢者でもない限り無理だ。出来るなら俺が次元跳躍でR18法の存在しない世界に跳んでピンクワールドを堪能している」

「なにR18法って……まあいいや。なるほどね、じゃあ大賢者に会うのはどうすればいいのかな?」

「知らん。知っているなら大賢者のところに行って土下座や靴を舐めてでも別世界に行ってハーレムを堪能している」

「うわあ、異世界に夢を見すぎている……」

「悪いかコラァァ!」

「ぐええええ! 首を、首を絞めてくる……! 嫌だ! やるならさっきの触手ちゃん、カオスイビルちゃんを出せせー!」

「何が出せせーだ! 誰が出すかぁー! 人のこと言えないなこの触手萌え淫獣キメラぁー!」

 

 俺はそのまま窓から触手萌えロリキメラをぶん投げた。次は筋力強化の魔法もかけて投げたので二度と会うことはないだろう。グッバイ。

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