魔法少女のマスコットみたいなのが異世界転移して悪の邪賢者に協力を求めたがダメ人間であった   作:バード鳥鳥

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伊里君は栗ご飯が好きでね、毎回栗だけ器用に食べ終わった後に白米を食べていくんだ

「さあ、行くよ! 大賢者を探す大冒険の始まりさ!」

 

 ……また戻ってきた。おまけにケロっとしてるぞコイツ。

 

「ほら早く! おっさんも気持ち悪い不純な動機で探したいって言ってたんだからいいじゃないか! 僕の崇高で正しい理由とおっさんのモテない可哀想なおっさんの末路みたいな理由、どちらを叶えてくれるかは一目瞭然だけどさあ早く行こう!」

「お前は同行してもらいたいと思ってるくせにそういう言葉を吐くのはなぜだ? 冥府の怪物だからか?」

「だから冥界でも冥府でもないよ! 純真無垢な魔法少女のお供さ!」

「2010年代辺りの深夜アニメ系のだろうけどな」

「違うよ! 教育テレビ系の愛らしいお供だよ! 第一2010年代辺りの深夜アニメ系に偏見が過ぎるよ! マヘマヘ!」

「その怒るときにマヘマヘとか言うのやめろ、美少女に変身してから言え」

 

 それなら俺も許せる気がする。中身コイツだけどウザさは緩和されるだろう。

 

「出来ないよ全くおっさんはさぁ……。ていうか、アレアレ? 2010年代アニメを知っているってことは、おっさんは現代を知ってるのかい?」

「ああ、伊里君が教えてくれたからな。でもお前の知ってる現代は知らん」

「いや多分その伊里君が言ってた現代だよ!」

「いや、お前のいる現代はこう地面が紫色のヘドロで出来ていて、大人になるとゾンビになる奇病が蔓延し、血と肉が降りしきる悪夢の世界だろ」

「そんな訳ないよ! 大人に関してはそうなってほしいけど全然違うよもう!」

 

 なんだコイツの執拗な大人嫌いっぷりは……。魔王軍の人間嫌いを超えてるのでは……。

 

「でもそうか、伊里君は文字が漢字だから僕と同じくして異世界転移した人だったんだね! なっるほどー!」

「ああ、そう言っていたな」

「……そうだ! 伊里君に聞けば帰れるのじゃないかな! いいね、僕名案! ふふふ、これは魔法少女のお供になった時、有能扱い間違いなし!」

「いや、だから大賢者じゃないと無理って言っただろう。伊里君も女神には会えないって言ってたし帰らないんだよクソがって言ってたしな」

「ええー、じゃあ駄目そうじゃないか……しょぼんぼん」

「その愛らしさアピールみたいなのやめろ。ぼん1つ多くしただけで可愛くなる訳ないだろ淫獣キメラ」

「なるよ、おっさんには分からないだろうけどなるんだよ!」

 

 いや、絶対ならん。口をへの字にしてぴょんぴょん飛んで怒っているが、断言する。絶対ならん。

 

「……あっ、それともう1つ今ので気になったことがあるんだけど、女神ってなに?」

「ああ、伊里君を異世界に飛ばした女神のことか。それはあれだ、エメラルドグリーンの髪色をしていて巨乳で神秘的なヒラヒラとした服をつけた30代ぐらいの女性だ。結構丁寧な話し方をしているようだが、少し押せば俺に惚れるね間違いなく。いや惚れろ、スケベれ」

「いや外見は聞いてないしおっさんの聞きかじって想像した女神の妄想の姿はどうでもいいよ……なんだよスケベれって……どうでもよすぎるし気持ち悪いけど……」

 

 心底見下したような顔で言ってくるクソキメラ。クソがぁ……! 人間の女と同じ目で俺を見やがって……! 気持ち悪い連呼しすぎなんだよこのクソキメラ!

 

「で、その人もどこにいるか分からないの?」

「クソが! ――ああ、恐らく高次元の存在だろうからな。大賢者より会うのは難しいだろう」

「うわ、急にクソとか言ってきた。会えないって言ってたけど、伊里君はアレないの? ほら、女神さまから力を貰ってチートでワープ」

「ああ、何か転移した時に不思議な力を割り振れるウィンドウが宙に表示されたと言っていたな……」

「ヒュー! 異世界転移ヒュー!」

 

 なんかウザいテンションだなこのキメラ……。

 

「で、割り振ったステータスは」

「何だいなんだい! 次元転移? ワープ? チート移動系?」

「自宅力」

「――自宅力?」

「そうだ、そのステータスへ割り振ると自分の自宅を再現できるんだ。インターネットがかかせない伊里君は全ポイントを躊躇いなくそれに選択した。そして今も1階で自宅と同じ環境でインターネットにしている訳だ。

 ちなみに伊里君の元の世界から通販も来るらしい。俺も最近注文してもらおうと思ったが、一度でも18禁のものを履歴に入れたくないからちょっと……と言われて断られて激昂したが美少女アニメを今度見せてくれると言っていたから許した経緯もある」

「……ううん、なんか使えないなあ……あっ、僕をぬいぐるみとして元の世界へ送るって事は出来ないかな⁉」

「それは俺も以前考えたが、生ものはどうしてもダメらしい」

「ええー、ダメなんだ……伊里君の自宅大好きマンめ……もっとチートしてよ……」

 

 がっくりとした顔をするクソキメラ。こんなクソキメラにがっくしされる伊里君にちょっと同情する。

 

「じゃあやっぱり大賢者を探すしかないようだね……君のような邪賢者おっさんとか言う魔法少女と対極の存在のお供になるのは不本意極まりないけど、さあ行こう! 大冒険の始まりだよ!」

「断る」

「ええー……そんなこと言わず! 君のような邪賢者おっさんとか言う魔法少女と対極の存在のお供になるのは不本意極まりないけど、さあ行こう! 大冒険の始まりだよ!」

「だから断ると言ってるだろ」

「ええー……そんなこと言わず! 君のような邪賢者おっさんとか言う魔法少女と対極の存在のお供になるのは不本意極まりないけど、さあ行こう! 大冒険の始まりだよ!」

「却下だ」

「ええー……そんなこと言わず! 君のような邪賢者おっさんとか言う魔法少女と対極の存在のお供になるのは不本意極まりないけど、さあ行こう! 大冒険の始まりだよ!」

 

 こ、コイツ……RPGのキャラクターみたいにダメな選択肢を選ぶと無限ループするような感じで返答してきやがる!

 

「ダメだと言ってるだろ! 俺には行けない理由があるのだ……!」

「ええー……絶対どうでもいいよ。それより君のような邪賢者おっさんとか言う魔法少女と対極の存在のお供になるのは不本意極まりないけど、さあ行こう! 大冒険の始まりだよ!」

 

 俺の理由ですら聞こうとせずコイツ雑に返答して来る……。

 

「ええい、ダメだダメ! とっとと失せろ! 人間の魔導士とか賢者にでも頼め!」

「いや、おっさんじゃないとダメなんだよ! この世界のゴミ大人も僕をキメラとか魔物とか節穴極まりないこと言ってくるから、君のようなダメなおっさんでもお供としていないと疑われるんだ! 少女に近づこうとしたら燃やされそうになったし!」

「適切な対応だな……」

 

 やはり人間側もコイツをキメラと認識してるんだな……人間側の防衛意識を甘く見ていた。

 

「いいか! 俺は行かん! なぜかわかるか? ここに来る勇者どもを待ってるからだ……!」

「勇者……? ああ、王様の使いパシリね。あんなのいるわけないよ?」

 

 小馬鹿にした顔で言ってくるキメラ。コイツ魔法少女勧誘する立場のくせに勇者の存在をいないものとしてやがる……。だったら魔法少女なんていないだろと言いたいが小娘魔術師とかいるからこっちからは言い返せない……!

 

「いるんだよ! ボーイッシュな女勇者、清楚で巨乳な僧侶! 強気で細身な女格闘家! クールでナイスバディな賢者の4人パーティがいるんだよ!」

「いないよ……仮にいても冒険者風アイドルみたいなのしかいないよ……夢を見すぎだよ……」

「お前魔法少女勧誘する立場のくせに夢のない事しか言わないんだこのクソキメラ……!」

「魔法少女以外は全部妄想というのが僕の持論だから……」

 

 クソ偏向思考すぎるこのロリクソキメラ……。

 

「ええい、確かに勇者パーティについては妄想が入っている可能性も無きにしも非ずだが、勇者パーティは間違いなくいる……そして来る!」

「いつ? いつ届くのその荷物?」

「配達物扱いかお前……⁉ ええい、勇者の予定なんて俺が知るか! だが奴らは間違いなく来るんだよ! 魔王軍基地を潰しまわっているからな……!」

「気のせいだよ」

「いや気のせいじゃねえよ!」

「スケベで現実と妄想の区別がついてないんだね、可哀想なおっさんだなぁ……」

 

 ふうっ、と呆れた声を出すキメラ。この魔法少女捕まえることを目的にしてる名前の奴に言われると腹立たしさはどんな奴に言われるより怒りが溜まる……! タイトルとあらすじに俺がダメ人間とか書かれているがコイツの方がよっぽどダメではなかろうか……!

 

「……よーし、もういい、俺も大賢者を探して妄想を叶えたいと思ってはいたからな、行ってやってもいいだろう」

「はあ、やっと承諾したね? 全く、さっさとうんと頷けば時間を浪費することもなかったのになあ、あーあ」

「ただし、条件がある」

「条件? はいクリアー、目的達成ー。さあ、大冒険の始まりだよ! 行こうおっさん! ほら早くしなよゴミ!」

 

「凶刹斬風魔法、ブレイドエアトルネードォォォォッ!!!」

 

「ぎ、ギャアアアアアアアアッッッ!!!!」

 

 話も聞かずに進めた挙句、罵倒してきたクソキメラに対し、俺はついに堪忍袋の緒が切れたので魔法を撃ち放ち窓の外へぶっ飛ばしながらその全身をバラバラにしてやった。――どうせ蘇るな、アイツ。

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