そんな結末認めない。   作:にいるあらと

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「聖王統一戦争」

 

朝早くから無限書庫で作業を再開する。

 

俺はベルカ時代の書物・文献の解読に専念し、昨夜約束してくれた通り、ユーノは一般書の整理・ジャンル分けを買って出てくれた。

 

「まずはここから……か」

 

ベルカ時代の本が集められている場所に陣取った俺の最初の作業は、年代別に分けることからだった。

 

分けるといっても、本の裏に何年発行などと記載されているわけではないので、読める度合いでふわっと分類していく。

 

ほとんど読めるもの、比較的読めるもの、比較的読めないもの、まったく読めないもの。大まかに四種類。

 

読めるものを参考資料にして、比較的読めるものから読み解いていく。詰まれば比較的読めないものを念入りに精査して、読み解くヒントがないか探す。それでもわからない場合は本が発見された土地と近い地域から出土した書物を熟読する。近い地域の言語は似通うという性質があるのだ。

 

「聖王統一戦争……世界各地に散った勢力を、聖王家が鎮圧、統一……。え、どういう経緯でこんな戦争が起きたんだ?」

 

ようやくそれっぽい話に行きついたが、この出来事の前後があまりによくわからない。

 

近い時代の本を片端から探して目を通す。数十冊、あるいは百数十冊も無我夢中で読み漁って、ようやく全体像が見えてきた。

 

「古い時代には『王』がたくさんいたのか……」

 

『王』。

 

一つの国の『王』どころではない。卓越した魔法技術や優れた兵器を振りかざし、別の世界にまで手を伸ばしていた『王』もいる。一つの国どころか、一つの世界単位ですらない。複数の世界を統べるほどの『王』。

 

それらの『王』についての詳細はまだ読めないが、ざっくりとした事情は判明した。

 

「これが、聖王統一戦争……」

 

技術革新が進んだ各世界の『王』は争い合い、国の存続すら危ぶまれるほどに損耗した。そういった各世界の『王』たちは自分たちの世界に戻り、再び侵略する力を蓄えていたが、戦乱終わりなきを(いと)い、嘆いた聖王家が強大な兵器を持ち出して再起を図っていた他国を攻め滅ぼした。

 

「血で血を洗う戦乱の世を鎮めた正義の味方……なるほど、これは英雄だ。信仰の対象になるのも道理ってもんか」

 

この戦争、いや、これだけ複数の国が世界を股にかける大規模な戦闘を行ったのだ、大戦と呼んだほうが正確だろう。この大戦の後、生き残ったわずかな国は別世界への進出をやめ、現住していた世界の統治に専念した。果ても飽きもない野望を掲げていた各国各世界の『王』たちが、やすやすと諦めるとは思えない。

 

なのに、そんな古代ベルカの『王』たちが、侵略を諦めた。諦めざるを得なかった。

 

「それほどの、戦いだったのか……」

 

その戦で、いったいどれほどの血が流れ、どれほどの屍の山が築かれたのか。

 

俺やなのはのいる世界、第九十七管理外世界地球で起きた一番被害者数が多かった第二次世界大戦では、連合国・枢軸国・中立国・軍人・民間人、大戦の影響で食事もままならなくなって飢えや病気で亡くなった人も含めれば、その死傷者数は八千万人に届くとも言われている。

 

国単位の戦争で、この数字。

 

これが次元世界を跨いでの世界単位での大戦となった時、何倍に膨れ上がるのか。

 

「っ……」

 

考えるだけでぞっとする。

 

もしかしたら、(いにしえ)の『王』たちも似たような感情を抱いたのだろうか。

 

大戦後、それまでに作り上げられてきた魔法や兵器の技術や知識は、そのほとんどが失われている。戦火の中で燃え尽きたのか、次代に継がせるわけにはいかないと判断して故意に破棄したのか。その過程は記されていない。

 

「だとしても……この聖王家と、前の任務の『王』というメッセージ……。どんな関わりが……」

 

興味深い歴史ではあった。いくつもの本に記載があったので、確度も高い。

 

だが、俺の目的とは違った。

 

比較的近代のベルカの歴史、世界観に触れられたのは収穫といえば収穫だが、俺が探している『王』とは今ひとつ繋がりを感じられない。

 

「もしかして、これより昔……別の『王』……なのか?」

 

まだ解読できていない本は無数にある。

 

俺がスムーズに読めるようになったのは、現代からだいたい五百年から六百年ほど前に記された本くらいのもの。これより昔となると、読み解くための参考資料に乏しく、難解さが段違いになる。

 

「ちっ……ここが限界か」

 

とてもではないが、今日中にどうにかできるとは思えない。とりあえず聖王統一戦争前後の歴史を知れたことで満足するとして、個人的な調査は一区切りにして本来の仕事に戻ることとした。

 

 

 

 

 

 

「お前たち……いったい無限書庫で何をしてきたんだ?」

 

任務を終え、報告のためにアースラへ立ち寄りクロノのもとまで足を運んだら顔を見るなりあんまりなことを言われた。

 

なんだろう、重大なミスでもしてしまったのだろうか。本の整理と管理の方法が定まっていなかったのでこっちが勝手にしてしまったのがいけなかったのか、それとも読んではいけない類の書類でもあったのか、はたまた立ち入り禁止のエリアでもあったのか。無限書庫内ではなかなか我が物顔で好きなように動き回っていたので、どれがいけないのか見当がつかない。

 

「ユーノ、心当たりあるか?」

 

「いえ……特にこれといってないです。兄さんは?」

 

「ありすぎてわからない」

 

「僕の見てないところでなにしてたんですか……」

 

俺は肩をすくめ、ユーノは肩を落としていた。その様子を呆れたように見ていたクロノが言う。

 

「終わって数時間しか経っていないのに、もう既に僕のところに依頼が来ているんだ……」

 

「いらい?なんの?」

 

「……無限書庫内の整理だ」

 

「……ん?終わったばっかだぞ?」

 

「ず、ずいぶん早いですね……」

 

「ああ。だから担当者に話を聞くため連絡を取った。そしたら、仕事の日数はたった二日だったのに図書館らしくなっていた、と鼻息荒く語っていた。検索システムと管理方法まで作られていた、と言っていたんだが」

 

「俺たちの世界で使われている分類法をまるっと流用した。仕分けは大変だけど、探すときは断然楽になるはずだ」

 

「こういう風に分類する、って話はしてましたけど、システムまで新しく作ってたんですか?!」

 

「作ったっていうか、分類法に合わせて再調整しただけだぞ?機材はあったし」

 

「いつの間に……」

 

「昼飯食いながらちょちょいと」

 

「片手間!」

 

「二人でどれくらいの作業量だったんだ?」

 

「えー、どれくらいだろう?わざわざ数えてないから……兄さん、どれくらいですか?」

 

訊ねられても、俺も数えてなんていない。なので、概算でざっくりとした数字を出す。最低限、これくらいは働いたはずである。

 

「ジャンルごとにわけたり本棚にしまったりデータバンクに入力とかもあったし、だいたい八万から九万冊くらいじゃね?」

 

「結構がんばりましたね、僕たち」

 

「は……は?八万?九万?……どうやって、そんな量を……」

 

「ユーノが検索魔法っつう便利なもん教えてくれた」

 

「兄さんがそれを無限書庫用に改良してくれた」

 

「……僕は二人の能力を見縊(みくび)っていたようだ」

 

呟いて、クロノは背もたれに身体を預ける。苦笑して、続けた。

 

「それなら依頼がこのような短期間に再発行されたのも納得だ。担当者はいつでも来てくれと言っていたぞ。報酬を上乗せする、ともな。気に入られたようだ」

 

「給料の上乗せはおいしいな!」

 

「そこまでお金に困ってませんけどね。前の任務の報酬にもまだ手をつけてませんし、僕」

 

「あって困るもんでもないし、いいんじゃね?つってもそんなに簡単に給料アップとかやっていいもんなのか?」

 

「いいんじゃないか?どうせ管理局から委託された任務の報酬金、つまりは公費。税金だ」

 

「急に受け取りにくくなった……」

 

「労働への対価だ。気にせず受け取っておけ。それに今回の任務であれば筋が通っているだろう。あの知識の魔窟がまともに使えるようになれば、管理局はもとより一般人にも利益になる」

 

「やっぱり魔窟って呼ばれてんのか……。ま、そういうことなら頑張った証としてもらっておくか」

 

「そうしておけ。さて、どうする?」

 

いきなり疑問符を叩きつけられた。

 

首を傾げる俺に、なぜかクロノも同じように首を傾げた。

 

「徹の予定が合うのなら、なるべくすぐにでも無限書庫に戻ったほうがいいんじゃないのか?」

 

「ああ、そういう話か。んー……仕事としては楽しい部類だったけど、わざわざ行く理由が薄くなっちまったしな……」

 

「なぜだ?『王』について、ベルカ時代を調べるんじゃなかったのか?」

 

「いまいちぴんとくるもんがなかったんだよ。こう、閃かないっていうか」

 

「……ん?それを調べるために行かなければいけないんだろう?」

 

「ん?」

 

なんだか話が噛み合っていない。

 

なぜクロノが頭上にクエスチョンマークを浮かばせているのかわからず、俺の頭の上にもクエスチョンマークが浮かぶ。

 

「……あ、そっか、なるほど。ねえ、クロノ。兄さんはもう、ある程度調べられたんだよ」

 

「何をだ?ミッドチルダの歴史関係か?」

 

「まあ普通はそう思うよね。ただクロノは……きっと僕も、兄さんのポテンシャルを見誤ってたんだ」

 

「ユーノ……もしかして……」

 

「そう。古代ベルカの言葉を読めるようになっちゃったんだよ、二日で」

 

「なっ……。冗談だろう……」

 

クロノが両目を驚愕に見開いて俺に向ける。

 

まずい、勘違いされてしまう。

 

「待て待て、その言い方は誤解がある。ベルカの近代なら、だ。聖王統一戦争以前の言葉はまだ全部理解できてない」

 

聖王統一戦争の後の時代だと、時代が落ち着いたんだな、という雰囲気だ。乱世が終わり、一つの大きな流れにまとまり始めた感じ。

 

聖王統一戦争より昔になると言語が複雑、煩雑で、いろんな国がくっついたり離れたりを繰り返した形跡が文章から見て取れる。文章の全体的なイメージとそぐわない単語がちらほら見られるのだ。時代や地域によって、同じ単語でも意味が違うのだろう。それがちらほら見られる程度ならまだいいが、その割合が半々だったり、さらに毛色の違う言語が二つ三つと入り乱れる本も中にはあった。

 

さすがにそれらを検証するのは骨が折れるし、時間も手間もかかる。とかく、戦争前と後では解読の難易度がまるで違う。今回よりももっと時間をかけないと難しい。

 

というのをざっくりと説明した。

 

「つまりは、ある程度は読めるようになったということだろう」

 

「まあ、ある程度はな」

 

「まったく……相変わらず規格外だな」

 

「得意な分野ってのはあったな」

 

「それで、どうだった。知りたかったものはあったのか?」

 

「微妙なところだ。あの紙に書かれていた『王』が聖王を指しているのか……まだはっきりとは掴めていない」

 

「もっと昔には王様はほかにもたくさんいたんですよね?それなら戦争前の周辺国の王様なんじゃないですか?」

 

「いいや、徹やユーノが戦ったという犯罪組織に古代ベルカ語に精通するほど教養のある者がいるとは思えない。木っ端な王ではなく、もっと名のある『王』だと思うんだが……」

 

「……木っ端って言っても、少なくとも世界を丸ごと一つは支配していた王なんだけどな……。でも俺も同意見だ。この時代にまで名が残っている『王』……まあ、今んとこ有力なのは聖王ってとこかね。暫定だけどな。もっと調べないことには結論は出せねえや」

 

「結論を決めつけたら視野が狭まる、ってことですね」

 

「よくわかってるな。さすが俺の助手だ」

 

「えへへ。お仕事のお手伝いからコンディションの管理までやりますよ!」

 

「コンディションは自分で管理するわ」

 

「徹は無茶をしやすいからちょうどいいんじゃないか?」

 

「だよね。今回だって夜通しやろうとしてたんだよ」

 

「知的好奇心が止まらなかったんだ、しゃあねえだろ」

 

「それは無茶をすることの言い訳にはならないな。ともあれ、またいずれ無限書庫に調査には行くということでいいんだな?」

 

「おう、それでオッケーだ。ユーノもいいか?」

 

「はい、大丈夫です。なんなら、僕が暇な時は一人で行って、次に兄さんが行く時に作業しやすいようにしときますよ!」

 

「はは、そいつは頼りになるな。ってなわけで、俺が行けるのはいつになるかわかんねえけど、また頼むわ」

 

「わかった。忙しい連中だからいつ予定を空けられるかわからないと伝えておこう。もう少し報酬が吊り上がるかもしれん」

 

「嬉しいことは嬉しいんだけど、適度に頼むぞ?ハードルが上がっちまう……。そうだ、来週は予定ないし、来週の土日は入れてくれても大丈夫だぞ」

 

「ああ、いや……来週はだめなんだ」

 

「え?先方の予定がつかないとか?」

 

「相手はいつでも来て欲しいらしいが。なんなら専属で雇いたいくらいらしいが」

 

「それはちょっと困るけど……じゃあなにが都合悪いんだ?」

 

「……こっち側の都合、だな」

 

クロノはふい、と目線を逸らした。

 

不明瞭な言い方だ。煮え切らない。俺とユーノは目を合わせて、やっぱりわからなくて肩をすくめた。

 

「とにかく、来週。徹はなるべく自宅で待機しておいてくれ。わかったな?」

 

「自宅待機……なにかしらの仕事か?」

 

「ん?ああ、そう、そうだな。仕事……みたいなものだ」

 

「…………」

 

「…………」

 

奇妙な間があった。

 

絶対に仕事ではない何かがある。クロノが口を割りそうにないので追及はしないけれど、とりあえず覚悟はしておこう。

 

 

 

 

 

 

翌週、土曜日。

 

日増しに陽の光が熱を持ち始めたこの頃。

 

朝食を済ませ、家事もあらかた終えてリビングで一息ついていると、めずらしくお休みだった姉ちゃんが猫の絵が描かれたコップを持ってテーブルの対面に座った。

 

「そういえば、まだちゃんと聞いて……もとい、問い(ただ)してへんかったわ」

 

「問い質すってなに、穏やかじゃないな」

 

不穏な前振りにちょっと焦る。

 

後ろ暗いことをした覚えはないし、魔法関連のことはもう白状したし、エリーとあかねの件も姉ちゃんに報告した。その際にはとても怒って、それ以上にとても悲しそうにしていたが、俺の立場と、エリー・あかねの存在の特異性を察して矛を収めてくれた。絶対に取り戻せ、連れ帰ってこいと約束もした。約束以前に必ず取り返すが。

 

ともあれ、今はもう、姉ちゃんに隠し事はないのだ。ない、はずである。

 

なのに、こうも喉が乾くのはなぜだろう。

 

潤いを求めて、コップを傾ける。

 

「前に徹が泊まったっちゅう女性は、結局どこの誰さんや?」

 

「ぶっふ……」

 

お茶噴いた。

 

「そのリアクション……やっぱなんかあるんやな?」

 

「あ、アリサの家に泊まってたんだよ。借りがあって、それを返すために執事の真似事を……」

 

「あー、ちゃうちゃう。そっちの話は鮫島さんから丁寧な連絡頂いたわ。そっちやなくて、もっと前の話や。徹が『彼女(・・)』の家に泊まったとかのたまってた、あの話。うちが電話した時、かわいらしーいお声も聴こえとったしなあ?なあ?」

 

「えっ、あー……いやあ……」

 

今となっては遠い過去のような気もする四月十七日。アルフとの一騎打ちに敗れ、傷ついた(控えめな表現)俺はフェイトたちの臨時のアジトに運ばれた。

 

姉ちゃんは、その日の話を持ち出しているのだ。なんだかんだでうやむやにできたと思っていたのに。

 

「あん時の話、ちゃんと答え出てへんかったもんなあ?例の女は、どこの、誰で、どういったご関係なん?お姉ちゃん、聞きたいわあ」

 

「えっと……えー……」

 

どう説明していいかわからない。

 

当初の『彼女』では正確でないし、もちろん赤の他人なんてありえない。友人と表現するには関係が深すぎる。

 

と、考えて、時の庭園での戦いを思い出してしまった。リニスさんに想いを告げられて、口づけもしている。返事はいらないし、気持ちに報いることもしなくていいとまで言われてしまったが、そこまで熱情を向けられて何も感じないほど、俺の感情は死んでいない。その事件の後に、行為には及ばなかったが拘留室のベッドで押し倒されたりもしたし。

 

「……男女の間柄やねんな」

 

「そ、そこまでじゃない!」

 

「……ってことはその手前、か」

 

「ぐっ……」

 

迂闊なことを口走ってしまった。姉ちゃん相手に一瞬でも気を緩めるなんて、愚か極まる。

 

「さあ、説明してもらおか?」

 

退路はない、かと思われた。

 

だがここで、ぴんぽーん、とインターホンの音。誰かが来たようだ。ゴングに救われた。

 

「だ、誰だろなー!早く出ないとなー!」

 

「ちょっ、今はそんなもん……っ!」

 

「いやいや、出ないといけないだろ?はい、どなたですか?」

 

インターホン越しに、来客に尋ねる。

 

『お届けものです』

 

女性の声だった。最近は宅配員も女性が多くなってきたものである。

すぐに行きます、と返して一階へ。

 

「話終わってへんやろが!待たんかい!」

 

「言い方が荒っぽくなってるぞ。まずはお客さんの用事を済ませてからでしょ」

 

「むーっ!」

 

呻りながら、姉ちゃんは俺の服を掴んでついてくる。逃げると思われているのだろうか。

 

追及の手から逃れられはしないのだから、逃げはしない。この時間を利用して言い訳は考えさせてもらうけれど。

 

姉ちゃんを引きずりながら玄関へ。

 

扉を開く。

 

「はーい、お待たせしまし「パパーっ!」

 

扉が開いた瞬間、お腹に柔らかくて温かな衝撃、聴き馴染んだ声。見下ろせば、明るい陽の光をそのまま反射させたような、金色に輝く御髪(おぐし)

 

混乱極まる脳みそで正面を見やれば、正装に身を包む、長髪のミントグリーンを湛えた美しい女性。

 

その隣にはお人形さんのように愛らしい相貌と、白磁の如き白い肌を併せ持つ少女。緊張したような表情で、きらきらとした艶やかな金髪を春風に弄ばせていた。

 

その端っこに、橙色の長い毛がちらっと見えた気がした。

 

「え……えっ」

 

「…………は?」

 

絶句する俺と姉ちゃんに、女性は麗しく、それでいて凛とした声で伝えた。

 

「あなたの子です」

 

いたずらが成功した子どものような笑顔だった。

 

言わずもがな、姉ちゃんは卒倒した。

 


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