そんな結末認めない。   作:にいるあらと

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空の王者

翌週、土曜日。

 

俺には伝わっていなかった、いつのまにか決まっていた任務のために、俺とフェイトは第九十七管理外世界を離れていた。

 

今回の任務は、言うなれば地質調査のようなものらしい。

 

とある世界で珍しい金属を産出する鉱山が発見された。一応はその金属のサンプルを持って帰ることが任務で、可能なら現地の環境、現地に到着してから鉱山までの道、鉱山のどの辺りで金属が産出するか、金属の埋蔵量なども調査してくれとのことだが無理を言うなという話である。その筋の専門家じゃないんだぞ。

 

というか筋がどうのこうのと言うのであれば、それこそ初めから管理局の『陸』のどこかの専門的部署が向かうのが筋である。地質調査について専門知識のない俺たち嘱託魔導師が行っても報告書はお察しの仕上がりになるぞ、とお仕事を紹介してくれているクロノに愚痴ったところ、どうやら訳ありな内容らしい。

 

実は既に、『陸』の部署が調査に行ったのだが、存外危険な場所だったようだ。大勢で現地へ向かったが鉱山へ向かうまでに苦戦し、鉱山を発見して内部に入ってからも体力を消耗しすぎたのか体調不良を訴える魔導師が多く出て、その上よくわからない物体に襲われたとかなんだとか。練度の低い魔導師たちを連れて行くとかえって足手纏いになることを悟った『陸』の上司たちは厳選した魔導師で再度向かったが、結局鉱山を進むことができなかった。かといって、自分たちには荷が重いので『海』の皆様お願いします、と頭を下げることもできず、委託に出したそうだ。

 

そんな『陸』の方々の失敗から学び、今回は前回のサンドギアの任務ほど大規模ではなく、どちらかといえば小規模、少人数で向かうことになる。なんといっても坑道を進むのだ。頭数を揃えたところで狭い空間では身動きが取れなくなる。小隊、もしくは分隊規模が妥当だそうだ。

 

クロノが取り計らってくれて、その少人数の隊員もこちらで指名してもいいとのことだったのでもうほんとに気が楽。

 

あくまでも、主となる目的は調査。ちょっと前にユーノと一緒に行った無限書庫の整理整頓よりちょっとアドベンチャー要素が増えるくらいのものだろう。その程度ならばどうとでもなる。

 

なんたって今回は。

 

「フェイトがいるからな!」

 

「ひゃっ……い、いきなりなに?」

 

今回は記念すべき、フェイトの初任務である。

 

いやはや、羨ましい。初めての任務が、面倒で(わずら)わしい『陸』の人たちの小言も言われず、足も引っ張られないというのは。

 

フェイトの力量からすればこの程度の任務では釣り合わないが、いくら能力が高くとも経験はない。その乏しい経験を積んでいく、という意味で言えば、今回の任務は手頃だろう。

 

なにはともあれフェイトがいてくれるというのはとても心強い。折りが悪くてユーノがこれなかったのは残念だが。

 

「驚かせてごめんな。今回は気が楽だなーって思って。前の任務は精神的にすっごい疲れたんだ。今日の任務は人数も少ないし単なる調査。万が一戦闘になってもフェイトがいる。もう完っ璧だわ。俺の出る幕も完っ璧にない」

 

「あんまり……プレッシャーかけないで。……は、初めてなんだから」

 

不安、というより緊張しているのか、フェイトは胸元でアクセサリーのようにくっつけられていたバルディッシュをきゅっと握りしめた。

 

緊張しすぎにも思えるが、ちゃんとお仕事を果たそうという気持ちが強いからこそ緊張するのだ。こういったところもフェイトのいいところである。

 

ただ、あまり身体が固くなってしまっても困る。

 

「フェイトならうまくやれるって。大丈夫、肩の力抜いてな」

 

「徹、リード……してね?」

 

「リードって言われてもな。俺もそこまで経験豊富じゃないし」

 

「もっとしてるのかと思ってた。徹、いつも堂々としてるから」

 

「なんかばかにされてるような……」

 

「ふふっ、ばかになんてしてないよ。頼りになるってこと。徹が気持ちよくできるように私も動くから……命令、してね?」

 

「俺とフェイトは同じ嘱託魔導師で、立場は同列なんだけどな」

 

「立場がどうとかじゃないよ。徹の言うことなら納得できるってこと。だから、なんでも言って。私、なんでもするよ」

 

「なんでもって……別にい」

 

「へぇっ!ずいぶんっ!かわいい子にっ!好かれてるのねっ!」

 

きんきんつんつんとする甲高い声。ものの二日ほど一緒にいただけなのに、すでに耳が覚えている。

 

「予定の集合時間はまだなのにずいぶん早いな、アサレアちゃん。久しぶり」

 

振り返れば、明るい赤色の髪と気の強そうなつり気味の大きな瞳。

 

アサレア・ウィルキンソンちゃんが、腕を組んでふんぞり返っていた。眉間にしわを寄せ、不機嫌そうに唇を突き出している。

 

「なんなの、さっきのいかがわしい話!なんの話してたわけ?!どういうことよ!?」

 

「いかがわしいもなにも……初めての任務だから、わからないところあったら教えてねっていうだけの話だけど?」

 

「は、はぁっ?だって……リードしてとか、経験がどうとか、きっ、き……ちよくだとかっ!命令だとかっ!いろいろ言ってたじゃない!」

 

「だいぶ始めのほうから聞いてたんだな。聞いてたんならわかるとおもうけど、要領がわからないから指示してねってだけだ」

 

「は……」

 

この子は普段、そういう色気づいた話には興味ありませんみたいな態度なわりに、頭の中は案外ピンク色である。

 

俺とフェイトの話を盗み聞いて勘違いしていたらしく、誤解を解くにつれて頭の中と同じように頬もピンク色になってきた。

 

「〜っ!そ、そんなのどうでもいいのよ!そ、そっちの金髪、どこのだれ?!」

 

照れ隠しで強引に話を流すアサレアちゃんは、意識しているのかいないのかえらく威圧的だ。声を荒げてこそいないが、明らかに怒気が含まれている。

 

「っ……と、徹……」

 

アサレアちゃんの圧力から逃げるように、フェイトは俺の背中に隠れた。

 

戦っているときは威風堂々、凛としているフェイトだが、普段はわりと怖がりだし人見知りだ。とはいえ、今回みたいに初めて会った人、しかも年上に喧嘩腰でこられればフェイトでなくとも尻込みしそうなものだが。

 

「この子はフェイト・テスタロッサ。なりは小さいけど優秀だぞ。ほらフェイト、自己紹介」

 

早くも険悪だが、これから一日、もしくは二日ほど一緒に働く仲間だ。間に入って仲を取り持つとしよう。

 

フェイトの背中に手をあてて、俺の隣に移動させる。

 

「ふぇ、フェイト・テスタロッサ……です」

 

俺の服を握りながら、それでもおずおずと名乗った。アサレアちゃんと目を合わせるのは気後れするのか、少々視線が泳いではいたが上出来だ。やればできる子。

 

フェイトの様子にアサレアちゃんからあふれる雰囲気が若干ぴりっとしたが、目をつぶって深呼吸した。ひりついた空気が少しましになった。

 

「っ……ふぅ。わたしは、アサレア。アサレア・ウィルキンソン。それと、遠くから走ってきてるのが兄のクレイン」

 

アサレアちゃんが顔を傾けてとある方向を示した。

 

そちらには、走ってくる人影。クレインくんの姿があった。どうやらアサレアちゃんはクレインくんと途中まで一緒にきていて、俺とフェイトを見つけて文字通り飛んできてくれたようだ。

 

「それで?なんでテスタロッサさんとあんたが一緒にっ!仲良さそうにっ!してるの?!どういう関係?歳離れてるでしょ?わたしより年下よね?距離近過ぎない?」

 

アサレアちゃんからの怒涛の質問攻めである。

 

一つ問いただされるごとにフェイトは、す、すす、すすす、と再び俺の背に戻っていってしまう。喋るどころの話じゃないので、代わりに俺が答える。

 

「とりあえず……歳はユーノと同じだ」

 

「スクライアくんと……。相変わらず年下と(ゆかり)のある男ね」

 

「なにが言いたいのかさっぱりだ。関係、つってもな……嘱託になる前に知り合って、仲良くなったんだ」

 

「仲良く、ね……へぇ。……あれ?嘱託の前?それって……」

 

アサレアちゃんが俺の顔をまじまじと見る。俺の左目にフォーカスが合わせられた気がした。今は黒のカラーコンタクトをつけている、俺の左目に。

 

すぅ、と心臓が冷えるような気分を味わう。

 

「き、気心の知れた、頼れる仲間だ。存分に背中を預けることができるしな」

 

「預けられたこと……あった、かな?」

 

「むっ……あんたがそこまで言うほど強いんだ。……へぇ」

 

アサレアちゃんの目が細められ、俺の後ろから顔を覗かせているフェイトに鋭く向けられる。

 

フェイトには悪いけれど、どうにか興味の方向を変えられたようだ。

 

「それで?わざわざあんたがテスタロッサさんをお迎えに行ったわけ?ずいぶん、お優しいことね」

 

腕を組みつつ身体を斜めに、アサレアちゃんは吐き捨てるように嫌味を口にする。こういった仕草やセリフがよく似合う、と本人に言うと怒られるだろうか。

 

「それなんだが、フェイトは……」

 

「同棲、させてもらってるから一緒にきた」

 

俺の後ろから顔の半分だけ出したフェイトが、これまで全然喋らなかったのによりにもよって爆弾だけ投下した。

 

「…………」

 

「…………」

 

水を打ったように、場が静まり返る。

 

アサレアちゃんの顔からは、感情という感情が剥がれ落ちていった。彼女にとっては、それほどまでに驚くようなことだったらしい。

 

いや、俺も驚いたけれど。なぜフェイトがそんな疑われるような言い間違いをこんなタイミングでしたのか。言い間違い芸はアリシアの持ちネタだろう。

 

とりあえず、爆弾が爆発炎上しないうちにアサレアちゃんの誤解を解かなくては。

 

「フェイト?同棲、じゃなくて同居、な?姉ちゃんに教えてもらった言葉をさっそく活用するのはいいことだけど、その二つは似てるようでまるで違うから気をつけるように。アサレアちゃん?フェイトは複雑な家庭の事情で俺の家に居候的な感じで身を寄せてるわけで姉ちゃんもいるから二人っきりってわけじゃないしアサレアちゃんが脳内で駆け巡らせてるような事案は発生していないから安心してまずは天高く掲げられたその杖を下ろそうか!」

 

「ええわかってるわ。わたしの中でぐちゃぐちゃになった感情を丸ごと込めて振り下ろすわ」

 

「ゆっくり下ろそう!」

 

誤解を解こうと努力はしたが、その途中ですでにアサレアちゃんは燃え上がっていた。

 

「あらあら、お嬢ちゃん。徹ちゃんに久しぶりに会えたからってちょっとテンション上がりすぎじゃないかしらん?」

 

このままだとアサレアちゃんの杖(魔法)で攻撃されるか杖(物理)で攻撃されるか時間の問題だったが、振り上げられた杖はとある人物が安全に掴んで止めてくれた。

 

紫色の長い髪を後ろで纏めている、端整な顔立ちをした長身の男性。

 

「ちっ……」

 

「助かった……ありがとう、ランちゃん」

 

「どういたしまして。徹ちゃんの周りはいつも愉快ねぇ」

 

「ランドルフ!もう離しなさいよ!」

 

「お嬢ちゃんが頭を冷やしたら離してあげるわよ」

 

「わかったわよ!わかったから離しなさいよ!」

 

「その口振りだとわかってないみたいだけれど、まあいいわ。ちっとも『大人のレディ』になっていないようで安心したわ」

 

「そっちこそ、底意地の悪い性格が変わってなくてなによりよ。あれ、そういえばクレイン兄は?」

 

「ここにいるよ……なに早速失礼なことしてるのさ。初めて顔を合わせる人もいるっていうのに……」

 

「はいはい」

 

「ランちゃんもクレインくんも元気そうでなによりだ。久しぶり」

 

「ええ、またこうして一緒にお仕事できて嬉しいわぁ」

 

「ぼくもです。また迷惑をかけてしまうかもしれませんが、よろしくお願いします」

 

ランちゃんは前髪を優雅に払い、微笑む。その振る舞いはまるで舞台役者のようで、実に様になっている。

 

そんなランちゃんの隣にいたクレインくんは苦笑いで深くお辞儀をした。前回の任務ではいろいろあったから、まま仕方ない。

 

今回の任務は同行するメンバーもこちらでリクエストできたので、前の任務で一緒だったランちゃんたちに声をかけたのだ。リクエストがそのまま通るかどうかはわからないと言われていたが、どうにか予定が空いていたようだ。

 

「徹、この人たちは?」

 

再会の挨拶をしているとフェイトに服を引かれた。知らない人が増えて、ちょっと萎縮してしまっているようだ。

 

「紹介すんの遅れた、悪いな。じゃ、まずはこっちの背の高い美形イケメンから。ランドルフ・シャフツベリー……ランちゃんだ」

 

「ふふっ、嬉しい紹介ねぇ。美形じゃなくて美人なら満点だったわぁ。初めまして、可愛らしいお嬢さん。私はファミリーネームもファーストネームも嫌いなの。だからぜひ親愛の情を込めて、ランちゃんって呼んでね?」

 

フェイトに視線を合わせるように屈んで、ランちゃんは笑顔で名乗った。どうやら子どもは好きなようだ。接し方が自然でそつがない。

 

その優しげな雰囲気に気を許したのか、フェイトはちょこっと俺の後ろから出てきた。

 

「フェイト・テスタロッサ、です。よろしく……ラン、ちゃん?」

 

「まぁっ!どこかの乱暴なお嬢ちゃんと違ってフェイトちゃんは素直で可愛いわぁ!フェイトちゃん、よろしくねぇ。はぁ、徹ちゃんのお友だちはみんな可愛くていい子ばっかりね!羨ましくなっちゃう!」

 

「……徹、この人……ラン、ちゃんは……」

 

「こんな感じの陽気なやつだよ。ここぞって時にはちゃんと頼りになる」

 

「そ、そう、なんだ……」

 

「で、こっちの赤髪の少年がアサレアちゃんの双子のお兄ちゃん、クレインくんだ」

 

「アサレアの兄、クレイン・ウィルキンソンです。妹ともども、よろしくお願いします、テスタロッサさん」

 

「よ、よろしく、クレ……」

 

「こっちがよろしくしてあげるほうでしょ?なんでそんなに腰低くして喋んなきゃもがっ」

 

フェイトが挨拶しようとしたら、割って入るようにアサレアちゃんが(くちばし)を入れた。その差し込んだ嘴は、すぐさまお兄ちゃんに抑えられていたけれど。

 

「と、時々口が悪くなることもあるけど、基本的にはいい子なので……よろしくお願いします」

 

「むぐぐっ、ぶはっ!なにすんのクレイン兄!わたしは間違ったこと言ってないでしょ!」

 

「わざわざ角が立つような言いかたしなくてもいいでしょってことだよっ」

 

「えっと……元気な人たち、だね」

 

「だろ?楽しいぞ」

 

まだお説教しようとするクレインくんを押しのけて、アサレアちゃんが俺の前に出た。その表情は、どこか真剣で、嫌な予感がする。

 

「それよりっ!ねえ、あんたの怪我って、もしかして……」

 

「え?徹、けがって?」

 

アサレアちゃんがさらに踏み込んできた。

 

その話は、とくにフェイトの前ではしてほしくない。

 

二人の少女の目が俺に向けられる。なんとか誤魔化さないと。そう思っても事情をうっすらと話してしまったアサレアちゃんと、事件では当事者だったフェイト、その二人を丸め込むほど整合性の取れた言い訳なんて、すぐには組み立てられない。

 

とにかく、黙り込むのはあまりにも不自然だ。なにか言おうとして口を開く、その前に伸びやかな低音が間に入った。

 

「あら、もう移送用の艦船が離発着場に入ってきたみたいよ?お喋りは乗ってからにしましょ?」

 

わざわざ俺に顔を向けて、ランちゃんが提案した。おそらくは、返事に窮した俺を見かねたランちゃんが、助け舟を出してくれたのだろう。

 

「置いていかれたら仕事ができないからな。早く乗ろうぜ」

 

「あ、荷物……自分で持つよ」

 

「いいって、このくらい」

 

フェイトの手荷物を担いで、フェイトの背中を押して強引に輸送船へ誘導する。

 

「…………」

 

アサレアちゃんの視線を背中に感じる。

 

彼女にはどこかで言い含めておかなければいけない。

 

 

 

 

 

 

「魔法生物?」

 

「はい。体内に魔力を有した生き物。通常の生態系とは異なる進化を辿った生き物たちが、その世界にはたくさんいるんです」

 

前の任務からここまでなにをしてたか、というあっさりとした近況報告を終えると、気を利かせてくれたランちゃんはアサレアちゃんが余計なことを口走る前に任務の話を始めた。

 

話の過程で、俺たちが向かっている世界には魔法生物なる生き物が存在する、と妙に詳しいクレインくんが教えてくれたのだった。どこか瞳が輝いている。遺跡関連の話をするユーノみたいだ。

 

左目の話を避けるという理由もあって詳しく聞いていたのだが、それとは別にすごく好奇心を擽られる内容だ。

 

「魔力を持ってるってことは、その魔法生物とやらにもリンカーコアがあるのか?」

 

「それは、確かめた人がいませんね」

 

「なんでそんなふうに生物が進化したんだろうな。魔力なら俺の世界でも、他の世界でもあるのに。限定されたいくつかの世界だけっておかしくないか?」

 

「変、ですよね」

 

「……なんでか、っていう理由や原理は……」

 

「逢坂さんも薄々ご察しの通り、調べられてません」

 

「ほんと管理局ってこういうとこずぼらだよなー……。生物学とか研究しないのか。無限書庫も本がぶち込まれてるだけだったし……」

 

ユーノと赴いた無限書庫の雑然っぷりも思い出す。種類を問わず積み上げられた本の山は、生半可には崩せない。きちんと図書館として機能するのは俺とユーノが本気を出しても何年かかることやら。

 

「なにかに使えるかもしれないと思って保管はして、でも整理整頓してもすぐに利益があるわけじゃないから誰も手をつけない。『陸』の仕事なんてそんなもんでしょ」

 

「アサレアちゃんはちょっと『陸』の局員嫌いすぎだよな。偏見入ってるぞ」

 

そもそも無限書庫はどこの管轄なのか、俺も知らないけれど。

 

「たしか……魔法生物にもリンカーコアあるらしいよ、徹」

 

輸送船の中、何の疑問も戸惑いも迷いもなく俺の隣を陣取っていたフェイトが言う。

 

「魔導師と同じようなリンカーコアが存在するって主張する本があったよ、母さんの書庫に」

 

「ああ、プレシアさんの……そんじゃ納得だ」

 

「……母親公認か……」

 

淀んだ目を向けるアサレアちゃんから逃げるように話を戻す。

 

「フェイト、その本ってなにか詳しいこと書いてあったか?」

 

「えっと、たしか……魔法生物がいる世界って、空気中に含まれる魔力素の量がほかの世界よりも多い、んだって。その魔力が地面に染み込んで、その魔力を水や栄養と一緒に植物が吸い上げて、呼吸するときに空気中の魔力も吸って、結果、植物が魔力をため込む。……その植物を草食動物が食べて、植物を食べた草食動物を肉食動物が食べて……っていう感じ、だったはず。母さんに読んでもらったから、記憶に残ってる」

 

「フェイトちゃん博識ねぇ、えらいわぁ」

 

「フェイトは勉強熱心だもんな」

 

「そんなこと、ないよ」

 

謙遜するフェイトだが、どことなく嬉しそうだ。

 

最近などはアリシアとともに小学校編入のための勉強をしているが、フェイトは本当に飲み込みが早い。地頭がいいというのもあるのだろうが、取り組む時の集中力が高いのだ。

 

その点、アリシアはじっと座って机に向かうのは苦手らしい。要領は異様にいいのだが、いかんせん、落ち着きがない。

 

「で、これから行く世界には、その魔法生物が棲息してるんだよな?おかしいな……そんな話、クロノからは……フェイトは聞いてたか?」

 

「ううん、聞いてない」

 

「クロノ?どちら様なのかしら?」

 

「クロノは徹の……なんだろう。友だち?」

 

「兼上司、だな。そいつに仕事の斡旋をしてもらってるんだけど、その上司からは魔法生物云々とかって話は出てこなかったんだよな……」

 

「今日の任務って、もとは『陸』のどこかの部署から流れたものでしょ?」

 

「そうらしい。『陸』から嘱託に流れて、それを俺の上司が拾ってきてくれたんだ」

 

「なら『陸』から流れた時点で情報を止めてたんでしょうねぇ。何度か行った時に、その世界がどういう場所か、どういう環境だったのかくらいの情報は収集できていたはずだもの。自分たちは任務を遂行できなかったのに、これで嘱託に回した途端に達成されたら『陸』の面目が立たないから、入手した情報も教えないで任務をすぐには成功させないようにしてるんじゃないかしら?」

 

「うっわー……」

 

心底かったるそうな声でアサレアちゃんが嘆いた。

 

俺もアサレアちゃんとまったく同じ気持ちだが、そこまでしないだろうという相反する気持ちもある。

 

「いやいや、さすがにねえだろ……。『陸』の人たちだって地質調査が必要だから、プライド削ってまで嘱託に依頼を出したんだろうし」

 

「『陸』の局員なんてみんなそんなもんよ。あんたも前の任務で見たでしょ?奴らの体たらく」

 

「アサレアちゃんは先入観が強すぎるって。司令代理をやっていたノルデンフェルトさんだって『陸』の局員なんだぞ?」

 

「あの人はまともだったわね」

 

「だろ?だから『陸』にもまともな人はいるんだって」

 

「だとしたら、まともな局員とまともじゃない局員の比率は絶望的ね」

 

「…………」

 

ぐうの音も出ない。

 

「ま、まあ、黙っていた可能性もあるし、情報の伝達ミスという可能性もありますから、今は置いておきましょうよ。真相はわからないんですから……」

 

「そういえば、クレインちゃんはよく知ってたわねぇ。その世界に魔法生物がいるなんて」

 

「えっと……あはは、僕は……」

 

「クレイン兄は、動物とか生き物とか、そういうのが好きなのよ。家にいっぱい辞典とか本とか置いてるんだから」

 

「ちょ、ちょっと、アサレアっ」

 

「ほお、そうなのか。趣味持ってることはいいことだよな。いつどこで役に立つかわからないし」

 

「でもクレイン兄の本大きくて、本棚を圧迫するのよね。正直じゃま」

 

「ひどいっ」

 

「たしか徹、ユーノと無限書庫行ったんだよね。そこで魔法生物についての本とか、読まなかったの?」

 

「はっは、歴史書ばっか読んでたわ。そもそも整理整頓って仕事だったからな。じっくり本読むのもおかしいだろ」

 

「そういえば今日はユーノちゃんどうしたの?」

 

「さっき言った無限書庫のほうに行ってる。俺がベルカ時代について調べてるから、ユーノが先に本を仕分けしてくれてるんだ」

 

「だから今日はユーノちゃんと一緒じゃないのね……残念。よろしく言っておいてね、徹ちゃん」

 

「おけおけ」

 

「でもなぜ逢坂さんはベルカ時代について調べてるんですか?」

 

「前のサンドギアの事件で手に入れた情報の一つの『王』ってのがわからなくてな。上司に聞いたら『王』ならベルカ時代のどこかの国のものだろうって言うから調べてる」

 

「でも、無限書庫にも詳しく書いてる本なんてないでしょ?昔の文献ばっかりなんじゃないの?」

 

「そうなんだよ、ぜんっぜん読めなくてな。必死に解読したわ」

 

一瞬、全員の動きが停止した。アサレアちゃんに至っては、何言ってんだこいつ、みたいな表情になっている。

 

「解読したって……ベルカ語を?独力で?」

 

「全部じゃないぞ?」

 

「そ、そうよね……いくらなんでもね。あー、びっくりし……」

 

「現代から聖王統一戦争くらいまでのしかまだ自信がない」

 

「全部じゃないってそういう意味なの?!読めてるじゃない!」

 

「それより昔になると文章の成り立ちが複雑でな」

 

「あんたって本当につい最近まで一般人だったの?嘘でしょ?」

 

「ふつうにふつうの一般人をやってたよ」

 

「前からわりと思ってはいたんですけど、逢坂さんって本業はなにやってる人なんですか……?」

 

「学生だ。そこらへんに転がってるような学生」

 

「魔導師の素質を狂気でカバーするのが徹だもんね」

 

「フェイト……それは褒めてるって受け取っていいのか?」

 

「あたりまえだよ。私たちの自慢だよ」

 

「そ、そうなんだ……それならいいや」

 

とんでもない罵倒かと思ったが、フェイトは誇らしげな表情である。言葉通り、自慢げに微笑んでいるフェイトを見ていると怒るに怒れないし悲しむに悲しめない。かなり捻じ曲がっているがどうやら褒め言葉らしいので、なんとか前向きに受け取っておこう。

 

「狂気……徹ちゃんの場合、それが過言じゃないものね」

 

「飛行魔法の代わりに障壁を蹴ったりしてますからね」

 

「戦いかたが殴る蹴るって時点で相当ぶっ飛んでるし、拘束魔法で拘束せずに建物に使って崩して圧し潰すなんて発想は控えめに言ってやばい奴よ」

 

「ふふっ、さすがだね。みんなからも高評価」

 

「これを高評価と受け取れるほど、俺の頭はポジティブに作られてないんだ……」

 

主に俺がいじられているおかげで、フェイトもこの輪に馴染んできた。アサレアちゃんも含めて、三人とも気のいい人間なのでフェイトもすぐになれるだろうと確信してはいたけれど。

 

一頻(ひとしき)り俺をいじり倒して(フェイト曰く褒めていたらしい)一段落ついた時、俺はふと、一つの疑問が湧いた。

 

魔法生物とは具体的にどんな生き物なのか、魔法生物という(くく)りの中に、()を飛ぶ生き物はいないのかと尋ねようとしたその矢先のことだった。

 

「う、お……っ?!」

 

ぐらり、と明らかにこれまでの航行とは異なる挙動で、輸送船が揺れた。

 

「ひゃっ……」

 

「きゃあっ!?」

 

「おっと……。なんかやな予感……」

 

俺の隣にいるフェイトとアサレアちゃんが倒れて壁にぶつからないよう身体を支える。

 

先ほどの大揺れはもうないが、今なお安定した航行とは言い難い。二人を支えて身動きが取れない俺の代わりに、ランちゃんに頼む。

 

「ランちゃん、パイロットに事情を」

 

「わかったわ。クレインちゃん、姿勢を低くしていなさいな」

 

「は、はいっ」

 

今回の任務は少人数だ。よって乗り込んでいる船も前回と比べて小型で、十人ほどで満席となるような輸送船である。操縦席も近い。状況の確認にそう時間はかからないだろう。

 

「な、なんなのよ!乱気流なの?!」

 

「……乱気流みたいな揺れじゃなかったけどな」

 

先ほどの揺れは、まるでロックオンされた状態から抜けようとする戦闘機みたいな、左右に傾く揺れだった。なんにせよ、いい予感はしない。

 

「徹ちゃん、大変よ」

 

不安定に揺れる中、壁に手をついているもののちゃんと立って、ランちゃんが操縦席側から戻ってきた。

 

どうやら耳を塞ぎたくなるような情報を持ち帰ってきてくれたらしい。

 

「先を聞きたくなくなる導入はやめてくれ……」

 

「大変じゃないって言ってもこんな状態じゃ説得力ないじゃない。さっきクレインくんが教えてくれたでしょ、ここには魔法生物がいるって」

 

「まじかよ、やめてくれよ……」

 

俺の頭に浮かんだ疑問がそのまま形になって出てきてしまったようだった。

 

「そういうことよ。この船の後ろに大きな鳥みたいなのがいるわ。とっても危ない状況だって」

 

大きく横に振られたのは、件の巨大な鳥を躱した時の挙動だったのかもしれない。だとしたら、まだこうして無事に飛行できているだけパイロットに感謝すべきか。

 

「はあ……目的地までは?」

 

「もう近いらしいわ。だから高度を落としてて、大きな鳥に目をつけられちゃったみたいよ」

 

「大きな鳥……何種類か見当がつきますけど、ふだんはどの種も輸送船を襲うほど気性は荒くないはずですが……」

 

「普段がどうでも今襲われてりゃ関係ないよな。……仕方ないか」

 

このまま輸送船に乗り続けて巨鳥に襲われるのを待つわけにはいかない。なにより帰りの足がなくなってしまうなんて、考えるだに恐ろしい。

 

となれば、手は一つ。

 

「よし……降りるか」

 

「お、降りるって……ここからですか?高度を下げてるって言っても、まだ数千メートルはあるかと……。それにまだ降下予定地点まで距離が……」

 

「ここで輸送船が墜ちたら帰りどうするんだよ。新しい足を用意するのも時間がかかるだろうし、なによりパイロットが逃げられない。それなら俺たちがここで船を降りて、あとは自力で予定地に向かったほうが都合がいいだろ。運良く全員、飛行魔法を(たしな)んでいるんだし」

 

「ちょ、ちょっと!あんたは飛行魔法使えないんでしょうが!」

 

「うん、わかった」

 

「わかった、って……テスタロッサさん。こいつが心配じゃないの?一人だけ飛行魔法使えないのよ?一番危険じゃない」

 

「心配してくれるのは嬉しいけど、俺なら大丈……」

 

「あんたに言ってない!テスタロッサに聞いてるの!」

 

「アサレア、こんな時になにをっ……」

 

「クレイン兄も黙ってて!テスタロッサ!あんたは心配じゃないっていうの?!世話になってるんでしょ?!」

 

アサレアちゃんが、俺を挟んで反対側にいるフェイトに厳しめのトーンで言う。

 

ぴりぴりとした空気が漂う中、フェイトはその圧力に気づいているのかいないのか、いつもと同じ声音で答える。

 

「……心配?心配、もなにも……徹はこのくらいでどうにかならないから、徹はこのくらいじゃどうにもできないから、だから私は今ここにいるんだよ。このくらいで心配するなんて、逆に徹の力を信じていないのと同じ。私は信じてるから、心配してないよ」

 

フェイトにそんな気なんてないだろうが、捉え方によってはまるでアサレアちゃんを挑発しているようなニュアンスにもなってしまっていた。

 

「っ……で、でもっ」

 

首を傾げて、しかし考える様子もなく断言したフェイトに怯んで言葉に詰まりながらも、アサレアちゃんは言い返そうとする。

 

だが、その前にフェイトが続ける。

 

「それに、なにかあったら私が手伝うし助ける。だから、危ないことなんてないよ?」

 

「っ……。…………」

 

躊躇(ためら)いなく、そして何よりも自然に素っ気なく言い放ったフェイトに、アサレアちゃんは何も返さなかった。

 

声をかけたほうがいいのかもしれないが、アサレアちゃんのプライドの高さを考えると、下手に慰めるのも彼女を傷つけるだけになりそうだ。

 

ここは一度間を置くこととする。

 

「……異論があるなら今言ってくれよ。すぐ出るからな」

 

「いつでも行けるよ」

 

「異議なしよん」

 

「ぼ、ぼくも、大丈夫ですっ」

 

「……わたしもいいわよ、それで」

 

「よし、決まりだな。ランちゃん、降下予定地点は把握してるか?」

 

「もちろん」

 

「ならよし。じゃあ、先にみんなをよろしく」

 

「この、ば……っ!あんたはどうするつもりなの」

 

一瞬、アサレアちゃんにばかって言われかけたような気がする。

 

「巨鳥が追ってこれないようにしないといけないだろ?」

 

「それなら私たちのほうが断然向いてると思うわぁ。追ってこなくさせるだけなら、私たちが射撃魔法をばら撒けばいいだけだもの」

 

「そ、そうですよ、逢坂さん。前の任務では人一倍働いたんですから、今日は僕たちががんばりますっ」

 

「あんた、移動だけならともかく空中で戦うってなったらさすがに面倒でしょ」

 

「うん。任せて、徹」

 

「ああ、そうだな……はは。ほんと、頼りになるよ。……それじゃあ、任せた」

 

思えばここにいるメンバーは、飛行魔法に加えて射撃・砲撃魔法まで使える才気才能溢るる魔導師たちだ。生半可な部隊を超える戦力がある。半端者が出る幕などないだろう。

 

フェイトたちに丸投げしちゃうこととしよう。としたが、アサレアちゃんが、フェイトに怪訝そうな目を向けた。

 

「……テスタロッサは戦えるの?」

 

フェイトの華奢な外見から不安になったのだろう。見るからにか弱そうな容姿、儚げな印象。激しい戦闘に耐えられるとは、初見ではとても思えない。

 

まあ、杞憂だけれど。

 

「一対一でまともにやり合えばこの中で一番強いぞ」

 

「この中で、ってことは……徹ちゃんよりってこと?」

 

「実際やりあって俺負けてるし」

 

「あれは、徹は魔法を知ってすぐだったから……。きっと今やれば結果はちがうよ」

 

「……なにそれ、本当に?」

 

「フェイトは近距離から中距離がメインでな。飛ぶのもうまい。そのあたりは安心してくれていいよ」

 

「もう、徹やめてってば」

 

「そう……っ」

 

「もちろん、アサレアちゃんにも期待してるからな」

 

「ふ、ふんっ!あんたは黙って後方でわたしたちの活躍を眺めていればいいわ!」

 

「その調子で頼むよ」

 

ちら、と兄のクレインくんに視線をやる。彼は何も言わず、こくりと頷いた。アサレアちゃんが張り切りすぎて空回った時はフォローをよろしく、という意思はちゃんと伝わったようだ。

 

「ランちゃんは……特に言うことはないな」

 

「なによ徹ちゃん、ちょっと冷たいんじゃないかしら?」

 

「心配することもないし。いつも通りやってくれればいいよ。そういえば、前のどでかいデバイスは?」

 

「壊されちゃったもの。修理するにも新しいのを作るにも時間がかかるから、今回はこっちだけよ」

 

ランちゃんが取り出したのは、前の任務でも見た大型自動拳銃みたいなデバイスだ。

 

「火力は劣るけれど、手数と取り回しならこっちのほうが良いの」

 

「なら問題は」

 

「ないわね」

 

ぱちん、と実に様になっているウィンクを飛ばしてくる。アイドルやモデルそこのけの自然な仕草だったのだが、相変わらず背筋に走るこの強烈な寒気。

 

みんなの調子が確認できた頃、再び大きく船が揺れた。

 

状況が逼迫しているのかもしれない。急いだほうがよさそうだ。

 

パイロットに事情を話し、船体後部のランプドアを開けてもらう。最初はパイロットも躊躇していたが、限界が近かったのかこちらの意を汲んでくれた。

 

扉が開く。光と、気圧差による強風が船内に差し込まれる。

 

「うわっ……おっきい……」

 

「お嬢ちゃん、そんな囁くようなトーンで言ったらいやらしく聞こえるわよ」

 

「はぁ?なに言って……っ!この変態!セクハラよランドルフ!」

 

「同性なら問題にならないわぁ」

 

「しっかり異性でしょうが!」

 

ランちゃんの軽口は、気圧されそうになったアサレアちゃんへの発破だったのだろう。軽口でも叩かないと直視してられないような衝撃が、目の前に広がっている。

 

小型旅客機ほどもある巨躯に、猛禽類よりも鋭い血走った眼光、人の身体どころか金属すらも容易く貫いてしまいそうな(くちばし)、太い脚の末端には刃物よりも鋭く切り裂けそうな鉤爪(かぎづめ)。大きな翼を羽撃(はばた)かせるその姿は、まさに空の王者と呼ぶにふさわしい威容だった。

 

「斉射した後、船を降りる。各自用意」

 

俺の指示にみんなが呼応する。

 

周囲に次々魔力球が浮かぶ中、バリアジャケットを着装したフェイトに声をかける。

 

「フェイト、深追いはしなくていいからな。追い払うだけでいいんだから。危険を感じたらすぐに退がるんだぞ。姉ちゃんからフェイトに怪我させるなってきつく言いつけられてるんだ。もちろん、俺もフェイトに怪我なんかしてほしくない」

 

「うん。でも、徹もね」

 

「ん?俺?」

 

フェイトはくすりと笑って、頭の両側で結われたツインテールをなびかせて俺に向く。

 

「私もアリシアから言われた。ぱ……っ、パパは無茶しがちだから、助けてあげてねって」

 

『パパ』と呼ぶ時、恥ずかしそうに言い淀んでいたことに愛らしさを感じ、その内容には愛を感じた。

 

アリシアも、姉ちゃんも、家で俺とフェイトの帰りを待っている。なるべく怪我なく、必ず帰らなくてはいけない。改めて、そう思う。

 

「そんなら頼らせてもらうぞ、フェイト」

 

「うん。いっぱい頼ってね」

 

満足げに頷いたフェイトの頭を撫でて、扉の先の巨鳥を見やる。

 

準備を終わらせた各員に、告げる。

 

「総員、放て」

 


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