そんな結末認めない。   作:にいるあらと

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拙作では、ファリンはちょっとアホの子が入っています。ご注意ください。


日常〜勉強会〜8:30の歓談と、8:50の好奇心。

「徹様、こちらは終わりました。次はどれをいたしましょう」

 

「ノエルさん、ありがとう。仕込みはもう大丈夫だ。おかげで助かったよ」

 

「お手伝いできてよかったです。徹様は以前より腕が上がっていますね」

 

「そっちだって手際の良さに拍車がかかっているよ。あと、今はそっちの御主人様がいないんだから、様はいらないって」

 

「あら、そうでしたね。徹君」

 

 四月二十六日土曜日、月村邸は厨房に俺はいた。

 

現在時刻は八時半を回ったところ。

 

 勉強会(という名のお茶会)は十時からなのでまだかなり時間に余裕はあった。

 

 俺がこんな朝早くに月村邸へお邪魔しているのにはわけがある。

 

 十人分を超える量の昼食をすぐに作れるとは思えないので、昼食の仕込みをさせてもらっていたのだ。

 

結構な時間がかかると予定していたので早くに来させてもらっていたのだが、ノエルさんにも手伝ってもらうことができたので、ずいぶん短く済んだのは望外である。

 

 昨日アーケード街で会った時とは違い、今日のノエルさんは仕事着である。

 

膝下まである紺色のロングスカートの上には純白のエプロンドレス。

 

薄紫色の頭には、これまた無垢な白色のホワイトブリムが乗っている。

 

どこに出しても恥ずかしくない立派なメイドさんの装いだ。

 

 使用した調理道具をお片づけしながらノエルさんと歓談していると、唐突に背後から衝撃を受けた。

 

「とーる! 言われたのは冷蔵庫に入れてきたよ! 次なにしたらいい?!」

 

 ファリンが後ろから俺の首に手を回してひしっ、とくっついてきた。

 

 ファリンももちろんメイド姿だ。

 

概ねは姉のノエルさんのメイド服と通じるところがあるが、細部のデザインは異なる。

 

ノエルさんよりどこか子どもっぽい印象だ。

 

スカートにはレースがついていたり、配色もどことなく明るめ、ヘッドドレスもフリルが大きめとなっている。

 

 二人ともクラシカルなロングスカートに古式ゆかしい長袖なのだが、それでも一切動き辛そうな様子がないのはやはりプロであるからか。

 

 とりあえず包丁を洗っている最中なので、大変危険だからファリンには飛びついて来ないでいただきたい。

 

「おお、そうかそうか。ファリン、ありがとうな、もういいぞ」

 

「えぇっ、もう終わり? あたしもなにか作りたい!」

 

「いや、いやいや。もういい、ありがとう、充分助かった」

 

「ファリン、徹君の邪魔しちゃ駄目でしょう」

 

「えぅえぇぇ、おねーさまきびし〜」

 

 ひっつき虫が如く俺の背中にひっついたファリンに、俺から受け取った包丁やお皿を拭いていたノエルさんが注意する。

 

 ファリンにも、昼食の仕込みを手伝ってもらっていた。

 

もちろん調理ではなく、材料出しや冷蔵冷凍庫への保管が主な仕事となる。

 

 ファリンはかなりのドジっ子ではあるが、姉に似て整った容姿もしているし、明るく人好きする性格に加えて、これで優秀だったりする。

 

掃除や洗濯から始まり、月村邸に無数に棲息……もとい、飼育されている猫の世話、庭の手入れまでできるのだが、おしむらくは料理のセンスが壊滅的なのだ。

 

 時間があればファリンの料理技能改善に協力を申し出るところなのだが、いかんせん、今日はすこぶる忙しい。

 

またの機会としてもらおう。

 

「俺のワガママ聞いてもらったからな、次は俺が手伝うよ。なにかあるか?」

 

 洗い物最後のボウルをノエルさんに手渡しながら尋ねる。

 

もちろんノエルさんにも背中のファリンにもである。

 

「あたしもなにか作りたい! 料理教えてよ!」

 

「また今度な。ファリンの料理音痴は数時間でどうにかなるものじゃねぇだろ」

 

「ひどいよっ! とーるはあたしのアツカイひどいよっ!」

 

「耳元で大声出さないでくれ、頭に響く」

 

 丈の長いロングスカートで器用に俺の背中によじ登ったままのファリンが大音声で抗議する。

 

普段から元気なボリュームを吐き出すファリンの口が、今は耳からほど近くにあるせいでさらにうるさい。

 

元気が過ぎるのも困りものである。

 

 清潔な布巾でボウルの水気を取り、棚に仕舞うノエルさんが、俺とファリンのやり取りを見て微笑んでいた。

 

姉というよりも母のような慈しみに溢れた瞳だ、などと思ったが、ノエルさんだってまだ二十四〜二十五歳のうら若き(?)女性なので、口に出すのは(はばか)られた。

 

 背中にうっすらと寒気が走る。

 

身の危険を感じ取ったのだ。

 

きっと口に出してしまえばナイフとか飛んでくることだろう、瀟洒なメイドさんだし。

 

「そうですね。それでは徹君にはすずか様を起こしに行ってきてもらえますか?」

 

「すずかは休みでも早起きしてそうなイメージだったんだけど、意外とゆっくりなんだな」

 

「すずかさまはいつもは早いよ? 時々あたしよりも早く起きてるもん」

 

「それはそれでどうなんだ」

 

「ファリンはまた今度お仕置きです。徹君、すずか様をお願いしますね。……喜ぶと思いますので。私は皆さんで集まる部屋の準備をしてまいります」

 

 ノエルさんの言葉にファリンがくぐもった悲鳴を上げた。

 

大音量が鳴り響かずにすんで俺としては助かったのだが、ノエルさんから隠れるように身体を下げるものだからファリンの腕で首が締まる。

 

 家事仕事でついたのか、細いのに意外と強靭でしなやかな筋肉をまとうファリンの腕を掴み、気道を確保してからノエルさんに了承の旨を伝えた。

 

 ノエルさんが話の間に小声で何か仰ったようだが、ファリンの首絞めを解除するのに手一杯で聞き取れなかった。

 

とはいえ、ノエルさんのことだから、重要な伝達事項であればもっと明瞭に教えてくれるだろう。

 

そうしなかったということは、それほど気にする必要もないということだ。

 

 俺はノエルさんに敬礼してから厨房の扉を開き、廊下へ出た。

 

 

 

「そう言えば忍は朝弱かったよな、あいつは大丈夫なのか?」

 

「忍さまの寝起き姿はさすがにとーるにも見せらんないよ」

 

「なにそれこわい」

 

 などといった取り留めのない話をファリンとしながらすずかの部屋の前に到着。

 

 ノックをしようと右手を上げた時、背中がふわりと軽くなる。

 

 後ろを振り向けば、軽い音とともにファリンが廊下の敷物の上に降り立っていた。

 

ぱぱぱ、と乱れた服装を整え、ずれたヘッドドレスも直し、姿勢を正して直立する。

 

 さすがに仕事の時は意識を改めるのだろう。

 

それじゃさっきまでは仕事じゃなかったってことなのか、なんてこった。

 

「ん? とーる、ノックしないの?」

 

「いや、するぞ。うん」

 

 両手を身体の正面で組み、お淑やかなメイドさんの雰囲気を滲ませたファリンのギャップに、俺は驚きを隠せなかった。

 

なんだこいつ、お仕事モードなら結構様になってるじゃないか。

 

 あごを引いてしゃんとしながらも、上目遣いでこちらを見てくるファリンから視線を外し、俺は右手を握り直して振った。

 

 こんこん、こんこん、とノック。

 

 返事はない。

 

 起こしにきたとはいえ、女の子の部屋へ無断で入ることには抵抗があったのでもう一度繰り返したが、やはり応答はなかった。

 

「やっぱり起きてらっちゃら……起きてにゃっ……起き……」

 

「そうだな、起きてらっしゃらないようだな。もう少しだったぞ、ファリン」

 

「むぅぅっ!」

 

 清楚で仕事のできるメイドさんの仮面がさっそく剥がれ、ファリンはぷにぷにしてそうな頬を膨らませる。

 

 俺の一つ下とは思えない喋り方と仕草だ。

 

こいつは絶対にすずかやなのはよりも精神年齢が低い。俺の周りにいる小さい子の精神年齢が高すぎるというのも事実だが。

 

「失礼致します」

 

 鮫島さんの所作や振る舞いを頭に浮かべつつ、扉を開く。

 

 小学三年生の女子が一人でいるには広すぎる部屋、扉から見て右奥のベットに、少女の姿が見えた。

 

 遠目でも華美で目に映えるベッドは無闇に大きく、成人女性が三人並んで横になれるほど。

 

そこに少女が一人で、となると少し物寂しくも感じる。

 

 足音を呑み込むほどふかふかなカーペットをすこし気後れしながら踏み進み、すずかが眠るベッドの隣へと移動した。

 

悪いとは思いつつも、好奇心に負けて少女の寝顔を覗き込む。

 

 空調が効いているせいで暑かったのか、手触りの良さそうなキルトケットはすずかのお腹のあたりにまで下がっていた。

 

 いつも髪を撫で付けているカチューシャは、眠っている今は当然つけられていない。

 

姉の忍と同じ紫色の長い髪は、源流から分かたれる支流のようにベッドの上を流れている。

 

細く艶やかな紫色の川は、朝日を浴びて燦然と輝いていた。

 

 閉じられている瞳、筋の通った鼻梁、空気を吸って吐くたびに小さく開閉する柔らかそうな唇。

 

ゆっくりとしたペースで呼吸を刻む薄い胸がなければ、下手するとお人形さんと勘違いするかもしれないほどの愛らしさを湛えていた。

 

 顔にかかっていた幾房の細い髪を俺は手で払う。髪を払っている時に顔に触れてしまったからか、ぴくりとまぶたが動く。

 

 夢の中でのストーリーが繋がったのか、すずかは不明瞭な発音で寝言をつぶやき、俺の手を取った。

 

なおもなにかしら小声でささやいたかと思えば、俺の手を抱き込み、また寝入ってしまった。

 

手首を掴んで指を甘噛みするわ、前腕部の肘に近いあたりにほのかに柔らかい『なにか』が二つ当たっているわで大変ドギマギする。

 

「とーる……。忍さまの言ってた通り、とーるは危ないせーへきを持ってるんだね……。どうりであたしのボディタッチになんの反応も示さないわけだよ」

 

 俺の肩が、意思とは無関係にびくりと跳ね上がる。

 

背後にファリンが控えているのを忘れていた。

 

 後ろ暗いことをしていたつもりはないのに、なぜ俺の心臓は早鐘を打つのだろうか。

 

 べつに邪な劣情を抱いて眠りこけるすずかに触れていたわけではない……そんなことは、絶対ない。

 

ただ寝辛そうだな、という俺の父性的なアレが働き、御髪を払いのけていただけである。

 

 そのことをファリンに説明すると――

 

「すずかさまを起こしにきたんでしょ」

 

 ――と、じとっ、とした目で間髪入れずに切り返された。

 

「…………」

 

 もっともすぎる返答に、俺は二の句も継げなかった。

 

現在もそのお嬢様に腕を抱きしめられている状況なのだ。

 

こんなシチュエーションで返す言葉などありようはずもない。

 

 だが、誤解だけは解いておかなくてはなるまい。

 

このままではファリンの中で、俺は幼い子にしか興奮しない変態さんだと思われてしまう。

 

それだけはなんとしてでも阻止しなくては。

 

「勘違いしているようだな、ファリン。お前は忍に洗脳を施されているんだ。俺は決して、倒錯した性的嗜好など持ち合わせていない。忍から捻じ曲げられた情報を聞いていたんだろう。あいつはいつもそうやって俺の築き上げたイメージを打ち崩そうとするんだ。あいつの言うことを信用しちゃいけないぜ。忍の言うことは話半分で聞いていてもまだ多

「『徹は図星を突かれるとムダに多弁になるわよ』って、忍さまが言ってたよ」

 

「…………」

 

「『多弁になる、って伝えたらきっと黙り込むわ』とも言ってたよ。きらきらした笑顔で」

 

「あんのやろう……」

 

 忍の手のひらでブレイクダンスやってる気分だ。

 

かくも軽快に踊ることになるとは、さすが親友、俺のことをよく理解している。

 

 ベッドの傍に座る俺に、佇立したまま冷ややかな視線をファリンは浴びせかけてくるが、それからは無理矢理に視界から外す。

 

そろそろすずかを起こすべく動き始めなければいけないのだ。

 

瑣末な事柄に拘っている余裕はない。

 

ヘッドボードの上に備えつけられている時計では九時十分前である。女の子には支度の時間が必要だというし、朝ご飯も取らなければいけない。

 

今でも遅れてしまったほうだろう。

 

 俺の手を抱き込んで寝返りを打ったので、すずかは俺とは反対側を向いている。

 

面積にゆとりのあるベッドに手をつき、すずかの身体に近寄る。

 

 近づいてやっと目に入ったが、すずかの枕元には携帯が転がっていた。

 

おそらくアリサちゃんやなのはにメールかなにかしていて、昨日寝るのが遅くなったのだろう。

 

そしてその途中で寝落ちしたんだろうな。

 

久し振りにすずかの子どもらしい部分を垣間見て、なんだかほっとした自分がいる。

 

「なににやにやしてるの、とーる。ぱっと見完全に怪しい人だよ」

 

「外聞が悪すぎるだろ。微笑んでいると言え。おーい、すずか。起きろー」

 

「ん……ぅん」

 

 返事、と思しき反応はあったが、依然として起き上がる気配はない。

 

 眉をひそめてうんうんと唸っているすずかを見て、俺の内側でむくむくと悪戯心が湧き出てきた。

 

結果的に起こせばいいのなら、その過程は考慮されざるべきだと言えよう。

 

「すずかお嬢様、起きてください。朝ですよ、お嬢様」

 

 すずかの耳元でささやいてみた。

 

 好奇心は猫をも殺すというけれど、実際に死地に陥った後でなければその行為がしてはいけなかったことだなんてわからないのだ。

 

虎穴に入らずんば虎子を得ず、案ずるより産むが易し、案外なんとかなるものなのだ。

 

とどのつまり、自分の奥底から溢れ出る衝動を抑えられなかっただけである。

 

 氷柱で背中をちくちく刺されるような、冷たく鋭い気配を背後のファリンから感じた。

 

誤解という名の傷口は際限なく広がり続けている気がするが、そんなこと意に介さない。

 

 俺の第六感は今すぐやめるよう警鐘を鳴らし続けている。

 

だがしかし、それで止まるような好奇心ならもとより生まれてなどいないのだ。

 

 とどまるところを知らない好奇心を、理性で押さえつけられるわけがない。

 

人間はその好奇心と探究心でもって、さまざまな文明の利器を生み出してきたのだから。

 

「んゅ……あれ、とお……るさん……?」

 

「そうだよ、お嬢様。徹さんだよ。おはよう」

 

 さして意味のない理論武装を頭の中で展開させつつ、すずかの耳元でごにょごにょし続けていると、ようやく覚醒してきたようだ。

 

すずかは眠たげな半眼を俺の顔に合わせつつ、片手は俺の手を握ったまま、もう一方の片手で目元をこする。

 

「あぇ……? なんで……徹さんが……。ゆめ……?」

 

 まだすずかの意識は夢現(ゆめうつつ)の境界線を揺蕩(たゆた)っているらしく、現状を認識しきれていないようだった。

 

朝目が覚めたら目の前に俺がいるなんて、たしかに夢だと思っても仕方ないだろう。

 

 これはこれでとても面白いので、夢と勘違いさせておこう。

 

「すずかお嬢様、これは夢だよ。まだ夢の世界だ」

 

「夢……ゆめ……ならいっか」

 

 なにやってるの、とーる……、という呆れ果てた声音のファリンが俺の背後でぽつりとこぼしていた。

 

 これ以上やるとファリンからの信頼度が底を割りそうなので(今でも充分下がり切ったとは思うが)、いい加減にちゃんと起こすとしよう。

 

「おーい、もう起きないと朝飯食う時間も準備する時間もなくなるぞー」

 

 俺はベッドに膝をつきながら、寝惚け眼でうつらうつらとしているすずかの頬を、ぺちぺちと痛くない程度にたたく。

 

 果たして効果はあったのか、姿を半分隠していたまぶたが開き、瞳が顔を覗かせる。

 

瞳の奥に、妖しい光が灯った気がした。

 

 すずかは抱き込んでいた俺の腕を離し、するすると両腕を伝って肉薄する。

 

真っ正面から恐ろしいまでの滑らかな機動で、すずかは俺の首に自身の両腕を絡めた。

 

熱く、柔らかで、かすかに水気を帯びたすずかの唇が首元に添えられる。

 

 先刻までのすずかの変貌ぶりに、俺はまるで対応できていなかった。

 

頭にぼんやりと霧がかかり、思考が鈍る。

 

「い……き……」

 

「えっ、なに……」

 

 首筋ですずかが短く小声で何言かを口にする。

 

灼けるように熱の篭った吐息が肌をなぶった。

 

 針を刺したみたいなちくりとしたかすかな刺激が神経を走る。

 

視界はどこかピンボケして、すずかの紫色の髪で満たされていた。

 

これまで知覚したことのない、感覚だった。

 

「すずかさまっ!」

 

 近くにいるはずファリンの、切羽詰まったような叫び声が、どこか遠くに聞こえた。

 

 いきなり後ろから痛いくらいの力で肩を掴まれ、そのまま加減なしに後方へぐいと引き倒された。

 

ベッドの端に乗っていた俺の身体は言うまでもなくベッドの外へと投げ出される。

 

虚ろな意識であっても、胸に抱くすずかを床にぶつけないようオートパイロットで動いた自分の身体を褒め称えたい。

 

 数十センチ、一秒たらずの滞空感を味わったのち、床へと墜落する。

 

高級そうなカーペットでも落下エネルギーの全てを吸収することはかなわなかったようで、俺は床へと後頭部を(したた)かに打ちつけた。

 

 大鐘を打ち鳴らしたような疼痛が頭に響き、そこでやっと視界の焦点が回復する。

 

 すずかは再び夢路を辿ったようで、俺の胸を枕にすやすやと穏やかな寝息を立てていた。

 

もしかしたら姉と同じで、すずかも本来は朝に弱いのかもしれない。

 

 俺はカーペットに転がったまま、ベッドから引っ張り落としてくれた張本人を見上げる。

 

「と、とーるごめんね。すずかさまは、えっと、寝ぼけると人に抱きつくクセがあるんだよ。言ってなかったね」

 

「あぁ、そうなんだ。なんでもいいからひとまずお嬢様を抱き上げてくれないか? 俺が起き上がれない」

 

 額にうっすらと汗をにじませつつ、ファリンが困ったように頬を引きつらせて笑う。

 

 忍もすずかも、姉妹揃って朝は弱いことが判明した。

 

ついでにメイド服は下から覗いてもロングスカートが影を作って中が見えないことも判明した。




もう少し話が進むかと思ったのですが、すずかの件で尺を取られました。
ロリ要因の描写には力が入ってしまうのが僕の悪いところです。
次からはテンポよく進もうと思います。

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