そんな結末認めない。   作:にいるあらと

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 アルフとの話を終え、俺は部屋を出た。

 

 規則でもあるしリンディさんにも言いつけられているので、気が咎められながらも部屋の鍵を閉める。これでアルフは部屋の外へ出ることは叶わない。

 

 とはいえ、牢屋という名目でアルフに用意された部屋は、1Kのマンションの一室程度には広さも設備もあるのであまり問題はないように思える。

 

 アルフに、すぐまた来るから、と言葉を残して退室し、俺はリンディさんとクロノの元へと足を向けた。聴取した内容の報告と、そしてある一つの提案の為だ。

 

 ジュエルシードは全て発見され、各々の勢力の手に行き渡った。この状況にまで到達した以上、さらにジュエルシードを欲さんとすれば、互いの総力を挙げての全面戦争になる。

 

 血で血を洗うような闘争、とまで言ってしまうと過言かもしれないが、似たような血生臭い戦いになるのは必定だ。

 

 激化、長期化、泥沼化を防ごうと目論んだ俺の案。それはこれまでと同様、互いから一人ずつ代表者を選出し、その勝敗如何でジュエルシードの所有権を決するというものだ。

 

 今までと異なる点といえば、ジュエルシードを賭ける数が一つや二つではなく、互いが持つ全てを賭け皿に乗せるという部分。

 

 数ではフェイトたちのほうが六つも多いが、こちらから提言すればおそらく彼女たちは俺の案を前向きに検討するだろう。

 

 彼女たちの持つジュエルシードの数は十三個。対してこちらは七つ。数の上では開きがあるが、エネルギー量という内情では大差はない。

 

 推測でしかないが、海上でリニスさんが強奪した八つのジュエルシードは普通のジュエルシードとは違い、保有魔力量が低下している。同時に封印し、こちらが回収した残りの一つを調査した結果、ジュエルシードが内包する魔力が四分の一にまで減少していた、とリンディさんが言っていた。俺たちが回収した一つがそんな有様なのだから、リニスさんが掠奪した八つのジュエルシードも同じことになっているとの予想は大きく外れてはいないだろう。

 

 彼女たちが……プレシアさんが赴かんとする忘却の都、アルハザード。その地に辿り着くためにどれほどの力が必要になるのかは、俺には見当すらつきはしないが、エネルギー量が多いに越したことはないと考えるのが自然だ。

 

 きっと乗ってくる。彼女たちの筋書きにも沿っているのだから。

 

 作戦を立てるに当たって、話を通しておかなければいけない人たちは何人もいる。

 

 まずは管理局側。リンディさんとクロノ。二つの勢力の代表者、なのはとフェイトが気兼ねなく戦える場を作らなければならないので強力で広範な結界を張ってもらいたいのだ。エイミィにも立ち会ってもらい、許可をもらわなければいけないだろう。

 

 次に、実際に戦うなのはと、なのはの先生役を務めてきたユーノ。つまり俺が属する勢力全員だ。なのはもいくつか経験、というより実戦を積んだのでかなり腕が上がってきているが、まだフェイトと相対するには戦力的に不安が残る。戦略を練る時間も必要になるだろう。

 

 最後に、ジュエルシードを賭けたギャンブルの相手役。プレシアさんたちにも話をしておかなければならない。これについてはアルフから念話かなにかで連絡を取ってもらうとしよう。

 

「さて、あとは二人を説得するだけだな」

 

 この船の最高責任者・リンディさんと、執務官を担っていて発言力のあるクロノ。その二人が待つ部屋の扉に手をかける。

 

 真っ当な言い分は用意した。後はいつものようにのらりくらりとそれらしい理由をこじつけて煙に巻くだけである。

 

 

 リンディさんとクロノとの会談は案外すんなりと終結した。

 

 二人ともこれからどういう手を打とうかと頭を悩ませていたらしい。俺の提案は渡りに船だったそうだ。

 

 エイミィはその席にはいなかったが、そちらはクロノから説明をしておいてくれるとのこと。俺にもやらなければいけない根回しは多いので、代わりにやっておいてくれるとの申し出は大変ありがたい。

 

 リンディさんたちとの会議で使った部屋からアルフが拘留させられている部屋までの道すがら、なのはとユーノに、決着をつける一戦を執り行う、と念話を送っておいた。

 

 なのはも、フェイトとは交わすべき言葉があるはずだ。伝えるべき想いが、あるはずなのだ。

 

 もう一度真剣勝負で向き合う機会があれば、そのほうが良い。それが二人の少女にとって実りあるものになれば尚良いが、それは少女たち次第となるだろう。

 

 なのはたちへの念話を終えてから、俺は足を止めて項垂(うなだ)れる。

 

 ぽつり、と独言が零れた。

 

「……黙っておいたのは、間違ってない、よな」

 

 なのはとユーノには、フェイトの事情についてを隠した。

 

 フェイトの事情、プレシアさんの娘であるアリシアのクローンであること。アリシアのためにジュエルシードを集めていること。俺の推論でしかないが、その先についても、一切なのはたちには喋らなかった。

 

 フェイトとの一騎打ちにあたって、どこまでも優しいなのはへ心労をかけたくなかった、という理由はある。あるが、理由はあるけれど、結局は俺の自分本位な言い訳にしかならないだろう。

 

 言えなかった、口に出せなかったのだ。どんな表現でなのはに説明すればいいか、俺にはわからなかった。事実を知ったところで、なのはがフェイトに対して悪感情を抱くなんてことはこれっぽっちも思ってはいないが、もしかしたら、という恐れが俺の思考を鈍らせた。

 

 そして言い出せないまま、なのはとの念話を終えてしまった。後から知らされたほうが傷つくだろうと判断はできるのに。

 

 考え事がぐるぐるとループし始めた頃、胸元で、ぱちぱち、とスパーク音がした。言語を発することができないエリーが、思いを行動で表していた。

 

 首にかけたネックレスは外から見えないよう服の内側にしまっているので、エリーは俺の地肌に触れている。エリーがぱちぱちと魔力か、それに準じる何かを低出力で放出したので少しむず痒い。胸元を指先で引っ掻かれるような感覚だ。

 

 そんなエリーの『励まし』に、俺は思わず笑ってしまった。

 

「そうだな……ぐだぐた考えても仕方ないよな……」

 

 エリーは俺の胸元で魔力を弾けさせる。『今更弱音を吐くんじゃありません』というように。

 

 エリーは魔力を弾けさせながらも、暖かさを俺に与える。『あまり無理をしてはいけませんよ』というように。

 

 そんな二つの気持ちを、エリーは同時に俺へと送ってきた。叱咤と心配を、俺へと贈ってきた。

 

 常に俺の近くにいるだけあって、俺の性格をこいつはよく理解しているようだ。

 

「ありがとうな。元気出たよ」

 

 俺は右手でエリーをぎゅうっと握り締める。エリーに痛覚などの感覚があるかはわからないが、苦しくならないよう配慮して、だ。

 

 足に力を込めて、俺はまた歩き始める。

 

 エリーに応援してもらっておいてなお踏ん切りがついていない自分に嫌気が差しながら、大きく溜息をつく。それでももう、足は止めなかった。

 

 疑問だろうが葛藤だろうが、全部抱えて歩けばいい。壁にぶつかったら、その時に解決策を模索すればいい。下手の考え休みに似たり、だ。

 

 定められた唯一絶対の解答が存在しているわけではない。おそらくどんな行動を選択したとしても多かれ少なかれ後悔はするし、何が正しいかなど誰にもわからない。

 

 ならばこれ以上考えても時間の無駄だ、と自分に言い聞かせる。

 

 リンディさんとクロノには、以前プレシアさんについて調べた時にわかったことを今回の提案の最後に、つい先程報告した。

 

 二人にも口を噤んでおこうかとも考えたが、黙秘を貫くことはできなかった。様子がおかしいのを問い詰められたこともあるし、なにより伝えておいたほうが事が良い方向に運ばれるのではという算段があった。クロノからは『わかった時に報告しろ』と注意されたが。

 

 クロノが語調強めにそう言ったのは、きっと仕事絡みだけではない。一人で抱え込もうとするな、という憂慮の裏返しだったのだろう。

 

 それを証明するように、クロノの隣に座っていたリンディさんはにこにこというか、にやにやというか、とにかく頬を緩ませっぱなしだった。自分の息子が人に気配りができる優しい子に育っていることが嬉しかったのだと推測される。リンディさんの表情は艦長としてではなく、一人の母親としての顔だった。

 

 心の奥底に走る疼痛とともに、クロノとリンディさんのやり取りを思い出していた。

 

 現代日本の常識と照らすとハラオウン家は一般的な親子とは言い難いけれど、やっぱりそこには家族愛という絆がある。リンディさんもクロノも二人とも仕事をしていて、二人とも責任ある立場にいる。家族水入らずの時間なんて満足に取れなくても、心が繋がっているのだ。

 

 俺と真守姉ちゃんは自他ともに認められるほど仲の良い姉弟だが、血は繋がっていない。それでも愛情は俺と姉ちゃんの間を確と通っていて、心は常に結ばれている。長い時間が、ともに育った日々が、絆を深く、固くした。

 

 ならば、プレシアさんとフェイトにだってきっと、繋がりはあるはずだ。クローンであっても血を分けたことに違いはない。生まれてから今日まで一緒にいた時間は裏切らないはずなのだ。

 

 何をするにも、まずはなのはとフェイトが一騎打ちをする旨の約定を、相手方と取り付けなければいけない。

 

 そのパイプ役となるアルフがいる部屋まで戻ってきた俺は、貸してもらってそのままになっている部屋の鍵を使い、解錠する。

 

 この部屋は古式ゆかしい錠前タイプと、最新式の電子錠の二つを解除しなければ扉が開かない仕組みとなっている。ピッキングのテクニックがあっても電子錠を突破できないし、ハッキングの技術があっても同様に開くことはできない。なんとも念の入った構造である。

 

 ちなみに、特技とまでは言えないがピッキングの心得は一応あったりする。言うまでもなく家の鍵以外で使ったことは、ましてや悪用などはしたことない。知識として知っているというだけであって、深い意味はない。ピッキングに必要な器具が何個かあれば鍵なんていらないな、なんて思ったりしていない。

 

 話の肝心要はそこではない。アルフにこの提案をどう切り出すかが重要なのだ。

 

 アルフには、またすぐ来るから、と言い含めておいたので、再び寝てしまっているなんてことはないだろう。

 

 ぷしゅっ、と空気が抜ける音とともに扉がスライドする。

 

「アルフ、戻っ……」

 

「へ? ぁ、と、とお……る?」

 

 出入り口である扉と部屋をつなぐ廊下などは、この拘留室にはない。艦廊と部屋とを仕切る境界線を跨げばすぐ室内だ。

 

 入室した俺の視界に映ったのは、肌色が七割、橙色が二割、赤色が一割。肌色はそのままアルフのきめ細やかな肌、橙色は長い髪、残りの一割の赤色は真っ赤に染まったアルフの顔。

 

 つまるところ、アルフはお着替え中であった。

 

 アルフはベッド脇に立っていて、俺からはちょうど斜めに見ている感じだ。着用しようとしている服を掴んで胸元に寄せているので大事な部分は見えていないが、かなり際どい。

 

 ここで悲鳴の一つでもあげられて誰かが来てしまえば、俺は下劣な行為に及ぼうとした犯罪者だ。アルフと同様拘留室に、いや、俺の場合中身も外観も牢屋としか形容できない部屋にぶち込まれるだろう。

 

 アルフが叫ぶ前に落ち着いて貰うべく、機先を制して口を開く。

 

「ご、ごめん! 狙って入ったわけじゃなくて、本当に偶然で!」

 

 一糸纏わずに立ち竦んでいるアルフから目を逸らさなければと頭では理解できているのに、眼球は俺の命令に断固拒否で答えた。前科がつくか否かの瀬戸際だというのに、食い入るように、ともすれば舐め回すように見入っている。魅入られている、と換言できるかもしれない。

 

 頼んでもいないのに視界内の情報を整理しようと思考が回転、加速する。

 

 すらりと伸びた脚には無駄な肉など一切なく、女性らしいラインを残しながらも引き締まった筋肉がうっすらと見える。接近戦を得意とするだけあって下半身は鍛え上げられているようだ。お尻はつんと上を向いて曲線を描いている。尾骶骨からはふわふわした尻尾が伸びているが、緊張からかピンとまっすぐ直立していた。お腹周りはほっそりとくびれているのに、しっかりと腹筋があるためか、弱々しい印象はない。上へと視線が登れば、豊かな双丘の中腹までが露わになっていた。服で胸元が押さえられているため、山頂を目にすることはできないが、柔らかそうなマシュマロを思わせるそれがむにゅりと形を変えているのは逆にそそるものがあった。視線はなおもアルフの肢体を這い上る。無駄に膨張させず絞った腕の筋肉群はもはや芸術品だ。三角筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋・腕橈骨筋のバランスに目を奪われる。リニスさんが筋肉に陶酔する気持ちも、今なら共感できる気がした。首筋と細く浮き上がる鎖骨にはオレンジ色の髪が川のように流れており、健康美と艶やかさが醸し出されている。そこには一種の妖しい色香が混在していた。首を辿っていくと、林檎よりも真っ赤な顔で、口元をへの字にして目元に涙を溜めているアルフの尊顔を拝することができた。オレンジ色の長髪は首筋を彩り、豊かな谷間に挟まれ、背中へ張り付き、腰に纏わりつくなどして全体の色っぽさを一段階引き上げている。頭の両側の耳は可哀想なくらいぷるぷると小刻みに揺れ、ぺたりと中ほどで倒れて垂れ耳みたくなっていた。

 

 ここまでの考察がおよそ一・七秒で行われたのだから、自分の目と無駄に速い思考力には呆れ果てると同時に、よくやったと賞賛したいくらいである。

 

 ちなみに、初めて見る彼女のそんな表情に少なからず嗜虐心が込み上がってきたのは秘密。

 

 アルフは服を両手で掴みながらぷるぷると震え、犬歯を見せつけるように口を開く。大きく息を吸い、そして吐いた。

 

「で……出てけぇ!」

 

「は、はい! すいませんでした!」

 

 大音声で放たれた命令に、俺は速やかにくるりと踵を返して退室した。

 

 壁際にあるパネルを後ろ手で素早く操作する。空気が通る音と金属が噛み合う音が続いて鳴り、扉が完全に閉じられた。

 

 扉を背にしてもたれかかる。

 

 記憶にも網膜にも焼きついて、目を瞑れば今も鮮明に浮かんできてしまう先ほどの光景は、おそらく向こう一年は忘れることはできそうにない。

 

「しかし、なんで下着も全部脱いでたんだ……」

 

 ふと口をついて出た疑問には、がつん、という扉越しの衝撃が応えた。

 

 俺の囁くような独り言が、アルフの耳には届いたようだ。扉の近くに寄ってきていたとは思えないので、おそらくベッド脇にあった手近なものを投げたのだろう。

 

 アルフの狼耳は飾りではなかった。ちゃんと優れた聴覚を有しているようだ。

 

 

 しばらく部屋の前で忠犬ばりに『待て』をしていると、扉の向こう側から、もういいよ、という声がした。アルフのお着替えが終わったようだ。

 

 声のトーンは暗く沈んだものであるが、原因については察している……というよりも俺自身が原因なので、あまりこちらには触れずに話を進めたい。お互い忘れた方が幸せなのだ。いや、忘れるなんてそんなことできないけれども。

 

 どんな顔して見ればいいのだろう、などと思いながら扉を開く。

 

 アルフはベッドに腰掛けていた。

 

 アルフの服装は、淡いピンク色のチュニックワンピースにキュロットスカート。彼女にしては珍しく、どちらかというとガーリーなスタイルであった。

 

 チュニックワンピースはおしとやかで清楚な印象を人に与えるが、いかんせんサイズが微妙にあっていないようだ。特に胸囲がきついらしく、その部分だけ妙に盛り上がっていて服の印象が変わってしまっている。大変眼福……お似合いである。

 

「なにさ、じろじろと舐め回すように見て……。さっきのこと、思い出してるんじゃないだろうね」

 

「ち、違うって! それにさっきのもわざとじゃない!」

 

「次怪しいことしたら『犯されるー!』って、叫ぶからね」

 

「本当にもう勘弁してください……」

 

 もともとノックして確認しなかった俺に非があるのだから、言い訳のしようもない。真摯な謝罪の他に俺が取れる姿勢はなかった。

 

「そ、そんなことより、その服はいったい……」

 

「『そんなことより』? うら若き乙女の裸を見て『そんなことより』? 徹にとっては女の裸なんてそこらへんの柱とかと同じなのかい?」

 

 足を組んで柔らかい笑顔を浮かべるアルフだが、目が怖い。笑顔の裏側には般若のお面が隠れていると確信できた。

 

「違う、違うって……。言葉の綾だ……」

 

「仕方ないね、話が前に進まないから今は置いといてあげるよ。この埋め合わせはいつか必ずしてもらうけど」

 

「わかった、了解だ。そんでその服どうしたんだ? 持ってきたのか?」

 

「ここから出られないのにどうやって持ってくるのさ。馬鹿なの?」

 

「あたりがキツい!」

 

「冗談だよ。茶色の髪の乗員さんが『着替えがなかったら困るでしょ?』って言って持ってきてくれたんだよ。でも……あたしにはちょっと小さいかも」

 

「茶色……髪は短めで背は低かった?」

 

「そうだったね。笑顔が可愛い、とてもいい子だったよ」

 

「絶対エイミィじゃん。なんでいないんだろうと思ったら」

 

 報告の場にいないと思ったらエイミィはアルフに会いに来ていたようだ。先ほど行われたリンディさんとクロノへの報告は急遽決定されたものだったので、予定が合わなくても致し方はない。

 

 しかし、一応は捕虜とされている人物に単独で会いに来るなんて何を考えているのだろう。同じ服をずっと着るなんてできない、という女性ならではの思考が彼女を突き動かしてアルフへと替えの服を届けに来たのかもしれない。なんともはや、配慮が行き届いた船である。

 

「良い服なんだけど、あたしには可愛すぎる服だよね。似合わないかな」

 

「いやいや、めちゃくちゃ似合ってるぞ。女の子らしさがありつつも活発そうなアルフの魅力で溢れてる」

 

 自信なさげに言うアルフに、俺はそう確言する。

 

 一度大きく目を見開かせると、アルフは頬を赤らめつつ口元を綻ばせた。

 

「あ、あはは、ほんと徹は口が上手いよ。お世辞でもそういうこと言ってもらえると女の子としては嬉しいけどね」

 

「お世辞じゃないんだけどな。髪も服に合わせて緩く結っていて落ち着いた可愛さが出てるし、綺麗な足が強調されてて男なら誰の目から見ても魅力的……

「い、いいから! もういいから、ありがとう! 私のことはもう充分だから、こっちに戻ってきた理由を教えてよっ!」

 

 これ以上喋るな、とアルフは俺に手のひらを突き出して止めてきた。

 

 この程度では語り尽くせない、それこそ少なくとも四百字詰め原稿用紙十枚分くらいは言葉を重ねたかったのだが、顔を真っ赤にして止められたのならば続けるわけにもいかない。彼女の要望通り、むずむずと動きたそうにする舌を抑えて質問に答えるとしよう。

 

 というよりも、本題はそこなのだ。

 

「プレシアさんに伝言してもらいたいんだ?」

 

「伝言? なにを?」

 

 オレンジ色の髪を弾ませて小首を傾げたアルフへ、俺は告げる。

 

「『ジュエルシード全部賭けて勝負しましょう』ってな」

 




最近どうにも調子が悪いです。
文章がつながらないといいますか。とにかく時間がかかりすぎる。シリアスになると言葉が思うように出てこない。

次の話はなのはとフェイトの最終戦、原作沿いです。というよりもほぼまるまる引っ張ってきているようなものですが。

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