ガンダムビルドダイバーズX   作:蒼ウサギ

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今回は少し間が開いてしまいました。


第4話①「それぞれの決心」

 昨日の今日だけに、ユウはナミの欠席に少し困惑した。

 担任からは、病欠のことらしいがユウにはどうにも怪しく聞こえた。本当は昨日の敗北のショックで立ち直れなかったのかもしれないと一人勝手に思い込んでいる。

 確かにチーム戦で敗北した後のナミの様子。いや、ナミだけではない。レナやシルバの様子はおかしかった。対人戦は、ミッションで失敗するのとは違う悔しさがあることは理解できる。けど、立ち直れないくらい程だったのだろうか。

 

(確かに作戦を立てたのは委員長だったけどさぁ。それに賛同したのは僕らなんだから気にしなくていいのに)

 

 むしろ、あの戦いで一番不甲斐ないと感じたのは、他でもない自分自身のことだとユウは思っている。

 シルバは2対1の状況で予想以上に粘ってくれた。

 レナは難しい裏取りを成功してくれた。

 ナミはそれらをカバーしながら上手く立ち回っていた。

 自分は、傭兵であるツバサを抑えるのに手一杯どころか相打ちに終わってしまった。下手をすると、負けていたかもしれない。

 イサミから聞けば、フォースメンバーであればメテオユニットシステムで他のメンバーの武器を手にすることができるという。もしかしたら予備パーツもあるかもしれない。

 結局は、手を抜かれてたということだろう。

 

「はぁ」

「どうした? アヤセ。問題がわからないのか?」

「え?」

 

 今が授業中で、しかも小テストの真っ最中であることを忘れてしまっていたようだ。

 

§

 

 放課後になり、レナの様子でも見に行こうと思っていたユウだが、模型部に親しい知り合いがいるはずもなく、部外者が後輩の女子目的に訪ねるのには気が引けた。

 そんな折、幸運にもレナからメールが届いた。

 内容は、「今日はナミ先輩のお家に行ってきます」というものだった。暗に今日は模型部の課外活動を休みますというメッセージでもある。

 すぐに「了解。もし、本当に病気ならお大事にって伝えておいてね」と返信した。

 そうなると、今日はどうしようかと思案する。そういえば今度の日曜日から従弟が来て一緒に住むことになることを思い出す。とはいっても生活に必用なものはすでに双方の両親が準備しているので、今更ユウにできることは何もないので問題はない。精々、来た時に色々道案内する程度だろう。

 

「とりあえず帰るか」

 

 そう呟いて、ユウは帰路についた。この時、ユウは気が付かなかった。スマホに着信した1件のメールの事を。

 そして、それはユウ自身の苦い記憶を呼び覚ますことになる人物からのメールだということを。

 

§

 

 シルバは、決して運や仲間の介護で等でDランクダイバーに上り詰めたわけじゃない。現にGBNで開催中の合計100人参加のバトルロイヤルin密林ですでに10体以上のガンプラを倒している。

 

「ビームマグナムの照準にも慣れてきたなぁ。さぁて次はどいつかなぁ?」

 

 密林というフィールドもあるが、バトルロイヤルの参加者には積極的に戦いにいく者と、隠れながらチャンスを伺う者がいる。シルバの場合は圧倒的前者だった。貪欲に唯々獲物を見つけては交戦している。

 

(昨日のバトルじゃ情けねぇ姿を見られたからな! すぐに熱くなってシステムを起動させちゃうのは悪い癖だぜ)

 

 どうせ囮として使われるくらいならせめて返り討ちにさせたかったというのが本音だ。ドッグガイアとキャットノーベルの強さは想像以上だったが、決して勝てない相手ではない、と今でも思っている。

 問題は、EXAMシステムを起動したことにあると、シルバは思い返してその考えに至った。

 

(やっぱりEXAMシステムはデメリットが大きいな。次からはトランザムで……)

 

 とも思ったが、トランザムにももちろんそれなりの代償はある。それはエネルギーが早く切れるということだ。今のオーディスティニーだとEXAMシステム稼働時間より早くエネルギー切れになるだろう。

 そしてその2つを組み合わせたエグトランザムを使った時の代償は、もはや言うまでもない。

 シルバの中のロマン心と現実的な運用法を天秤にかけた結果、エグトランザムは目途が立つまで封印することに決めた。

 

(ま、とりあえず今はどれだけオーディスティニーが戦闘を耐えれるかを確かめなきゃな!)

 

 だから、シルバはこのバトルロイヤルに参加した。今一度、オーディスティニーを見つめ直したいがために。

 そうこう考えているうちにシルバの耳に何やらタイヤを回す音が聞こえてきた。

 

(タイヤを回す音? また誰かがきたかぁ?)

 

 舌なめずりをして、身構える。その音がだんだん近づいてくるのがわかる。

 

「先制攻撃だ!」

 

 音の発生源から右側に敵がいると思ってビームマグナムを撃つ。そしてそれは何かに当たって爆発が起こした。

 

「よっしゃー、直撃ぃ!」

 

 シルバが喜ぶのも束の間、レーダーが同じ方向から接近してくる熱源を感知した。気づいた頃には“それ”がいた。

 

「この野郎!よくもアインラッドを!」

 

 声の主が怒鳴りながら巨大なハンマーを振り下ろしていた。オーディスティニーは、盾を失いながらもギリギリで回避したため、大地にそれが叩きつけられた。その場限定の軽い地震が起こる。

 

「ガンダムグシオンか! こいつは厄介だぜ!」

 

 ナノラミネートアーマーを持つそれはビームはあまり効果がない。加えて、ガンダムグシオンは屈指の超重装甲型だ。オーディスティニーのバルカンやミサイルの威力も期待できない。

 

(そうなると接近戦だが……ビームサーベルじゃなぁ)

 

 出来ることと言えば武器破壊くらいだろうが、それでもやらないよりかはマシとばかりにビームマグナムを腰にマウンドさせ、代わりにビームサーベルを手にした。

 

「てめぇ、人がせっかく一晩かけて作ったアインラッドをあっさりと壊してくれたなぁ」

 

 これでタイヤ音の正体がわかった。『機動戦士Vガンダム』に登場した大きなタイヤのサブフライトシステムがアインラッドなのだ。

 

「知るか! つーか、GBNなんだからリアルでは壊れてねぇだろうが」

「お、それもそうか。だが、ここで出会ったら戦うしかねぇだろう!」

「上等だコラァ!」

 

 こうなったら機動性を活かしてやっていくしかない。

 シルバがそんなことを思い始めたまさにその時だ。目の前のガンダムグシオンが何かに巻き付かれて身動きができなくなっていた。

 瞬間、ガンダムグシオンが爆発した。

 正確にはガンダムグシオンに巻き付いていた鎖状のモノにいくつもの爆弾が取り付けており、それが一斉に爆発したのだ。結果として、ガンダムグシオンはここで敗退していった。

 

「チェーンマインか」

 

 最後の1機まで生き残るバトルロイヤルにおいて味方はいない。だから、アインラッドに乗っていたガンダムグシオンからチェーンマインの持ち主に敵が移行しただけで、シルバは気を緩めることはしなかった。

 やがて爆煙が晴れると、そこには青と白、まるで主人公機のガンダムのようなカラーリングのガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクをベースとしたガンプラがいた。

 

「チェーンマインだからケンプファーかと思ったぜ」

 

 そんなシルバの感想など意に介していないようにそのダイバーが言う。 

 

「GNドライヴを装備したブルーディスティニー1号機。ほぅ、お前、ユウのお仲間だろ?」

「あん? ユウを知ってんのか?」

 

 シルバの返事に、ヴァサーゴCB(チェストブレイク)のダイバーは口を三日月型に歪めた。

 

「あぁ、知ってるぜ。だが、教える気はねーよ!」

 

 ぶぅんとヴァサーゴCBの鉤爪が付いている片方の腕が伸びてオーディスティニーを襲う。シルバは少し怯んだが、ビームサーベルでこれを受け止める。

 

「いい反応だ。そうでなきゃなぁ!」

 

 もう片方の腕も伸びてオーディスティニーを横殴りにした。

 

「ユウを誘き出す餌にならねぇだろぉ!」

「ぐっ! このっ!」

 

 横殴りで吹き飛ばされたオーディスティニーだが、地面に落ちる寸前でスラスターを吹かして空中で体勢を整えた。

 

「餌だと!?」

 

 問いを投げつつ、オーディスティニーでビームマグナムを連射する。だが、まるでそれを予期していたかのようにヴァサーゴCBは動いていた。オーディスティニーの反撃を全て回避し、空に飛んでいた。

 

「まぁ、いいから眠っとけや」

 

 ヴァサーゴCBから3つの赤黒いビームが発射され、オーディスティニーは、それに飲み込まれた。

 

「くくくく、あははははは! 安心しろ、お前のバトルロイヤルはここで終わりだが、お前にはまだ役割が残ってるからよぉ!」

 

 下卑た笑いが、バトルロイヤルのフィールドに木霊した。

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