ガンダムビルドダイバーズX   作:蒼ウサギ

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第5話②「フォース結成」

 紫のカラーリングのハンマ・ハンマから繰り出されたハンマーをディバイダーで受け止めながら、ユウは、あの時、勝負を快諾したことに少し後悔する。

 

 話は、カエデと共にGBNにログインした時まで遡る。

 さすがに時間的にGBNに居られるのは1時間弱程度だと思い、軽いミッション1、2回やって終わろうとしていたが、カエデがそれに抗議したのだ。

 

「ミッションなんてつまんないよー。せっかくのGBNなんだから対戦したいじゃん」

 

 それにそれなら1時間もかからないし、とまで補足された。

 言われてみればそうだが、早々対戦相手なんて見つかるか分からないとユウが言ったところ、カエデがショートメッセージを誰かに送っていた。

 

「大丈夫! 僕のフレンドにお願いしてみたから」

 

 驚くほど手際が良かった。もしかしたら事前にフレンド相手と連絡していたのかもしれない。ユウがそんな推測をしていると、見知らぬダイバーが近づいてきた。正確には、ミイラ男とフランケンシュタインがこちらに来ていた。

 ユウは、一瞬、ギョッとしたが、彼らはカエデを見て、人間味溢れる良い笑顔になったのでホッとした。彼らがカエデが呼んだフレンドなのだろう。

 

「よっ、カエデ。きてやったぜ」

 

 と、ミイラ男。

 

「カ、カエデタン。つ、ついに僕らのフォースに入ってくれるってことかな?」

 

 と、フランケンシュタインの男がそれぞれカエデに向けられている。

 

「いやぁ、その話はナシって言ったじゃん。フランケンさん」

「で、でも、心変わりってのが……」

 

 食いつくフランケンシュタインに、ミイラ男が制した。

 

「やめろって。今日はそんな話じゃなかったろ?」

「うん! 今日はこれから対戦できないかな~? ってお話。いい?」

 

 小首を傾げるカエデに、ミイラ男はニカっとした笑顔を見せた。

 

「もちろんだ! けど、条件があるぜ?」

「条件?」

「もし、俺達が勝ったら、ウチのフォースに入ってくれ!」

 

 え~、またぁ、といった顔をするカエデ。どうやら会うたびにそういう条件を吞まされているんだろうなと予想できた。

 

「君たちはフォースを組んでいるのかい?」

 

 ユウが訊くと、ミイラ男は「あぁ」と、親指を立てた。

 

「俺達、フォース『トリックオアトリート』。よろしくな兄ちゃん!」

「よろしく…。あぁ、じゃあその恰好はハロウィンを意識しているからかい?」

「おうよ! 似合うもんだろ?」

 

 ただの怪物と、怪物に扮している人間では全く違う。彼らは怪物種のダイバールックではなく、あくまで怪物の衣装をした人型のダイバーなのだ。

 だが、ここでユウに一つの疑問が浮かんだ。

 

「でも、なんでカエデを? それらしい恰好してないようだけど」

「あ~、ユウ兄ちゃんひどいよ~。僕の格好に気づかなかったの?」

 

 特殊だなぁということは気づいている。何せ黒を基調としたゴシックロリータにも似たファッションだからだ。

 

「これ、ただの女装服じゃなくて、女吸血鬼だよ? ほら、この赤い瞳! そして」

 

 自分の目を指した後、隠れていた牙を見せつける。確かにと、ユウは素直に納得した。過剰ファッションと女吸血鬼を自称しているのは引っかかるが、彼らがカエデをフォースの一員にしたい理由がこれでわかった。

 

「せっかくだからアップデートで新しく追加されたデュエルモードのタッグ戦でやろうぜ」

 

 ミイラ男の提案に異を唱える者はいなかった。

 

 そして、話は冒頭へと戻る。

 ゴングと同時にフランケンシュタインの紫色のハンマ・ハンマが急加速で接近し、グシオンハンマーを振りかぶってユウのエクスガンダムに叩きつけたのだ。反射的にそれをディバイダーで防ぐも、その重量に圧し潰されそうになる。その場でハモニカ砲を撃つ余裕すらなかった。

 

「ユウ兄!」

 

 鋼鉄迦楼羅に乗った武者飛駆鳥が援護に入ろうかという時に、腕の生えたジャック・オー・ランタンが邪魔に入った。ユウは初めて見るが、カエデにとっては馴染み深いガンプラのようだ。

 

「邪魔しないでよ、ミイラ!」

「いや、するに決まってんだろ。バトルなんだからさ」

 

 ジャック・オー・ランタンの顔が割れたかと思えば、そこから頭部と胴部が現れた。どうやらあの奇妙なカボチャのお化けの正体はウォルターガンダムだったようだ。

 

「その通りだお。カエデタン」

 

 エクスガンダムとは対照的に余裕の態勢であるハンマ・ハンマは、左腕に装着されているシールドを構えた。ユウのガンダム知識からそれが危険なものだと察することができた。

 

(まずい!)

 

 そのシールドから放たれた3連装ビーム砲は、先ほどまでエクスガンダムがいた位置に発射された。

 

「ん~、どこいったんだお?」

 

 返ってきたのは、ユウの大きな声だった。

 

「カエデ。離れて!」

「うん、わかった」

 

 今日、初めて一緒にGBNをやるのに早くも阿吽の呼吸で動いていた。

 武者飛駆鳥は、握っている烈旋丸を構えた。

 

「飛燕竜巻返し!」

 

 武者飛駆鳥が刀を振るうと、衝撃波が竜巻となった。一連の動作を見ていなかったらウォルターガンダムは大きな損傷を受けただろう。

 

「おっと、そいつは喰らわねぇよ」

 

 腕をバネにしてその技を回避したミイラが得意そうに言うが、直後にそれが囮と分かった。ハンマ・ハンマの3連装ビーム砲から逃れたエクスガンダムが、飛翔してハモニカ砲を撃ったのだ。

 ハンマ・ハンマだけではなく、ウォルターガンダムを巻き込んでの攻撃だ。

 しかし、攻撃はそれだけでは終わらない。

 

「アームパーツ射出!」

 

 何を思ったか、カエデが武者飛駆鳥の両腕を2機の敵に向かって飛ばしたのだ。これにはユウも驚いたが、そこからもっと驚くことが起きた。

 

天来変化(てんらいへんげ)雷鳴頑駄無(らいめいがんだむ)

 

 その掛け声と共に鋼鉄迦楼羅が3つのパーツが飛んでくる。そのうちの2つは雷鳴頑駄無の両腕だった。そして、もう1つは、鋼鉄迦楼羅の先端の1つを担っていたキャノン砲だった。

 武者飛駆鳥が飛ばした腕の代わりに雷鳴頑駄無の腕がカチッとはまり、身の丈以上のキャノン砲がその右手で握られる。

 

「雷砲・稲妻、構え!」

 

 キャノン砲―――雷砲・稲妻をウォルターガンダムに狙いをつける。

 

「発射ー!」

 

 引き金を引くと、SD頑駄無の武器とは思えない高火力のビームが放たれた。

 直撃。

 アームパーツによる牽制と素早い換装があったからこそだろう。

 

「すごい」

 

 思わずユウが呟いた。そして、あの鋼鉄迦楼羅の不自然なまでのカラフルと形状はこのためにあったんだと納得してしまった。

 

「えへへ、見たぁ? 僕の武者飛駆鳥の秘密! あ、正確には鋼鉄迦楼羅の方か」

「うん、凄いよ。けど、今はまだそれを語っている暇はなさそうだ」

「そうだね」

 

 雷砲・稲妻の直撃を受けたウォルターガンダムだが、まだ完全に動けなくなったわけではない。もちろん、ダメージは大きいが、まだ戦闘は続行可能のようだ。




『天来変化』は本来ならば『天来変幻』が正しいですが、合体ではなく、別パーツに変わるという意味であって、誤字ではありません。
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