完全迷走の紅茶の時間(ティータイム)   作:多々良文乃

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繰り返される日々と壊れる娘

 

 〜薔薇と紅茶の香る庭園〜

 

「さて始めようかイブ」

 

「えぇ次こそは勝つのは私よ、ライフ」

 

イブと呼ばれた、少女はとても笑顔だ

 

「今回はハンデがあるもんね」

 

ライフと呼ばれる少年は苦笑いでイブを見る

 

「じゃあ…島を脱出したところからスタート?」

 

「それぐらいでいいと思う、よし始めようか」

 

 

 

 

 

   〜繰り返される青年の家〜

 

[目が覚める]この一連の動作さえが繰り返されていると思ったのはいつごろからだろうか…

 

「まただ…この感覚だ…本当になんなんだよ」

 

紅い目の青年はいつも通りのコンクリートの天井を見てぼやく

 

トゥルルルルトゥルルルルトゥルルルル

 

電話の乾いた着信音が部屋いっぱいに響きわたり、青年は受話器をとる

 

「…はい、もしもし」

 

「ん、あ、久しぶりだな」

 

電話の奥の声はとても渋く40歳は軽く超えているような声だった

 

「お久しぶりです、黒河さん」

 

「今回も頼みたいことがあるんだが」

 

「…今回は誰を?」

 

「藤堂奈津子だ…」

 

「藤堂奈津子?」

 

「あぁ…」

 

「なぜ私に依頼を?」

 

「それは、この前の実績をだな…」

 

「すみません、私に依頼をするために必要な事、黒河さんはわかってますよね」

 

電話の奥の黒河は少しため息を付き語り出した

 

「…あの女は私を嵌めたのだ」

 

「ほう」

 

青年は最近のニュースを思い出してみるが黒河とその藤堂奈津子とのトラブルなんか耳にしていない、それに最近では黒河じたいテレビを見ることすらなかったぐらいだ

 

「私はあの女に多額の金を貸して2人である事業を完成させようとしてたいた」

 

「その事業とは?」

 

「すまん、それは流石に…しかし世界を変えるとだけでも言っておこう」

 

「いえ、それで充分ですよ」

 

「すまない、助かるよ」

 

「出来れば藤堂奈津子について教えていただければ?」

 

「藤堂奈津子はマッドサイエンティストとでも呼ぼうか自分の研究のためやならなんでもするというやつだよ」

 

「それで黒河さんも騙されたと」

 

「不甲斐ない」

 

「本当ですよ、衆議院である、貴方が…」

 

「100億」

 

「え?」

 

「今回の報酬だ」

 

「それは、それはいいですね、お受けします」

 

「いつもこんな汚れ仕事をすまないな」

 

「いえ、人を消すのが私の役目ですから」

 

「そうか、では頼むよ。レッドアイズマジシャン」

 

「あ、そうだ黒河さん」

 

「ん?どうした」

 

「このレッドアイズマジシャンは今からもうひとつの任務があるので藤堂奈津子は少し遅れるかもしれません」

 

「そのぐらい構わんよ、殺してくれれば」

 

「了解しました。後、私の名前は桐ヶ谷ですから」

 

「ふふふ、そうか、そうか、では頼むよ、桐ヶ谷君」

 

黒河との電話はきれた

 

「本当に、あの人は」

 

桐ヶ谷と名乗る紅い目の青年は満更でもない顔をしながら誰もいない部屋に語った。

 

 

 

 

 

 

    〜暗き夜の廃墟〜

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイ

 

身体が壊れそうなほど、この痛みいつまで続くんだろう…

 

身体が中から食べられているような感じ

 

本当にもう食い荒らされているんじゃないかとも思う

 

けど死ねない、いや死ねるが死ねない

 

「ク…ル…シイ…」

 

もう左手は寄生体に犯されもう普通の手じゃない

 

もう…いやだ…だれか…助けてよ

 

私を殺してよ…

 

だから今日も私は人の気持を捨てる

 

そしたら体の中の痛みが和らぐような気がするから

 

 

   〜とあるビルの屋上〜

 

本格的に世界が暗くなると青年の仕事が始まる

 

「さて、今回のターゲットは……緋村 悠汰か…予定だとそろそろ…」

 

緋村 悠汰は元々は通り魔犯だ。そう元々は、今では身を隠し普通のサラリーマンとして暮らしている

 

「警察もなかなかめんどくさいこと頼むもんだ」

 

青年はぼやきながらも背中にかけていた狙撃銃の準備を始める

 

後はターゲットが出てきて不意を付けば終わりだ

 

師匠の教えをこんなことに使ってるのか…

 

ははっ…見つかったら怒られるなぁ

 

おっとそろそろ時間か…

 

「次は…藤堂奈津子か…」

 

スコープを覗きながらの一言

 

そして硝煙の香りが俺らを包み込んだ

 

 

 

   〜屋上へ向かう階段〜

 

身体中がまだ痛いけど、なぜが今日という日はましだった

 

私は少し休むことにした

 

なぜって、昨日も組織からの追っ手を追い払ったばかりだったし…

 

もう精神的に苦しかった

 

けど記憶の中には仲良くしてた友達と…

 

ある男の人を思い出している

 

名前も思い出せない、それに話したこともないと思う

 

けど彼は、彼なら救ってくれるかもしれない。

 

そんな希望があった

 

この姿になってから、もうどれくらいだろ

 

そんな事を考えていたらもう屋上だった

 

屋上には…人がいた

 

その人の周りから追っ手の匂いがした

 

そう…あの銃と同じ匂いが

 

「……ぅ…ぁ」

 

「な、なんなんだよ!?」

 

見たことある、けど誰?

 

覚えてない…けど知ってる

 

「……ぅう…ぅ」

 

「おい、その左手…」

 

嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

 

「おい、どうした?」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

    〜屋上での邂逅〜

 

「な、なんなんだよ!?」

 

おいおいおい、なんなんだよぉ…

 

ターゲットは消えるし、後ろには女の子が…

 

女の子か?

 

「おい、その左手どうしたんだよ?」

 

彼女?は黙ってる

 

「おい、どうした?」

 

けどなんだろうな、この子…見たことあるような…

 

ないような…

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

蟹のような左手が襲ってくる

 

「えええええええええええええええ」

 

なんで?なんで?

 

なんで?襲われてんの?

 

あれか?俺が殺し屋だからか?

 

クッソ、一般人には…

 

いや、これは一般人じゃないような…

 

「ぐえッ?!」

 

首が……

 

なんでかなぁ…この子に殺されるならまぁ、いいかと思っちまう…

 

「あぁぁ…あ…」

 

「おいおいおい、首絞めといて泣くのかよ」

 

「あぁぁ…」

 

「いやいや、まずは鋏をどうにかしてくれない?」

 

「うぅぅ…」

 

「大丈夫だよ、だから泣くなよ」

 

「あ…り……が」

 

俺は彼女を撫でていた

 

なんでだろ…ほとんど無意識だったし、会話は成立してたし…

 

「俺が助けるんだったよな?」

 

「ぇ……」

 

驚いてるようだ、それとも思い出したか?

 

……まて俺が助けるだと?

 

「…助けて…」

 

「わかってる。待ってろよ、晴香」

 

「うん、この苦しみから助けて…迅風」

 

「あぁ…それとさ…」

 

「ごめんね…」

 

「それはこっちのセリフだよ」

 

「はは…そろそろ限界かも…逃げて…」

 

「あぁ…すまない…」

 

俺は屋上から出ていくんだな

 

さみしいような…かなしいような…はぁ…

 

何で俺は彼女のこと知ってたんだろう…

 

そうこう考えているうちに俺は涙を流しながら帰路につくのだった

 

 

 

  〜紅茶とバラの香る庭園〜

 

「この設定はずるくないの?」

 

「ずるい?何を言ってるんだよ、イブ」

 

「けど…」

 

「ここで迅風が負けたらそれで終わりの話だろ」

 

「その…それでも」

 

「うるさいなぁ…イブが勝てばいいだろ!!」

 

「そうだけど…」

 

「ただでさえ、イブにはハンデあげてんだ」

 

「うぅ…」

 

「僕は絶望を見て楽しんでるんだからもっとあらがってよね、ライフ」

 

「本当にいつ見ても悪趣味なんだから」

 

「ありがとう、褒め言葉だよ」

 

「最低」

 

「次のステージは期待しているよ」

 

「えぇ」

 

 

 

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