Angel Beats! 「死後の世界のあり方」   作:Chelia

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序章

「あの日…そう…あの日はみんなで『死んだ世界戦線卒業式』をやったのよね…」

 

「え?お前誰って?ゆりよ!言わなくても分かって頂戴!」

 

語り役はゆり。まさか、序盤から一人でツッコミ役に回るとは…なんともご愁傷様です。

 

「ふぅ…気を取りなおして…

残ったメンバーで卒業式をして、みんなが成仏した後結構な時間が過ぎた…

私が元の世界に帰った最初の場所は自宅だった。

そこには亡くしたはずの弟や妹がいた…

最初は感動で言葉もでなかった…

私は…私の家族と楽しい生活を始めることができたんだ…

そして、1ヶ月後くらいたった頃…

私は嫌な夢を見るようになった

どこか知らない学校で私が銃を持ち、他人を撃つ…

そんな今では有り得ないような非現実的なことが夢の向こうでは起こっている

ううん…夢なんかじゃない…

私はちゃんと覚えている…

あそこは『死んだ世界戦線』

私たちがそう名付けた場所…

でもどうして? 成仏してもあの場所って覚えてるものなの? それとも私だけ?」

 

…日が経つに連れて私の見る夢は長く辛いものになっていく…それも苦しく…

 

みんな消えた…そして全てが終わったはずなのに…

 

「!?…あれ? 急に意識が遠くなって…」

 

 

そのままゆりは気を失い、現実世界から姿を消してしまった。

二度目の死後の世界への入学。

そこには何があるのか?

みんなは…

先が謎だらけの物語が今…始まる…

 

死後の世界の存在をみんなは信じるだろうか?

天国?地獄?

三途の川が見えて誰かが迎えにくる?

それとも、そんなものは存在せず死んだらすぐに何かに生まれ変わる輪廻転生説を信じる?

 

実際問題、死後の話は死んだ人間にしかわからない。生前の記憶を持ったまま死後の世界を経験し、尚地上に戻ってきた…なんていう人間は未だいないし、いたとしても信じてはもらえないだろう。

 

この物語では、生前にまともな人生を歩むことができなかった高校生に対し、満足な学生生活を送ってもらい、未練を残すことなく成仏してもらおうという小さな世界がある。

存在するのは巨大な学校と周辺の敷地のみ。

 

いや、この物語のキャラクター達が行けるのが高校であっただけで、もしかしたらこれの小学校や中学校バージョンがあるのかもしれない。

 

しかし、これは大元の設定でしかない。

この世界に生活している人間は、それぞれ様々な思想を持っていた。

 

この世界の秩序を守り、理不尽な人生を送ってきた学生に無事成仏をしてもらおうと働きかける者。

 

対照的に、こんな茶番な生活はごめんだと、この制度に抗い続けこの世界に居座ろうとする者。

 

…そして、そのどちらでもなく、この世界の秘密を探り自分自身が神になろうとする者。

 

これの他にもまだまだある。

 

大元は一つの目的でしか作られていなかったこの世界は、こういった混沌(カオス)な思想によって乱れ、一度崩壊寸前になる。

 

その崩壊寸前の状態で、世界をリセットし、最終的に無事成仏を果たした主要人物の一人こそ、死後の世界一期生であり、先程語りを入れてもらった少女「仲村ゆり」なのだ。

 

 

 

 

 


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