こんな分岐は嫌だ ~ BALDR SKY短編集~   作:水城悠理

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バカンス編はゲーム本編とは全く関係ないオリジナル話です。
本編の改変を楽しみたい方はepisode5に飛んでも問題ございません。


スーパージルベルトワールド4-1

 side 門倉永二

 

 古い戦友から電話、それも本業用の回線で入ってきたから何かと思えば、依頼内容を聞いて呆れた声を出す。

 

「はあ……お前から連絡があるから何かと思えば……うちは傭兵と運送業はやってるがそっちは専門外だ。それにボディガードならお前の息の掛かったやつを使えばいいだろ」

 

「これは私のプライベートだ。だからこそお前に頼んでいるんだろう」

 

 これだから親バカは……。

 

「娘のレインちゃんだっけ。エイダさんに似て美人になったか?」

 

「……我の強さは私似だから扱いに困る」

 

「それは何というか……まあ、ノイは知らない間柄じゃないから、それとなくならやってもいいが」

 

「では料金はこれくらいで」

 

「使うのは一人だからそこから一割ぐらい引いて、その分嬢ちゃんに小遣いで渡してやれ。大丈夫だ。ちゃんと元は取れている」

 

 緊急の場合やリスクが高いならともかく、危険性がほぼ皆無のボディガードでこの金額ならむしろ破格だろう。身銭を切るっていうんだからそれくらいでいい。

 

「分かってるって、骨休みに来たって設定でつかず離れずをすれば良いんだろ。泊まるホテルはそこだな……すまんが宿泊費は経費で落ちるのか?」

 

「それは大丈夫だ。部屋もなるべく近くなるように手配する」

 

 詳細を詰め終わった後に、俺はコールをして、部下を呼んだ。

 

「お呼びでしょうか? 大佐」

 

「割のいい仕事が入ったが、クライアントは女性を指名だ。よって大尉にその任を任せたいと思う」

 

「ではサポートにモホークを」

 

「一人でできる仕事だ。羽根を伸ばすついでにガキどもが羽目を外さないようにしてくれればいい」

 

 もっとも、唯一の大人が羽目を外す可能性の方が高いのだが……。

 

「了解(ヤー)」

 

 フェンリルは何でも屋では無いんだと思いつつ、経営者の立場からすると美味しい仕事なので無碍にもできないのが何だかなと思わないでも無かった。

 

 sideout

 

 

chapter4

夏色模様 summer vacation

 

 

 side 水無月空

 

「しかし、まこちゃんが友達と旅行ねえ……まあ、ノイ先生が一緒だって言うから心配……うん、無事に帰ってきてね」

 お姉ちゃんは冗談のつもりで言ってますが、もしノイ先生があれでも猫を被っていることを知ったら止めたのではないだろうか。

 

「まこちゃんはそんなに体が丈夫じゃないのだから羽目を外しすぎないこと。体調が悪かったらノイ先生にちゃんと相談すること。期待はしてないけどお土産はきちんと買ってきてね」

 

「うん」

 

「あと、まあ色々言いたいことはあるけど楽しんで無事に帰ってきてね」

 

「はい!」

 

 ここまでは良い話で済んだのだけど、問題はここからだった。

 

「車が来たようね、私もあいさつを……ってアレ誰?」

 

 そこには普段の抑えめのコーディネートではなく、開放的な格好をしているジルベルトさんが。

 

「ああ、真ちゃんのお姉さんですね。いつも真ちゃんには色々お世話になっています」

 

「は、はぁ、こちらこそ……って、もしかしてあなたも旅行に?」

 

「ええ、後一人拾って来る予定なのですが、聞いてなかったのですか?」

 

 お姉ちゃんがジト目で私を見ながら、ジワリジワリとにじり寄ってくる。

 

「まこちゃん、私男の人が一緒なんて聞いてないわよ。あの人ノイ先生の彼氏か何か?」

 

 彼氏さんではないんだけど、友達以上恋人未満というか、ノイ先生は肉体関係OKだって公言しているし。でもそうなるとレインさんが……。

 

「ああ、申し遅れました、鳳翔学園2年のジルベール・ジルベルトです。真さんとはシュミクラムでよく相手をしてもらっています。今回は俺が宿泊券を4人分当てましたので、いい機会だから親睦を深めようと誘っただけです」

 

「同い年? それに親睦って……まさか、まこちゃんを狙って!?」

 

「いや違いますって」

 

 何というか普段はクールというか達観しているジルベルトさんも、お姉ちゃんが相手だと普通の17歳なんだなあってちょっと安心した。

 

「おーい、いつまで待たせるつもりだ。そろそろ出発しないとレイン君との待ち合わせ時間に遅れるぞ」

 

「ノイ先生、私、男の人と旅行だなんて聞いてませんよ!」

 

「ええぃ、空君はそろそろ彼女を放置したまえ。それにジルベルト君は、君より巨乳の同年代が迫っても平然としているような男だ。まあ、彼が貧乳好きという可能性も捨てきれんが。よく頭撫でるし」

 

 ノイ先生が余計なことを言ってお姉ちゃんがますますヒートアップしそうだったので、背後からそろりと近づき、忍ばせていたノイ先生謹製の即効性睡眠ナノマシンを注射した。

 

「うっ……」

 

 倒れそうなお姉ちゃんをジルベルトさんが慌てて抱きかかえる。

 

「真ちゃん一体なにしたの?」

 

「ひみつです」

 

 乙女には秘密が多いんですよ。

 

 それからジルベルトさんにはお姉ちゃんを居間まで運んでもらって、置き手紙を残して出発した。もちろんお姉ちゃんからのコールは着信拒否。具体的な場所は教えていないから追跡もできないはずだし、お土産を買ってごまかすとしよう。

 

 

 side桐島勲

 

「少ないが小遣いだ。持って行きなさい」

 

「普段もらっているだけで充分です」

 

「レイン、過度な財貨は人を狂わせるが適度な財貨は人を助ける。それほど多い訳ではないからもらっておきなさい」

 

「……わかりました。それではそろそろ時間ですので」

 

「余計なことかもしれないが、羽目を外しすぎないことと……その何だ、夏は気分を開放的にさせるとはいえ、私はまだ孫を見る年ではないので、その辺だけは気をつけてくれ」

 

 最後のは余計だとは思うのだが、親としては言わないわけにはいかなかった。嫁入り前という貞操観念まで強いるつもりはないが、それでも気を付けなければならないのは間違いなく女性の方だ。

 

「それは……まあそういう雰囲気になれば私もそのやぶさかとはいいませんが…その……ジルベルトさんは大人ですし」

 まあ、調査した限りはレインから強引に迫らない限りはそういうことになる可能性は皆無だろうというのが彼に対する評価だが、育て方を間違ったのだろうか。

 

「レ、レイン、そろそろ時間だったな?」

 

「はい、行ってきます」

 

 出ていった娘を見送ると、立て掛けている写真立ての彼女に笑いかける。

 

「エイダ……私たちの娘は元気に育ってるよ」

 

 憎まれてもいい、元気であってくれればと思わずにはいられなかった。

 




とまあ、保護者さん達の話です。リゾート? 何それ?
ジルベルトはノイ先生に対しては地を出しますが、空に対しては何となく苦手という設定があります。
あとまこちゃんが微妙に黒いのはいつものことです。別に眠りの空とかやりたい訳ではないんで。
本当にバルドスカイの親父どもは不器用だなあというのが私の基本スタンスなのでご了承ください

ジルベルトワールド本編終わったらどちらを読みたいですか

  • 番外編→えせ救世主物語(DSクロス)
  • DIVEX(バルドスカイ本編再構成2)
  • ジルベルト系よりニラ小説書けよ
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