こんな分岐は嫌だ ~ BALDR SKY短編集~ 作:水城悠理
いや私コメディ畑ではなくて、叙情に訴えるようなのが好きな人なんですよ?
ノインツェーンは考える。
己の存在理由とは何かと。
自分の存在は現実にはすでになく、その魂のみバルドルという箱の中にいる。
精緻な1と0の世界。
完全なる調和によってもたらされた世界だ。
そのような存在になってからは私は時間の感覚がよく分からない。
元々その辺に執着するような人格ではなかったのだが、私はこの中で静かに理想とする社会が生まれればいいと思っていた。
ノインツェーンは考える。
時折、私とコンタクトを取ろうとする存在が現れる。
私の持っている知識を欲しているのだ。
愚かな話だ。
確か旧世紀の神話に知識を得る為に目を差し出した神がいた。
彼らは何を代償に知識を欲しているのだろうか。
私という存在は既存の概念の延長線上に存在はするだろうが、人間がそれを理解できるとは思えない。
私の弟子の幾人かはその技術を盗んでいった。
私の理論を聞いて、理解して、自分流にアレンジしたと言っても良いだろう。
だが、私に直接触れるなどという愚行は毒を飲むようなものだ。
私という存在に飲み込まれ、変質し私の望む世界になるように動く。
別に私がそれを望む訳ではないが、禁断の果実を手に入れて時間を進めるのなら、滅びもまた早めなければならないという自然の摂理だ。
ノインツェーンは考える。
八重という個体について。
彼女との出会いは衝撃的だった。
限定的とはいえ、彼女とは意志を共有できる。
それは「喜び」だった。
だが、いやだからこそ彼女にとってそれは境界を曖昧にする物なのだろう。
門倉永二という個体が彼女との間に子どもをなした。
私も子を持つということに興味を覚える。
不確定な存在を作りたいという「欲求」を当時の私は考えていた。
私を理解できる存在が増えれば私の足りない何かを埋められるのではないだろうかと「期待」したのだ。
そうして色々試した。
今考えれば若気の至りとでも言うのだろう。
世間では狂気の沙汰と言われているが。
ノインツェーンは考える。
空という個体について。
彼女は私の若気の至りの技術に基づかれて作られた存在だ。
別の個体である真は相性が良すぎて面白くない。
故に私はこの個体を気に入っている。
私は今この個体と繋がっている。
へその緒で母体と繋がっているような状態だろうか。
彼女の持っている感情が流れてくる。
喜び、怒り、悲しみ、不安、嫉妬、狂気……エトセトラ
私という存在が確立する以前に捨てたもの、それを学んだ時、私は完全な存在になれるのだろうと。
ノインツェーンは静かに暮らしたい
END
そうして思うがままに彼女に任せていたいた結果がこれだよ!
ノインツェーンさんはAIとは別のアプローチで人間に近づいていますが、それは彼的に幸せなのだろうか。
誰もノインツェーンの意思を理解できない。
いや理解できるはずがない。
禁断の技術に手を染めて人を救うはずが、逆に滅亡フラグを立てたりというのはよくあること。
結局ノインツェーンに汚染されるとは、ノインツェーンの指令を受け取るというより、ノインツェーンの意思を人が理解できる形にコンバートして改変してしまった状態なのだろうなと。
イメージ的にはラテン語→ロマンス語→フランス語→英語→日本語
これだけ経由したら本当の意味を理解できるはずがない。
接続者は
ラテン語→ロマンス語→フランス語あたりだろうか。
それでも完全に理解できないのだけどまだマシなレベル。
まあ別時空で0と1で変換するコードを用意したんでと解消したバグがいるわけですが
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