こんな分岐は嫌だ ~ BALDR SKY短編集~ 作:水城悠理
「とうとう来てしまったんだね甲」
門倉甲は様々な困難を乗り越え、今ここに来ていた。
全ては世界を救うために。
「菜ノ葉?」
「そう、甲の幼なじみで嫁にしたいヒロインNo.1の若草菜ノ葉だよ」
「お前は確か緑色のクリスマスで死んだはずだ」
「うん、確かに若草菜ノ葉としての人生は終わったけど、アセンブラによって生まれた二ラと意識が融合して種を拡散。市場に出回った二ラを食べた人同士でネットワークを形成してこのアリウムの中でずっとあなたを待ってたんだよ」
アリウムって何だよというツッコミをする気力は既に無い。
「聞いてくれ菜ノ葉、お前がここを管理しているなら二ラの暴走を止めてくれ!」
「どうして? ニラはベータ・カロチンやビタミンA、ビタミンC、ミネラルが豊富で、昔から胃腸に効く野菜として親しまれている食材で、ニラの煮汁は文明が発展する前までは奇跡の霊薬として信じられていたんだよ」
「だからって……これ以上二ラ中毒患者を作らせる訳にはいかない!」
今や世界は二ラ中毒による荒廃が進んでいた。
仮想にいる時間を増やすことでどうにか保っている状態である。
「ねえ、甲。どうして私が甲に二ラ料理を作ってたかわかる?」
「いや……お前が二ラ好きだからだろ」
「違うよ、ニラの葉は、韮白(きゅうはく)という生薬で強精、強壮作用があるから、お母さんがお父さんをと結婚するときに餃子で誘って押し倒して私ができたんだ」
菜ノ葉の母は自分のことを実の子のようにかわいがってくれていたが、そんな一面があると思うと血の気が引くような気分だった。
「だからね、私と甲の赤ちゃんもそうなったらいいなって。うん、ニラを食べて愛し合って、子どもが産まれる。これほど幸せなことってないよね」
「……違う」
それは明確な拒絶。
「俺の知っている菜ノ葉は誰かのために一生懸命に頑張って」
「うん、あなたの知っている菜ノ葉はあなたに好かれたかったからそういう女の子を演じたの。知ってる? 女は大好きな人の前では一流の女優さんなんだよ」
信じたものが崩れ落ちた甲の元に菜ノ葉はゆっくりと一歩、また一歩と歩み寄る。
「甲もニラを食べて、私も食べれば幸せな気持ちになれると思うんだ」
着ていた服を脱ぎ華奢ながらも女性らしいフォルムの裸体が甲を抱きしめようとした。
「そこまでだ!」
「あなたは緑色のクリスマス以来行方不明だった久利原先生!」
「久利原直樹はあの日に死んだんだよ甲君。今の私は草刈りの風ウィンドとでも呼んでくれたまえ」
「久利原先生、どうしてこの空間に入って来れたの。ここは私と甲だけのプライベート空間のはずなのに」
「菜ノ葉くん、君は覚えていないんだね」
「久利原先生」
「どうしたんだい菜ノ葉君」
久利原直樹がアセンブラの開発に対して充実を覚えていた頃の話。
恩師でもある若草夫妻の一つ種である菜ノ葉に対して年の離れた妹のようにかわいがっていた。
「もうすぐアセンブラが発表されるんですね」
「そうだ、君のご両親の夢でもあったものを私が発表できるのはうれしい限りだが、君のご両親は」
「はい、あの事故で命は取り留めましたが」
反AI派によるテロ事件で命を狙われた若草夫妻は奇跡的に命を取り留めたものの、未だ目覚める気配はない。
「そうか、私にできる事があれば何か言ってくれたまえ」
「じゃあ、お願いではないんですけど、これを預かってもらえませんか」
手渡されたのは緑色の一本のペーパーナイフだった。
「これは電子体アイテムだね」
「はい。世界を救うためのお守りです。もし何かあったら甲に渡して下さい」
「それなら最初から甲君に渡せばいいじゃないか」
「いえ、先生なら何年かかっても甲に渡してあげれると思うから」
その時の菜ノ葉はまるでもうすぐ散ってしまう桜のように儚かった。
回想終了
「これは君が甲君に渡すように頼んでおいたものだ。あの日、二ラの海に飲み込まれながらも無事だったものの、体のダメージを回復されるのに2年も掛かってしまった」
二ラの海とはアセンブラが暴走して二ラと化して人々を襲った事件のことで別名緑色のクリスマスと呼ばれている。
以降、蔵浜周辺には人々に襲いかかる二ラが猛威を振るっていた。
恐ろしいのはその繁殖力でグングニールで一度は焼き払ったものの、三日後に再生。
そしてグングニールにハックして機能が停止した現在、人類は二ラとの対決を余儀なくされている。
星修学園は学園都市ではなく、二ラと戦う最前線基地として生まれ変わっている。
門倉甲は菜ノ葉の敵を討つために軍隊に入り、GOAT(Global-union Observation Allium ramosum Team(統合軍対二ラ対策班)として戦い続けていた。
そして、ようやく反攻作戦が展開され、ここまで来たのだ。
「甲君、これが菜ノ葉君から預かっていたものだ」
手渡された武器を見て菜ノ葉の表情が変わる。
「それは二ラソード。あらゆるニラを滅ぼすというニラを断つ剱。どうしてここに」
「甲君なら君を止めてくれると信じてたからだ。二ラを倒せるのは二ラだけ。あの二ラがアセンブラを元にしているなら、理解できる。君を倒せばこれ以上ニラが増えることもない」
久利原は決意した。
いずれ地獄に堕ちる身であっても、この身は信念に殉じると。
手を汚すなら幼なじみの甲ではなく自分がすべきである。
「覚悟したまえ菜ノ葉君」
久利原は趣シュミクラムにシフトし、刀を構えた。
「そうですね、多分先生には私のことが理解できないと思います。だから先生も」
『私たちの一部になりましょう』
それはアイランナーだった。だが、大きさがアイランナーの5倍を越える大きさであり、緑色の翼が生えている。
それがニラであることに気づいた。
「このシュミクラム、ニランナーtypeΩを前に絶望し、朽ち果てて下さい」
「いやちょっと待って、いくら何でもそれは無いわよ」
私は菜ノ葉を揺さぶる。
「イライラしたからやった。酒に酔っていたから覚えていない」
「そもそも何でニラが暴れ出すのよ。生態系の崩壊か何か?」
「空先輩なら分かってくれると信じてたのに」
「菜ノ葉?」
「タイトルパッケージから外れ」
「ウグッ!」
「アナザーはもちろん、本編に入る前のレインさんのシナリオまで新規に書き起こされたのでまたメインヒロイン不要論がプレイヤーの中で取り上げられ!」
「グハッ!」
「クゥはいらない子っていうかむしろ空はいらない子じゃないですか」
「もう止めてください菜ノ葉さん! もうお姉ちゃんのライフポイントは0です」
まこちゃんが必死に菜ノ葉を羽交い締めにする。
「確かに出番は増えたけど……これじゃあ私ネタキャラだよ」
「私、人気投票2位だったのに、どうしてこんな」
「お、お姉ちゃん、大丈夫です。あくまでメインヒロインはお姉ちゃんですから。
「じゃあ私がレインに勝てる要素を上げてみて」
長考の後震えながらも口を開く我が妹。
「シュミクラムの腕と勢いですね」
「それって女性として必要な要素かな。もしまこちゃんが男なら私とレインどっちを選ぶ?」
「もちろん、お姉ちゃんに決まってます」
「じゃあ何で目をそらすのかしら」
「重力に囚われた巨乳は死ぬべきなんですが、確かに後ろ三歩引いて男性を立ててくれるのはとても魅力だなって」
「……世界はいつもこんなはずではなかったのに」
オチ無し
いや、菜ノ葉のネタっぷりとレインさんの優遇措置が酷すぎて。
あと本当にそらはいらないこ状態。
アリーナではまこちゃんの方が安定してますし。
基本的に空のシュミクラムって未亜のスタイルをシュミクラム化したものなので、自機としては愛用しております。
いやずっとジルベルトでシリアス書いてたんでたのにメタを含む支離滅裂な話が書きたくなっただけなんだ。
多分今人気投票したら、菜ノ葉、クリスさんに勝てないんじゃないか疑惑がひしひしと。
と書いていたのが発売後の番外編ディスクが発売された後半年以内のこと。
現実的には、別シリーズでもレインだけがゲストキャラで登場し続けるくらい人気なんですよね……
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