こんな分岐は嫌だ ~ BALDR SKY短編集~ 作:水城悠理
たまにおかしな水無月真が出てきますが気にしないでください。
鏡面世界のヴェリテ1
???
初雪がちらちらと地上に挨拶し始める季節になるといつも思い出す。
彼と彼女は今どこで何をしているのだろうかと。
「私も年を取ったと感じるわけだ」
感傷に浸るのは長く生きたものの性である。
「本日も平穏なり」
現生人類は後何人残っているのだろうか。新天地を求めて世界を旅した同胞たちは生き残っているのだろうか。
鏡面世界のヴェリテ1
俺は自分をジルベール・ジルベルトと名乗るべきか、佐藤弘光と名乗るべきか。あるいは自分がジルベール・ジルベルトだったというのは胡蝶の夢であり、目が覚めたら変わらない朝を迎えてたまに幸村たちとバカやりながら会社人として毎日を生きているのかもしれない。
「などと現実逃避をしているのもばからしい」
すでに主観時間で何十年たったかわからないが、自分は探さなければならない。
「俺が探している君はどこにいるんだろうね」
水無月真を探す旅の基点について語ろう。
ある日自分が所属している学園の先輩で、才色兼備として有名な六条クリスがこんなことを宣ったのだ。
「こんな話するのもあれなんだけど、ジルベルト君って前世の記憶とかない?」
「先輩、電波系ですか?」
「いやいや、まじめな話。私の主観の君と、現実の君はかなり違う生き物なのよね」
「……もしかして、ご同輩?」
「21世紀を生きた日本人」
「横須賀民です」
「あっ、私草加民。草加市の方ね。いやー原作キャラと違うから違和感あったんだけど、ヘタレた時が素なのかちょっと疑っていてね。もしかしたらここから1年間で覚醒イベントがあってイキリ民になるのではないかと観察していたのだけど、何か行動様式が自分探ししている日本人っぽいからと思ってね。もし違ってもごめん、ちょっと忙しくて適当なことを言ったわねでお茶を濁す予定だったのだけど、どうやら似た者同士で助かったわ。あっごめんね。普段はお嬢様しなくちゃいけなくて猫被ってるから、こういう日常トークに飢えててね」
オタ特有の長文トーク。本当にこの人同輩だ。
「でも君もまさか噛ませキャラに転生するとは運がいいのか悪いのか。まあ何があっても高確率で生き残れるのはうらやましいわ」
「えっと六条先輩。原作キャラって何ですか」
「バルドスカイのジルベール・ジルベルトよ。で私は追加キャラの六条クリス。悪役同士仲良くしましょう。とりあえずの目標は灰色のクリスマスの阻止で」
「ちょっと待って、情報整理させて。話の流れが分からない」
原作って何。この世界がゲーム? 六条先輩、俺そのゲーム知らないんですけど。
「もしかして並行世界の人間なのかしら。バルドシリーズは分かる?」
「わかります。バルドフォースは主題歌もムービーも名作」
「その次回作は?」
「デュエルセイヴァーでは。いや厳密にはバルドシリーズではないですけど」
「んー……失礼ですがお亡くなりになられたのはどの辺でしょうか」
「PS3が販売してた時期ですかねえ。いや自分も知識としての記憶はあるのですが、具体的な時系列に関してはちょっと難しいと言いますか」
「PS3かあ……いや私の趣味ジャンルだと携帯機あれば十分だったから結局手をでしてないのよねえ。PS2時代はパラダイスだったんだけど」
あれ? もしかしてこの人、腐の付くジャンルの人なのか。大学時代の友人の水上の彼女の門岡さんが似たような感じだったが。いや初見の人を疑ってはならない。人間触れてはいけない領域があるのだ。
「まあ過去の与太話については、まだ時間的猶もまだあるし後日改めて話しましょう。ゲーム知識がないあなたに言いますけど、1年後に世界は崩壊します……とまではいかないのだけど、とある事件によってこの辺は住みづらくなります。ぶっちゃけますと、天上でスタンバっているグングニールがこの辺一帯を薙ぎ払います」
「その、バイオハザードの発生とか、突然アヴァターから破滅の軍勢がこんにちわするとかそういうノリですか」
「割と前者ね。わかりやすくいうと、劇場版サードインパクト未満」
人類溶けるの? 何が起きたらそんなことに。
「主犯はわかってるんだけど、残念ながら現在行方をくらませて登場するのが来年の春なのよ。私も一応実家の伝手を使って鋭意調査中なので年内に見つかったら。拘束して電子チップを調整してどうにかするわ」
表情は笑顔で、好きなゲームを見つけたらとりあえず確保しとくねくらいの軽い口調なのだが、目が全然笑っていない。あまり接点がない同級生らがクリス先輩は時折クールになるけどそこがいいとか言っていたが、この人の本質は敵対したら容赦なく潰すタイプで、遠目から見ている方が幸せになれるぞ。
「話が逸れたわね。色々と手は打つけど来年11月の時点でどうしようもなかったら私は逃げるから、その時の為に準備しておくのをおススメするわ。お金も出世払いで貸してあげるから大丈夫よ。何なら体で払ってもらってくれてもいいわ。鳳翔は美男美女ばっかりだから色々と捗るのよね」
あっやっぱりこの人
斯くして、六条クリス先輩に巻き込まれた俺は、世界を救うために戦いを始めたのである。
普通に世界を救えれば良かったんだけど、世の中には必然性という名のフラグというものがあることをその当時の俺は理解してなかったのだ。
水無月真ルートと言ったが、1話目にして一度もヒロインが出てこない作品とか需要があるのでしょうか。
白鳥共闘ルートってこんな感じです。
なお彼女が突然長文を話はじめたのは娯楽空腹さんのアイデアを元としております。ここに巻き込んでしまって誠に申し訳ないと謝罪する所存です。
新規追加エピソード(ジルベルトワールド関連)
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白鳥さんから見た本編
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蛇足の蛇足(結婚式)
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蛇足の蛇足(失恋慰め回)
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蛇足(水面下の争奪戦)
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ところで真ルートは?