こんな分岐は嫌だ ~ BALDR SKY短編集~ 作:水城悠理
6話に至る(ホムンクルスの生成、例の貴族の強制調査など)まで、一行は何をして過ごしていたのかという話です。
異世界召喚生活8日目
世の中には、ハーレム適性を持つ男がいる。コミュニティ能力の高さに加え、複数の女性を惹き付けるプラスアルファを持っているタイプだ。何でこんなことを考えているかというと、ホムンクルス作成までは基本暇なので、フローリアス学園の一角で喫茶店の真似事をしていることに起因する。
「ジルベルトさんは、誰が本命なんですか」
オーブン3日目だが、割と常連になりつつあるセルシウス君からこんな質問が投げかけられた。
「本命というか、付き合っているのはノイ先生なんだけど」
目線で女性と何か楽しそうに話している示す。彼も彼女を上から下まで視姦後に、俺を見た。
「他の、そのレインさんとかには心惹かれなかったんですか」
「彼女とは高校……まあ学園のようなものだな、そこで同級生だったわけだが、自分の思考速度が似てない相手とのコミュニケーションは疲れるだろ」
敢えてコミュ障とは言わなかった。いや最近は自分の意思をしっかり伝えることができる、出来る女ムーブなので、普通にモテますよ。ただ、成長を見守ってしまった兄の気分であり、これ恋愛というか家族愛だよなと思っている。精神年齢的には叔父と姪くらいの距離感だけど。
「真ちゃんは、元々対象外ですよね」
「んー、いや彼女はうちらの中で一番考え方がしっかりしている、家族思いのいい子だよ。ただこればっかりはタイミング次第のところがあってさ」
うちの連れ、数年前まで彼女と見た目どっこいどっこいだったんですとは言えない。何故なら俺はバランス派だから。
「……大人の余裕を感じる。これがモテる男。どうしたら俺にも彼女ができるのか」
「いや、ここはクリス先輩にも話を振る流れでは」
「クリスさんは、何というか高嶺過ぎて凄いとしか言いようがないといいますか」
ガワはいいし、所作がきれいなクリス先輩は、優美にも悪辣にも振舞える、れっきとしたお嬢様である。あとここが重要だが普通に強い。残念なことに中身は白鳥なんだけど。
余談だが昨日は執事の服を着て俺様系執事キャラで接客して、その気のある女性を虜にしていた。なお彼女は物理的には異性愛者である。
「アドバイスではないけど、君は顔は悪くない。稼ぐ力もある。後は需用と供給のマッチングだが。一つだけアドバイスをすると常に同じ対応をしてはダメかな。AさんにはAさんの好みがBさんはBさんの好みがある。普段はがさつだけど、私のこと考えてくれてるんだにキュンとする子もいれば、普段は真面目だけど、私の前だけでは弱みを見せてくれるにキュンとする子もいる。女性だって男性目線では一見清楚だけど、やべー奴は世の中にたくさんいる。モテない理由の自己分析は大切だ。例えば当麻兄妹の妹の方、兄貴に恋人ができるまではいい友達でいた方がいいタイプ。初恋が叶わないと自覚するまで絶対に無理。兄離れしろとかいう相手に対して一見苦笑してごまかすけど、絶対敵認定するから」
すまん、世界の平和というか、俺が無事に帰るために余計な波風を立てたくないのだ。
「そうですか……やっぱり見込みがないかあ」
共依存に入り込むというのは中々難しいからね、仕方がないね。
「大河はどうしてモテるのだろうか」
ハーレムルート持ちの主人公だからとはさすがに言えないが、ちょっと分析してみよう。
「相手の視線に立って行動できるコミュ力お化けだからかなあ。一見がさつに見えるけど、二人きりの時は相手を立てるわけよ。良いか悪いかは別として」
妹を守るために、味方にできる人物かどうかを常に観察する。そして必要に応じて暴力の行使も否定しない。一見がさつというか大らかだけど、あいつどれくらいの皮被っているのか。果たして当麻兄妹を元の世界に戻すことが幸せにつながるのか俺にはわからない。
「なんの話してんだ」
救世主クラスをゾロゾロと引き連れた
「いや、君が何故モテるのかってという下世話な話をだね」
「……それ本人の前で言うか?」
「誉めてるんだよ。英雄色を好む。まめな男は好かれる。それでご注文は」
「焼きナノカレーで、でこの料理名のナノって何なんだ」
「人体に影響はないし、きちんとカレーとしての必要条件を満たしている。お通じにも良い」
ナノマシンが自壊する過程で、腸内の老廃物を一緒に持っていくというか。むしろ女性的にはそっちが本命らしい。野郎にはわからないが。
「白玉汁粉はまだあるでござるか」
「ありますよ、ただ今日はこしあんですけど大丈夫です?」
開店1日目は粒あんで作っていたのだが、
「どっちも大丈夫でござるよ」
粒あん派とこしあん派の闘争の歴史は深いのだ。
「しかし、外国人が和食も作れるって近未来ってそんな世界なのか?」
「親がそっちなだけで、生まれも育ちも極東州だから。レインだって、父親はE式だけど、お母さんは北米州だし。まあ君たちの世界の未来が俺たちの世界の未来かなんてわからないし」
「そうなんですか?」
「嫌な話だけど、君たちが負けて破滅が全次元を蹂躙すると、地球も壊滅的な被害が出るでしょ。俺たちの歴史にそういった記録はないし、違う時間軸の人たちが同時並行的に存在すると考えた方が妥当さ」
「リリィさん、どうしたんですか」
真ちゃんから焼き菓子と紅茶を渡されたリリィ・シアフィールドは何か考え込んでいるようだ。
「いえ、何でもないわ。これは真が作ったのかしら」
「そうです。まだ師匠の足元にも及びませんが」
ラ・ヴィータのマスターは本当に何でも作るからな。噂によれば、以前は高級ホテルの厨房を任せられていたという話も聞くが。
「やっぱり、女の子って料理が上手い方がいいのかしら」
これはまた難しい質問である。成績優秀で、一見品行方正に見えるリリィ・シアフィールド嬢にこれ以上のプラス特性を与えてよいものなのか。
「余所行きの料理は必要ないよ。男は結局家庭の味に回帰するから。君は基本的なことはやろうと思えばできる子だから、レシピ通りにきちんと作ることができる。後は誰と一緒に食べたいかを意識して作ればそれでいいんじゃないかな。ただ故郷の味というか家族との思い出というのは残しておくに越したことないさ」
佐藤家のみそ汁と卵焼きももう俺しか再現できないからな。まあ本来の歴史では姉ちゃんが受け継いで改良してつなげていると思うけど。
「あんた、最初は嫌な奴だと思ったけど、いい男ね」
「君たちより長く生きてるからね。君たちほど衝撃的ではなくてもそれなりに場数は踏んでいるさ」
良いことを言ったつもりでふと視線が感じたのでそちらを見るとセルシウス君と当麻大河が呆れ、ノイ先生が面白半分で俺を指さす。
「いいかね、あの男は自分だけは理解者だよという感じで、男も女も口説くのだ。セルビウム君はあの男を真似しても失敗するから気を付けるのだよ」
全く、
佐藤家は昆布だしベース、当麻家はカツオだしベースのみそ汁を作ります。
とか色々考えてみて、デュエルセイヴァーヒロインって親死んでるから、彼女たちが家庭の味を引き継がなければその味って断絶するんだよなあとか色々振り返る話。
別に彼女たちは佐藤さん的には他人ですからね。一般論を述べているだけなのですが、ここから水無月真のお料理教室→当麻実食が12日目辺りに発生するのですが、本筋ではないし。
料理チート系小説じゃないからいいんです。
では明日また
新規追加エピソード(ジルベルトワールド関連)
-
白鳥さんから見た本編
-
蛇足の蛇足(結婚式)
-
蛇足の蛇足(失恋慰め回)
-
蛇足(水面下の争奪戦)
-
ところで真ルートは?