白銀御行が行く実力至上主義   作:ロロロロガガン

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プロローグ

 

「ーーーフッ……、金がない!!どうしよう今月の家賃、光熱費、水道代、その他諸々!親父!何か払う手段ないか!」

「落ち着け御行、パパいい方法考えたぞ」

「自分のことパパて呼んでんじゃねぇよ職業不定!でも、それよりいい方法はなに!?」

「それはな………」

「そ、それは?」

「お前がこの学校に入学することだ」

「……え?なにこれ?」

「学校のパンフレットだが?」

 

 それはある学校のパンフレットだった。その学校は有名で、勿論白銀御行(しろがねみゆき)も知っていた。

 

 高度育成高等学校という、国から援助を受けている国指導の教育機関であり、就職率100%、在学する間は教育費、生活費など全てが免除されるという、夢のような学校のことである!それをケチな白銀が知らない筈がなく、彼の優秀な脳は無意味にフル稼働し、これに困惑して何秒かフリーズした。そして何とかフリーズが解けた彼は再び脳を回転させて話す。

 

「いや、うん……。それは知ってるんだけど、俺が言いたいのは今月の家賃とかそういうのなんだけど?」

「それはパパに任せておきなさい、ちゃんと払えるから」

「それを先に言えよ親父〜!!!」

 

 そうしてやや締まりのない感じで彼の物語は始まっていく………。

 

「いや始まんねぇよ?!」

「どうした御行、パパちょっと心配」

「うるせぇーーー!!」

 

 うん、なんかすみませんでした。

 

 

 

 

 あ、あと白銀御行の紹介を忘れてた。

 実は彼は、転生者なのである!!…………、あれ?あんまり驚かないね?え、もうありふれている?いやいやそんな馬鹿な!ん?需要は既にない?………ええええぇぇえええ!!!

 

 

 ◇

 

 

 

「バカお兄、しっかりね。あと家のこと心配しないでいいから。お父さんとちゃんとやる、ていうかお兄いなくなってその分色々楽だし、それじゃ」

「え、いやいや圭ちゃん!もう3年間は会えないんだよ?別れの挨拶それだけでいいの?!」

「構ってほしいのただのかまちょじゃんうざい死ね馬鹿!」

「まぁ、圭も反抗期だからなー。御行、しっかりやってきなさい」

「ぉ、おう………、親父もまともなことたまには言うんだな」

「実は食費が浮いてくれて助かる」

「このクソ親父ーーー!!!」

 

 白銀御行は今日から高度育成高等学校に通う学生である。彼にとって高校に受かるというのは簡単なことであった、それが日本屈指の倍率を誇る高校だろうと他と同じ!という感じで受験して受かった。

 彼は勉学に関しては同学年になら誰にも負けないほど良いのである!

 

 そんなこんなで最後の別れ?を家族とし、彼はバスに乗って高校へと移動する。

 

 そして何十分とバスに揺られていると、彼は眠くなりやがて目を閉じて寝た。 

 

 彼が起きたのはそのほんの数分後であった。辺りが騒がしかったせいだ。それはバスの揺れや音ではなく、先ほどまでは静かだった人の声で目を覚ました。

 

(なんだ?)

 

「ーー〜ぁなたね!それが目上の人に対する態度なの!?礼儀を弁えなさい!」

 

「フッ、目上?それは自分より立場が上の者という意味であって、歳は関係ないのだよ。それに、さっきから聞いていれば、歳上だからといって、随分とふてぶてしい生意気な態度ではないかね?」

「くっ!なんですって?!そもそも、貴方は……」

「お、お姉さん落ち着いて。君も言い過ぎだよ。」

「私は事実を述べたに過ぎないのだよ、プリティーガール?」

 

(………一体何事だ?あの奇妙な集団はなんだ?いや、それはいいか。この状況を考える方が余程建設的だ。だが、これはもしかしてあの優先席に座っている男が原因じゃないか?足腰が弱そうで立っているのが辛そうな年寄り、気が強そうで周りに正論をぶつけるOL、いや、これはもしかして欺瞞か?まぁいい。それと年寄りを庇っている俺と同じ制服を着た女子高生、と優先席に座って屁理屈を述べる変人。……、間違い無いな、これは優先席、いや、あの年寄りを席に座らせようとして変人が拒み、それで揉めている感じだろう。馬鹿馬鹿しい。こんなのすぐに解決できるでは無いか)

 

 彼がこの状況を推理し、答えを出すまでにかかった時間は僅か数秒である。流石は全国でもトップクラスの頭を持つ者である!

 

 彼は自分の推理に絶対の自信を持ったため、この(くだらない)論争を終わらせるべく席を立つ。

 

「そこの老人!俺が席を譲ってやろう。後、そんな所で話されるとこちらにも迷惑だろう、お前たちも少しは口を慎め」

 

 彼が発言するのと同時に、バス内から安堵するような雰囲気がでた。彼らとしても、ここまで大袈裟に事を起こされては、席を譲るに譲れなかったのだろう。それを一人が解決してくれたのだ、誰でも安堵するだろう。

 

「ほら、そこのスマートボーイが席を譲ると言っているのだ。これ以上、私の貴重な時間をくだらない事に使わせないでほしいものだね〜」

「………ッ!!な、……」

 

(歳下、それも高校生に言い負かされて腹が立っているのだろうな。本当はもっと言いたいのだろう。だが、席を譲る者が現れた時点で、天秤は傾いた。もはや彼女に大義はない。あのOLは少し不憫だが、もう彼女にはあの変人も耳を傾けないだろうな)

 

 白銀御行はそう考察した。彼はそのままお婆さんに近寄り、優しく肩を持って席に座らせて、そのまま吊り輪を掴みながら勉強をしていた。

 やがてバスは目的地へと着き、彼も降りた。そこには立派な門があり、彼はそれに少し圧倒されたが、それから目的を思い出し、少し先を歩く金髪の大男、バスの優先席に座り続けていた変人を呼び止めた。

 

「おい、そこの金髪の男。少し止まれ」

「ん?私に何かようかな?スマートボーイ」

 

 そう、彼が用があったのは先程OLの女性とずっと問答をしていた金髪の男であった。

 

「お前は俺が何を言いたいのか、わかっているのではないか?」

「さて、何のことかな?さっぱり見当もつかないよ」

 

(白々しい。そのこちらを見下したような笑みを見れば一発だろう。………少し気に食わんな)

 

「そうか、分かっていないなら仕方ない。俺はただ注意をしにきただけだ。お前の先程の行動、全部見ていたわけではないが予想はつく。あの時お前が優先席を渡していれば、あんな面倒な事にならなかったんだ。少しは周りの迷惑も考えたらどうだ?」

「フー、やれやれ。やはり君もそれか、何度言えばいいのだね?あそこは優先席であって、譲る義務はない。法的な拘束力がないからこそ、その席に座った者が選ぶ権利を持つのさ。そして私は席を譲ることを拒否した、そしてそれに他の者が食い付いた、という顛末なのさ。私は何も間違ったことはしていない。オーケー?」

「確かにお前は正論を言っているように聞こえる、いや、事実そのほとんどが正論だ、が、お前にも間違いはある。……他の雑多なものがそれを見抜く事など困難だから、あの場では何も言わなかっただけだ」

「ほう?私が間違っている?生憎と産まれて一度も間違った事はしたことが無いのだがね〜。では、是非とも私の何が間違っているのか、ご教授願いたいものだね〜」

 

 その男は堂々と、自分は間違った事をした事がないと言った。今の社会でここまで自我の強い人間など希少だろう。皆自分を抑えて日常を生活しているのだから。

 そんな唯我独尊を地で行くような者に、白銀御行が取った行動は……。

 

「何故俺が態々そんな事を教えなければならない?俺は注意をしに来ただけであって、助言をしに来たわけではない。それではな」

 

  秘儀!勘違いさせる!

 彼はわざとこれから説教をするような雰囲気を作り、相手がそれに反応してきたら「え?そんなつもりじゃなかったんだけど……」と女子がよく(告白をさせる時に)使う手をこの場で応用したのである!この場合相手は「あ、あぁ、そうなんだ……」と羞恥に身悶えてしまうので、使う時は要注意だ!

 

(フッ、どうだ!お前のような奴は自信満々に言って自爆するからな!引っ掛けやすかったぞ!これで俺はそのままスルーしお前が恥ずかしがる姿を想像する事で、この場は治めるとしよう)

 

 白銀御行はそのまま彼の横を通過しようとした。勿論、彼の方を見ずに。そちらの方が相手に「おれは相手される価値も無いんだ……」と、勝手に気落ちしていくからである。………普通は。

 

「フッ、君は中々賢いようだね〜。先程の話術といい、(バスで)場を治める力といい、頭の回転、そして行動力がある。そこらの有象無象と違うというのは理解出来たよ。だが、それは所詮有象無象に限った話だ。私のような完璧な人間にそのような手は通じないのだよ」

「……………。」

 

 白銀御行は彼が話している間も振り向かず学校へと歩いている。だがその歩く速さは、先程より若干遅くなり、彼の言葉が聞こえるようにしている。

 

「だが落ち込む必要はない、君が優秀である事に変わりはないのだから。そして私はいくらか君に興味を持った。今度食事にでも誘ってあげよう、ではシーユー!スマートボーイ」

 

 彼は白銀御行の側を通り過ぎ、学校へと歩く。

 何故先に歩みを進めていた白銀御行を追い越す事が出来るのか、それは白銀御行が歩みを止めたからに他ならない。白銀御行は彼の話を聞いている途中に立ち止まり、そして追い越された。

 白銀御行が立ち止まった理由とは何か。言い返されて恥ずかしいのか、何も痛痒を感じていない彼に動揺したのか、貧血になったのか!……………否である!!

 

(あいつ自分を躊躇いもせずに完璧って、うわぁ……。)

 

 そう!白銀御行は彼の言動に引いていた!それも全身に鳥肌がたつほど、引いていた!

 

(あいつとは関わらないようにしよう。本物の変態だ)

 

 この男、普段は「俺以外の男など雑草だ」とか思ってる癖に、いざそういう人間(変人)を目の前にしたら引くという、全力で自分を棚に上げた行動を取る人間なのである!

 少しの間放心していると、彼は本来の目的、自分のクラスを見に行こうと行動した。少し遅い時間のせいか、人は少なく、簡単に自分の名前があるクラスを確認することが出来た。

 

「ふむ、俺は『Aクラス』か……。では、早速行くとしよう」

 

 因みにだが、彼はここが『ようこそ実力至上主義の教室へ』という、ライトノベルの作品だという事を知らない!

 彼、白銀御行(偽)はどんな行動を取るのだろうか!乞うご期待!

 

 

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