今作主人公は本家ストーリーの途中から合流という形になっています。
そのため一,二話ほどオリジナルの話が挟まりますが……
(そのせいか描写や展開が突拍子もないものになりがちで……)
温かい目(某猫型ロボット風)で見てください。
俺は…いや、俺たちはあの日誓った。
―たとえ進む道は違えども、我らの胸に抱きし思いは一つ!―
自分たちの故郷が滅んだ日、
あいつは自分の家族を埋めた墓標の前で
今まで見せたことのない顔で泣いた。
俺も…両親のいない俺もあいつと一緒に泣いた。
―我が故郷と同じ悲劇を二度と起こさぬこと!!―
その涙は、降り出した雨と見分けがつかなくなったときには
もう涸れていた。
―乱世を正し、平和な世を築くこと!―
互いの胸に抱いたものが同じだと知った時、
俺たちはそれを鼓舞するために声を張り上げた。
―その願いがいつか叶うその時まで、戦うことをここに誓う!―
―その証として我らは!―
―我が真名を汝に託す!!―
―いつの日かその名を互いに呼び合える時!!―
―我らの進むべき道が同じであることを願う!!―
そして俺たちは互いの名を、字を、そして真名を預けた。
―我が名は「関羽」!字は「雲長」!真名は「愛紗」!―
――――――――――――――――――――――――――――――――――
side ???
『我が名は「白影」!字は「大牙」!真名は……!!……あ…』
俺はそこで自分の状態に気付いた。
良い天気だったために建物の屋根の上で
猫みたく日向ぼっこと洒落込んだのだが、
どうやらあまりの暖かさに眠ってしまったようだ。
気付けば俺は「あの日」のように拳を上げて声を張り上げていた。
『はあ…。また随分と昔の夢見たもんだな、俺も』
苦笑しつつ、俺は真名を預け合ったあいつの顔を思い浮かべた。
関羽……愛紗は「生真面目」が服を着て歩いてるんじゃないか
と言うくらいの真面目さを持った女だった。
その他の女たちとは全く正反対で武と学に一生を費やすのか?
というくらい女らしくない女だった。
唯一あいつが女らしいと思えるものは、
その整った容姿と、美しい艶やかな黒さを持った髪くらいだった。
他にもそれなりに女らしいものはあるけどな。
そんなあいつと本格的に知り合ったのはまだ5つだった頃だ。
あいつの生真面目さを快く思わない連中の何人かが、
あまり人の通らない路地裏にあいつを連れ込んでいたのだ。
一人二人ならあいつでもどうにかなっただろうが、
その時は十人くらいはいた。
どれだけあいつが知らぬ間に敵を作っていたのか明白だった。
愛紗の父が結構名の通った武将で、あいつ自身も兄貴と一緒に
武術を習っていたのでそれなりに渡り合ってはいたが、そこは多勢に無勢。
あっという間に追い込まれてしまっていた。
俺は偶然その瞬間にそこを通りかかり、
何の気まぐれかあいつに加勢していた。
結果は圧勝だった。俺も一応武道は嗜んでいたからな。
その日から俺はあいつとよく話すようになった。
あいつの家に行っては互いの武を高めるためにひたすら戦った。
その時からだったか…。俺とあいつが互いに好敵手だと見ていたのは。
だがそんな日も長くは続かなかった…
突然俺達の住んでいた村に数十人もの賊が押し寄せ、
民家を襲い、人々は殺されていった。
俺はその日、あいつの家で泊まり込みで稽古をしていたのだが、
愛紗と俺は愛紗の兄貴に連れられて、物陰に隠れさせられた。
俺達に“ここを動くな”と言った直後、
愛紗の兄貴は俺たちの目の前で死んだ。
賊が去ったあと、生き残った人間を探すために
俺と愛紗は村中を走り回った。
結果…生きている人間は俺たち以外いないというものだった。
「ふざけんじゃねぇぞ!!」
膝を抱えて大通りを見ながら物思いにふけっていると、
突然裏の方から怒鳴り声がした。
『そういえば、愛紗にケンカ売ってた奴の台詞にもあったな…』
そう呟きつつも俺はその声がした方向に、屋根を伝っていった。
二軒ほど先の屋根の上からその場所を覗き込む。
そこにいたのはやたらとごつい体をした男と、
髪がなさそうな頭に頭巾を被った背の低い男と、
その二人の親分みたいな感じで真ん中に立っている髭の男だった。
その三人の目の前にいたのは、
私塾の指定の制服なのか結構こった刺繍の施された服、
帯を大きな蝶の形に結んでいる同じ柄の帽子をかぶった、
柔らかい金色の短い髪の女の子だった。
大事なものを持つようにしているその手には、
その子の腕全部で抱えないといけないくらい大きな本があった。
「その本はアニキが目をつけてた本だ!アニキに返しな!」
「これは先生に頼まれていた本です!
そのアニキという方が目をつけてたのなら、
その場で買えばよかったのではないですか!?」
それは正論だが…。その理屈がこの三人に通用するか…
「うるせい!その時は金がなかったんだよ!
金が出来て買いに言ったら、嬢ちゃんが買ってたわけだ」
「だな、だな!」
「でもそいつを先に見つけたのはアニキだ!金は払うからよこせ!」
「この本はあの書店にあった最後の一冊なんです!
最初にお金を払って買った私の方が持ち帰る権利はあるはずです!」
愛紗ほど強くはないが、堂々と断言するその子は何とも健気だった。
だがそうも思っていられない事態になったようだ。
なぜなら、その三人の雰囲気が明らかに変わったからだ。
「しょうがねぇな…」
「ホントはこんな事したくなかったんだな…」
「嬢ちゃんがあくまでもよこさねぇんなら仕方ねぇ…」
三人はそれぞれ自分の得物を引き抜いた。
「え?……な、なにを……」
その女の子は自分の置かれた立場が分かったのか、後ずさる。
「嬢ちゃんの体型がもうちょっと良かったら、
その体で払ってもらって見逃してやったんだけどな?」
髭の男が女の子の全体を見て告げる。
「体型……」
痛手だったのか、女の子は少し落ち込む。
「短い人生だったなぁ?嬢ちゃんよぉ…」
「怖がらなくていいんだな。すぐに楽になるんだな」
女の子はついに壁に追い詰められた。
「や、やめて……ください。助けて……」
「ヒッヒッヒッ、ここは滅多に人は通らないから助けなんてこねぇよ。
さて、顔は結構いい感じだな?問題は体だが念のためだ。
まずはその身ぐるみから……」
ガシッ
髭の男が伸ばした腕は女の子にとどく寸前で止められた。なぜなら…
「ああん?」
「誰だテメェ!」
「だな!?」
一瞬で屋根から降りた俺が、双方の間に入ってその腕を掴んでいたからだ。
「え?あなたは……」
女の子が俺を見上げてくる。
俺はそれに応えず、髭の男の腕を掴んでいた左手とは逆の腕の裏拳で
髭の男を吹っ飛ばした。ちなみにその腕には手甲をつけて。
「アニキ!!」
「だいじょうぶなんだな!?」
チビとデカ男はアニキと呼ばれた男に駆け寄る。
『おいお前ら!小さい女の子ひとりに大人げないんじゃないか?』
三人を睨み付けつつ、ドスの効いた声を張り上げる。
「なんだテメェ!!俺達にケンカ売ってんのか!?」
『さっきのやり取りを聞かせてもらったが…。
どう考えてもこの女の子の方が正論だ。とっとと失せろ』
俺は穏便に済ませようとした。が…
「黙れ!!ガキの分際で生意気な!!」
「やっちまいやしょうぜ、アニキ!!」
「やっちゃうんだな!!」
そうは問屋がおろさないということか…仕方ない。
俺は自分の武を繰り出すときの構えをした。その瞬間…
「なあアニキ、あいつの構え…」
「ああ?構えがどうしたんだ?」
俺がしたその構えは、
半開きにした左手を前に突きだし、右手は拳で腰に構えるというものだ。
「それにあいつの髪の色と右目の眼帯…まちがいないんだな!!」
「だからなんだっつうんだよ!!」
俺の髪の色は白金で肩の上に切りそろえられている。
余談だが、俺の容姿は女顔なために子供のころは女と間違われた。
そして俺の黄色の瞳をした目の内、右側には黒い眼帯をつけていた。
「アニキ!!あいつは“白き猛虎”ですぜ!!」
「し、白き、猛虎だと!?」
俺はそこまで言った三人組に向かって言ってやった。
『ようやく気付いたか、愚か者が…』
重みを聞かせた声に三人は震え上がる。
同じように震える後ろの女の子に俺は一度振り返る。
『心配すんな。俺がしっかり守ってやる』
安心させるために優しく言った俺の声にその女の子はキョトンとした後、
「は、はわわ!あ、ありがとう……ごじゃいましゅ……////」
顔を真っ赤にしてカミカミなお礼を言った。
真っ赤になった理由は謎だが。
そして俺は再び、その三人に向き直った。
『我が名は白影!!この世に平和をもたらすと志した旅の武芸者!!
我が拳に宿るは正義の一撃!我が魂に宿るは弱き者を救う慈しみの心!
己の欲望のままに力を振るう賊共よ!!』
『我が「白虎爪牙」の……錆となれ!!』
その声に呼応したのか、両腕の手甲「白虎爪牙」が
陽の光を浴びて光った。
いかがでしたでしょうか?
まだ序章なので比較的短めです。
そしてヒロインの一人、通称「はわわ軍師」が登場です♪
正直後に登場するロリ組の武将・軍師も捨てがたいのですが、
自分の中ではダントツ上位なんですよね(笑)
今のままだと彼女がメインヒロインに見えますが、
メインヒロインはまだいますッ!(「メインヒロイン」とは……)
ちなみに主人公は基本徒手空拳で戦います。
武器の「白虎爪牙」は原作「真・恋姫」の魏編で同じく徒手空拳で戦い、
氣を撃ち出して戦う彼女が纏っている手甲に、
三枚のメダルを使って変身する某仮面ライダーのトラクロー(爪収納)のような
装飾があると思ってください。
ではまた