そしてちょっと遅くなった気がしますが雄英体育祭の騎馬戦編です。どうぞ!
第一種目終了後、1位通過の出久くんに与えられたポイントは1000万ポイント。ポイントが告げられた瞬間ここに集う全ての選手の目が出久くんに集まっていた。というか、はっきりいってポイントの桁がおかしいだろ、と思う。
でも改めて考えると、ここにはトップを狙う者が集まっているわけだから今の段階から1位を目指して突き進むという意思や気概を鍛えるという意味では理にかなっているのかもしれないと思う。でもやっぱりポイント盛りすぎな気がする。
さて、誰と騎馬を組もうか.....とりあえず上でも下でもブレないであろう切島くんを引き入れよう。というわけで切島くんに声をかける。
「切島くん、一緒に組まない?まだ誰もメンバーいないけど」
「....悪い。USJとか障害物競走でお前に助けて貰ってたけどよ。俺もお前とかに挑戦してぇんだ。だから別のチームに行かせてもらう。ホント、悪ぃな。チームに入れなくて」
挑戦したいなら仕方ない。うん、仕方ない。
「そっか、頑張って上がってきてね切島くん。応援してるから。お互い、次の種目に行こうね!」
「おう!ありがとな!鬼藤も頑張れよ!」
「うん、ありがとう!」
切島くんと別れ、クラスメイトに声をかけようとするが困ったことが起きていた。
そう、A組のみんながとっくに騎馬を組み終わっており私1人残されたのである。ボッチなのである。
「マズイ....どうしよ....」
そうして頭を抱えていると肩をポンと叩かれる。誰だ?
「私らのチーム、来る?」
そう声をかけてくれたのは入試の時瓦礫に挟まれていた子だった。
「あれ?あなたは...」
「あ!入試の時のロボット壊した子!」
「あ、瓦礫のところにいた子!自己紹介が遅れました。私は鬼藤朱音です」
「ご丁寧にどうも...。拳藤一佳です」
「「ぷっ...あはは!」」
お互いに何故か会社勤めの社員みたいな挨拶を交わしてしまったのが面白おかしくて笑ってしまった。しばらく笑っており、笑いが収まると話の続きになった。
「ちょうど1人足りなくってさ。良ければ組まない?」
そう言う拳藤さんの残りのチームメンバーは全員B組の選手だった。
「いいの?私A組だけど」
「いいのいいの。私が組みたいから誘ってるんだから」
「それなら、お願いしようかな。ありがとう拳藤さん」
「一佳でいいよ」
「じゃあ、私も朱音でいいよ。よろしくね、一佳ちゃん」
「よろしくね、朱音」
こうして一佳ちゃんのチームに入ることになり自己紹介が行われる。チームメンバーのうち1人は知った顔で鉄哲くんだった。もう1人の髪の毛が茨のような人は塩崎茨さんというらしい。ポイントの合計点は会場に設置されたパネルに表示されており、私たちの初期順位は4位だった。キープすればギリギリで次の最終種目に参加が可能のようだ。
そして、騎馬の編成だが1番上が鉄哲くん。真ん中が私、右を塩崎さん、左を一佳ちゃんが担当することになった。ちなみにこの編成の考案は一佳ちゃんである。
「そういや、なんで鬼藤が騎手じゃないんだ?ロボットの壁に風穴空けられるようなパワーあんのに」
「確かに鉄哲の言う通り朱音はパワーあるけどさ、今回の場合攻撃に回すパワーより移動に回すパワーの方が重要だって思うんだよね。朱音って1回の跳躍で入試の時のビルの屋上に跳んでたし機動力あるかなって思ってね」
「なるほどそういう理由だったか...てか跳びすぎだろ」
なんだか照れちゃうなぁ...。
時間は経ち、カウントダウンが始まり、第二種目開始まで残り5秒
4
「さて、誰狙うの?鉄哲くん」
3
「トーゼン、緑谷だろ」
2
「「異議なし」」
1
「了解」
カウントが0になった瞬間、私は地面を砕かないように手加減しつつ一気に踏み込み、出久くんの方へ爆進する。誰よりも先に1000万ポイントに手が届きそうになった瞬間、他の選手の個性により出久くんのチーム諸共足が地面に埋まってしまった。
「やっばい....何とか抜かないと....」
「私に任せて!」
何とかしないと、と思っていると一佳ちゃんが左手を巨大化させて柔らかくなっていない地面を弾くことで宙に跳び、柔らかくなった地面から脱出することが出来た。
「ナイス一佳ちゃん」
「地面に手をつくなとは、言われてないからね。ルール違反じゃないからセーフセーフ」
「おっし!ドンドン取るぞ!」
とは言ったものの。特に進展がなく、鉄哲くんが反応出来ずにハチマキが取られそうになったところをパワーのゴリ押しで避けたり、騎手に攻撃がきても鉄哲くんが体を金属化させて防御した所をハチマキが取られる前にツルと大拳で追い払いつつ、さりげなくツルで取ったりしているが順位が4位のまま、制限時間が残り半分となった。そのタイミングで出久くんと轟くんのチームが向かい合っていた。
「鬼藤!あいつらのとこ向かうぞ!混ざってこっちがあいつらのポイント奪い取る!」
「わかった!」
他のチームも同じことを考えていたようで、同じように一斉に出久くんたちの方へ向かう。
が、近づいた瞬間、轟くんチームの上鳴くんによる無差別に放たれた放電が私たちを襲った。
「.....っ!痺れるなぁ!」
次に、轟くんの氷が地面を這い私達を縫い止めようとしてくる。指示を出そうと仲間を見ても動けそうにない。
「凍ってたまるかぁ!」
唯一動けた私は後ろの3人を崩さないように手に力を入れ、手だけで持ち上げて範囲外まで跳躍することで、事なきを得た。
「あー、クソっ、まだ若干痺れてら....凍ったヤツらはついでのようにハチマキ取られてるな...。サンキューな鬼藤、おかげでハチマキ奪われずに済んだ」
「役に立ててよかった。こっから上に上がろう!」
「「「おう!(はい!)」」」
まわりのポイントを取りつつ、轟くんチームと出久くんチームのサシになってしまったエリアへ行こうとするが残り時間が30秒を切り、急がねばならないところで1つの騎馬と相対した。その騎馬の騎手は以前A組にやってきて宣戦布告をした普通科の生徒だった。
「上に上がるためにお熱いこって、頑張っても頑張ってもずーっと4位のままだけどさ。それ、ダサくないか?すっげぇカッコ悪いよ」
「「「なんd....」」」
酷いことを言うな....。と思ったら彼の発言に返答した仲間が急に動かなくなった。彼の個性か!
無言で彼は騎馬を動かし鉄哲くんについているハチマキを奪いにかかる。
私は轟くんの時のように3人を手だけで持ち上げ、左に跳んで回避する。が、しかし動くのが遅れてしまい、彼の騎馬の右翼とこちらの右翼が接触、すれ違いざまにハチマキの1つが取られてしまった。それに伴って順位も下がってしまい5位になっていた。
「はっ!?私は何を....。それよりも2人とも!しっかり!」
いつの間にか塩崎さんが意識を取り戻し、2人に声をかけても反応がない。そんな中、残り時間が20秒を切ったという無慈悲な宣告がされる。
早く復活させないと!なんで塩崎さんだけが復活した!?
急げ!考えろ!考えろ!考えろ!
私たちの編成は中央がわたし、左翼が一佳ちゃん、右翼が塩崎さんだ。つまり、左に跳んだ時に相手とぶつかったのが塩崎さんということになる。
ぶつかった時の衝撃で塩崎さんの謎の硬直が解けたとしたら?
それならばいっぺんに残りの2人の体を揺らす!
私は地面を足跡がくっきりと残るくらい踏みつけて地面に衝撃を入れ、自身の騎馬を揺らす。すると仲間たちは気を取り直した。よし!
「はっ!俺、今何してた!」
「この前うちのクラスに宣戦布告してた生徒にやられて止まってたよ!それに順位も下がった!あと10秒!」
「クソ!轟チームと緑谷チームは無視だ!取られたポイントを取り返す!」
私たちは急いで彼の騎馬を追いかける。近づくと彼が先程のように声をかけてくるが無視。鉄哲くんは奪われたハチマキに手を伸ばし、あと少しで手が届くといったところで
TIME UP!!!
競技終了のブザーが無慈悲にも鳴った。
競技が終わると順位が発表。上位4チームに入った轟くんチーム、爆豪くんチーム、私たちのハチマキを奪った心操くんチーム、出久くんチームが最終種目に出場することが決定。その後、昼休憩となり私は、A組の友達の方ではなく、今回騎馬を組んだ仲間たちの元にいた。
あぁ....悔しい.....あと一歩だったのに。
「朱音、大丈夫。私らも同じ気持ちだよ。あと一歩で届いたのに間に合わなかった。あんな発言は無視して取られないように防御を固めてカウンターすべきだった。返答しちゃった私らのミスだよ」
「こっちもごめん。もっと早く硬直が解けるカラクリに気づけてれば間に合ってたかもしれないのに」
あぁ、ダメだ。冷静に考えていればもっと早く気づけてたかもしれない。そう思うと自分が不甲斐なくて涙が込み上げてくる。
悔しさが限界に達した私は一佳ちゃんに抱きつき泣いた。大泣きした。そんな私の頭を一佳ちゃんは撫でて、背中をポンポンと叩いてくれた。
「いいんだ、いいんだよ。朱音は電気で動けなかったり、硬直した私らをたった1人で逃がしてくれたでしょ?朱音は私らを助けてくれたんだ。朱音がいて、助けてくれたおかげで私らは5位になれたんだよ」
その言葉に仲間たちは頷く。
ごめん、もっと早く気づけてればみんなで最終種目まで行けたのに....。
「ほら、もう泣かないの。まだ体育祭は終わってないよ?この後はレクリエーションもあるんだから全力で楽しもうよ!」
そうだ。負けてしまったけどまだ体育祭は終わってないんだ。残ったものを全力で楽しまなきゃ損だ。
「う゛ん゛!」
「あー、もう顔がびしょびしょじゃない。ほら、拭いたげるからちょっと離れて」
「んぷっ」
一佳ちゃんは、離れるとティッシュで顔を拭いてくれた。なんかちょっと恥ずかしい。
「一佳ちゃん、ありがとう」
「どういたしまして。ほら、昼休憩終わったらまた集まるみたいだし、早いうちご飯食べよ?」
あ、そういえば、今はご飯の時間でもあったんだった。やばい、お酒をこっちに持ってくるの忘れてしまった...。急いで持ってこないと。いくら飲んでも腹に溜まらないとはいえ家で業務用焼酎クラスのボトルを何本も空けるのは地味に辛い。翌日に響かせないためとはいえ、夜に1人黙々とお酒を飲み続けるのはなんというか10代にして超えちゃいけない悲しみのラインを超えてしまってるような気がしてならない。急いで持ってこないと。
「うん。あ、ちょっと待ってて。取ってくるものあるから。遅かったら先に食べててもいいからー!」
私は急いでA組の控え室に向かう。すると轟くんと緑谷くんが関係者入口から出てきた。
「あれ?2人も忘れ物?」
「....あぁ、そんなとこだ」
「う、うん。朱音ちゃんも忘れ物なんだね」
....なんだろ、今一瞬だけイラッとした。何故かは分からない。イラッとする要素がなかったのに。まぁ、気にしないでおこう。気のせいだ気のせい。
「そうなんだよねぇ、いつものアレを忘れちゃってね....。騎馬組んだ仲間と食べる約束してるから急いで取りに行かないと...」
「そうだったんだ...それじゃ、また集まる時に!」
「うん!」
出久くん達と別れ、改めて関係者入口に入り、控え室に向かう。確かT地路を左、と思い出し曲がるとそこには爆豪くんがいた。
ははーん、さては爆豪くんも忘れ物だな?うちのクラスはおっちょこちょいな男子が多いなぁ。
「出久くん達だけじゃなくて爆豪くんも忘れ物?」
「違ぇよ、お前には関係ねぇ。どけ鬼女」
爆豪くんは私を押し退け出久くん達が出ていった方へ向かっていく。
ま、何があったかは気にしないでおこう。それよりもお酒お酒!
お酒の入った鞄(本日の中身は量のあるラガービールや発泡酒、焼酎、もちろんウイスキーもある)を無事回収し、一佳ちゃん達の元へ急いで向かう。
生徒の数は先程よりちょっと減ってはいるがまだ結構な数が残っていた。そんな中、一佳ちゃん達は食べずに待っていてくれた。
「お、来た来た。早いとこ注文しよっか」
「うん!」
各々が食べたいものを注文する中、私はテレビで見るような大食いチャレンジクラスの唐揚げの山とラーメン用のどんぶりに大盛りの米を注文した。ランチラッシュが凄い嬉しそうにサムズアップをしていたのでこちらもサムズアップを返しておいた。やっぱ白米はいいよね!
左手で唐揚げを右手で米を持っていくと『え、そんなに食べんの?』と言いたげな目をしていた。
「え、鬼藤そんなに食えるのか!?」
「ん?食べれるよ?割とお腹空いてるし、なんならあと3倍は余裕で食べれるよ。誰かが泊まりに来た時とかお祝いの時とかに稀にお母さんがやらかして、これ以上にさらに作る時あるからね...。何度も注意したけど治らなかったから諦めた」
「朱音のお母さん、割と天然過ぎじゃない....?」
「その娘だけど、全くもってその通りだと思う」
みんなでご飯を食べ、軽い水分補給のためにバッグからスキットル(ウイスキー(シーバ〇リーガルミズナラの12年物)入り)を出すと鉄哲くんが反応した。
「お、スキットルか。カッケェな!」
「ふふん、いいでしょ。お父さんが買ってくれたんだ」
そうこのスキットル、お父さんが地味にお高いカッコイイデザインのものを買ってくれたのだ。ちなみにお父さんとお揃いの品である。
「俺にもちょっとくれよ!」
おっとそれはマズイ。
「あ、それはできないかなぁ....」
「えー...1口!1口だけでいいから!」
「中身が中身ダメだよ。それに、この学校の生徒でも飲めるの私だけだと思うし」
「それだけ特殊な味のものなのですか?」
おっと、塩崎さんも食いついた。
「まぁ、特殊って言ったら....特殊だね。匂い嗅げば1発で分かるけど」
「それなら中身当てるゲームしようぜ!」
「いいね、面白そうだし」
「ええ、面白そうです。私もちょっとわくわくしてきました」
やべぇ、いつの間にかみんなノリノリになってる。うーん...まぁ、バレるのは別にいいか。どうせ飲んだ時の匂いでバレるし。
私が蓋を開けると、シーバ〇リーガルミズナラ12年物のいい香りがする。さて、分かるかな?
「あれっ....?」
「この匂いって...まさか」
「お酒じゃないですか!?」
3人は『まさか仲間が犯罪を!?』と言わんばかりの顔をする。やっぱりそうなるよね!出久くん達もそうだったし!
「大正解!これはシーバ〇リーガルっていうウイスキーでね。日本原産のミズナラ酒樽でマリッジして作ったものだよ。普通のシーバ〇よりも私はミズナラの方が好きなんだ」
「いやいやいや、未成年だよね!?」
「うん、未成年だよ!」
元気に主張すると塩崎さんが卒倒しかけていた。やっべ、早くネタバラシをしないと。
「あはは...イタズラが行きすぎちゃったみたいだね...。実は私、個性の関係から国の方から飲んでいいという許可を貰っててね、ほらコレ」
私はすぐに国から発行されている証明書を見せると、一佳ちゃん達は胸を撫で下ろしていた。
「良かった....鬼藤さんが非行に走ってしまったのかと....」
「絵面は完全に非行そのものでアウトだけどな」
「とりあえず飲んでいいのなら気にしないけど....よく見たらこれ業務用の焼酎が何本も空くレベルじゃん...肝臓とお腹大丈夫...?」
「大丈夫大丈夫。肝臓がおかしくなったことないし、お酒は何故かお腹に溜まらないから」
イタズラでひと騒ぎあったが、昼休憩が終わると会場に集まり、レクリエーションで競い合った後は最終種目らしく、最終種目は総勢16名のトーナメント形式でサシでのガチバトルのようだ。
1位のチームから順に引く、といったタイミングでまさかの4位通過していた尾白くんが辞退を申請、それに引き続きB組の庄田二連撃くんも辞退を申請した。
その申請に対し、ミッドナイトは青臭い話は好みという理由で許可をした。でも同じチームの青山くんは出るらしい。
そんなこともあり繰り上げで私達のチームから二人出場できるということになった。
「んー、それなら私らのチームからは鉄哲と朱音でいいと思うよ。馴れ合いとかじゃなくてフツーにさ。朱音は私らが動けなくてピンチの時に助けてくれたし、鉄哲は攻撃に耐えてハチマキ取らせないようにガードしてくれた。それに比べて私らは追い払っただけだからね」
「一佳ちゃん...塩崎さん....いいの?」
「ええ、拳藤さんの言う通りです。私もお2人が出場するのが良いと思います」
「お...おめぇらァ!!」
「わかった...。二人の分まで頑張るから。勝とうね、鉄哲くん」
「あぁ!」
こうして私と鉄哲くんが繰り上がって16名になり、組が発表された。
私の出番は第3試合、相手は上鳴くんだ。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
次回も読んでくれると嬉しいです!