東方汚染星 ~Corruption Of The Last Eden~ 作:影のビツケンヌ
非常に困った。
情報が何一つないのだ。
今まではルミナスやスペースパイレーツのログを見て情報を得ていたが、この地域はその手の科学技術の賜物が見当たらない。未開の星、とも考えたが、先程出会った小さな少女――メディスン・メランコリーのような知的生命体がいる以上、何らかの文明は存在するはず。とりあえず、遠くに見えたおおよそ四千メートル級の山――ホレイトには遠く及ばない――の頂上から、この辺りを一望してみよう、そう考えたのだが…
「そこで止まれ!!」
邪魔が入った。私からすれば、この程度問題にすらならないが。
「これより先は天狗の縄張り…すぐにここから立ち去れ!!」
サイコキネシスの一種だろうか。眼前の亜人の少女は、私と同じく空を飛んでいた。
どうするべきか。私は復活してからあまり時間が経っていない。生成したフェイゾンの制御に慣れるにはまだ少しかかるだろう。いくら相手が格下だからといって、無駄にエネルギーを使うのは得策ではない。
ならば。
「この山がお前達のテリトリーか」
「そ、そうだが」
「なるほど、では迂回しよう」
私はなるべく山と一定の距離を保ちながら、その反対側に向かった。
無駄な争いを避けることも戦略の一つだ。あの頃は復讐に駆られていてほぼ見敵必殺だったが、今思うと馬鹿馬鹿しい。もう少し慎重に計画していればサムスを倒すことなど容易だったろうに。
山を迂回して辿り着いた霧の立ち込める湖の湖畔に、やたら赤い大きな建造物が鎮座している。原始的ではあるが、とにかく文明の賜物は見つかった。ここで情報を入手、可能であればここにいる人物と接触してさらに情報を吐かせることにしよう。
前庭と思われる場所に降り立ち、周囲を警戒しつつ建造物の入り口へと歩を進める。間違いなく不正侵入だが、情報を持っていない以上、背に腹は変えられない。
「…手動か」
音を立てぬよう扉を開け、中に体を滑り込ませる。恐ろしいことに、内部まで真っ赤だった。
サムスのコピーを行った際、スキャンバイザーも一緒にコピーしていた。今まではハッキング程度にしか使わなかったが、しばらくは世話になろう。まずは壁と床をスキャンする。
『かつての地球の西暦でいう中世のヨーロッパでの一般的な館の作りとの類似性大。建造物内部の空間が外部よりも拡張されています。原因は不明。』
今手に入れた情報から分析するに、考えられることは二つ。私がタイムスリップしたか、あるいはこの地域の文明がかつての状態のまま全く進歩していないか、そのどちらかだ。いずれの可能性も、私がここにいる者に発見・攻撃されたとしても、私には何の影響もないのは明白だ。
しかし、空間の拡張というのはわからない。ワープドライブやワームホールの技術を応用したものか、それともサイコキネシスの一種か。謎は深まるばかりである。
「…ふむ」
フェイゾンのフィールドで走査したところ、地下に続く通路があるらしい。もっと情報があることを願い、私はそこに向かった。
地下にあったのは、紙媒体の資料が大量に保管された、巨大な資料室だった。
「丁度良かった」
試しに、資料の一つをスキャンしてみる。
『未知のテクノロジーの産物と判明。使用するエネルギーは不明ですが、記載された方程式の詠唱により特定の現象を起こすもののようです。フェイゾンエネルギーとの互換性は不明。』
未知のテクノロジー。その単語に、私は警戒せざるを得なかった。もしかすると、そのテクノロジーはフェイゾンをも凌ぐかもしれないからだ。
その時、資料室に轟音が響いた。何者かが争っているらしい。情報が足りていれば面倒を避ける為に資料のスキャンを続けていただろうが、今は少しのチャンスも無駄にはできない。私は音の発生源を目指した。
辿り着いた先では、二人の人物が争っていた。すかさず白黒の一方をスキャンする。
『ヒューマン形態:マリサ・キリサメ 通常の人間とほとんど相違ありませんが、先程発見した未知のテクノロジーの産物の起動に使用すると思われるエネルギーを体内に内包しています。エネルギーは空中移動と攻撃に使用。八角形のデバイス、ミニ八卦炉を媒体として高速且つ高出力の攻撃を行う戦法を得意とする模様。装甲は皆無に等しい為、撃破は容易です。』
次に紫色の一方をスキャンする。
『ヒューマン形態:パチュリー・ノーレッジ マリサ・キリサメのものとは比較にならない量のエネルギーを体内に内包しています。また、脳を始めとする中枢神経に乳酸が蓄積しない為睡眠が不要で、内包したエネルギーを栄養素に変換することで食事も必要性を失っています。さらに遺伝子の変異により成長及び老化が起こらなくなっている模様。ただ、喘息を患っています。先程の未知のテクノロジーの産物と類似したアイテムを媒体として高出力の攻撃を広範囲に行う戦法を得意としています。』
疑問は多々存在するが、まずこの場で考えるべきなのは『どちらに加勢するか』だろう。すなわちそれは『どちらに見方すればより多くの情報を得られるか』ということだ。
「どうするか…」
アンケートを取ります。
ダークサムスがマリサ・キリサメ(霧雨魔理沙)に加勢するか、パチュリー・ノーレッジに加勢するか、の二択です。
今後の展開はこの選択肢次第で大きく変わります。
活動報告及びメッセージからお願いします。大事なのでもう一度。活動報告及びメッセージからお願いします。