ようこそ知らない世界の教室へ   作:マサオ

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 幸村はひとまず納得してくれたので、次の根回しに移行する。

 こちらは幸村と少し違う論理で説得する予定。

 

 根回し対象は、川の近くで『300ポイント残せば毎月3万!1週間乗り切るだけで毎月3万!』とまるで演説のように叫んでる池だ。

 

 進路上の蚊をさり気なく叩き落としながら、そちらへ歩み寄る。

 モスキート死すべし。慈悲はない。

 

「池、ちょっといい?」

 

 背後から声を掛けると、振り返った池の顔には満面の笑みが。

 

「お、浅村じゃーん!お前も3万欲しいよなぁ?」

 

 そう言って俺の肩に手を回して来る。

 3万欲しい。くれるのか?

 

「テンション高いね。何かいいことでもあった?」

「お、わかる?いやでも、言いふらすことじゃないんだよな。だからっ!桔梗ちゃんとっ!何かあったということだけっ!教えとくっ!」

 

 池の口からは初めて聞く桔梗ちゃん呼び。

 櫛田を名前呼びしたいと船で話していたけど、その試みがうまくいったのだろう。

 俺も堀北のこと、鈴音って呼びたい。

 

「おめでとう。うらやましいよ」

「‥‥‥ダメだからな。浅村はこれからもクラスメイトとして接しろよ」

「わかったわかった。それで、3万がどうとか言ってたけど」

 

 まだこの辺りの整備も終わっていなければ、全員での話し合いも始まっていない。

 なので、こちらから切り込んでいく。

 

「そんなのプライベートポイントの話に決まってるだろ。説明聞いてたのかよ?」

「まさか、1ポイントも使わないで1週間乗り切るつもり?」

「そりゃ楽ではないだろうけどさ、とりあえずはそのつもりでやってみようぜ」

 

 あちらの考えは分かったので、先程と同じく俺の主張を口にする。

 テント、トイレ、シャワー、水と食料は欲しいと伝えたら、あちらの表情に不満の色が滲み出す。

 

 お前は堀北の体調が悪いということを理解しているのか?理解してないな?

 

「そんないろいろ用意したら、ポイントめちゃくちゃかかるじゃん」

「てことは反対?」

「反対だ反対!せっかくのチャンスなんだから、なるだけ我慢すればさ」

「水と食料まで反対されるとは思わなかった」

「食い物は探索中にいろいろ見つけたし、水ならこれ飲めばいいじゃん」

 

 池はそう言いながら目の前を流れる水を掌で掬う。

 

「これ、飲めるんだ?」

「いけるいける。キャンプとかで似たようなことしてるから、こういうの結構わかるんだよ」

 

 川の水を生活用水として使うことは考えていたけど、飲料水については試験ポイントの消費を覚悟していた。

 だから幸村にもそのつもりで話したんだけど。

 

「なるほどね」

 

 相槌を打ちながら川のそばにしゃがみ込む。

 指先で水面を撫でると、心地よい冷たさを感じた。

 川に触れた指を口に含んで味を見ると、池の言う通りだ。

 多少の青臭さとかは覚悟していたけど、そういったものがない。

 

 掌で水を飲んでみても結果は同じ。

 これなら問題なさそうだ。

 

 この水が飲めるとわかっただけでも収穫だけど、池がこういったことに詳しいと判明したのは大きい。

 俺には資料から得た知識があるだけで実践が不足しているから、経験者がいるのといないのではやっぱり違う。

 もしかしたら今回の試験でのキーパーソンなのかも知れない。

 

「確かにこれなら飲めそうだ。後でみんなと詰めようか」

 

 体調が優れない堀北や生水に抵抗がある人以外の飲料水を川から調達できれば、出費はかなり圧縮できる。

 

「だろ?だからトイレとかもなんとか我慢してうまくやってさ。な!」

 

 俺の返事を聞いた池に笑顔が戻った。

 そして飲料水について同意を得たことで、笠にかかって説得しに来る。

 

 それはまた違う案件だ。

 

「そうだ。話は変わるけど、実は気になってることがあってさ」

「ん?どんな?」

「これから1週間、女子達との距離が普段よりも近いよね」

 

 そして一呼吸置いて告げる。

 

「男子のみんな、我慢できるのかな?」

 

 俺が述べたのは思春期の少年に付き纏う話。

 ナニとは言わないが、それを聞いた池が固まる。

 

 返事が来るまで蚊を撃墜して黙っていたら、4匹目あたりで応答がきた。

 

「‥‥‥な、何の話?」

 

 ナニの話。

 

 返って来た声は明らかに上擦っている。

 さっきまで同様に顔は笑っているものの、その表情はところどころ固まっていた。

 

「試験の間って、選択肢がかなり限られていると思うんだ。まさか外で済ませる、ってわけにもいかないし」

 

 この島では周囲から隔離された空間の確保が難しい。

 テントは共有スペースなので、プライベートを確保できる場所は1つしかない

 

「パッと思いつくのはトイレくらいだけど、追加で用意しないってことは女子と共有だよね?」

 

 あちらの顔から笑みが消えていく。

 

「適切に後始末しても、鋭い人は感づくって話を聞いたことがあってさ」

 

 俺から視線を外し、虚な瞳で川面を眺める池。

 何か苦い記憶でもあるのだろうか。

 

「みんな試験の間は我慢してくれるって信じたい。けど、誰か1人でもやらかした途端に男子全員が容疑者入り。俺はそんなの、絶対に死んでも嫌だ」

 

 堀北にそんな勘違いをされようものなら、真犯人をクラスメイト全員の前に引きずり出してでも潔白を証明するしかない。

 

「Dクラス男子だけで20人いるよね。それが」

 

 話の途中で池がこちらを向き、俺の肩に手を置く。

 

「浅村」

 

 普段とは明らかに雰囲気が違う。

 もしかして、高円寺が既にリタイア済みで19人になっていると気付かれたか?

 

「どうかした?」

「俺が間違ってた」

 

 ‥‥‥よし、トイレは認められた。

 テントとシャワーも通せば根回し完了だ。

 

 で、3万は?

 

 

****

 

 

 ここら一帯の整備も一段落ついて、ようやくDクラス全体で話し合いの時間。

 事前に堀北や平田と打ち合わせているから、流石にそこまでは荒れないはず。

 仮設トイレとかはそろそろ設置しないと悲劇が起きかねないし、チャチャっと終わらせたい。

 

 終わらせたいんだけど。

 まずは伝達事項を周知するため、手を挙げる。

 

「話し合う前に、言わないといけない事がある」

 

 正直これを俺から伝えるのは嫌だ。

 けど、いつまでも黙っているわけにはいかない。

 

「高円寺がリタイアした」

 

 止めなかった事は黙っておく。

 諌めたところで思い留まるような奴ではないと言ったところで、流石に納得してもらえないだろうし。

 

 俺の報告を聞いて、ざわつくクラスメイト達。

 

「痛い損失だけど、Aクラスは最初からそのハンデを背負ってた。アドバンテージがなくなってスタートラインが横並びになっただけだ」

 

 視線だけを幸村へ向けて言い放つ。

 ツンデレ眼鏡をガチギレ眼鏡に進化させるわけにはいかない。

 

「そんな事言っても、毎月3000ポイント分が無くなったんだぜ!」

 

 こちらの発言を聞いたプチギレ池が、憤りながら詰め寄ってきた。

 気持ちはとてもわかる。

 俺だって堀北とのデート資金が減ったと考えるだけで、手に持っているマニュアルを握り潰してしまいたくなるのだ。

 

「そう、これで試験ポイントマイナス30。ただ、高円寺はいなくなる前に一仕事していった」

 

 そう言って、マニュアルの地図を開く。

 俺が手書きしたものとは別の、元々載っていた方を。

 

 その白地図には事前に、ベースキャンプから近いスポットを複数記載しておいた。

 

「実は探索中、高円寺から目を離してる時間があったんだ。その間にスポットを見つけたらしい」

 

 マークしてあるスポットは、実際には全て俺が見つけたもの。

 高円寺が見つけたスポットはここから遠い場所にある。

 説明すると色々ややこしくなるので、このまま話を進めていく。

 

「この情報を活かしてマイナスを取り返すためにも、冷静になろう」

 

 俺の話を聞いてた幸村や池は、納得した様子ではないものの引き下がってくれた。

 

「‥‥‥なんだかんだ言って、真面目に探索してたんだ。浅村君と遊んでたかと思ったのに。なんかガッカリ」

「ねー。つまんないの。思わせぶりな事言ってたから期待したら」

 

 なかなか鋭い。

 実際のところ高円寺からしたら、俺と遊んでたようなもんなんだろうし。

 

 とりあえず聞こえなかったフリで。

 

「俺の話はこれで終わり。平田、マニュアルありがとう」

 

 そう言ってマニュアルを平田に渡し、進行を一任。

 

 試験ポイントの使い道の話から始まって、テント、トイレ、シャワーを要請する事については問題もなく話が進んだんだけど。

 

 

 

 

 

「トイレもテントもシャワーも準備するんだし、水くらい妥協しろよな!あの川めちゃくちゃ綺麗なんだからさ!」

「そんな生水飲める奴なんてあんただけ!普通の人は無理!」

 

 池と篠原で紛争が勃発。

 なんとも息の合った2人だ。

 10秒前まで普通の話し合いだったのに、あっという間に出来上がっている。

 

 きっかけは水についての話。

 さっさと俺から議題に挙げればよかったんだけど、タイミングを見計っていたら池が先に切り出してしまった。

 それに対して篠原が反応した結果、この状況に至る。

 

「いや、浅村も飲んだから!うまいって言ってたから!」

「はぁ!?なに浅村君に変な事吹き込んでるのよ!」

 

 なんだろう、父親と母親が喧嘩してる気分になってきた。

 

 微妙に介入しづらいけど、さっさと止めないと面倒なことになりそうだ。

 軽井沢や幸村が混ざり始める前に。

 

「篠原さん。一旦池の話を聞いてみてくれない?」

「浅村君、こんな奴の言うことなんて真に受けなくて良いんだからね!」

 

 まじでそろそろやめてくれ。

 こんな奴呼ばわりされた池が、若干だけど涙目になってきてる。

 その上こっちまで睨んでくる始末。

 俺、味方なんだけど。

 

「俺から話そうと思っていたことでもあるんだ。聞いてくれる?」

「‥‥‥わかった。浅村君がそう言うなら」

 

 篠原は止まってくれたけど、池はどうだろうか。

 

「春樹‥‥‥おかしくないか?俺と浅村の何が違うっていうんだよ」

「理不尽な世の中だよな。入学初日から思っていたんだよ、あいつも裏切り者だって」

 

 なんかいじけてしまっていて、山内に慰められてる。

 一つ言わせてもらうと、理不尽なのは世の中じゃなくてそっちの判決だ。

 

 かのモスクワ裁判ですら、茶番とは言え裁判の体裁を整えていたのに。

 こちらに弁明の機会を与えないまま裏切り者扱いなんて、確実にそれ以上の暴挙。

 どう考えてもクラスメイトに対する扱いではない。

 

 とりあえず聞こえなかったフリして話を進めよう。

 

「前提として、嫌がっている人に強要する気はないんだ。池も同じだと思う」

 

 同意を求めて視線を送っても、池から反応がない。

 しゃがみこんで『の』の字を地面に描き続けていた。

 

「有志だけということかしら?それでは大した節約にならないと思うのだけれど」

 

 事前に打ち合わせした通り、堀北が質問を投げてくれる。可愛い。

 

「そうかな?例えば、この500mlペットボトル40本セットに必要な試験ポイントは6。一回の注文で全員に1本ずつ配って、現状なら1本だけ余る計算になる」

 

 40人クラスなのに、なぜか1本余るペットボトル。

 Dクラス7不思議の1つだ。

 

「この6ポイントを節約した場合、毎月貰えるプライベートポイントが600増える。卒業までの31ヶ月分に換算すると18600ポイントだね」

 

 具体的な数値を話すと、クラスメイト達が少しざわつく。

 

 当然の反応だろう。

 堀北との握手券が付いているわけでもない、何の変哲もない500mlの水。

 そんなものに2万近く払うなんて、ぼったくりも良いところだ。

 高円寺みたいな自由人ならいざ知らず、真っ当な金銭感覚を身につけている人間なら間違いなく反発するはず。

 

「多分1日に2セットは必要だ。クラスの半分が川の水を飲めば、それが1セットで済む。1日で6ポイント浮くことになるんだ」

「そっか。少し我慢するだけでそんなに違うんだ‥‥‥」

 

 篠原が呟くように言う。

 

「ポイントを使うことに消極的だった人達は、そのあたりも踏まえた上で判断した。それはわかって欲しい」

 

 幸村に視線を送りながら、そう言い放つ。

 軽井沢へ示していた懸念を払拭するための言葉だけど、頷いてくれたので一安心。

 

「どうしても無理って人や体調に不安のある人以外は、少しでもいいから協力して貰えるかな?」

 

 クラスメイト達にそう問いかけると。

 

「‥‥‥ 飲むよ、私」

 

 篠原はそう言うと、池に歩み寄り。

 

「‥‥‥ごめん。そこまで考えてると思わなくて」

 

 顔を背けながらではあるけど、謝罪した。

 なかなかできることではない。

 

「え、あ、うん。‥‥‥俺もいきなり無理言って悪かったよ」

 

 顔を少し赤らめた池が返事をする。

 

 

 俺はもしかしたら、喧嘩ップル誕生の瞬間に立ち合っているのかもしれない。

 大好物なので、くっついてくれることを切に願う。マジで。

 

 そもそも、このクラスはカップルが少なすぎるのだ。

 俺が知っている唯一の組み合わせである平田と軽井沢にしたって、弁えたイチャイチャしか見たことがない。

 既に入学から4ヶ月経過しているというのに、この有様。

 みんな、花の高校生である自覚をもっと持つべきだろう。

 

 ただ、この試験で進展する関係もあるかもしれない。

 1週間後に期待しておこう。

 

 

****

 

 

 多少荒れたものの、ポイントの使い方は決着が付いた。

 

 飲み水については、全員が川の水を飲む努力をする。

 難しい人は平田にその旨を伝えてミネラルウォーターをもらい、平田はそれを公表しない。

 可能な限り煮沸した水を飲む。

 食料にかかるポイント節約のため、釣り道具などを要請する。

 それ以外の支出については、平田の承諾を必要とする。

 

 以上のことが追加で決まり、リーダーの話をすることに。

 

 と言っても、出来レースだ。

 

 話し合いの場にいなかった人を集めて、リーダーは堀北で異存ないかを平田が確認。

 全員承認で決着が付き、その所要時間は1分程。

 

 そして、茶柱先生がやって来た。

 

「リーダーが決まったそうだな。キーカードは誰に渡せばいいんだ?」

「私へお願いします」

 

 そう言って歩み出た堀北に、引き渡されたリーダーの証。

 俺達には見えない形で受け渡しが行われたけど、そこには俺の名前が記載されているはず。

 

「早速、ここのスポットを占拠しましょう」

 

 ポケットへキーカードをしまった堀北が、そう言って更新用の機械へ移動する。

 

「更新する時、他のクラスに見られるわけにはいかないけど、どうしようか?」

「やり方は考えてあるわ。浅村君、平田君、軽井沢さんはこっちへ。他の人達は円を組んで周りを見張ってくれるかしら」

 

 俺の問いかけ、堀北の返事。

 両方とも打ち合わせ通り。

 この方法も実際には俺が言い出したものだ。

 これなら周囲を見張ると同時に、クラスメイト達に見られずに済む。

 

「人で壁を作り、内側にも複数人いれることで誰がリーダーか特定させないってことか」

 

 幸村が、俺が言うつもりだった台詞を口にする。

 

「ええ、その通りよ」

 

 堀北が幸村へ返事をする。悲しい。

 

「じゃあみんな、堀北さんの言った通りに動いてもらえるかな?」

 

 平田の一言でみんなが動き出す。

 

 これから1週間、他クラスだけでなくクラスメイト達も欺くわけだ。

 流石にやり過ぎかもしれないという思いを抱きつつ、機械の前に立って周囲がカバーされるのを待つこと30秒。

 

 36人の視線が外側に向いたことを確認してから、平田と軽井沢へ向けて人差し指を立てて口元に当てる仕草をする。

 『静かに』のジェスチャーを受け取った2人が頷いたことを確認してから。堀北がポケットからキーカードを取り出した。

 『Daichi Asamura』の文字が記載されているカードを受け取る、その前に。

 

「山内。こっちじゃなくてちゃんと前を見張っててね」

 

 背後にいる山内を牽制。

 明らかにこちらへ振り返ろうとしてた。

 

「うげ‥‥‥わかったよ」

 

 山内が前を向いたことを確認して、ようやく堀北からカードを受け取る。

 

 それを機械へかざすと電子音が鳴り、Dクラスの表示と共に8時間のカウントダウンが始まった。

 これで試験ポイントプラス1。

 

「終わったわ。これで今から8時間、ここの占有権は私達のものよ」

 

 堀北の声を聞いて、クラスメイト達が振り返る。

 

「なるほど、占有するとこんな表示になるのか」

 

 その中の1人、幸村が画面を覗きながら言い放った。

 眼鏡が幸村にクイってされる。

 

「更新のタイミングはどうするんだ?8時間経った後は、他のクラスに占有される可能性もあるんだろう?」

 

 俺が堀北に投げる予定だった質問、それをまたしても幸村が言い放つ。

 堀北とのやり取りを奪うとは、一体どういう了見だろうか。

 眼鏡が常に曇る呪いをかけても許されるのではないだろうか。

 

「そうね‥‥‥5時、13時、21時に更新でどうかしら?今は12時過ぎだから、今夜の更新を少し待つだけで調整できるわ」

「他はともかく、5時に全員揃うのは少し厳しくないか?」

 

 俺の台詞をことごとく奪い去っていく幸村。

 どうやら眼鏡が惜しくないらしい。

 

「無理に全員が揃うことはないと思う。軽井沢さん、浅村君、僕の3人はカモフラージュのために毎回参加するべきだけど」

「なら、人選は平田君に任せていいかしら?別のスポットの占領に全員で移動するのは、あまりいい考えではないでしょうし」

「そうだね。毎回10人くらいにお願いしようかな。取り敢えず近場のスポットの更新についてきてもらう人と、キャンプの整備をする人で手分けしようか」

 

 そう言って平田は、近場のスポット更新について来る人をピックアップした。

 女子が多めだ。

 

 キャンプ設営には男手の方が必要なのだから、そうなるのは当然でもある。

 こちらを見る目が若干厳しい気がする山内や池にも、是非ともそういった事情を理解してほしい。

 

 そして幸村もベースキャンプに残ることに。ナイスだ平田。

 

 

 

 内側の4人目に幸村を起用する案が堀北から出た時は焦ったけど、最終的に採用されたのは俺の提案した軽井沢案。

 

 彼女である軽井沢に隠し事をするのは、平田の精神衛生上よろしくない。

 リーダーにふさわしい存在感がある。

 

 この2つの理由を説明したら、堀北と平田は承諾してくれた。

 幸い軽井沢本人もこの役割に対して満更でもない様子だったから、すんなりと決定。

 

 ツンデレ眼鏡を好感度レースに参加させてはならない。

 そんな私情があったりもするけど、軽井沢以外を選ぶ選択肢は俺になかった。

 


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