憑依沖田さんの行く!イナズマイレブン1・2・3!! 作:音佳霰里
というかむしろ、もう前の書き方すらも覚えているかが怪しい…
特殊タグの使い方よ…
あ、今話めちゃシリアスです。
―――雷門中のグラウンドに、一筋の闇が駆け抜ける。
否、それはただの闇ではなかった。
帝国が誇る究極の必殺技、『デスゾーン』の持つ力と、その余波である。
それはただの必殺技と言うにはあまりにも凶悪で、そして禍々しい。されどそれは、たった一つの弱小サッカーチームの、たった1人のストライカーへ向けて、放たれたものであった。
それこそが、数奇な運命の元によってこの『イナズマイレブン』の世界へと
―――沖田総司であった。
「……っ、痛っ……」
訳が分からなかった。
試合がリスタートしたと思ったら、気づいたら私は地に伏せていたのだ。
私が必殺技の『無明三段突き』で帝国からゴールを奪ったあと、試合がリスタートするため、自陣へと戻る時。
すれ違いざまに、鬼道くんが何かを呟いたのは聞こえていた。
しかし、既にこの後の試合の展開のことで頭の中がいっぱいになっていた私は、彼が何を言っていたのを聴き逃してしまったのだ。
―――いや、これもまた、言い訳のひとつだったのかもしれない。
私の身に何が起きたのか、鬼道くんが何を呟いていたのかなんて、
―――『デスゾーン』
初代ゲームではTP55を消費し、予め決めておいた2人のパートナーと共に放つ、林属性の3人技。
そのシュートを覚えるキャラクター自体はあまり多くないのだが、その分シュートの威力も非常に高いものとなっている。
生前の私はあまりゲームでの
「―――まさかその威力を、私自身で体験するとか、普通思わないじゃないですか……」
周りの皆さんに聞こえないように、そっと呟く。
帝国の桁外れな威力の必殺シュートを目の当たりにした、雷門中の観客やサッカー部のマネージャー、そしてグラウンド上の選手達は、まるでお通夜のように静かになっていて、たった一つの物音でも大きく響く。
フン、こんなものか―――そんな表情で鬼道くんは鼻を鳴らすと、デスゾーンを打った
その足音にハッとなったチームメイト達が、一気に私の所へと駆け寄ってくる。
「大丈夫か、沖田!?」
そう悲痛な声で叫ぶ風丸君に対し、『大丈夫ですよ』なんて笑いかけてやろうなんて思うが、そもそも思うように立ち上がれない。
そう、先程のシュートによって私は、帝国にとって脅威のある選手だと判定されたのか、豪炎寺君のようにただ力量を図るのではなく、その必殺技をもって私を『潰しに』かかったのであった。
さっきだってそうだ―――『デスゾーン』を、右足に向けて直で打つなんて。
雷門は4-4-2のフォーメーションを使う―――しれっと加入していた目金君はベンチスタートである―――のだが、試合前に私と円堂君、そして情報収集をしてくれていた木野さんの3人で打ち合わせをしていて、そこである作戦を決めていたのだ。
『帝国にボールが回るか、帝国ボールからスタートする時は、沖田がフィールドの中央へと立ち、相手の攻撃をある程度抑制する』
というものだった。
もちろんこんな作戦、お粗末な付け焼き刃にも程があるのかもしれない。
しかしそれでも、たとえ天下の帝国が相手であったとしても、数分は持ちこたえることが出来たのではないだろうか。
そんな希望を胸に抱いていた。
……それが現実はどうだ?
サーヴァントと同じ肉体などというチートにうつつを抜かし、FFを40年間も優勝し続けているチームに対し『私がある程度相手の攻撃を抑えます』だって?
情けなさすぎて、もはや涙を通り越して笑いが溢れてくる。
『さっさと点を取り返しちゃいましょう』
そんな言葉すらも、痛みに歯を食いしばる今の自分は、かけられない。
「……君、プレイはできるかい?」
この試合を仕切っている審判が、不安そうな表情でこちらを見ている。フィールドの奥には既に担架が運び込まれていて、いつでも私を連れ出そうとしている。
だが、私はそれを是としない。
私だって、曲がりなりにも転生者なんだ。
帝国がなんだ、デスゾーンがなんだ!!!
「こんな程度でっ……! 負けてっ、たまるか……ッ!」
痛みで目尻に涙が浮かぶのを無視して、私は何とか立ち上がる。その立ち姿はまるで幽霊のようにゆらゆらと揺蕩っていて、とても元気があるようには見えないのだろう。
―――あ、これ足折れてるかもですね。
どこか冷静な
……うるさい。そんなのとっくに分かってる。
そう切って捨てる、
『止めておけ』
そう囁く声は無視して、無理やり体をセンターサークルへと移動させる。
たとえ足が折れたって、千切れたって!!
―――この世界に
審判から気合いで試合続行の許可をもぎ取り、試合が再開する。
センターサークルに置いてあるボールを、染岡君に軽く押してもらい、右足のインサイドで受け取ろうとする。
「―――ッ!?」
がその瞬間、右足から響く壮絶な痛みに思わずボールを取りこぼし、その場に蹲ってしまう。
「―――なッ!? おい沖田、お前―――!」
取りこぼしたボールは、驚く染岡くんの足元をすり抜け、帝国選手の元へ。
そして、その選手はその場で足を振り上げる。
コートの半分を示すハーフラインよりも奥であると言うのに。
彼は振り上げた足を、もはや残像すらも残らないレベルで蹴り抜く。
その動きにきちんとボールは応え、蹴った選手の、そのイメージ通りの動きをするのだろう。
―――そう、
「―――ガッ―――!?」
その挙動は、現実では有り得なかっただろう。
90度に近しい角度を描くシュートなど、海外のどこを探しても見つからないに違いない。
だが、ここはアニメの世界、それも超次元サッカーのある世界なのだ。
この程度のシュートを、中学生が打ったっておかしくない。
しかし私は、すっかりとそのことを失念してしまっていた。
そして―――。
「……え?」
呆然とする円堂君のすぐ横を、ボールに腹部を押され続けている私が通過してゆき、そのままゴールへと叩き込まれたのであった。
―――それから……。
「うわあぁあああああ!?!?」
相手のブロック技『キラースライド』を受けた栗松くんが、足首を負傷しその場に倒れ込み。
「っ―――ガハッ!?」
どうみたってファール(反則)なドリブル技の『ジャッジスルー』を受けた風丸くんは、呼吸困難に陥りながらフィールドの奥へと吹き飛ばされる。
雷門の選手が様々な手法でいたぶられる中、特に大きな被害を受けたのは、やはりと言うべきか私ともう1人、円堂君であった。
私が特にダメージを受けている理由は先程語った通りだが、円堂君までもが被害を受けている理由、それは―――。
「まだ、まだ
それは、帝国がこの弱小中である雷門中へとやってきた主な理由であった。
ある理由でサッカーから離れた、『炎のストライカー』と呼ばれる『豪炎寺修也』君。
そんな彼が、実家から近いこの学校へと転校してきたのだが、帝国の狙いはそこにあったのだ。
彼らは―――と言うより、その総帥(!?)である『影山零治』は、豪炎寺君を帝国学園のサッカー部へと引き込む事で、日本の少年サッカー界における更なる地位の獲得を、また、さらにサッカーを帝国一強へ仕上げることを目指そうとしていたのだ。
その為彼らは、私たちに直ぐにとどめを刺すのではなく、少しづつ、じわじわ、じわじわと心を痛めつけ続け、豪炎寺君が参加してくることを狙っているのだ。
しかし、彼らのそんな思惑に反し、前半は終わりを迎える。
現在スコアは20-1だ。
早くからあの猛攻を受けていた割には、思ったよりも得点を取られていないようにも見える。
だが、それはスコアボードの上での話だ。
雷門中サッカー部の間に流れているムードは、非常に険悪なものとなっていた。
「どうなってんだ、あいつら。誰一人として息が乱れてないぜ」
「そりゃそうさ。奴ら、全然走ってないからね」
ボヤく染岡君に、助っ人として入部したマックス君が同意する。
その奥で私は倒れており、そんな声に反応すらできない。
デスゾーンを受けるなど酷使した右足は、酷く発熱していて、もう動かさなくたって痛みを発する域に突入してしまっている。
またそれは他の部分もそうで、お腹も、肩も、首も指先も。どこか1箇所を動かそうとすると、その部位、いや全身から痛みが生じてくる。
これまで動くことが出来たのは、もはや奇跡としか言いようがないのかもしれない。
マネージャーの木野さんは、心配そうに私を見るが、それは他の部員たちも同様なようで、どうしたらいいか分からないとオロオロしている。
一応、一応サッカー部の顧問である冬海先生は、いつの間に居なくなったのか、ベンチからは姿が消えていた。
ハーフタイム時にはもう居なくなっていたので、私がボコボコにされ始めた時には既にいなかったのかもしれない、ちくせう。
「なんだなんだ! 勝利の女神がどちらに微笑むかなんて最後までやってみなくちゃ分からないだろ! そうだろ! なぁ? 皆!」
暗い顔をしているチームに対し、そんな言葉で励まそうとする円堂君だったが、それすらも今の彼らにとっては逆効果。
私に至っては、何かを言うどころか体を動かす体力すら残っていないと言うのに。
「後半を開始します。集まってください」
そこに無情にも響く、審判の声。
私はその声に反応し、ノロノロと緩慢にコートへ向かって歩き出す。
が、誰かに肩を掴まれ、その歩みは止められる。
―――染岡君だ。
「……お前、それで試合を続けるつもりなのか?」
彼の目線は私の右足へと向けられている。
やっぱり、近くにいた彼には、お見通しみたいだ。
「っ、だ、大丈夫ですよ。私を誰だと思ってるんですか? ハイパームテキなストライカー、沖田さんですよ?」
「お前! その足で大丈夫なわけないだろうが、あぁ!?」
ふにゃりと力無く笑いながら彼に言うも、逆に激高され大声で怒鳴られる。
が。
「……でも、ここで私が引いたら、もっと点を取られる。……違いますか?」
「……チッ」
一瞬彼は、ずっとベンチを温めていた目金君へと目を向けるが、直ぐに私へと向き直ると。
「……もう無茶な真似、すんなよ」
そう言い残して、スタスタと歩き去っていった。
「……ふふっ。心配してくれてるんですね」
―――今はその気遣いが、無性に有難かった。
後半開始のホイッスルが鳴り響く。
後半は帝国ボールのスタートの為、直ぐに帝国陣内では、華麗で洗練されたパス回しが始まる。
前半は手を抜いていたのか、その速度と力強さは、前半のものとはまるで別物だ。
当然、前半で疲弊した私たちには手が出せるようなものではなく。
「グッ……!!」「ガアアッ……!!」「ぎゃああっす!!」
まるで前半の焼き直しの様に、雷門メンバーは痛めつけられてゆく。
よりいっそう苛烈に、よりいっそう残酷に。
そしてキレを増したシュート紛いのパスは、当然私にも飛んでくるわけであって。
「っ、きゃあああああっ!!!」
しつこく、しかも的確に私の患部を狙い撃つそのボールが、四方八方から飛んでくる。
たまにどこか別の誰かを撃ち抜いていると思ったら、すぐには私の所へ戻ってきて、再びこの虐めのような時間が再開する。
「―――続けろ。奴を炙り出すまで―――!!」
その瞬間、佐久間君、寺門君、洞面君の3人が、鬼道君の前へと走り込む。
―――まさか。
忘れもしない、その光景に、全身が凍り付く。
ほとんど反射的にゴールへと駆け出す。
ゴールには、私よりは疲弊していないものの、それでも十分ボロボロの円堂君が。
―――このままじゃ、マズイっ!!
そう直感した私は、彼らのシュートが来るであろう射線上へと立ち塞がる。
『デスゾーン』っ!!!
その一瞬の隙を縫って完成させられた究極のシュートは、周りの地面を巻き込み、荒れ果てさせるほどの力を持って襲い来る。
私はそのシュートに対し、半ばヤケになりながらも、利き足である右足を無理やり叩きつける。
「あああぁ゛ああああ゛ぁぁあぁぁ゛ぁ゛ぁ゛あぁっっっっっっっっっ!!!!!」
このままでは、彼はこのシュートを止められない、そう思ってしまったから。
ゴッドハンドが使えるのなら良い。
でも、彼がゴッドハンドを初めて成功させたのは、豪炎寺君加入後に飛んできたノーマルシュートに対してだったはずだ。
こんな凶悪なシュートを、生身で。それも足だけで受け止めるなんて、イカロスが太陽を目指すようなことだなんて、わかっているのに―――。
「ごんっ、な、ところ、でぇっ―――」
右足から、ブチブチと嫌な音が鳴り響く。
もはや全身の痛みは、感覚とともに等に消え失せていた。
地面に突き立てられ、体を支える左足は、ズルズルと少しづつ後退していく。
外野からは悲鳴。きっと私の足が、かなり悲惨なものになっているんでしょうか。
でも。
たとえどれだけ私が傲慢だったとしても。
「―――負げ、たくぅっ…な゛いっ!!!」
この思いが、帝国の面々に負けることなんてないんだと、そう信じているから―――!
とうとう体がシュートの力に負け、ゴールへ向かって吹き飛ばされる。
だが、それでも消してボールからは足を離さない。少しでも力を与え続け、デスゾーンをなんとかして弱めるのだ。
が、踏ん張った状態でも体が投げ出されるようなシュートを、空中の無茶な姿勢で止められるわけがなく。無常にも、私のすぐ後ろにはゴールネットが迫っていた。
「―――沖田っ!!!」
私の
―――させるものか。
ほとんど無意識に、私はその行動を選択していた。
背中はゴールのクロスバーへ、ほとんど使い物にならない右足は、ボールを逸らすために右側のクロスバーへ。
めきゃりと、ゴールポストか私の骨か、どちらともつかないような音がした。
「―――っ!!!」
それでも、絶対にこのボールは止めるんだ。なんとしてでも、止めるっ!!!
そんな私の思いが通じたのか、デスゾーンだったシュートは、ほんの少しだけその力を弱めながら、私の右足の上を滑っていく。
ボールはゴールを超え、試合を観戦していた外野へと突き進む。
ボールという押さえがなくなった私は、それこそボロ雑巾のようになりながら、グラウンドへと墜ちてゆく。
最後に私が、意識が無くなる前に見た光景。
それは、とっくに逃げ出していた目金君の後ろ姿と、涼しい顔でそのボールをトラップする、豪炎寺君の姿だった―――。
「…………………あれ?」
知らない天井です。
思わずそう呟こうとして、体に残るとてつもない痛みに、噎せ返ってしまう。
それでもどうにかして腕を使って起き上がると、なんとかナースコールを押す。
飛ぶようにしてやってきた医師に話を聞くと、どうやら私はあの帝国戦で、デスゾーンを受け止めたあとに眠るように意識を失ってしまったらしい、です。
そしてまた、三ヶ月の間、サッカーのような運動ができないことも告げられた。
「―――正直、これは奇跡に近いよ」
医師は私に、レントゲンの写真を見せながら語った。
「右のレントゲン写真、これね、君が搬送された直後のやつ。…で左ね。こっちが、入院一週間目のさっき撮ったやつ。わかる?これね、もう既にちょっとずつ治癒が始まってるの。これだけならわかるんだけど、君はその速度が異常に早いんだよ。これはもはや、特異体質とかそんなんで片付けられるレベルじゃないから。…それで君は―――」
くどくどと話す医師の言葉を、何処かふわふわ夢見心地で聞いている。
さすがサーヴァントの体、回復速度も違う、なんて考えられるくらいには、余裕があったのかもしれない。
―――でも、正直この現実は、まだしばらく受け入れられそうになかった。
ガラリ。
「…沖田?起きてたのか!?」
扉を開いて入ってきたのは、キャプテンの円堂君と、マネージャーの木野さん。
こちらを見る目は驚きにあふれている。
「…なんですか。私が死んだとでも思ってたんですか?」
「い、いや、そういうわけじゃないんだけどさ。あんなぼろぼろで、声かけても全然起きなかったからさ」
まぁそれはそれとして。
「試合…勝ったんですか?」
今一番聞きたかったことを、直球勝負で円堂君にぶつける。
「―――勝ったよ。豪炎寺が入ってくれてさ、すっげーシュートを決めてくれたんだ!…それに、沖田のおかげで、あのあと点を取られずに済んだんだぜ?」
「…良かった」
「?沖田、泣いて…?」
「―――良かっ、たぁ…!」
私がしたことは間違いではなかったんだ、無駄じゃなかったんだとわかって、安堵からか、目からは涙が溢れ落ちてくる。
「うううぅうぅっ…!」
ベッドの上で、私は体を丸めて泣き続ける。
暖かな瞳で見つめる円堂君とのこの時間が、今は何よりも心地よかった。
「―――あ、そうだ沖田」
「なんです?」
円堂君が病室を出ていく直前。
こちらに顔を向けて聞いてくる。
「容態はどうなんだ?大丈夫そうか?」
「…本人にそういうの聞きます?」
「あ、あはは…」
「大丈夫みたいですよ。あと三ヶ月で治りそうです」
「????????(Xファイルのbgm)」
どうせみんな(文章)長くなる。
てか今回の乙女ゲー風味よ…。
今回の怪我により、オリ主沖田さんはFF全国大会より参加予定。
まぁオリ主の掘り下げなんて、脅威の侵略者編でやるから、ま、多少はね?誤差だよ誤差。
大胆なカットは迷作者の特権ってそれ一。
他ルートの執筆について
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いる
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いらない