ネルギガンテに惚れた男   作:マスターBT

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評価バーに色付いてるやんけ!って感じで続き書きました。評価を下さった皆様、ありがとうございます。
時間軸がかなりすっ飛んでます。ネルギガンテか筋肉に関する話以外はサラッと語られるだけです。


導きの青い星

「暇だ!!!!!」

 

 アステラ全域に響き渡る大声で暇と叫ぶ筋肉。五期団の者達などはビクリと驚くがそれ以外の者達は、「あぁ…またか…」みたいな感じで一瞬止めた手を動かし各々の仕事を再開する。ここ最近、彼が戦いたいネルギガンテの発見報告が無くなっているのだ。彼自身も探索に出かけているが、全て空振り。偶の報告も殺し合いをしたいあのネルギガンテではない。

 

「古龍の動きも沈静化している。お前が追っているネルギガンテも何処かで大人しくしているんじゃないのか?」

 

「そりゃありえねぇな。隻眼のテオが討伐され、龍結晶の地を離れた古龍達もあの五期団にやられた。アイツからすればそこら中に餌があるんだ。それを狙わない訳がない。だと言うのに……何故だネルギガンテ……お前はどこに消えた…」

 

 彼が新大陸の彼方此方を彷徨っている間に龍結晶の地を離れた古龍達は彼の弟子とも言えるハンターに全て踏破されていた。死んだのかは定かではないが、確実に弱った古龍をネルギガンテは狙うと思って張り込んでも見つからない。長期間戦えないストレスは中々に筋肉を苦しめていた。

 

「今、大団長と龍人ハンターが五期団のハンターを連れ奥地に向かっている。お前が気になっている事も判明するかもしれないな。

 不思議な事に彼女らが来てからこの新大陸の調査は急速に進んでいる。まるで、導きの青い星だとは思わないか?」

 

「……厳つい顔でロマンチストなこと言うよな総司令。まぁ、確かにあいつは良くやってる。俺やあいつみたいに一体の古龍に魅入られる訳でもなく、この地そのものに魅入られる訳でもなく、お前みたいに賢い訳でもない。だからだろうなぁ……この地はあいつを待ってたんだ。純粋に自然に挑み、踏破してくれる可能性に満ちた存在を」

 

「かもしれないな。だが、彼女らが来るまでの時間は無駄ではなかった。人は古龍の様に長生きできないからな。

 お前らしくもない。俺たちの中で最も諦めが悪く大剣二本であっちこっち駆けていたのは誰だったか。案ずるな、あのネルギガンテはお前以外には踏破出来ないさ」

 

「かぁー!流石は総司令だ。俺の悩んでた事なんてお見通しってか。確かに諦めるなんてらしくねぇよな。ない頭使ったもんだから考え過ぎちまったわ」

 

 つまらなそうに眉間に皺を寄せていた筋肉が今は豪快に笑いながら隣に立つ総司令の背中をバシバシと叩いている。凄まじい力で叩かれるものだから総司令は派手に咳き込むがそれすらこの男どもは笑い合う。

 

 そして、別の場所。龍結晶の地のその奥で新たな戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見つけたぞ。私を呼ぶ不愉快な声の源!

 

 漸くだ、漸く見つけ出した。貴様の呼び声は煩わしい。上質な餌を連れてくるのは有り難いが、ずっと聞かされている私の気分は最悪だった。あの男との殺し合いの前に貴様を処理しておきたかったところだ。翼を動かし、声の主の目の前へと着地する。

 

「うわっ!?……ネルギガンテ!?!?どうして此処に」

 

 黙れ。今は貴様など相手にしている場合ではない。随分とエネルギーを蓄えているじゃないか。苦労せず集めたエネルギーは美味かったか?そろそろ貴様は邪魔なのだ。そのエネルギー、私の糧にさせて貰うぞ。

 

『グルァァァァァァァァァ!!!!!』

 

「ちょっ……あぁもう!!なんでこうなるの!?」

 

『ァァァァァァァァァ!!』

 

 ブレスか?まぁ、なんでも良い。口を開くと同時に雷と同じぐらいの速度で放たれる光り輝くブレスを奴と同じ様に黒くなった棘で受け止めながら突き進む。

 

「……嘘ぉ……」

 

 ふん!あの隻眼の熱に比べればなんて事のない再生を続ければ良いだけだ。こいつ、産まれたばかりか?力の扱い方がなってない。そのまま奴との距離がゼロ距離となる。こいつ、目どこだ?まぁ良いか。

 

『ガァァァァ!!』

 

 適当に目立つ奴に顔を近づけて至近距離で吼える。そして、顔面を横から全力で叩く。当然、黒くなった棘が突き刺さる様にしてだ。

 ……余り怯んでないなつまらん。棘を再生させながら、翼をはためかせ棘を周囲に飛ばす。無駄にデカイ図体だ、狙いをつけなくても当たる。何かしらのエネルギーで防いでるのかもしれないが、私の棘は寧ろその方が都合いい。奴の全身を循環するエネルギーの壁を棘は破り、貫く。

 

『ァァァァァァァァァ!!』

 

「巻き込まれてる!!これ、完全に私巻き込まれてるよね!!棘ぇ!」

 

 何やら人間も悲鳴をあげているが知った事じゃない。というかまだいたのか。一瞬、視線を向けるが人間は転がって避けているだけで棘を弾いたりはしていない。やはり、あの男が特殊なのだな。目の前で図体を持ち上げる。私を潰す魂胆か?ふん、分かりやすい。地面を滑る様に滑空し、避け低くなった奴の首元に上から噛み付く。当然、暴れるこいつから振り落とされない為に顔や首に棘を突き刺す。

 地面からこいつによって暴走した地脈エネルギーが噴き出すが、私には一切、関係ない。無駄にエネルギーを使ってご苦労なこった。

 

「うぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 ……よく避けるなあの人間。

 

『ァァァァァァァァァ!!!!!』

 

 奴の全身からエネルギーが噴き出し、弾き飛ばされる。空を飛びながら見下ろせば、さっきまでは無かったヒレの様なものを生成しながら私を睨み付ける奴がいた。今までより高純度のエネルギーを身に纏ったその姿は神々しさすら感じた。

 

 面白い!!簡単に敗れてくれては私の苛立ちも治らぬ!!

 

 蓄えてきたエネルギーを此処で使い果たすつもりで全身に回し、全ての棘を黒くさせる。生半可な防御では今のアイツの攻撃は防げまい。全て!全て!全て!お前の攻撃を受け止め切り薙ぎ倒してくれる。

 

『グルァァァァァ!!』

 

『ァァァァァァァァァ!!』

 

 奴に目掛け突撃したところで私の視界は眩い光に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の目の前で二体の龍が咆哮している。片方は訳分からない奴、もう片方は師匠が追っているネルギガンテだと思う個体。何度かあのネルギガンテからの視線を感じてるけど直接的な攻撃をしてきてない事から、私に敵意はないのだろう。うん、このデカイ奴に用事があるんだろうね。でも、絶賛、私が巻き込まれてるからやめて欲しい。スレスレで飛んでく棘とか地面が爆ぜる攻撃とかやめて欲しい。

 

「わー……ネルギガンテ真っ黒だしあっちは見た事ないくらいエネルギーに満ちてるし……」

 

 大団長、生きて戻れたらあの人に飯集ろうそうしよう。私の事なんて眼中に無さそうだしあとは二体で仲良く……無理ですね。ネルギガンテは兎も角デカイ奴は私に殺気向けてきてるもん。

 

「ふ……あはは……あーもう!ふざけんな、やってやらぁぁ!!」

 

 閃光玉をスリンガーにセットする。恐らくネルギガンテに対処する為にあのデカイ奴は私を攻撃してこない。空に飛んだネルギガンテはきっと暴力に身を任せて攻撃を凌ぐ筈だ。師匠とよく戦っているからか戦い方が似てるんだ。

 

「……ネルギガンテがアイツにギリギリまで近づいたタイミングで撃つ。その勢いのままぶつかる様にすれば隙が出来る筈。私が出せる特大をデカイ奴にぶつけてからネルギガンテを対処しよう。師匠が勝ててない相手に勝てるとは思えないけど」

 

『ガァァァァァ!!』

 

「ッッ!ネルギガンテが吠えた」

 

 思考から戻ればネルギガンテが空中でその身を捻り、デカイ奴に突撃する構えを見せていた。迎え撃つ様に上を向き、口元にエネルギーを集めているデカイ奴。ネルギガンテが突撃を開始すると同時に放たれる強烈なブレス。一切、避ける素振りを見せずにそのブレスに突撃し距離を詰めていくネルギガンテ。あれ、確か龍結晶の鉱石すら破壊するんだけど……

 

『ァァァァァァァァァ!!』

 

 足元の地面にヒビを入れながらブレスの勢いが強まる。僅かに勢いが遅くなるがそれでも突き進むネルギガンテに私は尊敬を覚える。辺りに漂う焦げ付いた匂いは、ネルギガンテのものだろう。いくら再生力に優れてるとは言え、身を焼かれるのは辛い筈だ。なのに、怯む素振りすら見せずに突撃している。私が今からしようとしている行為はその覚悟を踏み躙るものかもしれない。だけど、私がいる事を忘れているネルギガンテが悪い。

 

「……私だってハンターだ。舐めないで欲しいよ?」

 

 スリンガーから閃光玉が放たれる。すぐに目を逸らし、音だけで状況を判断する。カッ!っと辺り一面を照らす光がデカイ奴の目元で爆ぜる。直後、派手にぶつかり合う音が聞こえ二体分の暴れる音が聞こえだす。目を開き、デカイ奴の側まで駆ける。大剣を担ぎ、力を溜める。自分で生み出した力に自分が堪えきれなくなるまで振り絞り、頭部に勢いよく振り下ろす。

 

『ァァァァァァァァァ!?!?』

 

 手応え的に頭蓋へと到達した一撃を受け、派手に怯むデカイ奴。直後、鋭い殺気を受けデカイ奴の腹部の方向へと転がっていく。私がいた場所に黒い足が刺さっている。もちろん、ネルギガンテだ。

 

『ガァァァァ……!』

 

「怒った?でも、私を忘れてるそっちが悪いよ」

 

 高熱によるダメージを再生しきれていないのか煙を出しながら私を睨みつけているネルギガンテ。黒い棘は全て無くなっている。地面に刺さっている様子もない、ならば何処へ?少しだけ視線を動かせば正解がそこにあった。デカイ奴の腹部、首元にネルギガンテの黒い棘が深々と刺さっている。閃光玉で目をやられても目的を果たした様だった。

 

『ァァ……ァァァァァ…!』

 

 ネルギガンテの棘はデカイ奴の再生を遅らせている様だった。苦しそうに呻き声を出す。私から受けていたダメージ、そこにネルギガンテの攻撃が加わりこのデカイ奴の体力はかなり消耗している様だ。

 

「……」 『……』

 

 無言で睨み合う私達。右前足を持ち上げ、棘を黒化させるネルギガンテ。私に振り下ろすつもりかっと構えるが、その視線は私を見ていない。横のデカいやつを見ている。

 

『…グルゥ』

 

 何かを指示するように顔を動かす。あぁ……とことんこいつ狙いなのねネルギガンテ。頷いてから、横を向き大剣を担ぐ。

 力を溜めていく私と棘を黒化させていくネルギガンテ。互いにその一撃が自分に来ないと理解していた。

 

「はぁぁ!」

 

『ガァァァァ!』

 

 同時に振り下ろす。私はお腹に。ネルギガンテは首元に。

 

『ァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!』

 

 相変わらず、絶妙に弱々しい声なんだよなこいつ。咆哮と共に持ち上げた身体が力なく地に伏せる。モンスターの最期だ。

 産まれてきたばかりのこの古龍にはなんだか悪い気がするが、あなたを残したらこの大陸がううん世界が危ないの。人間のエゴかもしれないけどね。

 

「で、どうする。やる?」

 

 ずっと私を見ているネルギガンテに視線を合わせる。しばらく見つめあったあと、ネルギガンテは視線を何処かへ向ける。

 

『……ガァァ…』

 

 妙に人間じみた溜息を吐き、デカイ奴の胸の一部を食い千切るネルギガンテ。そのまま、飛翔し何処かへ飛んでいく。

 

「おーい!無事かぁぁぁ!!」

 

「生きてるなら叫べ!」

 

 聞こえてきた大団長の声と師匠の声。あぁ、そうかあのネルギガンテは師匠の気配を感じ取ったのか。

 着地した二人は周囲と倒れてるデカいやつを見て驚きながら駆け寄ってくる。

 

「すまん遅くなった!」

 

「ネルギガンテが居ると思ったが……遅かったか」

 

 どうやら師匠にもネルギガンテの気配が分かったらしい。人と龍なのに深い関係に思わず嫉妬する。私には師匠が来るなんて分からなかった。

 

「遅いですよ……本当に……」

 

「おい!?」

 

 倒れる私を誰かが支える。完全に緊張の糸が切れた私は意識を手放した。訳わからない規格外二体を相手にしては頑張った方だと思うんだ。そんな事を思いながら私の意識は消えた。

 




次回も多分、時間軸飛びます。まぁ、元々そこまでの連載にする予定では無かったのでね。

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