ネルギガンテに惚れた男   作:マスターBT

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男は憧れた。全てを蹂躙するその姿に。

龍は学んだ。真っ向からぶつかり合う楽しさを。


ネルギガンテに惚れた男

「ネルギガンテの特異個体だと?」

 

「はい。導きの地を調査でウロウロしてたのですが、その時明らかに他の個体より大きくそして、輝く棘を持ったネルギガンテが居たんです。ただの悉くを殲ぼすネルギガンテなら私の接近と同時に襲いかかってくるか警告をするのですが……見送られました」

 

 その言葉に報告を聞いていた総司令は驚く。ネルギガンテという古龍は闘争心が高い。視界に入ろうものなら、機嫌にも寄るが大体襲われるのが常識だ。だが、報告されているネルギガンテは吠える事すらなく、ただ見送ったという。その事実に驚いていると報告者、導きの青い星が更に言葉を続ける。

 

「それと、片側のツノが折れており顔に斜めの傷があったので……あのネルギガンテは師匠が追っていたネルギガンテかとモグッ!?」

 

 ソードマスターが慌てた様子で口を塞ぐが既に遅かった。部屋から飛び出す様にあの時よりより大きくなった筋肉が現れた。相変わらず防具を身につけていないので、彼の右半身にはあの時刺さったネルギガンテの棘の痕が痛々しく残っている。しかし、逆に言えばこの男はそれだけで済んでいた。右半身に深々と棘が刺されば神経や内臓を痛め、もう二度とハンターとして活動できないどころか普通の生活すら怪しいというのに、3日間、高熱に苦しんだ以外はあり得ない速度で傷が治り鍛錬を開始していたのだこの男は。

 そして、鍛錬と自身に刺さっていた棘と僅かばかり回収できた怨敵の棘を使い、新しく打たれた通常のハンターが用いる大剣より更に大きな大剣、一本の習熟を終わらせてはや二ヶ月。なんの足取りも掴ませなかった存在が現れたと聞けば我慢できる筈もなく。

 

「今、行くぞ。ネルギガンテぇぇ!!」

 

 防具を一切着ることなく、背中に巨大すぎる大剣を一本背負い男はこれまた、男を運ぶことで肥大化した翼竜二体に連れられ導きの地へと飛んでいった。あまりにも早い一連の動きにアステラの人達は全く動けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本能が告げた。奴が来ると/奴がいると。空を見上げ/地を見下ろしてみれば、いる。奴を視界に収めると同時に抗い用のない興奮が全身を駆け巡る。何日もこの場所にネルギガンテは居続けた為に、周囲には邪魔になるモンスターの気配は微塵もない。元々、古龍がいれば他の生物は逃げ出す。更に時折訪れる古龍は全て、逃すことなく喰らった。もう二度とあの隻眼の王の様な個体を生み出さない為に。

 

 さぁ、戦おう!!殺し合おう!!命を奪い合おう!!そして、我が糧となれ!!

 

 翼竜から飛び降りた男は土煙を上げながら、滑る様に衝撃を逃し着地する。抜刀し体勢を整えるまでの間、ネルギガンテは悠々と待っていた。そして、取り出した大剣が今までより大きいが一本である事に首を傾げる。その動作に笑みを零しながら、男はまるで友達に語りかける様な声色で言葉を紡ぐ。それは微塵も言葉が通じないとは思っていない態度だった。

 

「お前との戦いで一本折れてね。その事実を伝えたら、お前の素材でコイツを作ってくれたんだ。だがまぁ、俺に刺さってた分とボロボロになった地面に散らばってた量じゃ二本分はなくてな。半端な仕事になるぐらいなら一本に全力を注いでくれたんだ。お陰で、デカくなったがもう二度と折られない不滅の大剣になってくれたさ」

 

 その言葉の多くをネルギガンテは理解し、不滅という単語に興味をそそられた。面白いと。散々お前ら人間が悉くを殲ぼすと言った己に不滅を語るか。だが、己も自慢のツノを目の前に男に折られた事を思い出し冷静になる。武器と競い合っても良いが、それをすれば満足できない間に己は死ぬ。それはつまらない。

 

「まっ、つうわけでいつもの違う感じだが、どうせお前さん。今回を最後にする気だろ?なら、人間にこれぐらいのハンデは許してくれよな」

 

『グルゥ!』

 

 鼻で笑う様にネルギガンテは唸る。ハンデなど無くてもお前は対等だろうと言われてる気がして男は嬉しくなる。戦いの高揚感とは別の歓喜が身の内から溢れ出す。我慢など出来ずにどんどん笑みが深まっていく。だが、それも一瞬のうちに闘志へと変わっていき、ついに両者共に我慢の限界が訪れた。

 

「始めようかぁ!」 『ガァァァァ!』

 

 身を沈め両雄が駆ける。先手は、図体に勝るネルギガンテだ。男との距離が自分の間合いになると同時に、棘を伸ばし地面を砕きその破片を男に飛ばしながら自身の棘を織り交ぜた攻撃を放つ。過去一度も見せなかった攻撃に驚きながらも、男の身体は本能で最適解を導き出した。巨大な大剣を盾にしながらクラッチクローを伸ばしネルギガンテの左側へと瞬時に移動する。

 

 勢いを殺すために完全に密着する前にクラッチを解除し、ネルギガンテの左側面を滑りその勢いを利用し跳躍。大剣をネルギガンテの翼へと振り下ろす。しかし、ネルギガンテは男の方を見ることすらせずにステップ。男の一撃は地面へと振り下ろされ、虚しく土埃をあげた。並のハンターなら振り下ろした大剣の勢いに負け、喰われるだろう。だが、男は大剣を簡単に引き抜きネルギガンテに向き直る。男の筋力が上がっているのもあるが、大剣そのものの斬れ味も高く、綺麗な切断面を地面に残していた。

 

 次の行動は男が速かった。ネルギガンテが大剣を引き抜くと思い行動を起こすのが遅かった為だ。振り返った先に男の姿はなく、驚いていると下顎が勢いよく閉じる。同時に脳に強い揺れを引き起こすが、モノともせず下を向き噛み付く。だが、既にそこには姿がなく血の味が広がる事はなかった。代わりに首に勢いよく振り下ろされた大剣の一撃が訪れる。男はネルギガンテの首を斬り落とすつもりで大剣を振るった。だが、輝く棘と幾重にも重なった黒棘がその一撃を防いだ。黒い棘は砕かれたが、それにより勢いが減少した大剣は輝く棘を砕く事が出来なかった。

 

「チッ……この大剣でも纏めては無理か!」

 

 ネルギガンテが身を捻る事で飛んできた尻尾を大剣で受け止めながらボヤく。先ほどの一撃は渾身の一撃だった。だが、肉に到達する事は出来なかった。つまり、トドメを刺すつもりで攻撃をするのなら黒い棘を壊し、再生しきる前に振り下ろさねばならない。その事実にショックを受けながらも笑みを抑えきれない。対し、ネルギガンテも驚いていた。悟ってはいたがあの大剣は予想以上の斬れ味だ。男には見えていなかったが、輝く棘に刀身が僅かに埋まっていた。黒い棘が無ければ首はどうなっていただろうか。楽しい。ネルギガンテを支配する感情がまた高まる。

 

 三度目の激突は同時だ。輝く棘も纏めて再生させたネルギガンテによる振り下ろしと、男の振り上げた大剣が火花を散らす。均衡は一瞬、触れ合った直後にはどちらも弾かれ、男は回転しながら腹部目掛けて横凪を放つ。それを丸めた翼で受け切ると大きく翼を広げ、砕けた棘ごと男を吹き飛ばす。男は空中で体勢を整え身を捩る事で棘を避ける。避けきれずに刺さるものは力を込め筋肉で致命を避けた。着地し、刺さった棘を引き抜きながら回復薬グレードを流し込む。凄まじい速度で塞がる傷を確認しながら、突進してきたネルギガンテを避ける。

 

 片側だけ残された事でエネルギーが集中したのかより大きくなったツノ目掛けて大剣を振るが負け時とネルギガンテを頭を動かし、ツノと大剣がぶつかり合う。今度は弾き飛ばされる事なく力比べが始まる。奇しくも、あの時ツノを折った光景が再び生まれた。

 だが、今度は折れない。それどころが大剣の刃が全く通っていない。それもその筈。この地に滞在するようになって喰らった古龍から得た莫大なエネルギーの大半は全て残されたツノへとネルギガンテは注いでいた。もう二度と折れぬ事が無いように。男の両腕の血管が派手に浮かび上がる。それだけの力を向けても刃は通らない。

 

 勝ち誇った様な表情を浮かべるネルギガンテに舌を巻きながら男はこの力比べの負けを悟る。自分のスタミナが尽き、怯んでもいないネルギガンテの目の前で動けなくなると。それは即ち自身の死だ。ならばと、わざと力を抜き目には見えない力の通り道を作ってやる。すると、ぶつかるものが消え面白い様にその道を辿る様にネルギガンテの首が移動する。至近距離になったネルギガンテの顔。ここまで近くなると大剣は逆に振り辛くなる。故に男は握り拳を作り、勢いよく顔面を殴った。ただ殴っただけではなんの意味もないが、鼻面が殴られた事で予想外の痛みに驚くネルギガンテ。そもそもまさか、純粋に殴りかかってくるなど思っていなかったのだ。そこに来ての予想外の痛み、驚かない筈がなかった。

 

 この痛みには理由がある。先ほど、男は見えない力の道を作っていた。ネルギガンテの頭部はそこを移動中だった。そこにいきなり拳を喰らった事で本来、大剣と競い合うために発生していたエネルギーが鼻面に返ってきていたのだ。

 

「そらよぉ!」

 

 クラッチクローによりネルギガンテの背中に張り付く。ネルギガンテに馬乗りになりながら、剥ぎ取り用のナイフを何度も振り下ろす。ハンターの持つ剥ぎ取り用のナイフと云うのは見た目以上の斬れ味を誇っている為、これが振り下ろされると意外と痛い。刃渡りがないのでこれだけでモンスターの命を奪うのは難しいが、ハンターに馬乗りにされチクチクとされるのは鬱陶しい。故にモンスターは暴れる事でハンターを落とそうとする。それはネルギガンテも例外ではない。派手に動きながら、男をどうにか振り下ろそうとする。しかし、ある時は器用に場所を変え、ある時は振り落とされると同時にクラッチをし戻る男の器用さにネルギガンテはついに負ける。ガクンっと脚から力が抜け、ネルギガンテは倒れ伏す。男を振り落とすために暴れすぎた。スタミナ切れだ。

 

 倒れ伏したと同時に男を落ちるが、立ち上がりクラッチを伸ばしネルギガンテへと勢いよく飛んでいく。その勢いを利用し、男は大剣を勢いよくネルギガンテの翼へと突き刺す。

 

『ガァァァァ!!』

 

 突き刺し振り抜く事で翼をズタズタし男は地面を転がる。棘に覆われていない翼の内側は男の大剣を防ぎきれなかった。立ち上がった男が顔を上げると、翼から血をぼたぼたと流しながらも自分を睨みつけるネルギガンテの姿だった。傷付きながらも、なお闘志衰えず君臨するその姿は正に『歴戦王』に相応しい。

 

 『歴戦王』悉くを殲ぼすネルギガンテ。その姿に男は思わず見惚れた。あまりにも気高く、そして暴力的なその在り方に。

 

 今、現在傷付いているのは向こうの筈なのに、その闘志に負ければ一瞬で自分がバラバラになる姿を幻視する。

 

 畏怖と敬意の感情が現れながらも男は目の前の存在を超えたいと願う。何故なら、自分はネルギガンテという存在に全て、持ち得るもの全てを注ぎ込み、憧れ踏破したいと願う。

 

 『ネルギガンテに惚れた男』なのだから!

 

「あぁ……いくぞ。俺は今日、ここで!!憧れを踏破する!!貴方を超えてみせる!!」

 

 物語の勇者の様に大剣を真っ直ぐ己を睨み付けるネルギガンテへと向けながら宣言する。もはや、男を支配しているのは憧れに挑むという高揚感のみ。畏怖も敬意も今はいらない。それは奴に大剣を突き刺した時に思うもの。今はいらぬ!!

 

 知っているとも。今更、宣言などされずとも。貴様が私を超えたいと思っている事など。だから、心して来るがいい。私はもう逃げぬ、貴様以外に負けもしない。貴様という男の悉くを受け止め、殲ぼしてやる。そして、清々しい顔の貴様の死顔を眺めながら喰らってやろう!!

 

 挑戦者は男。故に男から仕掛ける。ネルギガンテは悠々と男の出方を伺う。距離が詰まり、男は走った勢いそのままに大剣を振り回す。輝く棘と黒い棘を急成長させ、ネルギガンテは大剣を受け止めた。周囲に飛び散る黒い棘、やはり輝く棘を貫く事は出来ない。が、ネルギガンテは自身が動いている事に気がつく。何とこの男、斬れぬのなら強引にでも大剣を振り抜こうとしていた。決して折れないと語った大剣を信頼しきっている。

 

 ゴッという音共にネルギガンテの前脚が身体の内側へと入っていく。確かに輝く棘は砕けない。だが、このままではネルギガンテの前脚を支える骨が折れるだろう。不味いと判断したネルギガンテは空いている前脚で打ち払う様に男へ向けて放つ。男はスッと大剣を引くと、飛び上がり前脚を避ける。防具を身に付けていないから出来る軽業だ。着地し、流れる様にネルギガンテの片目を狙うが少しだけ首を動かしネルギガンテもそれを避ける。噛みつこうとしたネルギガンテの口内が爆ぜる。感じたことのない攻撃に怯むネルギガンテ。

 

「お前ら大型モンスターすら怯むカエルの一撃は驚くだろう」

 

 たまたま地面にいたカエルを蹴り上げて、男はネルギガンテの口内へと入れていた。爆発の正体はニトロガスガエルだったのだ。怯んだネルギガンテの隙を逃さず、大剣を振るい左前脚の棘を砕く。今度は輝く棘も完全に砕いた。痛みにバランスを崩すネルギガンテだが、このままやれるほど甘い存在ではない。カッと目を開き、崩れる自身の身体を支え右前脚で男を吹き飛ばす。咄嗟に大剣を盾にしたが、吹き飛ぶほどの力を受けた代償は大きく、左腕の骨にヒビが入り受け身も取れずに地面と勢いよく衝突したことで軽い脳震盪を起こしていた。

 

 だが、ネルギガンテも無理矢理重心バランスを取ったことで負担がかかり左前脚の動きがかなり鈍くなった。恐らく、骨が折れたのだろう。傷を再生させても良いが再生しきる間、目の前の男から攻撃を全く貰わずに立ちまわなければならない。それは無理だ。後先考えずに再生を優先させればすぐに治せるが骨が歪み、今以上に悪い結果にもなるかもしれない。そんな事を考えていたネルギガンテは追撃に動けなかった。男は脳震盪から立ち直り、立ち上がる。ポーチから回復薬グレードを取り出そうとして気付く。さっきの一撃で、ネルギガンテの棘でも引っ掛けたのかポーチが壊れ、中身がほとんど零れ落ちていた。

 

「……はっ、上等」

 

 残りは回復薬と回復薬グレードが一個ずつ。先ず、回復薬グレードを飲み傷を癒す。左腕の骨のヒビは微妙な治り具合だ。両雄ともに、余裕が無くなってきた。だが、どちらも逃げる手段は取らない。

 

「はぁぁぁ!!」 『グルァァァァ!!』

 

 気合を入れる様に吠え、駆ける。余裕がないのなら、目の前の存在が倒れるより早く倒せば良い。脳筋らしい思考と共にほぼ同時に攻撃する。ネルギガンテのツノは男の左肩を掠め、男の大剣は胸を浅く斬り裂く。動きを止める事なく、次の攻撃に転じる。回転し、勢いよく振るわれる尻尾は男の頭部を掠め、鮮血が飛んだ。負けじと振るった大剣はネルギガンテの右後ろ脚を斬りつけ、鮮血が飛んだ。ネルギガンテは自身の正面方向に走り出し、反転。後脚で巨体を押し上げ両前脚を叩きつける。男はそれをサイドステップで避け、棘が再生しきっていない左前脚に大剣を突き刺す。

 

『ガァッ……グルァ!!』

 

「ヌオッ!?……ガハッ!」

 

 筋肉を膨張させ、男の体大剣が突き刺さったまま左前脚を振り回し男を吹き飛ばし、近くの岩へと叩きつける。メキメキと嫌な音が聞こえながら倒れながらも即座に立ち上がり、刺さったままの大剣を引き抜く。ネルギガンテの左前脚は半分が切り離され、もはや使い物にならない。

 

『ガァァァァ……グルゥゥ……』

 

 苦しそうに唸るネルギガンテ。思わず何も考えずに再生させるが、グチャグチャに再生してしまいやはり使い物にならなくなる。

 

「ゴフッ……」

 

 口から血を吐きながらも男は最後の回復薬を飲む。ズタボロの身体だが、これでまだ動く。左手で持ち上げた大剣を勢いよく右手で掴み構える。男もネルギガンテもボロボロだ。だが、その目は相手を睨みつけ微塵も弱くならない鋭い眼光を宿していた。

 

『ガァァァァァァァ!!!!!』

 

 一際大きく吠えるとボロボロの翼を使いながら、ネルギガンテが飛び上がる。あの時、男の大剣を砕いた一撃が来る!その動作から男は理解した。そして、この一撃でネルギガンテが自身との決着をつける気だと。ならば逃げも隠れもしない。真っ直ぐと大剣を構え、その時を待つ。先ほどとは打って変わり今度はネルギガンテが挑戦者の様な構図だ。僅かな静けさが訪れた。そして、龍の咆哮共に最後の一撃が放たれた。

 

 地面が砕かれ、周囲の岩などは飛び散った棘に砕け散った。まるで、隕石でも衝突したんじゃないかと言わんばかりの被害が起き、巻き上がった土埃の先、大きな影と小さな影が映る。

 

 ゆっくりと大きな影が崩れ落ち、動かなくなる。ネルギガンテの胸部には深々と男の大剣が突き刺さっていた。誰がどう見ても絶命の一撃だ。その証に溢れんばかりの闘志を宿していた瞳には何の輝きも宿っていない。

 

「……俺の……勝ちだな……ネルギガンテ……」

 

 そう宣言し、小さな影はネルギガンテに重なる様に倒れた。男の腹部には大きな風穴が空いており、凄まじい量の血が溢れ出している。憧れを超えた事が分かった男は笑みを浮かべてその意識を手放した。

 

 

 

 

 

 故に

 

 

 

 気づかなかった。

 

 

 

 ピクリと己の下の存在が動き出した事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬははは!まさか、お前に助けられるとはなネルギガンテ!」

 

 男は生きていた。ハンターとして活動を再開するのがそもそも出来るのかは分からないが、男は生きていた。確かに大きな風穴を開け大量の血を流していたため死は逃れられなかっただろう。だが、それはあくまで何の処置もなければだ。アステラにいた者達は今でも思い出す。『ほぼ死体の男をこれまた何故生きてるのか分からないネルギガンテが連れてきた』のだから。本拠地への来訪に皆警戒したが、男を地面に置き倒れたネルギガンテを見れば、その警戒も無意味だと悟った。

 

「自分に勝ったんだから生きろってか?……やれやれ、俺と戦いすぎたか?お前さん」

 

 トクトクと酒を注ぎながら男は目の前のネルギガンテの『亡骸』に話しかける。男を連れてきた直後、ネルギガンテは完全に息を引き取った。治療を受けて意識を取り戻した男は、勝負に勝ったが死合いに負けた気になった。だから、こうして酒が飲める様になるまで待ってからネルギガンテの目の前に来たのだ。

 調査されているが、解体しないでくれと頼んだ事で綺麗なままのネルギガンテの亡骸。それを目の前にもう一つの器に酒を注ぐ。入れ終わって片方を持ち上げながら口を開く。

 

「乾杯だ」

 




これにて完結。

あと一回だけ投稿しますが、それは本編では語られなかった設定等々になりますので本編はこれで終わりです。人と龍。こういう絆の育み方も良いんじゃないでしょうか?

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