やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。再編ストーリー   作:Minadukiyuuka

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モノローグ 2

次に目が覚めたのはその日の夕方だった。

「・・・あら?起きたの?」

 起きて一番最初に目に入るのがあの女の顔とは、なんたる不運。

「とても嫌そうな顔をしているわよ?あ、目はもともと腐っているのよね?小町さんから聞いたわよ」

 おいおい、マイリトルシスターよ何言っちゃってくれてんの?腐ってないから。発酵だから。決して、腐ってなどいない!

「なに言っちゃってくれてんの?腐ってなんかいなし、腐る予定もない。」

「人間誰しも朽ち果てるものよ?」

 くそ・・・雪ノ下め、ぐうの音も出ない。

「お前、良いのかよ?高校入って間もないからって勉強疎かにしたら意味ないだろ?」

「あら、心配してくれるの?でも残念ね、私「入学生総代」をやっとの。この意味、わかる?」

 わからないはずがない。入学生総代。それは一般入試において最高成績者に任される大役だ。

「勉強、できるんだな」

「私、優秀だから」

うわー、どっかの医者みたいなこと言ってる。「私、失敗しないので」みたいな言い方しやがって。むかつくな。

「よかったら、勉強見てあげましょうか?」

 この上から目線がちっぽけなプライドを傷つけていく。

「言っておくがな、俺だってそこそこ優秀なんだぞ。現国に関してなら、俺はお前とだって渡り合えると思うぞ?」

「へー、それで?他の教科は?私と競えるの?」

 こいつ、マジで痛いとこ突いてきやがる。

 仕返しに軽く小突いてやるか。

「お前、友達いないだろ?」

「・・・」

あ、あれ?まさか地雷踏んじまった?

「・・・そうね、まずどこからどこまでが友達か定義して」

「悪かった。もうその台詞は友達いない奴のセリフだわ」

「別に気にすることはないわ。私、優秀だから、皆が皆私を敵視するだけ。そんな人達と友達になれるとでも思う?」

・・・こいつは、高すぎるプライドが友達作りを、と言うか対人関係を邪魔してるのか。それなら、

「なぁ、雪ノ下。俺と」

「悪いけど、遠慮しておくわ」

まだ言い切ってないだろうが

「あなたの様な人からは大抵告白されてきたわ」

「いや違ぇよ。」

「・・・違うの?」

 何こいつ?なんでこんな偉そうなの?

コンコン

「お姉さま!今戻りました!あっ、おはようお兄ちゃん」

 本当、なんだろうな?この温度差。

 俺病人のはずなのに不当な扱いは受けるわ、看病人がすごい偉そうだし、誰か変わってくれよ・・・まぁ、変わらないんだけどな

 そんなことを感じていると雪ノ下は荷物をまとめて立ち上がった。

「私はそろそろ帰るわ。比企谷君、また明日も来るから覚悟しておきなさい?小町さんもまたね」

 

 雪ノ下がいなくなって俺は病室で小町と二人きりになってしまった。

「・・・お兄ちゃん」

「ん?どうした小町」

 小町は改まって俺に向き直って話し始める。

「私ね、雪乃お姉様は運命だと思うの。ダメダメなお兄ちゃんに来た最後のチャンスで、これを逃したらもう二度と巡ってこないと思うの。だからね、お兄ちゃん・・・お姉さまを恋に落としなさい‼︎」

 それだけ言い終わると小町はすごい勢いで病室から出て行ってしまう。

「・・・」

 どうしたら良いかもわからず、俺はただベッドで横になるしかなかった。

 起きた時と同じ見知らぬ天井が広がる。

 確かに雪ノ下は可愛い。人形の様な顔立ちをしている。百人いたら百人が振り返る様な美人だ。

 だから惚れる?はっ、そんなことあるか。

 俺はそれ以上の思考をやめてもう一度目を閉じた。

 精神が疲れているせいかすぐに眠気が襲って来て眠りに落ちてしまう。

 

 その日見た夢は思い出したくもない俺の黒歴史だった。

 同じクラスの女子に告白したら断られて次の日には話の種にされて遠巻きに聞こえてくる笑い声が傷ついた心に塩を塗っていく。

 他にも好きだった子に「好きな人教えてよ。イニシャルでいいから」と言って「H」と答えられて「それって、俺のこと」・・・そんな恥ずかしいことを言った俺を冷たい目で見る彼女を俺は忘れられない。あの冷たい目が今でも俺を苦しめる。

 他にも、他にも、他にも、他にも、他にも・・・数えたらキリがない俺の黒歴史。

 

 そのせいでいつもは起きるはずもない様な時間に目が覚めてしまった。

「はぁ・・・はぁ・・・」

 少し汗をかいてしまった様で頰や首筋にツーっと汗が流れるのを感じた。

ベッドの上体を起こす。

そのおかげで寝る時には気付けなかった来客用の椅子に置かれた紙を見つけることができた。

 その紙は雪の下が置いて行ったものだった。

『きっと、私はあなたに素直になれないと思うから。

何かを言おうとするとつい出て来てしまう悪態。

あなたにはもっと素直に謝りたいのに、どうしても意地やプライドが邪魔をしてそれが叶わないので、手紙で言います。

あなたに怪我を負わせてしまって、ごめんなさい。

あなたの時間を奪ってしまって、ごめんなさい。

でも、私がどうにかするから。絶対に、どうにかするから。

信じて』

 その後にも謝罪の言葉がたくさん書かれていた。

「なんだよ・・・俺なんかと全然違うじゃねぇか」

 俺は手を伸ばして窓を開ける。まだ四月の夜は冷え込む。

 でも、その冷え込んだ風が俺には心地よかった。

 

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