この素晴らしい世界にアサシンを!   作:kurea0310

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おかしな二人と異世界へ!

 「ふんっふふ~ん♪」

 俺は銀行で金を降ろす。

 バイトだけだからそこまでだけど、高校生にしてはそこそこ稼げたな~。継続は力なりってな。

 財布にお金を詰めて、買い物に行こうと体をくるっと回転させた瞬間、大きな音がなり、肩に穴が空いた。そこからは沢山の血が出ている。

 「・・・?・・・・!?うわぁぁぁ!!痛い!痛い!なんで!?」

 俺はよろめきながら叫ぶ。

 「強盗だ!このカバンにさっさと金をつめろ!」

 強盗と名乗る男が来たらしい。

 女子高生もいるらしい。甲高い悲鳴も聞こえる。だが、そんなことも気にならないほど、俺は慌てふためいていた。

 「うるせぇ!黙ってろガキ!」

 強盗が俺を撃ったであろう拳銃を女子高生に向け、引き金を引く。

 「うわぁ!?」

 俺は倒れこみそうになったところで心臓に銃弾を撃ち込まれた。

 嫌だなー。ここまで頑張ったのに全部無くなるのはやだなー。

 なんかもうどうでもよくなった。

 この銀行は警察署にほどよく近いのでパトカーの音が聞こえる。きっと事件は解決するだろう。

 それにしてもこの強盗も切羽詰まっていたのかな。それで俺を巻き込まないでほしい。

 文句を言いながら俺は息を引き取った。

 

 

 

 「ハヤノソウシさん、ハヤノソウシさん。」

 誰だ?俺を呼ぶのは。

 俺は目を開けるとそこには美しい女性がいた。

 「ハヤノソウシさん。ようこそ死後の世界へ。貴方はつい先程、不幸にも亡くなりました。短い人生でしたが、貴方は死んだのです。」

 そう俺に語りかける姿は、まるで女神のように見えた。

 「あの、1つだけ。俺が死んだあとあの騒ぎはどうなりましたか?」

 とりあえず気がかりだったことを訊いた。

 「貴方が亡くなったあと、警察が駆けつけ、負傷者や死亡者は貴方1人という結果で解決しました。」

 「よかったー。」

 俺だけならいいや。

 「今から貴方には3つの選択肢を与えられます。1つ目は記憶を消し、生まれ変わる。2つ目はこのまま天国に送られる。ですがこの選択肢はおすすめできません。」

 えっなんで?つい言葉がもれる。

 「天国というのは、女神の私が言うのもなんですが、天国ですが、体が無いのでなにもできません。しいて言うなら日向ぼっこしながら世間話をするくらいです。」

 うわぁ。ずっと暇とかまた死んじゃう。

 「そこで3つ目の選択肢、異世界に行ってもらいます。」

 異世界?なにそのファンタジー。

 女神様はこほんと咳払いをした。

 「その世界では現在魔王によって平穏をおびやかされています。そこで、貴方には、記憶と異世界に持ち込める、いわゆるチート能力や武器を持って、世界を救って頂きたいのです。」

 ほんほん、チートか。本当にあるのね。

 「なんでも?」

 「なんでもです。」

 「・・・それとは別にお金とか貰えない?」

 いきなり無一文はすぐ死んじゃう。

 「武器代や冒険者になるための手数料の分のお金、降り立つアクセルの地図を貴方には差し上げます。」

 なるほどなるほど。前の世界よりも生きやすいかもしれないし、それを願って転生するのもありかな。

 「それで、さっき言ってたチートとやらは?」

 たくさんの書類を女神は渡してきた。読むのめんどい。

 なにかいいのあるかねぇ。ぶっちゃけ一般人にはどれが使えるのかわかりかねる。そこそこオタクだったが現実となると分からん。

 ん?魔法製造気?説明は・・・新しい魔法を作り、使えるようにする。か。異世界ってのは魔法があるのか・・・いいね。

 「女神様、俺これにします。」

 女神に紙を渡す。

 「分かりました。では、魔方陣から出ないようにしてください。」

 俺は手元に現れたタブレットのような機械を持ち、素直に待つ。

 「女神様、1つだけ聞いてもいいですか?」

 「どうしましたか?」

 俺は少しだけ気になってたことを聞いてみる。

 「貴方のお名前ってなんですか?」

 あら、と女神は口元に手を当てる。

 「自己紹介がまだでしたね。私は幸運の女神、エリスです。」

 「エリス様ですか。綺麗なお名前ですね。」

 俺はここにきて初めて笑みを浮かべる。

 「ふふ、ありがとうございます。」

 先程よりすこし声が柔らかくなった気がする。喜んでくれたら嬉しいな。

 「ハヤノソウシさん。貴方が見事、魔王を打ち倒す事を期待します。」

 はいっ、と返事をした。その声は少し元気だった。

 「ハヤノソウシさん。見守っていますよ。ではいってっしゃい!」

 俺は女神に盛大に送られた。

 「たまにですが、私が見てきた貴方ならきっとできると信じています。頑張って、私だけの魔法使いさん。」

 誰もいない、暗い部屋で、少女はつぶやいた。

 

 

 

 目を開けると、久々に感じる光がさしこんできた。

 「ここが異世界・・・」

 とても平和そうな町に、俺は降り立った。

 えっとたしか、エリス様が冒険者の手続きがどうのこうのって言ってたし、登録しに行けばいいのかな?

 俺がポッケから地図をとりだそうとした瞬間、隣から大きな泣き声が聞こえた。

 「ええ!?なになに・・・なにこれ。」

 ジャージを着た男と揺さぶっている青い女の人が居た。

 「あっ!その服装、もしかして日本人か!助けてくれ!この使えない女神が離れないんだ!」

 男は女の人を押しながら助けを求めてきた。関わりたくねー。でも知らんぷりするわけにもいかんしなー、

 「えっと、女神様?なんだっけ?まあいいや女神様。どうしたんですか?」

 エリス様とは似てもにつかない女神の肩をとんとんと叩く。

 「聞いてよ!こいついきなり私を拉致して天界に帰れなくしたのよ!これからどうすればいいのよ!」

 拉致て。まあ、だいたい分かった。この男は女神をチートとして連れてきたのか。目的はまあ、あれか。

 「ゲスめ。」

 ジトーとした目で男を見る。

 「なんだよゲスって・・・いやいやいや!もしかして変な事を考えてるのか!?だとしたら全然違うからな!そもそもこの駄女神に興味はない!」

 「うわぁー!このヒキニート駄女神って言った!私に言っちゃいけないこと言った!」

 めんどくさい。すんごい騒ぎ始めた。

 「あー分かった分かった。」

 俺はパンパンと手を叩く。

 「見たところ貴方たちもこの世界にきたばっかりですよね。それなら一緒に冒険者になりに行きませんか?」

 なんだかんだで一緒に行動することになり、地図を頼りに冒険者ギルドにむかう。


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