出来る限りガンヘッドを知らない方でも楽しめるように善処致しますのでお楽しみいただけると幸いです!
それでは本編をどうぞ!
かつて、この世界は滅びるはずだった。人類によって生み出されたコンピューター「カイロン5」が宣戦布告したからだ。政府はとち狂った奴隷にどちらが主が教えるために局地戦用可変装甲戦闘車両「ガンヘッド 」部隊を戦いの地「8jo」に送り込んだ、後に「ロボット大戦」と呼ばれるものである。しかし教えられたのはコンピューターではなく人類の方であった…
8joは閉鎖され人類は己の作ったものにより恐怖に怯えた
それから13年後、トレジャーハンターである「Bバンカー」がカイロンのCPUを奪取するためにこの地を訪ねた、しかしメンバーの大半は上陸した直後カイロンの手下である「バイオロイド」により1人を残して全滅、生き残ったのは「ブルックリン」…ただそれだけであった。
1人残されたブルックリンは同じく1人になってしまった軍人ニム、そしてカイロンが支配するカイロンタワーでたくましく生きていた「セヴン」「イレヴン」と運命の出会いを果たす。カイロン、そしてカイロンの守護者「エアロボット」の打倒を目指す彼らに更なる出会いが起きる。ロボット墓場と呼ばれる先の大戦で破壊されたロボットの残骸が集まる場所に奇跡的にレストア可能なガンヘッドを見つけたのだ。
メカニックが得意なブルックリンはこれを修理、本来無人機のものを有人機に変えた。そしてここに新たな仲間「ガンヘッド507」が加わるのであった
507は自己判断が可能なコンピューターが積まれておりこれが野球好きでユーモアを交えた会話をすると言う風変わりなコンピューターだった
507とブルックリンは互いに強力しあいエアロボットを撃破する為に前進する彼らであったがいくつかのトラブルを重ねとうとう燃料が尽きてしまう。途方に暮れ単身で吶喊しようとするブルックリンを背に507は野球になぞらえこう言った
<確かに9回裏ツーアウトで、確率からいけば勝ち目はない。でも、そんなものクソくらえでしょう?」>
確率を重んじるコンピューターとは到底思えない発言にブルックリンは苦笑するも勇気づけられる、そしてウイスキーを燃料代わりにしたガンヘッドは最終決戦前彼にこうお願いした
「最後に1つだけ、死ぬときはスタンディングモードでお願いします」
変形出来るガンヘッドにとって立った状態であるスタンディングモードで死ぬ事は誇りなのだ、死というものを理解し死に方すら指定する人間臭い相棒にブルックリンは叫ぶ
「You got it baddy!」
遂にエアロボットと対峙した彼らは度胸や兄弟機である508の力を借りて弱点部位を次々と破壊する。だが3つの弱点が残り1つになったときは敵も彼らも満身創痍であった、残った力を振り絞りブルックリンはガンヘッド の主武装であるチェーンガンを、1t以上はあると見られるその鉄の塊を持ち上げ己の肉体の危険など恐れず最後の弱点部位に叩き込む。機械と人間、彼らの友情はとうとうエアロボットの破壊に成功することが出来たのである
そして同時刻カイロン破壊に向かってたニムもその任務を終えた
これで人類は救われた、そう安堵したのも束の間、カイロンが自爆プログラムを作動させた、残り時間はたったの10秒。諦めるしかないと思われたが507が自らの命を投げ捨て自爆を妨害、ブルックリンらは無事に8joから脱出する事が出来た…
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時代は流れ数十年以上が経つ、月明かりに照らされているエンジン音がやかましい輸送機の中に1人の老人が座っていた。若い操縦士が老人に語りかける
「…なるほど、貴方があのカイロンの騒ぎを止めたんですか。信じられないなぁ、僕たちは政府軍によって治められたって習いましたから」
「そりゃそうだろう、人類の危機を救ったのが政府ではなく探検家と軍人とガキ2人に野球好きなロボット1輌だなんて誰も信じやしないさ」
「でもお話を聞かせてもらった限り貴方が嘘を付いてるとは到底思えません、どうです?私こう見えても副業でルポライターをやってるんですよ、記事にさせて頂きませんかねぇ、勿論その分のお代は払いますんで」
「好きにしな、だがよ、そんなの書いたらお前が頭がおかしいと思われるだけだぞ」
操縦士はため息を吐き操縦桿を傾ける
「しかしなんだってこんな所に行くんですか?“8jo”だなんて…」
「俺はよ、そろそろお迎えが来るんだ」
老人は1週間前街中で突如倒れたところを医者に見てもらったところ末期癌が見つかったのである、余命は僅か1か月だ。座席にもたれながら老人はケースから取り出して何かを咥えながら話を続ける
「あの戦いの後別に変わった事だなんて一つもありゃしなかった。誰からも知られなかったし話す相手もいなかったから当然だわな。だが不幸な人生だったと言う訳じゃない、程々には楽しい人生だったとは思う…でもよ最期ぐらいは思い出に浸かりたいんだ、人生で最も派手なパーティをしたあの場所で思い出に包まれながら幕を降したいんだ」
操縦士は何も言わない。下手な言葉をかけ同情したり励ましたりなんかしたらこの老人に対して失礼だと思ったからだ
輸送機はいよいよ着陸体制になった。揺れが一層激しくなり老人の体には酷なものである。
「兄ちゃんよ、この機体、垂直離着陸輸送機なんだよな」
「ええそうですよ、だからこんなボロボロな島でも着陸出来るわけです。それが何か?」
「いや…あの時もこんな機体だったからな。ノスタルジーを感じてたんだよ」
車輪が地面に着きガコン、と機体が激しく揺れる。と同時にエンジンの音が静かになり辺り一面が静けさに包まれる、老人は立ち上がり腰を外らせる。長時間座ってたせいで骨がパキポキと鳴る。ドアの方に行くと操縦士が既に開けてくれており老人を待っていた
「着きましたよ、かつて機械が支配してた島、8joに…ところで先ほどから口に咥えてるそれは?」
「あぁ、こいつはな生の人参だ」
「人参?」
「俺が世話になってた人の真似さ、いつまで経ってもガキ臭さが抜けねぇんだよ」
自嘲しながらそう言うと老人はボリボリと音を鳴らして人参を食べた
「…さてと、若いの。ここまで世話になったな、死に行く老いぼれの話を黙って聞いてくれてありがとよ。もう二度と会うことはないが…そうだ」
老人はズボンのポケットから財布を取り出して操縦士の手に握らせる
「そんな、頂けませんよ!こんなの!」
「いいんだよ、どうせ俺にはいらないもんなんだ。これで旨いものでも食ってくれや」
「しかし…」
「いいから」
老人は操縦士の手を強引に固く握らせポケットにしまわせた、そうなると操縦士も困り果て仕方がないので受け取ることにした。
「じゃあ俺、こっから先は1人でいくからよ。ここまで送ってくれてありがとうな」
そう言うと背を向け森の中へと入っていった。操縦士はこの老人に敬意を覚え自然に敬礼をしていた、老人が見えなくなるまでずっと、瞬きもせず
「安らかな死を、かつての英雄…いや、“ブルックリン”さん」
崩壊しきったカイロンドームの中を森の中で拾った枝を杖代わりにし懐中電灯を頼りに進んでいく、一歩一歩踏み込むたびかつての思い出が蘇ってくる。しばらく歩くと座るのに適した鉄骨を見つけ腰掛ける。やはりただでさえ歩くのが辛い体にこんな悪路を進ませると言うのは苦行と言うものか、と座りながらブルックリンは思う。ふと思い出しバックを漁り を取り出す
「バンチョー…俺、いつの間にかあんたより歳とっちまったよ」
ジッと見たそれはバンチョー、彼がかつて世話になってた人の形見であり彼はそれを被って戦いに挑んだ。バンチョーが、Bバンカーのみんなが力を貸してくれる、そんな気がして。
おもむろにそれを被ってみると懐かしさのあまり体が震える。こう言う心から溢れ出る感情を求めて今日彼はここにやってきたのだ。不思議とこの震えは彼の体にほんの少しばかりの精機を与えてくれる、まるでまだ命の蝋燭を消させまいとでも言ってるようである
鉄骨から腰を上げてブルックリンは再び奥へと進む、と言っても明確に目的地があるわけじゃない。ただ命のある限り歩き続けるだけが目的だからだ
杖代わりの枝だけを頼りにしどんどん奥へと進んでいく、第三者から見れば崩壊しきった廃虚でそこらへんに鉄骨が乱雑してて廃墟として何も楽しむ要素がないと思うかもしれないが彼にとってはそこに存在する無数の鉄骨や油の匂いが彼がここで戦った証であり思い出のピースでもあるのだ。
しかし、道というのはいつか終わりが訪れるものである
「ん…?行き止まりか、こっから先に行くにはエレベーターを使わなきゃならなかった筈だけど、んなものとっくに無いだろうしはてどうしたものか…」
暫く辺りを懐中電灯で照らし上に行く手段がないか探してると階段らしきものがポォっと浮かんできた、ブルックリンはそれに近づきながら
「あれか、壊れかけで危ないが…どうせ死ぬんだ、関係ねぇや」
と言い階段に足をかけた瞬間後ろから凄まじい轟音が聞こえた
「何だ何だ…!?」
振り向くと土埃が舞っており状況が判断できない、明けるまで暫く待つこと数十秒ようやく分かった
「何か鉄の塊が落ちてきたんだな…脅かせやがって」
悪態を吐きながら塊をジッとみる、数mぐらいの大きいもので色は灰色である。これだけなら天井の板でも外れたのか、と思うが何処かが引っかかる。もっと注意深く見ると塊の先っぽに何やらトングのようなものが3本付いてるのが見えた。その時ブルックリンの頭の中に稲妻が落ちた
「…ま、まさかコレ…嘘だよな?」
目を擦りもう一度見る
「やっぱりそうだ…これはお前の腕か!“ガンヘッド” !」
突然の戦友の残骸に思わず涙を流す、ほんの少しの出会いだったが何十年間も彼の心に居続けた戦友が目の前に、現実にいるのだ
「しかしよくこんな所まで来たもんだ、カイロンの自爆ってそんな凄かったのかよ…」
愛おしそうに戦友を撫でながらここが俺の死に場所だ、最高じゃないか。と考えてたその時、頭が猛烈に痛くなった。何も考えられないほど痛く呼吸すらままならない、尋常ではない心臓の鼓動が耳の奥に聞こえる
足の力がなくなりブルックリンの体は重力に従い後ろに傾いていく、意識が段々と薄れていく
(あぁ…これが死ってやつか、いきなり来るんだな…でもいいタイミングだったぜ。神様って奴は最期の時だけ気を利かせてくれるんだな…)
そしてそれを最後に彼の意識は無くなった…
____小鳥のさえずりが聞こえる、眩しい…日の光だろうか?しかし俺は死んだはず、そうか、ここが天国なのか。てっきり俺は地獄に行くもんだと思ってたぜ…しかし天国って場所は塩くさいんだな海が近いのか?おまけに何かブロロロって音が聞こえたぞ、まるで何かのエンジン音の様な…
ん?エンジン音!?全然分からん…!とにかく目を覚さなくては…!
目を勢いよく開くと光が容赦なく入ってくる、眩しくて何も見えない。
その内ジワジワと断片的に見えるようになってきた
青い…これは空か…?
そして完全に見えるようになり彼はひとまずの状況を把握できた
結論から言えばどうやら彼がいる場所は天国ではない
と言うのも意識が覚醒した瞬間に体の重みを感じ体を起こして地面を見るとどうやらここは歩道らしい、キチンとと整備されている。左右を見ると住宅に道路と明らかに現世の物にしか見えないと判断したこと、そして何よりも
上を見上げた時ガードミラーに移った人物に激しく既視感があったからだ
「…まさか、まさか、まさか…!この顔は“高校時代“の俺!?」
そう、ガンヘッドのパイロットことブルックリンは何と高校生に若返るだけでなく得体の知れない場所にワープしてしまったのだ
…転生ってムズイですね、何分この手の分野は初めてなものでして…まだまだ修行じゃな。次回からはいよいよガルパンキャラが絡んできかすのでお楽しみに
それではここまでのご視聴ありがとうございました!