ではお待たせしました、本編をお楽しみください!
「…やっぱうめぇわ」
食堂にてブルックリンはカレーを食べていた、その味は彼が慣れしたんだのと同じであった。やはりこの世界、少なくとも彼がいる場所は間違いなく日本であるのだ
ふと窓に目をやるとそこには一面海が広がっていた
「オーシャンビューの食堂、贅沢ってもんじゃないよな。こんな学校俺の世界にゃ無かったぞ…」
カレーも後半戦に差し掛かった頃彼は後ろから声をかけられた
「あれ、その服…先生じゃないですか!ブルックリン先生!」
いきなりその名前で呼ばれたものだから彼は飲んでた水を吹き出しそうになってしまった。背後の座席には見慣れた顔がいた
「西住さんじゃないか、君もここに来ていたんだ」
「はい、でも意外ですね。先生もこう言う場所を使うなんて」
「あぁ…その西住さん、先生ってのはな…」
彼は彼女にも杏に話したように自分自身の事を話そうと思った。と言うのもここに入学するのでいつまでも教師として偽るのは無理がある上彼女とクラスメートとなる事もあり得るのだ、もしそうなった場合説明は早い事して置かないと面倒な事になってしまうからだ
「俺実はさ…」
「あれ、みほ知り合い?」
「随分親しげに話されてますが…」
ブルックリンが話そうとした瞬間二人の少女が話す
どうやらみほの知り合いらしい、彼女らはブルックリンを不思議そうな目で見ている。当然だろう、何度も話すがここは女子校だ。ここに男性がいる事が不可解な事であるのだ
「取り敢えずそっちに座っていいか?」
人数は増えたがここで説明しなければ怪しまれたちまち人を呼ばれてしまうだろう。
息を短く吸い席を立ちみほ達が座ってる席へと移動する、彼はみほの隣に座った。
「始めまして俺はブルックリンだ」
「化学の先生なんですよね!」
「いや…俺は教師じゃないんだ」
「え…?」
彼は本日二度目の説明をした
「ブルックリンさん、その話本当なんですか?」
「…とても信じられない話ですね」
「変形ロボットってアニメの世界みたい…」
「信じられないのも無理はない、だけど本当のことなんだ」
「ですが不思議です、貴方の内容はとても現実的では無いのに嘘を言ってるようには見えないのです」
「…そりゃまた何故だ?」
「上手く申し上げにくいのですが貴方が話してる時の雰囲気や目などが嘘をついてる様には見えませんでした」
「確かにそう見えたかも、友達について話してる時とか真剣そのものでしたもんね」
「ねー、嘘だったらあんな目は出来ないもの」
「それに女子校に侵入して『俺は別世界から来たんだ』って嘘を言いふらしても何ら得が無いですもの、気が触れた人ならやりかねませんが貴方はそうは見えませんしね」
「…じゃあ俺が別世界から来たってこと信じれくれると言うのかい?」
「そうですね、余りにもSF染みた現象ですが…信じたいと思います」
「私もブルックリンさんのこと信じます、同じ新入生同士仲良くしましょうね」
「これから宜しくね、ブルックリン」
「あんたら…いいやつだだよな、こんな見ず知らずの男を信頼してくれるなんてよ。こちらこそ宜しく頼む、西住さん…え〜と」
ブルックリンは二人の方をチラリと見ると彼女達は自己紹介をしてくれた、長髪の彼女の名前は「五十鈴華」で茶髪の彼女の名は「武部沙織」とのことだ
「それじゃ改めて、西住さん、五十鈴さん、武部さん、宜しく頼む!」
「そう言えばブルックリンさん、先程の話の衝撃が強すぎて聞き忘れていましたが肝心のここに入学したのはどうしてなんですか?」
「それそれ!いくら別世界に来たと言えどうして女子校に入る事になったの?」
「あぁ…そいつはな」
そう言いかけた瞬間、天井から鐘の音が聞こえた
「あ!もうそろそろ授業じゃん!華、みほ戻ろ!」
「あらもうそんな時間でしたか」
「ブルックリンさんはこの後どうするんですか?」
「ん〜俺は授業とかは明日からだからこの後は図書室に行ってこの世界について調べるって感じかな」
「場所とかって分かりますか?」
「まぁ何とかなるさ、時間は腐るほどあるからな。さあさあ、あんたら授業なんだろ?行った行った」
みほ達は残り半分のカレーに手をつけるブルックリンを心配そうな目で見ながら帰るのであった
カレーを食べ終え食器を返すついでに食堂のおばちゃんに図書室の場所を聞いたおかげで図書室には難なく到着出来た。中は思ってた以上に広く様々な種類の本が所狭しに並んでいる、これならこの世界を知るのに十分な資料を読めるだろう。
(しかしここもオーシャンビューかよ、本当ここ海に近いんだな。いつか泳ぎにでも行くか)
そう思いながらブルックリンは取り敢えず日本史の本を選び椅子に腰掛けた、まずは日本史を読んでみたのだがこれが実に驚きでwwIIまでの歴史は彼がいた世界と同じだったのだ。
(wwII以降は全然違うな…当たり前だがカイロンなんか居ないし連邦政府なんかに支配されちゃいねぇ、ここから注意深く読んでみるか)
ページを更にめくると1枚の写真が目に止まった、それは巨大な空母の上に町が乗っかてる…いや存在している奇妙なものだった
(なんだこれ!?俺の世界にゃこんなの無かったぞ…!“学園艦”だと?この世界どうなってるんだ…)
ふと彼の頭の中でこれまでの海の景色が学園艦と言うワードと結びついた。もしや、と思い学園艦に関する本を見つけ索引から「お」の字を見つけようと目を走らせる
(…あった!「大洗女子学園」!てことは俺は今海の上にいるってことか…!やはりとんでもない世界に来ちまったぜガンヘッド )
そして彼は次に戦車道に関する本を手に取り読み始めた。そこには戦車道の歴史や試合形式だけでなく学校別で評価なども書かれていた
(なになに、戦車道で強い高校は“黒森峰”と“プラウダ高校”か…特にこの黒森峰は9年間全国大会で優勝してるのか。全国大会なんてあんのか…そりゃまぁ剣道とか柔道とかにはあるから可笑しくはないか、だがこの学校ドイツとソ連がモチーフらしいが変わった学校だなぁ、いずれはここと戦うことになるんだろうか。そう言えば俺の大洗はっと…)
だがいくらページを探しても彼が望むのは出てこなかった、つまりそれは大洗女子学園は本に載るほど有名では無いと言う事だ。本を閉じてブルックリンは目を瞑り考える
(しかし改めて考えると疑問だ、何故杏は俺を戦車道に参加させたかったんだ?男である俺を無理矢理入れてまで戦車道をしなきゃならない事情でもあるのか…?
いや今考えてもしょうがないか、それに事情がどうであれ拒否権なんてないしな)
そんなことを思ってると飢餓からの解放感に暖かな光が刺す図書室が彼を徐々に睡眠の世界へと誘っていた
(やばい…寝みぃ…でもこんな所で寝ちゃダメだ…)
しかし抵抗虚しく彼の意識はそこで途絶えた
彼が目を覚ましたのはもう夕方に差し掛かっていた午後3時30分だった。調べることもあらかた調べ終わりブルックリンは寮へと向かおうと思った、積み上げてた本を元の位置に戻し図書室を出る。図書室の外は冷房が効いてた内側とは違いほんの少し暑かった。じわりと出てくる汗を感じ彼は寮へ着いたらまずシャワーを浴びようと思った。
校門を出て振り返ると改めてその校舎の大きさに息を呑んだ、そして明日からこんな大きな場所に通うのかと言う不安に近い感覚と何十年ぶりのハイスクールライフに期待する、そんな複雑な心境が入り混じりながら彼は地図を頼りに寮へと向かう、道に迷うこともなく数十分歩けば目的地にたどり着くことが出来た。外見は至って普通のマンションだ、エントランスに入り服のポケットから鍵を出しオートロックを開ける。階段を上り2階へと進んでいく、そして数十歩歩けば彼の新たな住まいの入り口が見える
「…ここが207号室か、中はどうなってるんだ?場合によっちゃ家具とかを仕入れなきゃいけなくなるもんな、でもそうなったら金とかはどうするんだ…?」
しかしその心配は杞憂であるとすぐに分かる、鍵を回し勢いよくドアを開けるとすぐそこにベッドが見えたからだ
「お、ベッドがあんじゃねぇか!それに机とかもある!家具付きの寮とはまたまた運がついてるなぁ俺」
辺りを見回すとタンスもあり中身を確認するとバスタオルが1枚あった、早速彼はそれを手に取り洗面所へと行くとそこには鏡があった。改めて自身を確認すると若返っていた。だが服装は黒いジャケットは穴だらけ、ズボンは裾が綻び靴も泥だらけで爪先の部分に穴が空いてる始末だった
「服とか靴もいずれ買わないとな、だがそれも勿論金がかかるし…バイトでもするか?」
そう考えて風呂へと入る、勿論石鹸の類は無いが今の彼にとっては暖かいお湯を浴びれるだけでも十分な贅沢なのだ。
5分程度してシャワーが終わり体を拭きながらキッチンへと向かう、蛇口を捻りコップがないので自分の手を使って水を飲む。冷たい水が身体中に染み込んでくる
飲み終えると彼は安堵のため息を漏らすのであった
「ップッハー!一時はどうなるかと思ったがこれで一先ずは安心できたなぁ、戦車を動かす女子高生に町が乗っかってる船とおかしな世界だがそいつのおかげで助かったわけだ。これほど軍に入ってて良かったと思った日は無いぜ…」
風呂場でついでに洗ったシャツをベランダにある物干し竿に適当に乗っけてパンイチでベットへと倒れ込む。
「さ〜てと、確か夜ポストに学校の資料とか届くんだよな。それまですることもねぇし何も出来ないからもう一眠りするか!」
ふと寝る前に考え込んでしまう、戦車道って乙女の嗜みとは言われてるが果たして選ぶ人物が居るんだろうか。いくら乙女の嗜みだからって別なのもあるのだ、その中には花道や茶道もある、それらの方が人気が出そうな気がしてしょうがない。下手をすれば自分とあと2、3にばかりだけ…そんな事態もあり得なくはない、もしそうなれば自分はどうなるのだろうか。
(まぁ後は神のみぞ知るって奴だな、そんときゃそん時でまた別の食い扶持を探すか)
そしてそこで再び彼の意識は途絶えた
外を走ってる車のクラクション音で目を覚ます、壁時計を見ると時刻は午後7時であった。人間と言うのは現金なもので夜と分かった瞬間ブルックリンの腹の虫が鳴り響いた
「腹減ったなぁ…と言っても食えるものと言ったら水しかねぇけどな」
そう言いながら大きなあくびをすると寝ぼけた脳が覚醒した
「あ、そうだ。ポスト見に行かなきゃ」
ベランダに行きシャツを手に取る、まだ若干湿っていたが我慢出来ない程ではない。早速着替えてエントランスへと向かう。ポストを開けるとそこには分厚い封筒が入っていた
「なんだこのデカさ…俺資料って言うからもっとペラペラだと思ったんだが」
部屋に持ち運び中身をひっくり返すとクラス表や食券の束、町内、学校の地図があった。他にも様々な資料があったのだが中でも目を引いたのが分厚い白い封筒である、期待を込めて開封すると中身は現金であった
「現生か…凄いなこりゃ10万はあるぞ、助かるけど貰っていいものなのか?」
封筒には折り畳まれた紙も入っており中身を開いてみると
ブルックリン君へ
これはささやかな入学祝いだ、無一文じゃ辛いだろうしね
…ん?このお金はどうしたかって?そりゃまぁ生徒会にゃ裏金庫っての
があるんだよ…
まぁ細かいことは気にせず使ってちょーだいな
杏
と書かれてあった。ブルックリンは読みながら苦笑するもここまで自分に優してくれる杏に多大なる恩義を感じていた
「この恩は戦車道で返さねぇとな、しっかりと」
と決意した瞬間腹の音が再び盛大に鳴った
「取り敢えず飯だな…確か近くにコンビニがあったはず、そこで弁当でも買うか。あ、ついでに日用品も揃えるとしようか」
早速彼は諭吉を握りしめコンビニへいそいそと向かうのであった。
✳︎
「買い過ぎたな…これは」
30分くらいコンビニに立て篭って吟味した結果、レジ袋を両手で持つことになった。家に戻り鍵を開け様としたがふと隣の部屋の表札が目に入った
「西住って、みほの部屋か!こりゃいいや、知り合いが隣にいるだけでも随分ありがたいもんだ」
ちょうど今弁当買ったから願わくば一緒にご飯でも食べようかと思いインターフォンを押す、電子音が鳴り数秒後
「…はい」
と力が無い返事が返ってきた。
「やぁ、西住さん。俺だよ、ブルックリン」
「ブルックリン…さんですか?」
「そう、隣に越してきたから挨拶にでもと思ってね」
「少し…待ってください」
ペタペタと弱々しい足音がドア越しに聞こえる、朝出会った時の元気はつらつだった彼女とは到底思えなかった、何か分からないが彼は胸騒ぎを覚えた
ガチャ、とドアが開けられみほの姿が見えた。その姿は妙に縮こまっていて顔も暗かった、一目で彼女の身に何かが起きたことを察した。だが彼には彼女が何で落ち込んでいるまでは分からんかった
「やぁ西住さん…その顔どうしたんだ?」
「ブルックリンさん…ブルックリンさん…!」
みほの名前を読んだ瞬間彼女の頬から水が垂れ玄関の明かりに反射する。
「西住さん、何があったんだ?昼間はあんな元気だったのに」
しかし尋ねても彼女は嗚咽を漏らすだけだった。
「取り敢えずお邪魔してもいいかな…?」
自分自身でもとんでもない発言をしてるのは理解している、だがこのまま帰るのも胸糞が悪い、しっかりと理由を聞いて自分に出来ることがあればそれ上げたい。何故なら彼女は知り合ったばかりとは言えこの世界で数少ない知り合いの一人なのだから
✳︎
部屋に入り二人は食卓へ向かい合う様にして座った。
まだ涙を流すみほにブルックリンは先程購入したポケットティッシュの中身を取り出し渡す。涙を拭き終えるのを見て彼は改めて訪ねた
「西住さん、一体何があったんだ?」
「…戦車道」
「戦車道…!?まさか西住さん…あんた…!」
「私、戦車道を取らなくちゃいけなくなったんです…」
驚いた、まさか彼女が戦車道を取るとは。人は見かけで判断してはいけないと思いつつも明るいが少しおしとやかな所がある彼女がそれを選択するとは余りにも意外であった。だが彼女の発言には引っかかる部分があった
「取らなくちゃ“いけなく”なった、でどう言うことだい?自分の意思で選んだと言うわけじゃないってことか?」
「はい…強制的に選ばされたんです、私は…私は…戦車道から逃げたくてここまで来たのに…!!」
「落ち着け西住さん、ゆっくりで良いから何が起こったか教えてくれるか?」
そう言いながら彼はもう一枚ティッシュを渡す、気持ちを落ち着かせようとレジ袋からペットボトルのお茶も渡す。彼女は涙を拭き終わると辿々しい手でペットボトルの蓋を開けてゆっくりと飲む。ふ〜っと言う息を吐くのが聞こえ声をかける
「どうだ?少しは落ち着いたか?」
彼女はこくんと頷く、そして息を吸うと話し始めた
「私…実は西住流って言う戦車道の有名な家出身で…昔からずっと戦車道一筋で生きてきたんです。でもさっきも言いましたが私、戦車道から逃げたくてこの学校に入ってきたんです…でも実際はこの学校にも戦車道はあったんです。いいえ、正確に言えば復活したと言う表現が正しいです」
彼はみほが逃げ出した理由が何らかのトラウマを負ったからと言うのが何処と無く察する事ができた。何故なら彼自身もトラウマを追って逃げ出した経験があるからだ、だから彼にはトラウマをほじくり返される怖さがよく分かる。故に彼は彼女が逃げ出した理由を聞かなかった。
「復活、か。それで強制的に選ばれたって言ってたがどう言う意味なんだ?」
「はい、昼休みに生徒会長さんが私のクラスに来て…」
「杏が!?」
「えぇ、それで『必修選択科目は戦車道にしてくれ』って言われて…私気分が悪くなって保健室に行ったんです」
「大丈夫か…いや大丈夫ないからこうなってるんだよな…ん?杏に言われたことは友達には言ったのか?」
「はい、保健室に行く時華さんと沙織さんに付き添って貰えたんです。そこで無理しなくていいって、もし生徒会長に断りを入れるなら付き添ってくれるって言われて私安心したんです…でも…でも…!」
再びみほは泣き出してしまう、どうやらこの涙にはあの2人が原因だとブルックリンは判断する
「その後何かあったんだな?あの2人になんか言われたのか?」
「放課後戦車道についての説明があったんです、その後2人とも掌返した様に私に戦車道を選択するのを勧めてきて…私せっかく味方が出来たと思ったら裏切られた様な気分になったんです…」
良いところだけ取り上げた宣伝に釣られて選んでしまう人が居るのは世の常だ、彼女らはそうだったのだ。だから悪気はないのだろう、彼はそう考えた
「なぁ西住さんよ。確かにアイツらが裏切った様に見えるのはしょうがないさ、でも本当はアンタを裏切るつもりだなんて微塵もなかったんだと思うよ」
「え…?」
「俺にはさ西住さんがどれほど深いトラウマを追ったか分かるのよ、俺自身そうだったからさ。多少のトラウマじゃ逃避だなんてしやしないさ、逃げ出したくなると言うのはそれ程だってことよ。でもアイツらには恐らくそれが分からなかったんだな、だからアンタを誘ったんだ。悪気があったわけじゃないんだよ」
「そうなんです…か…なら、良かった…!2人は初めてここで知り合った友達…いや生まれて初めての友達なんです。その2人に裏切られたと思うと私耐えられなくて…!」
みほはブルックリンの前にも関わらず大きな声で泣き出した。辛かったのだろう、誰にも頼れることも出来ず戦車道から逃げたと思ったら逃げた先にも戦車道が待ち受けていたのだ。おまけに初めて出来た友達から裏切りとしか思えない言葉を浴びせられ彼女のメンタルはボロボロである。
だから彼女はドア越しにブルックリンに会った時安堵して涙を流したのだ。彼女にとっては彼が唯一の裏切られていない知り合いなのだから
✴︎
ブルックリンはただじっと泣く姿を眺めていた、黙って泣きたいだけ泣くのを見守ることが自分にできる最善の方法だと思ったからだ
暫くして落ち着いてくると彼女はこんなことを聞いてきた
「…ねぇブルックリンさん、ブルックリンさんもトラウマから逃げたって仰いましたよね?ブルックリンさんは、トラウマから逃げるのっていけない事だと思いますか…?」
「ん〜、“時と場合による”だな」
「それじゃあブルックリンさんは逃げ出したけど立ち向かったんですか?」
「…あぁそうさ、俺はコクピット恐怖症だったんだ。そんな時俺はガンヘッドに乗らなくちゃいけなくなった、でもその場にいた中で操縦出来るのは俺だけだった。俺がやらなきゃこの場にいる全員も人類もみな死んじまうって分かると逃げるだなんて言ってもいられなくなったんだ。だから立ち向かってガンヘッドのコクピットへと乗り込んで戦った…その結果はまぁ話した通りだな」
「それじゃあブルックリンさん、貴方はトラウマには立ち向かって行かなきゃいけないと思いますか?」
「さっきも言ったろ?“時と場合による”ってさ。確かにトラウマに立ち向かわなきゃいけない時は逃げちゃいけない、だがそんな時はごく稀だ。西住さんは今はその時じゃ無いと思う、逃げる事は恥なんかじゃ無いさ。だからそう自分を責めないでくれ」
「…ありがとうございますブルックリンさん」
そう言うと彼女は1枚の紙を取り出した。それはブルックリンも記入した必修選択科目の用紙である、彼女は意を決したようにスゥッと息を吸い「香道」と書かれた場所の横に丸をつけた
「私はやっぱり戦車道をやりたくないんです、その一心でここまで来たんですから。だから私、逃げるために生徒会に立ち向かいます。…おかしな話ですけどね」
みほはクスリと笑いながら言った、その顔は初めてあった時と同じ弾ける様な笑顔であった。
「よし、その意気だ、頑張れよ。もし明日生徒会に行くなら俺がついて行くよ」
その時彼の腹の虫がみたたび鳴った。照れ臭く頭を掻く、彼女がその光景を笑っていると彼女もまた腹の虫が鳴った。一瞬2人は見つめ合いドッと大笑いした
「飯でも食べようぜ、俺弁当買ってきたからさ」
「いいですね、じゃあ私インスタントの味噌汁があるのでお湯沸かしてきますね」
その晩彼らは楽しく食事を共にした。転移してから初日、こんな風にご飯にありつけるとはブルックリンには予想が出来なかった。だが友となった人物と食事を共にする幸せは確かに現在そこに存在してる。彼はこの当たり前の光景を噛みしめながらご飯を頬張るのであった。
食事を食べ終わった頃にはもう9時となっていた。そろそろ自室へと戻り寝支度を整えるべきだとブルックリンは思った、そろそろ帰ると言い出した彼にもうちょっとゆっくりしても良いんですよと言う彼女に今日はもう疲れてるからアンタも早く寝たほうがいいと言って玄関まで来た。靴を履き振り返る
「じゃあな西住さん」
「うん、じゃあねブルックリンさん」
「…あ、そうだ。帰る前に一つだけ」
「?」
「俺のことはさん付けしなくていいからな、それにもうちょい砕けた話し方でいいからな。…だって俺ら明日からクラスメートになるんだからさ」
「…!はい!ブルックリンさん!」
彼は思わずこけそうになる
「さん付けしなくていいっちゅーの!」
「あ、ごめんなさい。つい癖で…」
「丁寧語も使わなくてもいいんだって…」
「本当ごめんなさ…いえ、ごめん」
「うんうん、それでいいんだよ。改めてじゃあな西住さん」
ドアを開けて外へと出ようとする、だが待って、と声をかけられる
「…ブルックリンさん、ブルックリンさんも私のことを西住さん、じゃなくて“みほ”って呼んでくれて…いいからね?」
女性の下の名を読む、顔が熱くなってくのを覚えたがせっかく彼女がそれで呼んでくれと頼んでいるのだそれを無下にする事は残酷な事である。そう思い勇気を出して声を捻り出した
「じゃ…じゃあな。み…みほ!」
そう言うと彼女の顔がパアッと見る見るうちに明るくなった。
「うん!じゃあね!」
ドアがパタンと閉じられる、彼は自分の顔が今猛烈に赤くなってる事を体温で自覚した。
「こりゃ…ちょっと涼んだ方が良さそうだな…」
彼は部屋に入る事なくその日は夜中まで近所の公園でぼーっと過ごすのであった。
う〜んキャラの動かし方って難しい…早く慣れなきゃ(使命感)