今日も平和だ。
だからこそ、こうやってベットの上でゆっくりと寝ていられるのだ。
いつものように、歩夢や侑が突撃してきては、無理やり起こしてくることもない。
だから、ゆっくりと寝れると思っていたのだが…目を開けたら、視界に映ったのは、見た事があるような物が映ってきたのだ。
その何かに恐る恐る手を差し出し、手とそれが触れた瞬間、手にとてもじゃない柔らかな感触がやってきたのである。そして、同時に
「…蒼君…そこは…辞めてぇ…」
といやらしい歩夢の声が聞こえてきたのだ。なんで、歩夢がいるのかが疑問だが…
歩夢が、僕の手を退かそうとして、寝返りをしようとすると、手に触れていたものが上下に弾む。
つまり、さっきまで触れていたのは、歩夢の胸だとその時に分かった。
「歩夢!?」
布団を思わず、蹴り飛ばし、身体を起こして、歩夢の方を見ると、確かにそこには歩夢がいて、パジャマ姿で寝ていて、胸元のボタンは外れていて、ブラが見えてしまっていた。
「…蒼君…布団…かけてぇ…」
歩夢がそう言ってきたので、蹴り飛ばした布団を取って、歩夢の上にかけてあげる。
そして、布団をかけるとすぐさまに布団を抱え込んで
「蒼君の匂い…」
と独り言を言って、寝ているのに、顔の表情が明るくなった。
「いや…布団だけでそんな表情するのかよ」
普段の歩夢は、恥ずかしながらも『大丈夫?おっぴい揉む?」とか言ってきては、そのまま抱きしめてきては、その自慢の胸で殺しにかかってる歩夢なのだが…意外と…いや、その時点でかなりあれか…
「さて…どうするか…」
一瞬、侑に助けを求めるかと思ったが、侑の事だからこのチャンスを生かして、僕の事を襲ってきそうだがら、この案は、真っ先に没だ。
「仕方ない…」
結局、僕が歩夢を起こすことにした。
そして、歩夢の肩を叩いて
「歩夢~起きて~」
と歩夢に聞こえるように言った。
そしたら、布団の中から急に手が伸びてきて、僕の顔を捕まえたかと思ったら、そのまま自慢の胸に抱え込んだ。
「蒼君…抱きしめてあげるよ~」
「むぐぅ!!」
本当は起きてるんじゃないのか!!
じゃなかった、ここまで咄嗟に行動なんて取らないはず。
しかし、僕がどんだけ暴れても、歩夢のシールドは思ったよりも固く、解除できなかった。
それに、暴れていて、胸に埋もれている事によって、酸素が無くなっていく。
「蒼君~そんなに暴れちゃダメだよ~」
歩夢は、暴れる僕をなんとかしようと、足で動けないように、僕を固定しようとしてきた。
こうなると、ますます状況が悪くなってくる。
ここまでくると、侑に助けを求めるか…
いや、助けを呼ぼうにもスマホも無ければ声も出せない…
こうなると、歩夢が目を覚ますのが先か僕が落ちるのが先か…
そんな事を考えていると、
「…蒼君…どこぉ~?」
歩夢が起きて、そんな事を言った。
今回は、なんとか耐えきった
そう思ったのだが
「なんで?蒼君、私の胸に埋もれてるの?もしかして、もっと胸に埋もれたいのかな?」
と言って、さっきよりもギュっと力を入れてきて、完全に息が出来なくなってしまった。
あっ…これはだめだと思ったのと同時に視界が真っ暗に染まった。
歩夢の声も聞こえてきたが…なんと言ってたのかまでははっきりとは覚えてない…
ここの歩夢さんは、寝ていても蒼君の居場所が分かるというとんでもない女の子なのです。