・初投稿
・独自解釈・妄想アリ
・地雷の危険性。注意されたし。
・別サイトから転載
ー冬木協会前ー
ランサー「っ……きさま、何者だ!」
アサシン?「お前が最後か、ランサー。よもやセイバーに競り勝つとはな。」
アサシンと思わしきその者は、戦いに明け暮れたランサーの前に突如として現れたのだった。
ランサー「アサシンは既に脱落したはず。ならばきさまは!」
アサシン?「名も無き残像。ただの思念だ。しかし、この『ガワ』は実に心地よい。」
ランサー「性根の悪い亡霊か…!」
アサシン?「それはお前たちサーヴァントも同じだろう。英雄などと言うが、所詮は偽り。真実を見失った亡霊に過ぎぬ。」
アサシン?「故に、私の謀略にまんまと嵌った。魂を揺さぶられ、正気を保てる霊体はおらぬ。」
アサシンと思わしきその者は淡々と話す。
サーヴァントを嘲る内容ではあるが、その言葉から蔑みを感じることはない。
アサシン?「だがランサー、お前だけは例外であった。最後の最後まで主への忠義を貫き通した。」
ランサー「……なるほど、セイバーが全力を出せなかったのは、マスターとの接続が薄れていたからか。」
アサシン?「然り。しかし、お前を殺す。そして大聖杯の完全な覚醒を以て世界を救済する。」
ランサー(まずい…、セイバーとの戦いの傷は未だ癒えず。このままではヤツに…)
アサシン?「……」
フッ、と空気の動く音と共に、その者が姿を消す。
ランサー(、消えた!)
アサシン?「死ね。」
ランサー(背後をとられた……不覚!!)
アサシン?「……何?」
しかしその者の刃は届かなかった。刃と槍兵の間には、水銀が煌めく。。
ランサー「っ……これは……!」
ケイネス「何をしているランサー。見事セイバーをねじ伏せた貴様なのだ、この程度の雑兵に遅れを取ってはならん!!」
ランサー「主!」
アサシン?「ガア!!お前の魔術かっ!!!」
ケイネス「ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが令呪を持って命じる。ランサー、最後の敵を叩き斬れ!」
ランサーの体に活力がみなぎる。連戦の傷が癒える。今なら、今ならば!
ランサー「おお、おおおお!!我が主よ!此度の戦、最後の槍術とこの忠義を、あなたに捧げます!」
アサシン?「ええい……小癪な!」
ランサー「穿て、抉れ……」
ランサー「破魔の紅薔薇、必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ、ゲイ・ジャルグ)!!」
亡霊と思わしきその者に、宝具に秘める特殊な能力はもはや必要なかった。
ただ穿つのみ、ただ抉るのみ。2双の槍はそのためだけにふるわれた。
アサシン?「ガアアアアアッ!!!!」
アサシン?「忠義、そのような、戯言を!!!」
ランサーはその者を確実に殺さんと力を込める。
そう、彼こそは……
ランサー「冥土の土産に聞いておけ!我が名はディルムッド。フィオナ騎士団の一番槍なり!」
アサシン?「おのれ、おのれえええええええええ!!!!!」
……
ランサー「……我が主よ。使命を、果たしました。」
ケイネス「よくやった、ディルムッド・オディナ。確かにこの目で見届けたぞ。」
ランサー「……私は、貴方とうまくいかないことがあり、苦しい思いもしました、しかし、それでも貴方を主として信じた!」
ケイネス「ああ、すまなかった。今までお前のことを信じきれていなかった。だが、お前の忠義は本物だった。」
ケイネス「マスターとしてお前と戦えたこと、誇りに思う。大儀であった。」
ランサー「ああ、あああ!我が主よ!」
ケイネス「こちらに来なさい、最も親愛なる我が騎士よ。もし私の不信を赦してくれるなら、この抱擁(ほうよう)に応じてほしい。」
魔術師は忠義の騎士に両手を差し出す。
ランサー「ああ……もちろんです!主、主!」
忠義の騎士が抱擁に応じる。生前果たされなかったその願いが、ようやく果たされたのだった。
ケイネス「ありがとう、ランサー。」
ランサー「私は、あなたにお使えできて本当に…!!」
ケイネス「ランサー、是非お前のその忠義を……」
「あの世のマスターに伝えてやれ。」
ランサー「え。」
その瞬間、私の体を異物が抉った。
剣でもなく、槍でもなく、
獣の爪であった。
ランサー「あ、が……!?」
主の顔を見る。
しかし、抱擁していたはずの我が主は、禍々しい獣の姿をしていた。
ランサー「お、まえはだれ……だ!」
???「名乗る必要はない、名乗る名もない。」
???「何も分からぬまま死にゆく事は辛かろう。真実を教えよう。」
???「お前のマスターは私によって殺された。そして令呪を貰い受けた。」
???「あの程度の演出でここまで騙せるとは想定外ではあったが……」
???「……ふふ、傑作であったな。お前が最後に全力で忠義を示し、涙を流した相手は、お前の主人を殺していたのだから。」
ランサー「そん、な、いやだ、いやだ!俺は、俺は!!」
馬鹿な。ありえない、そんなこと。
私の忠義が。
意味が無い。意味が無い。
???「案ずるな。その忠義のおかげで我が野望を果たせる。ありがとう、ランサー。」
ランサー「いやだ、いやだ、いやだ!!!主、あ、あ、あああああ!!!!」
…………
「……なかなかに惨いことをするのですね。」
???「ははは、つい興にのってしまった。やはり人類はおもしろい。あそこまで人を信頼できるのだからな。」
「貴方の能力にも驚かされますが……これで願いは叶います。サーヴァントは7基、大聖杯に吸い込まれました。」
???「ああ、亡き同胞も喜ぶことだろう。」
「すべてを救う。すべてを守る。そのためにすべてを費やしてきた。」
「そのとおりだとも。全てを守る、それがたとえどれだけ愚かな願いであろうとも。」
「権力者も、奇跡も、神ですらも叶えることのなかった願い。見捨てられた万人の願い。」
???「あのお方ならば、必ずや。」
「ええ、神を超越したあのお方こそ、世界を救うのです。」
「大聖杯、起動………」
…………
月日は20年以上も経った、ある日のこと。
外界と隔絶された幻想郷は、ひとまずの異変を乗り越え久しい安息の日々を過ごしていた……
幻想郷
博霊神社
霊夢「謎の結晶??」
文「らしいですよぉ。」
霊夢「……封結晶ではなくて?」
文「そうなのです!どうやら封結晶と違って三角錐の形をしているらしいんですよね。」
新聞記者はやや興奮気味に伝える。未だ封結晶が完全解明のなってない中、未知の物質が現れたとなれば、スクープを追い求める彼女が動かないはずがなかった。
霊夢「別にそれが誰かに迷惑をかけているわけじゃないんでしょ?なんでわざわざうちに。」
文「あや?霊夢さんは気にならないんですか?」
霊夢「事件が起こったら考えるわよ。」
文「面倒ごとに関わりたくないって顔してます。」
霊夢「お、正解〜。」
文「あやややや…。こうなっては仕方が無いですねぇ。記事にするのは置いておきましょう、が、一応心の隅に留めておいてくださいね。」
文「ではまた〜。」
霊夢「はあ……結晶体ねえ。」
次の日
霊夢「はあ!?なんで昨日のうちに伝えに来なかったの!?」
文「あの後だったんですよー!食い止めるので精一杯でした!」
霊夢「っ、急ぐわよ!」
………
妖怪の森
霊夢「……ひどい。」
まさに凄惨たる事態だった。
木々は乱暴になぎ倒され、大地が抉れている。
そして、つんざく鉄の匂い。
まるで、今しがた終わったばかりの戦場跡のような……
文「これでも善戦したほうです。神奈子様が加勢してくださって、なんとか撤退させたものの……」
烏天狗「文さま!!」
烏天狗「申し上げます、戦える天狗のうち4割が死亡、残り3割が重症です。また、戦えない天狗も10人ほど死亡しています。」
文「4割……」
烏天狗「紅さまも重症を負い、とても戦えるようではありません。」
霊夢「い、いったい誰が攻めてきたのよ!」
烏天狗「ええ、その点含めても話し合いがしたいので、守矢神社にお行きください。神奈子様が待っておられます。」
霊夢「救出作業は大丈夫?」
烏天狗「それは我々にお任せください。力あるものは、前へと。」
文「行きましょう。霊夢さん。」
………
守矢神社
早苗「……」
神奈子「来たか、博麗。」
霊夢「……ええ。聞かせなさい。何があったのか。」
神奈子「最初の邂逅は文、お前だったか?」
文「はい……」
ーーー
昨日、博麗神社を離れた後。
その後の取材もむなしく、彼女は成果を得ず自宅へ戻るところだった。
時刻は夕方を過ぎる。
沈みかけた日は橙の光を放ち、幻想郷を懐かしさを感じる色彩で覆っていた。
文「謎の三角錐は保留、と。あんまりあることないこと書くと紫さんから怒られかねませんし。」
文「………」
文「……ん?誰でしょう?」
褐色の女「……!」
一際高い木の上、そこに褐色の肌に銀の髪を備えた美しい女がいた。
白い礼装は幻想郷ではまず見ない趣向であった。そして、剣らしき物を天に掲げた瞬間……
ごおおお、と地鳴りの音が唸る。
威圧があたりの空気をいっぺんに変える。
文「っ!!」
褐色の女「………!!」
文「うわああ!?」
……
文「……ええ?今の衝撃は…!?」
褐色の女「……」
椛「何者ですか!?」
衝撃の正体は、犬走椛の剣とのかちあいであった。異変を察した彼女はすぐさま原因へと駆けつけたのだ。
褐色の女「……」
椛「名乗れ、何者だ!!」
褐色の女「人理に仇なす邪悪な文明、即座に滅ぼしてくれよう。」
椛「は?」
文「椛!気をつけてください、そいつは……!」
文の言葉を切り裂くように、褐色の女は紅葉に襲いかかる。
椛「ぐっ……なめるな!」
褐色の女「ほう、私の疾さについてこれるか、だが!!」
剣戟は、非常に高い音を出しながら周囲に異変を伝える。
椛「っ、文!天狗に招集を!あと神奈子様たちも呼んで……!!」
文「し、しかし!」
椛「こいつ、やばい!だから早く!」
文「……死なないでくださいよ!!」
………
神奈子「……そして文がここへ来た。」
霊夢「褐色の女……幻想郷じゃ珍しいわよね、褐色。」
神奈子「私は早苗と一緒に妖怪の森へと向かったんだ。」
………
文「私は先に戻ります。お急ぎください!!」
神奈子「ああ。」
早苗「異変、なのでしょうか?」
神奈子「どうだろうな、聞く限りは単独の行動だが……」
…
神奈子「っ!!これは!?」
早苗「ひどい……」
実は、霊夢が見たものは、幾分かマシになったものであった。
神奈子(これは……戦争だ、戦争の血の臭いだ。)
褐色の女「は、この程度か。この程度の異物、私のみで十分だろうに。」
神奈子「早苗、お前は傷を追ったものの救出を。急げ!」
早苗「はい!」
褐色の女「……む?」
神奈子「随分と暴れてくれたねえ?誰だい、あんた。」
褐色の女「この霊気……ただものでないな。」
神奈子「……この森をここまで荒らしておいて無事で帰れるとは思わないことだ。」
褐色の女「そうか、貴様のようなものがいるゆえの異物か。」
神奈子「弾幕勝負、と言いたいが……」
褐色の女「は?」
神奈子「通じない、か。」
神奈子「なら容赦しない……!!」
…………
神奈子「そして私は半数のスペカを使用して撤退させた。まさか一晩かかるとは思わなかったよ。まあ、文もすべてのスペカを使ったんだっけか?」
文「何枚かは残ってますが、まあ全て使ったようなものです。」
霊夢「……」
神奈子「もちろん誰も相手について心当たりは無い。霊夢もだろ?」
霊夢「うん……」
神奈子「……」
諏訪子「やあ、久しいね。博麗の巫女。」
霊夢「諏訪子。」
神奈子「ん?どうしたんだ?」
諏訪子「んー、今回の敵だけど、どう考えても幻想郷の生き物じゃない。」
霊夢「そう……よね。こんな惨いことを…」
神奈子「ああ!そうだ!思い出した!あいつ、生きてるように感じなかったんだ!」
霊夢「は?」
神奈子「発せられる気だよ。生気を感じなかった。なんか、魔力のようなもので構成されているような、そんな奴だった。」
神奈子「紅魔館の門番ならはっきり分かるだろうね。」
霊夢「なにそれ、亡霊かなにかってこと?」
諏訪子「に、しては綺麗だよね。この世に未練も憎悪もない。悪霊の類ではない。」
霊夢「……あーもう!わかんなくなってきた!!」
神奈子「とりあえず、だ。何かしらの敵意を持った強力なやつが幻想郷を狙っている。このことを幻想郷にひろめて、警戒させるようにしなきゃならん。」
文「天狗何人かを連絡に向かわせています。程なくして全員に行き渡るかと。」
霊夢「……。」
…………
紅魔館
烏天狗「というわけでございます。くれぐれもご注意を。」
美鈴「承知しました。すぐにお嬢様にお伝えします。」
…………
白玉楼
幽々子「……。」
烏天狗「では私は次に参ります。くれぐれもご注意を。」
妖夢「異変でしょうか、幽々子様?」
幽々子「…紫にも話を聞かなきゃね。」
…………
永遠亭
永琳「わかりました。私達もすぐにそちらに向かいましょう!」
鈴仙「準備ですね!すぐに終わらせます!」
烏天狗「お願いします……」
てゐ「……悪い予感がするウサ。」
…………
地霊殿
さとり「……そんなおぞましいことに。」
お燐「お、お仕事が沢山??」
さとり「状況はすべて把握しました。私の方から地下のみんな、地獄の映姫さんのところまで報告しておきます。あなたは早く上に戻りなさい。」
烏天狗「お願いします。」
さとり「……」
………
神霊廟
神子「オッフゥ、エグいことになりましたね。」
布都「……」
屠自古「……」
芳香「……」
青娥「……わたしじゃないですよ!?」
布都「いや、やりかねんじゃろお主。」
屠自古「同意。」
芳香「流石にないぞ青娥。」
青娥「はー、娘々傷ついたー。お家に帰りますー。」
神子「とりあえず承りました。こちらでも警戒体制を敷くとともに情報収集にあたりましょう。」
………
寺
聖「……私も行かなくては。祈ることしかできませんが。」
烏天狗「いえ、その祈りでこそ癒えるものがあります。是非、我が同胞の魂を弔ってください。」
聖「留守を任せましたよ。」
寅丸「はい。万事お任せを。そしてお気をつけて。」
………
霊夢「よいっしょっと!」
烏天狗「だいぶ、片付けも進みましたね。」
烏天狗「しかし、いつ襲撃が来るか……」
霊夢「私がいるわよ。博麗の巫女あるかぎり、邪悪は絶対許さないんだから。」
文「しかし、これらの木々は相当の年月をかけて育ちました。完全な復興には相当の時間がかかりますよ。」
霊夢「……幽香にも頼むかね。」
ピトッ。
霊夢「え?あ、雨!?」
文「あやや、いつの間にかこんなに雲が暗く……早めに作業を中止しましょうか。」
ザァーー
通り雨らしい、色の濃い雨雲がいつの間にか空を覆っていた。
早苗「霊夢さん、お茶どうぞ。」
霊夢「ありがと……あんたは大丈夫?」
早苗「へ?」
霊夢「あんた、相当疲れ切っていたみたいだったから。心も、身体も。」
早苗「……正直全然大丈夫では無いんです。あそこまで凄惨な現場は初めてでしたし…。でも、だからこそ前を向いていかなくちゃ。」
霊夢「そう。でも無理しちゃダメよ。」
早苗「……はい。」
……
夕方
魔理沙「おーす!大丈夫か!」
霊夢「魔理沙!?」
魔理沙「お、霊夢もいたのか。」
文「魔理沙さん!」
魔理沙「おお、文!皆は無事か!?」
文「あ、それが……」
……
魔理沙「そうか、そんなに死んじまったのか。」
文「はい……でも意外ですね。魔理沙さん、烏天狗たちとそんなに仲良かったでしたっけ。」
魔理沙「んああ、あいつらの呪術なんかをたまに教えてもらったりしていたんだ。弾幕ごっこの練習相手になってくれたり、なんだかんだ付き合いがあってな。」
魔理沙「そうか……死んじまったのか。」
ふー、とため息をついた後、切り替えたように話す。
魔理沙「しかし褐色の女?なんだそいつ。幻想郷じゃなかなか見ないだろ。それに弾幕ごっこをせずに剣を振り回すなんて、絶対やべーやつじゃねえか。」
霊夢「そうなのよ、いまさらそんな掟破りな事をするなんて、少なくとも今の幻想郷じゃありえない。」
魔理沙「ちゅうことは、だ。」
霊夢「外からの敵だとして、なんの目的で……」
……
続きます