・初投稿
・独自解釈・妄想アリ
・地雷の危険性。注意されたし。
・別サイトから転載
そのころ
紅魔館・大図書館
レミリア「……」
パチュリー「んー、疲れた。」
レミリア「パチェ、どう?」
パチュリー「おおかたレミィの読み通りよ。」
レミリア「そう。」
パチュリー「これほどの強力なエネルギー、サーヴァントに違いないわね。」
レミリア「サーヴァント、やはりか……恐らく霊夢たちも気づいているだろう。資料を見やすい形で作成できるか?」
パチュリー「使い魔たちにやらせてる。情報量が膨大だし、明日の昼までかかりそうね。」
レミリア「分かった。頼んだぞ。」
パチュリー「……ふふ。」
レミリア「ん?」
パチュリー「レミィのことだから、この事件は紅魔館で解決させる、とでもいうかと思ったけど、怖気づいたのかしら?」
レミリア「馬鹿いえ、そんな単独行動を霊夢が許すと思うか?」
レミリア「どうせ協力しなきゃならん。そのための用意だ。」
……
美鈴「ふわあ……あと2時間で終業か。」
美鈴「……」
美鈴「……スヤァ」
いつものである。
しかし、影は門番以外にもう一つ。
『……大きな魔力炉心、ここか。』
『屋敷、か。門は……』
『……寝てる?門番?』
『…………』
『寝てるな、あれは。』
美鈴「スヤァ……」
なんて幸せそうな寝顔だろう。この世の憂いをすべて断ったような。
『では、入らせてもらおう。』
美鈴「スヤァ……」
鼻ちょうちんをふくらませる門番を横目に、『それ』は門を潜ろうとした
が。
『……』
美鈴「んー……ほい。」
突然『それ』に拳が降りかかる。間一髪で避けるが、実に危険な瞬間だった。
『っ!?』
美鈴「んあー、どちら様ですかぁ?」
『……気づいていたのか?』
美鈴「ん、ん、んー。まあ、そりゃ門番ですから。」
美鈴「……」
嘘だろ、確かに鼻ちょうちんが出来ていたはずだ。
少々腑抜けていた。改めなければならない。
『……』
美鈴「お客様、じゃないっすねえ。素顔すらフードで隠して……」
美鈴「用件によっては、覚悟してもらいますよ。」
『(……厄介だな。こいつの実力は未知数。バレた以上、長居は危険だ。)』
『っ!』
『それ』は何かを地面に叩きつけるやいなや、もくもくと透明度の低い煙を発した。
美鈴「む、煙幕……」
美鈴「……」
『おいかけては……こないか。』
逃げる方向は合っている。今日はひとまずここまで……
美鈴「次来るときはちゃんと昼に、ご用件と共にお願いしまーす!!」
『な……?』
変なやつだ……
……
咲夜「美鈴?」
美鈴「あれ、咲夜さん?まだ終業の時間じゃないですよね?」
咲夜「いや、あなたが叫ぶ声がして。」
咲夜「誰か来てたの?なんか煙たいし。」
美鈴「さあ?」
咲夜「は?」
美鈴「誰か来てたんですかね?少なくとも、生きてる者は来てませんが。」
咲夜「はあ?」
美鈴「まあ、何事もなかったってことですね。」
美鈴「もしかして、咲夜さんにしか聞こえない何かが来ていた、とか?」
咲夜「ちょ、怖いこと言わないでよ!」
美鈴「はっはっはー」
咲夜「何なの……もう。」
………
翌日
朝早い時間ではあったが、彼女たちは帰り支度を始めていた。
文「いやあ助かりました。」
永琳「あとは渡した薬を定期的に処置すれば問題ないはずよ。」
永琳「しかし流石ね。あなた、薬学の知識もあったなんて。」
聖「いえ、全て人並みですわ。むしろ多くの人を導くには足りないくらい。」
永琳「事態が落ち着いたら永遠亭にいらっしゃい。幾分か教えられることはあるから。」
聖「まあ、ぜひ。」
文「なんにせよ、午後からまた集合でしたっけ?」
永琳「ええ。白玉楼でね。」
……
同じ頃
紅魔館
美鈴「ふわぁ……」
美鈴「ねむ……」
『……まだ寝ているのか。だが、夜と同じこと。気づかれるだろう。』
『……よし、用意はできた。』
『3、2、1……!』
ボンッ!
美鈴「むっ!」
小さな爆発音とともに煙幕が立ち込める。その煙はやや黄みを帯びていた。
美鈴「ごほ、ごほ!!ただの煙幕じゃ、ない!」
口に、鼻に、喉に、肺に……器官に刺激が走る。
美鈴「しまった……入られたか!?」
ガチャ……
『……奥か。』
美鈴「げほ、待て!」
『……あんたに構ってる暇はない。』
振り返ることもなく『それ』は門を静かにくぐり抜けた。
美鈴「ぐっ……意識が……」
ついに門番が膝をつく。
美鈴「さ、咲夜さん……」
咲夜「何事!?」
かすかな叫び声を聞き、颯爽と現れたメイドは煙をかぎ分け、門番を抱きかかえる。
咲夜「っ……生きてる、わね?」
美鈴「すみません…さ、くやさん……」
咲夜「よっ…と。」
煙から門番を運びだす。美鈴の頑丈さ故に命の心配はしてないが……
咲夜「何この煙……侵入者ね?」
美鈴「はい……フード姿の……あ、が……」
咲夜「分かったわ。すぐにみんなに伝える。ちょっとだけ待ってて。」
美鈴「おねが、いしま……」
咲夜「……美鈴が侵入を許すなんて、どんなやつかしら。」
……
館内を『それ』が進む。『それ』の能力によるものか、警戒にあたっている使い魔やメイドたちには察知されていない。
『……ここか。』
他よりもやや豪華な装飾が施された扉の前に『それ』は辿り着いた。その扉の向こうの、最奥に感じる巨大な魔力。それこそが彼の目的だった。
扉のノブに手をかける。魔力的な結界の気配もない。案外、警戒がザル……
バチッ!
『っ……なんだ?』
……
パチュリー「こっちね。」
……
バチ……
『……!?』
バチバチバチッ!!
『あっ……が!!!!』
動けない。そんな、まさか。
ここまで魔力を隠して結界を仕込めるものか。ありえない。
一切の魔力を探知させない、しかし発動すれば強力な魔術を起動させる結界……
体が圧迫される。まるで深い海に落とされたような。
『っ……!』
深い海の底に放り込まれた僕は、そのまま……
【 ー ー ー 】
……
パチュリー「さて…、咲夜に繋いで……と。」
パチュリー「咲夜、聞こえるかしら?大図書館-K扉に侵入者を捕縛。」
パチュリー「そのまま、レミィのところに送還させるから、あなたもそこにいらっしゃい。」
…………
大広間
レミリア「ほう?まだ意識があるのか。パチェのあの結界を食らったら大抵は気絶するものだが……」
大広間へと連れて行かれた『それ』は、レミリアの前に膝を付いていた。
両脇に、メイド長と紫色の魔法使いが供えている。
『っ……』
レミリア「パチェ、結界を若干弱めろ。話がしたい。」
パチュリー「了解。」
『がっ……はあ、はあ。』
レミリア「さて、まずは名を聞こうか。」
『……アンタたちが知る必要はない。』
レミリア「ふむ……咲夜、そのフードをひっぺがせ。」
咲夜「承知しました。」
ばさっ!
レミリア「……ほう、男だとは分かっていたがなかなかにイケているじゃないか?」
『……』
レミリア「改めて、名を聞こうか。」
『……』
レミリア「……」
レミリア「分かった、質問を変える。なぜこの館に来た?しかもうちの門番を強引に突破してまで。」
『……』
レミリア「……」
レミリア「……妖怪の森を襲った奴と関係してるのか?お前は。」
『……森を襲った?』
レミリア「聞いた情報とお前はかなり似通っている。白の髪に褐色の肌……。」
『……!?』
『おい、そいつは、そいつをどうした!?』
レミリア「……興味を示したな?関連ありか。」
『お前たちはそいつをどうしたと聞いている!』
レミリア「随分な物言いだな、立場をわかっていないのか、貴様は?」
レミリア「…少なくともそいつを捕まえたという話は聞いていない。」
『っ……しまった。悠長な策だったか……』
レミリア「……」
レミリア「お前はどうやら昨日の事件に関与しているようだが……」
レミリア「門番を傷つけ、私に対してあまりに無礼な態度を撮った。そのツケは払ってもらう。」
『…拷問かい?』
レミリア「察しがいい。好きなだけこいつで実験していいぞ。だが殺すなよ?今日の午後、スキマ妖怪らの会合の手土産にする。」
パチュリー「あら、どうも。あの結界を耐えるんだもの。久々に良い実験が出来そうだわ。」
レミリア「……咲夜、パチェの見張りだ。暴走しないように、な。」
咲夜「承知しました。」
パチュリー「む、分別くらいつくわよ。」
レミリア「いや、今のお前、マッドサイエンティストの目をしてたぞ……」
……
大図書館
結界は解かれることなく今なお『それ』を縛る。
『……』
咲夜「……いい加減名乗ったらどうです?」
『知ってどうする?意味が無い。』
咲夜「……それも、そうですね。」
パチュリー「えーと、まず、あなたは人間かしら?それとも人型の妖怪?」
『人間、か。そんな、生き方はとうに棄てたよ。』
パチュリー「……霊ってこと?半人半霊?にしてはヒトの要素が強いのよね。」
パチュリー「うーん……。体組織から調べるか。」
パチュリー「こあ、彼の皮膚を取ってきて。」
小悪魔「はあい。」
『……』
小悪魔「だいじょーぶですよー。ちょっとザクッと、スパッと行くだけですもん。」
『……好きにやるといいさ。』
小悪魔「……抵抗してくれたほうがやりがいあるんだけどなー。」
小悪魔「ま、いいか。」
悪魔の爪が鋭利に変化する。なるほどそれであれば僕を抉ることも容易いだろう。
……そんな痛みはどうだっていい。僕がやるべきこと、やってきたことに比べれば、その程度。
小悪魔「私も食べたいので多めに行きますねぇ。えーい!」
【 だ め よ 】
小悪魔「へ?」
バリバリ!!
小悪魔「きゃあ!?」
【 は な れ て 】
パチュリー「なっ……結界が!?」
唐突に、彼を縛る結界が破壊される。
パチュリー「っ……こあ!離れて!」
小悪魔「ふぁ、ふぁい!」
咲夜「パチュリー様、私の後ろへ。」
パチュリーが更に何重にも結界を貼るが、全てが破壊される。
彼の周囲の空間が歪む。破裂音が鳴り響く。
その間、彼は、常に俯いていた。
パチュリー「なんなの…!」
【 お き て 】
『……』
不意に彼は何事もなかったように立ち上がる。
『……』
咲夜「それがあなたの奥の手ということですか!」
『僕は……』
『僕は、世界を救う。』
スッ……
咲夜「消えた…!?」
パチュリー「探知……!上!!」
咲夜「っ、時よ……!」
その瞬間、時が止まる。パチュリーも小悪魔も停止する。
彼女の十八番、時間を操る程度の能力だ。
咲夜「どれだけ裏をかこうが、私の能力には届きません!」
『……』
咲夜「眠ってもらいます、幻符・殺人ドー……」
『Time alter……Double accel!!』
咲夜「なっ!」ガキィン!!
一瞬であった。空中、頭上にいたはずの男は、十六夜咲夜の目の前でナイフを構えていた。
互いのナイフが鋭い音を立ててかちあう。
すんでのところで命を拾った咲夜は動揺を隠せない。
「なぜ……動けるのです!?」
『あんたも時間操作の能力を使うのか……は、同じ土俵とはね。』
なんだ、この男は。先ほどと雰囲気が違う。パチュリー様の結界を壊してから、なにかに取り憑かれたように…!
『なら、どちらがより迅く動けるのか、だ!』
『Time alter Triple accel !!!』
咲夜「奇術・ミスディレクション!」
互いに瞬間に移動し、瞬間に攻撃する。
誰にも追いつけない、誰にも認知されない二人だけの殺し合い。
幾数ものナイフが飛び交い、消え、劈く。
咲夜「この…!!」
能力的にも咲夜が優勢のはずである。彼女は自身のみならず、ナイフすらも自在に移動させ、敵の急所を貫くこともできる。
しかし、届かない。彼女のナイフはすんでのところで弾き返される。
その原因が彼女の思案によって解決されることはなかった。
……時間切れだ。
スッ………
咲夜「っ……はあ、はあ。」
パチュリーとその使い魔は、急激な状況の変わりように咲夜が時を止めたことを理解した。
しかし、おかしい。それならなぜあの男は。
傷一つ負わず立っているのだ?
『……もう終わりかい?』
咲夜「……」
『君の魔術に関してすこし興味はあるが……これも仕事でね。』
スッ……
また、男が消える。
咲夜「っ……」
すぐに臨戦態勢をとったが、しまった。
思えば、あの男はそもそも図書館へと入ろうとしていたのだ。
なら目的は……
パチュリー「……へ?咲夜?」
咲夜「……?」
てっきり、パチュリー様が目的だと思ったのに……
では、あの男はどこに?
……ウォーン!!ウォーン!!
いつもの結界の反応音とは違う、やや高めの音が響く。
警告音のように感じられるが。
パチュリー「しま……あいつの目的は、魔力炉!!」
咲夜「!!」
……
図書館の最奥、そこには紅魔館を支える魔力炉がある。
紅魔館で使われるあらゆるエネルギーの基であり、パチュリーが長年かけて作り上げた。
といってもそこまでおおがかりな設備ではない。
平均的な成人男性身長ほどの高さに直径50センチメートル。
ガスストーブのような、その機械の中央に煌々と赤い結晶が光る。
『まずはここを潰す。』
懐からナイフを取り出す。普通のナイフではない、特別なナイフ。
魔力の流れをズタズタに引き裂き、めちゃくちゃに接合する。
彼の起源に由来する、魔術師殺しの道具。
何重にも張られた結界がいともたやすく切られる。
『……』
心を鉄に。
体を刃に。
ただ、世界を救う。
そのために刃を振るう。
「さーせーるーかー!!」
弾ける叫び声と共に突如天井が崩壊する。瓦礫が彼の元へと雪崩れ落ちる……
『何!?』
舞い降りるは一人の少女。奇妙な形をした槍を携えている。
……殺気とは違う異質な空気を彼女は放っている。
「ここだけは絶対に壊しちゃいけないってお姉さまから言われてるの!ここを壊したら怒られちゃう!」
『……』
「どこの誰か知らないけれど、ここを壊すつもりなら……」
「キュッとして……」
【 さ せ な い 】
フランドール・スカーレット「ドカーン!!!!!!!!」
続きます(追加編集アリ)