デート・ア・ライブ 漠オブリヴィオン 作:黒谷園
最初は皆一緒だった。ご飯を食べるのも風呂に入るのも、毎日が大はしゃぎだった。だが、それも長くは続かず1日1日と人数が減っていく。そして何年か過ぎた頃には俺一人になっていた。今日も検査と称して様々な手術を受ける。いつも通りだ、だが今日は麻酔の量が足りなかったのか麻酔への耐性か付いたのか目が覚めていた。激痛が全身を走った時、自分の存在を思い出す。この身に宿る物、そしてここが何処なのかを。
緊急連絡を受けて急いで向かっていたエレンにふたたび通信がはいる。
「次から次へと………どうかしましたか?………『資材B』が脱走?私達が居ないからと気がぬけすぎでは?アイクには私から伝えます。貴方達は指示があれば直ぐに出れるように用意しておきなさい」
眉をひそめ再び舌打ちをする。資材Aに加えて資材Bも失ったとなるとDEMにとって痛手になるのは分かりきっていた。いち早く伝える為に、さらに速度を上げた。
「とりあえず一安心かな」
そう言いながら乗りこんだのは、まるでホテルのような豪華客船だった。これに乗り込んだのには理由がある。帰国する国が日本であり、目的地である天宮市に比較的近い所だからだ。
「これからどうするよ」
と、呟くがそれに答える者はおらず。周りにいる人も、まるで彼が存在しないかのように知人との談話を楽しんでいる。
「この力があれば簡単にはバレないし、追っ手は………アイツの性格を考えれば問題無さそうだな」
アイツの性格なんて小説を繰り返し読んでいる中で分かっている限りなら問題ないだろう。問題があるとすれば、この力だ。いや………天使と言う方が正しいか。この天使──贖罪山羊<アザゼル>は自分の存在を認識されなくなる力と千里眼の様に広範囲を見通せる力がある。が完璧とは言えず少ない霊力の代わりにカロリーを消費するため不便でならない。それもそうだ、これは完璧な天使──精霊ではなくDEMによって造られた人工精霊だからだ。
気づいた頃には施設で暮らしていた。同世代も多く何不自由は無かった。成長するにつれて身体の検査と称して手術を何度も受けた。受けた後は数日間苦しむが、それからは何も無かったかのように………むしろ前よりも身体が軽くなっていた。その度に減っていく同世代の友人達……。気づいた頃には俺一人しか残っていなかった。そして今日の手術が始まる。だが、いつもの麻酔が足りないのか意識が残ったまま手術が始まり、全身を激痛が走る。その時に思い出した、自分が転生者であった事、ここがデート・ア・ライブの世界である事……そして人工精霊の適応手術である事を
「それにしても俺が人工精霊か……」
感傷に浸りたくもなる。なぜこの世界にいるのかはわからないが、好きな小説だったデート・ア・ライブの世界に迷い込んで、しかも精霊になっていた(人工だけど)。好きな作品に転生出来るのはこの上なく嬉しいのだが……
「俺が精霊なら……まさか」
いや、そんな事は無い。いくら女の子になれるからって色々と危ない。趣旨が違う
「精神状態さえ安定してれば良いし、そもそも俺に霊力ほぼ無いし、霊力の代わりがカロリーだから空間震とかは大丈夫だろ」
人工精霊で、しかもみ完成だった事を喜ぼう。完全体だったら、キスするしかないもんな!そっちは誰も求めてないしね!
「とりあえずこのまま船に揺られますか。どうせこんな豪華客船ならカロリーの問題は無いだろ。少し減った所で気づかれないさ」
そう呟いた後に、姿を消し厨房へ向かった。
その頃─────
「すいません。アイク、資材Aに加えて資材Bも」
「かまわないよ。資材Aは残念だが、資材Bに関しては喜ばしい報告でもある」
「と、言いますと」
「彼が逃げ出したと言う事は少なくとも実験が成功したと言う事だ。確かに警備は甘かったのかも知れないが、それでも簡単に逃げ出す事は出来ない。ならば、実験が成功し彼が力を扱えたと言う事だ」
「っ!!なるほど」
「さて、最終段階に入ろうか。エレン」
「はい」
文章は少ないけど少しづつ出していきます。ヤンデレはもう少ししないと仕事しない。少し前の説明シーン多くて次回からは大丈夫なはずです。
世界改変が面倒なので改変後世界から始まっている。