牙狼外伝~赤金の魔戒騎士~   作:神山人海

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出合

彼らは戦いを終えた。

シグトがこちらを見て話しかけてくる。

 

「さあ、これだけ危険だってわかったらもう関わるなよ。」

 

私を諭すような言葉をかけてきたが今の私には無意味だった。

怪物と戦う鎧の男、彼を一生をかけて追うと決めた私は立ち上がりシグトを無視して男へと走り寄った。

 

「ねえ!あなた何者?今の鎧は何?怪物の正体を知っているの?これからあなたの事を追っていい?なんなら密着取材をしたいのだけど!」

 

矢継ぎ早に言葉を放つ。

彼は目を丸くして驚いて後退る。

押しの一手で折れるかもしれないと思い下がる彼に近づこうとした、その時目の前に筆が割り込んだ。

 

「どなたか知らないけど助けてもらったお礼も無いのかしら?」

 

声の主に目を向けるとモデルか女優かと見紛う美人が私を睨みつけていた。

彼女の黒い瞳は吸い込まれそうなほど美しい。

 

「あ、そうでしたね!先ほどはありがとうございました!私こういうものですけど、お姉さんも取材対象として密着してもいいですか!」

 

私は二人に押し付ける形で名刺を渡し詰め寄る。

凛々しいお姉さんもさすがの押しに少し困惑したようだ。

すると後ろから肩を掴まれた。

振り向くとシグトだった。

 

「それまでだ。ここに連れてきて見せる、それで終わり。記事にしてもいいけどそれ以上はやめるんだ。」

 

シグトは真剣な表情をしている。

秘密を守るということもあるのだろう。

それ以上に一般人に危険が及ぶことを懸念している顔だ。

 

「いいんじゃないか?俺は面白そうだからそこの小娘にかっこよく記事にしてもらいたいもんだ。」

 

またここの誰でもない声が聞こえる。

私は周囲を見回すが対象の人物は見えない。

そんな私に男が右手を握りこちらに見せる。

そこには髑髏の指輪が嵌められているだけだ。

 

「この不気味な指輪がどうしたの?」

 

「不気味じゃない、いかす魔導輪だ。」

 

「うわっ!」

 

驚いて後ろに飛んだ私をシグトが受け止めた。

目の前の男も含めみんな笑っている。

どうやら彼らからすると指輪が喋るのは当たり前の事らしい。

 

「あれは魔導輪、俺たちの仲間さ。彼らのおかげで俺たちは戦っていけてるんだ。」

 

「そうそう、俺様達が居なければ人間はホラーに喰い尽くされておしまいさ。それはそうとお嬢ちゃん、俺様達に興味があるらしいな?」

 

指輪の質問に首を縦に振った。

それが笑っているように見える。

 

「面白いじゃないか、このお嬢ちゃんに取材してもらおうぜ。」

 

私を含めみんなが驚いた。

 

「正気かゲルバ!」

 

「お荷物を増やすのはやめてほしいのだけど!」

 

漆黒の二人組は大声を出して反論する。

シグトはすでに呆れているようだ。

私はというと

 

「本当にいいの!!!」

 

「ああ、俺様に二言はないぜ。」

 

「ありがとう!」

 

喜び飛び跳ねる。

二人は頭を抱え始めた。

そんな中指輪苦しみはじめが口を開く。

すると口から生き物のような鉄の生物が吐き出された。

うねうねと動きそれは自分の口で尻尾を咬み指輪のような形になり固まった。

 

「俺様の分身だ、これに通信機能を持たせてある。何かあればこれに話しかけてくれ、緊急を要するようなら俺様が二人に伝えてやる。それと根城を教えておいてやろう。」

 

そう言うと彼らの家の住所を教えてくれた。

私は吐かれた指輪を拾い指に嵌める。

シルバーのアクセサリーと考えればまあまあ悪くないし周囲も疑わないだろう。

 

「じゃあ今からそっちに言ってもいい?」

 

「こら!ホラーとの戦いの後なんだ今日はもう帰って寝るんだよ。送ってやるから君も帰るの!」

 

シグトが怒って言った。

時計を見ると0時を過ぎている。

ここから駅まではそこそこ遠いため終電に間に合うかどうか微妙なところだった。

シグトに振り返り

 

「でもこの機会を逃したら記者として失格だと思うの!」

 

「だから彼らも忙しいし君も明日仕事だろう?それに二人ならもう居なくなってるからこれでおしまい。」

 

そんな馬鹿なと思い後ろを向くと誰も居ない空間が広がっていた。

開いた口が塞がらない。

 

「わかったわよ、取材対象が居ないんじゃしょうがないから帰るわ。」

 

肩をすくめため息を漏らす。

シグトは安堵したようで私の肩に手を置いて帰宅を促す。

仕方なく私はシグトに送ってもらい帰路へ着く。

明日か明後日か、いち早くさっきの住所の場所へ向かってやる。

そう誓い住所をノートへ書き留めた。

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